大魔族の彼は人生を謳歌する   作:HIIRAGISHIYU

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020 変わらない日々

 

 

 どうもこんにちは、レノストです。一昨日、4400歳の誕生日を迎え、ゼーリエも呼んで誕生日パーティーをした。

 

 そう言えば、ゼーリエがオレの『空間転移の魔法』を目で盗み取って習得して以来、オレの家に来る頻度が爆上がりしていたのだが、更に最近は頻度が上がっている。

 

 ちょうどゼーリエがフランメの死を知ってオレの家に来た日からだ。

 

 あの日はゼーリエがしおらしく、とても素直で珍しかったのをよく覚えている。そんなゼーリエを見せてくれた天国にいるであろうフランメには感謝の祈りを捧げたいぐらいだ。

 

 この気持ちが少しでも届いて欲しいものだが。

 

 まぁ、ゼーリエがよくオレの家に来たせいで? おかげで? そこんところの良し悪しは判断しかねるが、魔法研究に当てていた時間がゼーリエとの魔法戦闘に丸々置き換わる日もよくある。

 

 それでも実践からでしか得られない経験、データもあるので迂闊に無視できない。

 

 そして今日もまたゼーリエが戦おうぜ、と言い出したのでオレは研究室に置かれている“ある物“を手に取り、出発の準備に取り掛かる。

 

 ゼーリエやオレぐらいともなると本気ではなくとも取っ組み合いをしたら周りの被害がヤバい。魔法の撃ち合いはもちろんのこと、近接戦闘でも衝撃で周囲のもの全てが吹き飛ぶことだってある。

 

 そんなんだからこそ開発した魔法があるわけで、それで開発したのは『空間を断絶する魔法』だ。

 

 その魔法を込めた結界と、大陸から離れたところにポツンと海の上を漂うオレが直々に手間をかけて作った人工島。大きさは前世でいうアメリカ合衆国ハワイ州ほどだ。

 

 その島全体を覆い被さるように結界を張っているので衝撃が外に漏れて、大陸に向かって津波がやっていくなんてことは起こらない。

 

 正直、徒歩や飛行魔法、船で行くとしたらかなりの時間がかかるだろうが、オレ達には『空間転移の魔法』があるから距離とか、そんなものには縛られない。だからこそ気軽にゼーリエさんはコンビニ行こうぜ的なノリでオレと戦おうとするんだろう。

 

 まぁ、オレも日頃のストレスと言えばいいのか分からないが、ゼーリエとの戦いが心のリフレッシュになっていることは否定できない。

 

 感覚としては運動をした後の謎に気分がスッキリとする感じだ。普段、研究室で篭りっぱなしだからな。研究も楽しいが、たまには運動をしなければならない。

 

 まぁ、それでも戦士としての技量や肉体作りを疎かにしているわけではないので、そこまで運動不足とはなっていないのも確か。

 

「おい、まだか?」

 

「待って、すぐ行くから」

 

 ゼーリエさんの催促する声が耳に入ったので、手早く準備を済ませて早坂に留守を頼み、一緒に『空間転移の魔法』で人工島まで転移する。

 

 人工島に到着したオレは周囲を見渡し、空間を断絶する結界に綻びが生じていないかを確認する。そしてお互いに言葉を発することはなく、構えを取る。

 

 ゼーリエは頬笑みを浮かべながら仁王立ちのポーズで、オレは“新しく作った杖“をゼーリエの方に向ける。

 

 今、オレが手にしてる杖は大体100年くらい前に対峙した東洋龍に似た姿の魔物の髭を芯にオレの魔力がたっぷりと浸透した木材で作り出したものだ。

 

 魔力伝導率は99.999%以上、魔法力増幅率は驚異の200%近くだ。

 

 つまり何が言いたいのかというと、オレがこの杖を通して魔法を使った場合は魔法の威力が2倍になるということ。

 

 ただ、その革新的な性能に比べて見た目は持ち手がLの形をしている唯のステッキ。まぁ、普通のステッキと違う点を言うとすればステッキに直接、術式を施している点であろう。

 

 オレがステッキに施した術式は『物体の性質を変える魔法』だ。これは原作でもあった『花弁を剛鉄に変える魔法』を極限まで突き詰めた魔法であり、『花弁を剛鉄に変える魔法』の上位互換とも言える。

 

 『物体の性質を変える魔法』の恐ろしい点はイメージさえできれば、どんな物体でも変化させることができることだ。例えそれが人であってもだ。

 

 キラークイーンやレガシー主人公かよと思うだろうが、人を爆弾(樽)に変えることだってできる。あの鬼畜戦法が使えるのだ。

 

 と言っても、人を爆弾に変えるイメージができる人間なんて大陸中探しても2、3人いたらいい方だろう。この魔法は使い手によって、その脅威度が変わる珍しい魔法なのだ。

 

 オレは一応、人を爆弾に変えるイメージをホグワーツレガシーをやっていた影響でおそらくできると思う。なぜ、おそらくなのかというと実際に人間を爆弾に変えたことはないから。

 

 そこら辺の小動物を爆弾に変えることはできたので、まぁできるだろうっていう感じだ。

  

「……それは杖か?」

 

 さすがのゼーリエも気になったのか杖に反応している。

 

「ああ、シンプルでかっこいいだろう」

 

「今更必要ないだろ、レノストには」

 

「杖を持つと魔法使いって感じがして気分が上がるんだよ。それに、ちゃんと利点はある」

 

 オレは言い終わると同時にいつものように『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』を放つ。ゼーリエもまたいつものように最小出力で防御魔法を展開させるが、目前へと迫ってきた段階で何かに気づき、寸前で回避する。

 

「……そういうことか」

 

 ゼーリエは満面の笑みを浮かべ、両手に魔力を溜めている様子が目に入る。

 

「今回もオレが勝たせてもらうわ」

 

「そう何連続も負けを許しはしない」

 

 お互いに言いたいことを言い終えた瞬間、魔法のぶつかり合いが起きる。

 

 ……そして数時間後、地べたに倒れ込む二人の姿があった。

 

 あ、勝ったのはゼーリエさんだ。オレが杖を持った状態での戦闘に慣れていなかったのが原因だろう。

 

「……次は負けない」

 

「次も勝ってやる」

 

 そこにはいつもの変わらない日常だけがあった。

 

 




 リアルが忙しすぎて、最近やっと少しだけの自由時間ができたので久しぶりに執筆してみた。
 
 まぁ、どうせすぐに忙しくなるんですけどね……辛い。
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