大魔族の彼は人生を謳歌する   作:HIIRAGISHIYU

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008 なんでいるの!?

 

 

「マジでオレって天才なのかもしれない」

 

 どうも、今年で2300歳を迎えることとなったレノストです。

 

 オレは完成させた。

 

 予定した期間を大幅に超えてしまっているが、オレは頑張った。

 

 目の前に立つ人の姿をしたゴーレム。

 

 それもただの人型じゃない。

 

 膝まで伸びた桃色の長髪に耳元から羽根のようなものが飛び出しており、瞳は赤みがかっている。

 

 頭上には天使のような輪っかがあり、腰からは純白の1対2枚の翼が生えている。

 

 お腹を出していて、露出の多い人型ゴーレムの名前はジブリール。

 

 もちろん元ネタはある。

 

 アニメを先に見ていたからこそ良かったものの、ゼロの映画を先に見ていたら速攻で嫌いになっていたかもしれないキャラクター。

 

 やはり何事も順番というものは大事なのだと感じた。

 

「マスター、ミーの命令はライブラリーの管理で間違いありませんか?」

 

「そうだよ。しっかりと管理してくれ」

 

「了解致しました。その命令、この命果てるまで遂行してみせましょう」

 

 ジブリールはそう言って、膝をついた。

 

 一応、思考パターンや口調まで原作準拠だから満足のいくできなんだけど────

 

「マスター、なぜゼーリエという者に“さん“付けしなければならないのですか? あやつらエルフなど森の田舎者で十分でございます」

 

 ジブリールがゼーリエを森の田舎者呼ばわりした時は流石のオレも肝が冷えた。

 

 原作を忠実に再現しすぎたな。

 

 あとで、そこら辺は調整しておこう。

 

 

 まぁ、これで部屋がスッキリした。

 

 ジブリールと一緒に出来上がった図書館へ魔導書を運ぶ作業は魔法を使っているとはいえ怠かったけど、これで一つ、問題が片付いた。

 

 魔導書によって埋もれていた床が見えていく光景には感動を覚えたものだ。

 

 ただ、オレの性格上、いずれは魔導書とかじゃなくても、魔法の設計案とか改良案のレポートで部屋を散らかす自信がある。

 

 なので、その対策としてジブリールと並行につくり上げていたお掃除用ゴーレムに部屋の管理を頼むことにした。

 

「早坂、部屋の掃除を頼むわ」

 

「承知しました」 

 

 お掃除用メイドゴーレムの早坂さんだ。

 

 やはり家の管理を任せるとしたらメイドだろということで頑張ってつくった。

 

 もちろん姿、声色もアニメのままである。

 

 これはジブリールを作っていた時にも言えることだが、声の再現には苦労した。

 

 記憶の奥底に眠っている前世の記憶を無理やり引っ張り出して、声のイメージを再現する魔法の作業が疲れるのなんのって。

 

 大体、開発当初はジブリールだけをつくる予定だったのだが、作業途中に早坂もつくろうと思い至って、同時並行していたら、予定していた期間が大幅にずれてしまったのである。

 

 素材不足とか、魔法の改良とか色々と問題が出てしまって苦しかったが後悔はしてない。

 

「さて魔法の研究も一段落したし、久しぶりに地上へ降りてみるか」

 

 オレは幻影鬼(アインザーム)が使っている幻影魔法を参考につくり上げた『人間に化ける魔法』を自分に施して、黒いフード付きローブを羽織る。

 

「早坂、100年ぐらい帰ってこないかもだから、家の管理よろしく。ジブリールにも伝えておいてくれ」

 

「承知しました。行ってらっしゃいませ」

 

 深く御辞儀をする早坂を背にし、オレは飛行魔法を使って地上まで降りる。

 

 前回とは違い、今回は自由落下ではない。

 

 オレも学んだのだ。

 

 自由落下で落ちると地上にクレーターをつくることになるって。

 

 その他にも理由がある。

 

 多分、前回で魔族がオレに最初気付いてやってきた理由ってオレの魔力を探知したからというわけではなくて、クレーターができたときの衝撃音のせいだと思うからな。

 

 そのため今回は静かに降りられる飛行魔法を使った。

 

「ふぅ、今回は誰も近付いてきていないな」

 

 辺りを見渡せば周囲一帯は草原である。

 

 豊かな緑で広がっていて、風に靡く花と草が幻想的でとても綺麗ッ────!

 

「あぶね!」

 

「見つけたぞ!」

 

 唐突に魔力探知で後方から魔法の気配がして、体が勝手に避けてくれてよかった。

 

 オレは後ろに振り向くと、そこには見覚えのある姿。

 

 金髪のロングヘアに長くて尖った耳が特徴的、幼い少女の見た目をしたエルフ。

 

「ゼーリエッ!」

 

「やはり、私のことを知っていたか」

 

 そう言って笑ったゼーリエは炎、氷、水、風、雷などといった如何にもファンタジーらしい魔法でオレの視界が埋め尽くされるほどの攻撃の連弾を撃ち込んでくる。

 

 オレもゼーリエと同じような魔法を駆使して相殺する。

 

 全く、どうしてオレが地上へ降りると毎回、戦闘から始まってしまうのだろうか。

 

 毎回と言っても、2回しか降りていないけど。

 

 でも、まずいな……ゼーリエか。

 

 今、魔法の応酬を繰り返しているがゼーリエもオレも、これがただのウォーミングアップ程度でしかないことはお互いわかりきっていた。

 

 ここは一つ、手の内を晒してでも、この魔法の応酬を繰り返している状況を崩さないといけない。

 

 ということなのでオレはゼーリエの魔法攻撃の隙を掻い潜って、縮地のごとく懐に入り込む。

 

 そのままゼーリエの左腕を両手で掴み、背負い投げの要領で空中に投げ飛ばす。

 

 投げ飛ばされる途中、ゼーリエが驚いた顔をしながら吹き飛んでいく様子を脳裏に思い浮かべながらも油断なくゼーリエを見据える。

 

 ゼーリエは魔法使いだと思っていたオレが戦士としての動きもできたことに驚きつつ、すぐに意識を切り替える。

 

 そして地上で佇むオレと空中で滞空するゼーリエのみがその場を支配していた。

 

 

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