大魔族の彼は人生を謳歌する   作:HIIRAGISHIYU

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 最近思った今更な悩み。
 ゼーリエの口調とか、話しそうな内容とか、よくわからないこと。


019 魔法使いの証

 

 

 どうも、こんにちは。今年で4300歳を迎えたレノストです。

 

 最近の地上は平和で穏やかな日常が続いております……嘘です。いつも通り、バリバリに血を血で洗う戦争が繰り広げられています。

 

 と言っても、近頃は魔王陣営が優勢だったのが段々と人類陣営が押し返している状況。理由はフランメが統一帝国の皇帝に進言した魔法研究の全面的支援のおかげであろう。

 

 たったの100年近くで実用レベルにまで魔法が発展したのは純粋に驚きだ。これが今まで人類がしぶとく生き残ることのできた秘訣であり、人類が持つ根本的な強さなのだろうか。

 

 人類も魔法が誰もがとまではまだいかなくとも、一部の者達が魔法を戦術、戦略に組み込んで使用しているのだ。

 

 そう遠くない内に前線が拮抗状態になるのが予想できる。まぁ、それはみんな大好きクヴァールさんが表舞台に出るまでだろうが。

 

 ……まぁ、そんな辛気臭い話はやめて、オレが今やっている作業について話そう。

 

 オレが今行なっているのは杖の製作である。

 

 思えばオレは一度も杖を持ったことがなかったのである。魔法使いの風上にも置けないな……などと言えばゼーリエにも当てはまるので前言撤回しよう。

 

 それでもやはり、段々と原作の本編が近づいてきているのを肌で感じる。オレが表舞台に立つのは最低でも魔王が死んだ後って決めてるけど、うだうだしていたら1000年なんてすぐだからな。

 

 それまでに誰が見ても分かる魔法使いの証みたいな杖を製作しておきたい。だが肝心の杖の構造をイメージがすることができない。それに素材も厳選したいし。

 

 でもやっぱり作るとしたら僕の考える最強の杖を作りたい。ハリポタで最強の杖といったらニワトコの杖とかが思い浮かぶけど、ちょっと小さすぎるんだよな。

 

 確かに小さいのもカッコいいと思うけど、オレはどちらかというとデッカい杖の方がカッコいい派なんだよな、具体的に言えば足の爪先から腰あたりぐらいの長さがいい。

 

 ………もういっそのこと、シンプルイズベストの気持ちで素材だけ厳選した唯のステッキみたいな形にするか。

 

 そうだよ、難しく考えすぎたんだよ。

 

 どうせオレにはデザインセンスなんて皆無、開発している魔法なんて漫画やアニメが元ネタなものばかりだし、オリジナルの魔法なんて数えるほどしかない。

 

 オレの創造性が乏しいのはこの長い人生で自覚している。オレは0を1ではなく、1を10にするのが得意なタイプなのだと。

 

 でも素材はどうしようか。パッと思い浮かぶのは暗黒龍のツノとか、オレの地面……天脈竜の削ったツノの粉しかないが。

 

 素材だけ聞くと凄そうに聞こえるかもしれないが、必ずしもそれが魔力伝導率に優れているというわけではない。

 

 確かに今あげた素材を使えば折れない頑丈な杖ができる。だが、魔法を発動する時に伝えた魔力が杖の抵抗力によって望んだ魔法の威力を発揮しなくなる可能性もある。

 

 希望を言うなら魔力伝導率が高くて、尚且つ頑丈で折れにくい素材……なんて理想を挙げてみたが、そんなの研究室になかったよな。

 

 ………探すか。

 

 久しぶりに地上へ降りよう。でも今、地上は戦争中だしなるべく関わらないように大陸南部辺りに降りるか。

 

 魔王城から一番遠くて、魔族の被害が比較的に少ないから割と大陸北部に比べて平和だし。

 

 なるべく人と関わらないようにしたら、原作への干渉も最小限になるだろう。

 

 さぁ、イッツダイブッ!

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 勇者ヒンメルの死より1000年前から伝わる御伽噺の一つ。

 

 当時、魔族と人類の戦争真っ只中、大陸北部より比較的に平和だった大陸南部で伝説(御伽噺)が誕生した。

 

 内容は至極ありふれた、どこにでもある長い歴史が誇張したかのような御伽噺。

 

 時には天の災い、時には暴風の化身、時には最恐の天暴龍とも呼ばれた魔物をとある旅人が撃退するという話。

 

 その謳われた異名は時に正しく、時に間違っている。

 

 その御伽噺に登場する魔物の体は大蛇に似て、背に八一の鱗、四足に各五本の指、頭には二本の角、顔が長く耳を持ち、口のあたりに長いひげがあり、喉下に逆鱗を有する。

 

  水に潜み、空を飛んで雲を起こし雨を呼ぶ力があるとされる神話の中でしか存在しない魔物。

 

 世間一般的に知られる西洋竜ではなく、東洋龍の姿をした魔物は大陸南部に存在する人類を魔族の脅威が齎されない代わりに脅かしていたとされる。

 

 誰も倒すことができず、魔族が大陸南部にまで無理やり攻めてこなかった理由とも噂されていた魔物を突如として現れた謎の旅人が撃退し、付近の村々に結界を張って飛び去っていったという御話。

 

 そんな話を馬鹿正直に信じるものはおらず、事実はちょっと強い魔物をちょっと強い正義感のあった旅人が立ち向かっただけと言うのが今を生きる者達の見解だ。

 

 当時は魔法が発展していない故に個としての強さがそれほど高くなかったので、大袈裟に今の時代まで語り継がれているのだと現代の住民は考えていた。

 

 だが真実は悲しきかな。

 

 とある魔族が杖の製作のために地上へ降り立ち、偶然に見つけた魔力伝導率が高い素材(魔物)を発見して戦いを挑んだのはいいものの、思っていた以上に強くて周辺被害が甚大だったからお詫びとして周辺の村々に結界を張ったと言うのが真実。

 

 正義感なんてものはなく、唯の創造欲と探究心、好奇心を満たすために挑んだ男の数あるバカ話コレクションの一つ。

 

 所詮、現実(真実)なんてそんなもんである。

 

 

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