大魔族の彼は人生を謳歌する   作:HIIRAGISHIYU

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002 名前より魔法だよ

 

 

 どうもこんちは、オレと瓜二つの姿をした分身体がゼーリエに撃ち抜かれているのを目にして、より一層修行と研究に励んでいるオレである。

 

 最近、自分の名前を決めた。

 

 その名前はレノスト。

 

 この名前には特別な理由も、意味もない。ただ名前がないと色々と不便だからパッと頭の中で思い浮かんだ名前を自分でつけただけである。

 

 まぁ、次にゼーリエとかと会った時に名乗る名前ぐらいあった方がいいだろうという思いもある。

 

 別に前世の名前である鏑木(かぶらき) 琢磨(たくま)を名乗っても良かったのだが、このファンタジーな世界でバリバリの日本語名を名乗るのはさすがに世界観を壊した感じがしたのでやめたのだ。

 

 

 そんなことはいいとして最近、やっとある魔法の開発ができたのだ。

 

 その魔法の名前は『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』。

 

 原作では魔王軍の中でも屈指の魔法使いとされるクヴァールの開発した魔法で、人類の防御魔法はおろか、装備の魔法耐性をも貫通し、人体を直接破壊するといったもの。

 

 これが原作での説明だ。

 

 それをオレは自分なりにイメージして、洗練された術式構造を考えて開発したのである。

 

 これを開発するのに300年近くもの年月が経ってしまった。

 

 流石は原作でクヴァールさんが開発した魔法だ。思っていた以上に、かなりの時間がかかってしまった。

 

 他にも並行して開発している魔法もあるのだが、優先的に『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』を開発していた。

 

 その理由は単純……ロマンだからだ。

 

 確かに炎や水、氷、雷といったいかにもなファンタジーらしい攻撃もロマンであるが、やはりビーム砲は憧れる。

 

 それに『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』は流石は未来の技術を先取りしたというものもあって、今の時代の魔法と比べて汎用性が桁違いだ。

 

 正直いって今の時代、これ一つでどんな相手でも勝てる。

 

 もちろん規格外なゼーリエを除くこととする。あれは呪術廻戦でいう五条悟ポジだ。

 

 全てにおいて殿堂入りしていて、例外扱いにしなければやってられない。

 

 

 そんな考えても意味がないことより、せっかく魔法が一応完成したのだから運用テストはしたい。

 

 別にここでやってもいいのだけど、天脈竜の背中だからな。

 

 何かの拍子で天脈竜の素肌に直で当たったりして傷ついたり、びっくりしてひっくり返ってしまったら大惨事だ。

 

 なので────

 

 「久しぶり下に降りて試し撃ちでもしてくるか」

 

 即断即決、即実行がオレのモットーである(適当)。

 

 オレは早々に荷物をまとめて、天脈竜から自由落下で地上に向かう。

 

 もはやオレの身体強度ならば自由落下程度では怪我すらしない。どこぞのドワーフの最強の戦士と同じ状態である。

 

 1000年以上も鍛錬を続けてきた結果だ。

 

「さてと、ここはどこだ?」

 

 地上に降りた(落ちた)オレは周辺を見渡す。

 

 周囲を見渡したら、落ちた時の衝撃によりできたクレーターと森しかなかった。

 

 空を見上げればどんどん遠ざかっていく天脈竜の姿が見える。魔法でどんなところにいても居場所が分かるから問題ないのだが、遠くに飛んで行き過ぎると戻るのがめんどくさい。

 

「戻るのめんどくさいし、次近くの空を飛んできた時に戻るとするか」

 

 何十年後かは分からないが、次近くの空に来た時に頭の中でアラームが鳴るように魔法で設定し、成り行きに任せることにした。

 

 「さて、適当な魔物でも探すか」

 

 魔力探知でオレは周辺の生物を探していると、目的とは違うものの反応を捉えた。

 

「あれ? これは……」

 

 こちらに向かってくる強大な魔力の反応。

 

 明らかに面倒ごとになりそうな予感である。

 

 逃げてもいいのだが、地上に降りてきた目的を果たすためにも、オレはその場で待つことにした。

 

 それから数十秒後、それがやってきた。

 

「…ふむ、お前同族か」

 

 目の前に現れた存在は角の生えた人型の異形種。目が4つあり、腕も目と同じく4本あるオレと同じ魔族だ。

 

 魔力量からして500歳程度。オレの半分以下なのだが────

 

「ほぉ、100年ぐらい鍛えられた魔力量だな。俺様の配下となれ。これから人類を滅ぼしにいくからついてこい」

 

 そう言って偉そうに命令してくる魔族。

 

 500年以上も生きているのだから、魔族の中でも十分長生きといえる。

 

 だがオレはその倍は生きている大魔族といえよう。なのになぜ、目の前の魔族が勘違いしているかの理由だが、オレが魔力制限をして本来の魔力の10分の1程度まで抑えているからだ。

 

 この驕り高ぶった魔族はオレの制限特有の魔力の揺らぎすら見抜けぬ間抜けだ。

 

 オレが従う理由も、生かす価値もない。

 

「おい! 何か返事をしろ。この格下がッ────」

 

 早速オレは『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』を使って、目の前に立つ生意気な魔族の腹に風穴を開けてやった。

 

「ガハッ……お前、まさか、魔力を制限していたなッ!」

 

 死ぬ間際、そのことに気付ける辺り、それなりの実力者であったのは間違いなかったのであろうが、全てが後の祭りである。

 

「クソッ! 魔法使いの面汚しめ!」 

 

 そう捨て吐いた魔族は魔力の粒子となって死んでいった。

 

 オレは正直言って魔法使いとしての誇りとか、魔法に対する絶対な自信とか、そんなのは持ち合わせていない。

 

 原作を知っているからこそ抱けることなのかもしれないが、オレは生まれた時からどんな卑怯な手でも勝てばよかろうなのだを信条にしている。

 

 故に面汚しなんて言われても、オレの心には全く響かない。

 

「いやー早速、実践データが取れた。幸先がいいね、次はどんな獲物を相手にデータを取ろうかな」

 

 もう頭の中にはさっき襲ってきた魔族のことなんか残っておらず、次の獲物にしか興味がない。

 

 そしてオレは次なる獲物を探すために森を彷徨うこととなった。

 

 

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