ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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浴衣回は百合漫画の華 別に百合じゃないけど 百合ちゃうし ちゃうねん あといずれガンに効くようになる

 百鬼夜行行き列車に揺られている窓側に座った天使イヴちゃんとその隣に座ってる友人宇沢レイサさん、そしてイヴちゃんの外れおまけことジルです。

イヴちゃんにも友達ができた……。いや前から友達だけど。

 1時間ほど前は2人ともコミュニケーション苦手ながら色々喋っていたのだけれども、僕の話が多くてちょっと背筋が照れ痒くなってしまった。まあ痒くなるのも僕の背筋じゃないんだけど。

「……友達が変な映画たくさん見せてくれるんだ……漫画とか、音楽も……」

「へえ~!気になります!あ、私も他の友達できたんですよ!」

 ドヤ顔をする宇沢レイサさん可愛いね。でも公共交通機関の中だからもうちょいボリュームは絞って欲しい。

(宇沢レイサさんの声が大きいから、やんわり注意してあげて)

(……楽しくて、気付いてなかった……)

「……レイサさん……声……あの、電車だから……」

「は、はい……えへへ、楽しくてつい」

「……私も、楽しい……」

 少し顔を赤らめながらもえへへと微笑む宇沢レイサさん、頷くイヴちゃん、うんうんと後方保護者面する僕。

イヴちゃんとお出掛けして楽しくないわけないんだよな。

イヴちゃんがいつも持ってる鞄から飴ちゃんを取り出して差し出し1個ずつ食べている。

小動物っぽくて2人とも可愛いなあ。全員ニコニコでワロタ。

 そうそう、イヴちゃんの言ってる映画だけど、何だか僕の見たり聞いたり読んだりしたメディアは脳内で再生できるらしい。

脳内で音楽がループして困ったりしたことない?ないか。あれの応用みたいな感じ。

適当に流し見してた映画は忘れてるかなって思ってたけど、不思議パワーなのか何なのかちゃんと再生してくれる。

脳内でだけど、イヴちゃんと一緒に見たりできるので楽しい。

この間『ムカデ○間』を再生してイヴちゃん泣かせちゃったのはちょっと反省だけど。我の事ながら、変な映画がやたら多いんだよな。

 僕のライブラリ、漫画も音楽も小説も実用書に至るまで明らかにわけわからんの多いし、前世の僕はへそ曲がりで濫読家で変な趣味だったらしい。

 

 コミュ力が弱いだけでなくて、朝が早かったのもあって2人ともおねむになったので、僕が留守番を買って出て2人とも熟睡している。

 あっ多分無意識なんだろうけど宇沢レイサさんがイヴちゃんのちっちゃいお手々をキュッと握ってほえ~~~~可愛い!!!手柔らかいな!イヴレイなんか?!レイイヴか?!

宇沢レイサさん良い子だけどイヴちゃんは僕が先に好きだったんだよ~~~~!!!!!だめ~~~!!!!!!!と違う意味で限界化ドキドキしつつ、手を振りほどくのも可哀想だなと思ってそっとしていた。

 左手左目を使ってちゃんと合法手段で買った『SRT学園戦闘教本 初級 屋外戦闘編』を読んでいた。

 右目は周囲の様子を警戒しつつ、熟睡して鼻提灯出してる宇沢レイサさんを見ている。

あかん感じの可愛さがあるな。お腹とふとももは浴衣だからまろび出ないだろうしそっとしとくか。

 

 何しろ治安が終わってるキヴォトスではトレインジャックやテロも日常茶飯事なんだけど、幸い今回は何事もなかった。

 列車が止まり、百鬼夜行以外の学園にも勇名が轟く、お祭り運営委員会の旗が誇らしげにはためき『おいでませ百鬼夜行』の横断幕も楽しげなムードを更に盛り上げてくれるお祭り会場最寄り駅。

 晴れて暑いけどお祭りを楽しむ絶好の1日だから、色んな学園の生徒が列車から吐き出されるように出てきて人波が凄い。

 起きた時点で、いつの間にか手を繋いでいたことに慌てふためく宇沢レイサさんと反応が薄いイヴちゃん。

「こっ、つ、せっかく、いえついでですし、はぐれたら困りますから、手を繋いで行きましょう!!!!」

 おっ、意外と攻め力がある。いやこれ予想外過ぎてテンパってるだけだな。目がぐるぐる目だし右手と右足同時に出てるし。

「……うん……いいよ」

 イヴちゃんは全然普通の反応。か~~~!優しい!天使!卑しか寄生虫はわいだけだったばい!

でもこのまま宇沢レイサさんがイヴちゃんに惚れちゃったらどうしよ~~~。気が早すぎるか。

 

 到着はしたのは昼過ぎ。でも百鬼夜行のお祭りに関してはこの時間でも早すぎるということはないらしい。

観光で外貨獲得も兼ねてるのだろう、色々な学園から生徒が来てるらしく帰りの時間も考慮して昼から夕方に出店と様々な催しを楽しんで、出店の食べ物を食べながら日没すぐの花火を見て帰ってね!みたいなのがありありだ。

まあ今は夏休みとはいえ、忙しい生徒は翌日の予定とかもあったりするし、助かるけどね。

泊まるお金ないわけじゃないけど、イヴちゃんの魅力に宇沢レイサさんが参っちゃって一夜の過ちなんてことになったら生きておられんごつ。

 

 駅を出て大通りの屋台がひしめく中の1角、百夜堂出張店で河和シズコさんを見かけた。

まじで可愛いな。近かったら通っちゃいそう。

まあ鏡を見るとさいつよ美少女が写ってるし?浮気とかせんが?でも好みなんだよな。生河和シズコさん。ええもんみた。

(……ジル……何か変なこと考えてない?)

(えっ、音楽ステージで、次の出演バンドに向けてどの席取ろうかなって思ってただけだよ?!)

 『モロバレルwwwなまじっかな後出しも許しませんぞwww』って感じ。

 やっべ。百合のこと考えてた扱いになったのかな。

 しっとりしてきたイヴちゃんと宇沢レイサさんの掌のことだけ考えよ。

流石に出店のチープな焼きそばとかかき氷とか食べるときは手離してるけど本当にずっと手繋いでるんだよな。

まあ本当に人が凄い多いし、スマフォの電波もちょっと弱めになっちゃってるからわからんでもないけど。

 

 なんて思いながら、屋台をざっとチェックし終えてからたどり着いた音楽ステージの陽光に焼かれてアチアチの椅子に腰掛けたイヴちゃんと宇沢レイサさん。

野外フェスなので、バンド側には一応の屋根がついてる*1けど、観客席にそんなものはない。

 レンタル店の人がお勧めしてくれた麦わら帽子は持ってきてたのでちゃんと被ってケア。

駄弁ったり2人で一緒に自撮りしたりしながら目当てのバンドを待っている。

 

 お目当て直前のバンドは2曲くらいしか聴かなかったけど、雅楽とポップスを組み合わせた感じの面白いバンドだった。

 僕達の目当ては、ワイルドハント芸術学院の生徒がやるバンドということで、別にプロデビューしてるわけでもないのにそこそこの人入りがある。

ジャンルがかなり違うからか観客が大きく入れ替わったお陰で、最前列の端に何とか2人分の席を確保できたのはラッキーって感じ。

イヴちゃんに伝えて用意しておいたイヤープロテクタも2人分ばっちり。

 

 お、始まった。オープニングの荘厳なクラシックのSEが流れる中、西洋鎧と顔面を白塗りというメイクをばっちり決めたバンドメンバーが出てきた。

 暑い中気合が入ってるな。ニコニコしちゃうね。

「お前らー!!人間はカスだ!!!!!人間の死こそが福祉なんだ!キヴォトスの自然のためにはみんな死ぬべきなんだー!いくぞ!!!」

 うわあ、って顔をしている宇沢レイサさん。いいねいいね。

 デスメタル……いやブラックメタルかこれ?コープスペイントなのかなあ。KissとかAlice Cooperとか、ハードロックからグラムロックの文脈で解釈していいのかもしれないけど。

いやしかしいい音だ。内臓を揺らすベースの重低音とブラストビート。トレモロリフに断末魔のような金切り声とウィスパーボイス、クリーンボイスの使い分け。

雰囲気だけでいうとSatyriconとかのブラックメタルっぽい。KissもAlice CooperもSatyriconもキヴォトスにはないんだけどね。

しかし、うーん堪らん。野太い応援の声とメロイックサインもまろびでちゃうね。

あ、宇沢レイサさんもイヴちゃんもあんまり興味無かったら後ろ下がるか寝てていいから。

「い、いえ……友達の好きな音楽は理解したいなって」

(……面白い、よ……?)

 よかった~。宇沢レイサさんはちょっと無理してそうだけど、まあ体調悪くなってる感じなら無理にでも連れ出すか。

 

 オリジナルらしい曲4曲とカバー1曲の何か元曲がスラッシュメタルっていうかSlayerっぽい曲とアンコール1曲。

いやー堪能したな。首は鍛えるの難しいしヘッドバンギングを取り入れるのもありかもしれない。

ちょっとぐったりしてる宇沢レイサさんに水のペットボトルを渡して自分もこくこく飲むイヴちゃん、優しい。しかしワイルドハント芸術学院、バークリー音楽大学みたいなものなのだろうか。

そしてやっぱり創設者はハーシーンなのだろうか。気になる。

「そこのお二方、ちょっと待って下さい」

 演奏が終わって客席ブロックを出たところで、涼やかな声に呼び止められる。緑っぽい緩いウェーブのかかった長髪の子。

顔に見覚えがなく、イヴちゃんがちらっと見た宇沢レイサさんの反応的にも知り合いではなさそうだ。いやちょっと待て。この髪と服装。

(さっきのリードギター兼サブボーカルの人だよ)

「……あっ……さっきの……?」

「そう。最前列で熱心に応援してくれたから、お礼を言いたくて。私はワイルドハント芸術学院の椎名ツムギ」

 さっき盛り上がってたのイヴちゃんじゃなくて僕だったからなあ。

(代わるよ)

 イヴちゃんの短い了承で主導権交代。音楽の話したいけど、こっちのバンドをあんまり知らないんだよな。

「御蔵イヴと、友人の宇沢レイサさんです。動画サイトで予習はしていたのですが、ライブも素晴らしかったです」

「ありがとう。メタルは好きかな?」

「ええ、大好物です。Opetとか」

Opethの元ネタの名前のバンドの方はあったんだよな。割と曲も似てた。Voのデス声が爬虫類系だったけど。

「いいね!っと、よかったらまた見に来てほしい。2人ともね」

 フライヤーとサイン入ピックを僕らに渡して去って行く椎名ツムギさん。迎えに来ているドラマーの人と、あ、手繋いでる。めっちゃ恋人繋ぎだ。キマシ。

「……音楽も、本人も嵐みたいでしたね」

 呆然と呟く宇沢レイサさんにクスリと笑ってしまう。いい例えだ。

 

 他にも出店を冷やかしたりして、夕飯に出店のチープな焼きうどんと百夜堂の甘味を買い、宇沢レイサさんが下調べしておいてくれた花火が見やすい場所、公園の小高い丘みたいなとこに陣取った。

シートをちゃんと敷くのがお嬢様としての嗜み。いや宇沢レイサさん?今普通に地べたに座ろうとしましたね?浴衣がレンタルですわよ。2人分座れるのを準備しておいてよかった。

 穴場というほどでもないけど、人が芋洗いというほどでもなく見やすい場所で、大輪の空に咲く花を眺める僕達。

「綺麗ですね……」

「……うん……」

(あっ、イヴちゃん。ちゃんと誘ってくれたお礼言わなきゃ)

(……あ……忘れてた……)

「……レイサさん。誘ってくれてありがとう。今日、とっても楽しかった……」

「い、いえ!イヴさんこそ一緒に来てくれてよかったです!2人で出かけるとこんなに楽しいんですね!」

 にへへという感じで微笑む宇沢レイサさんの顔を花火の青い光が照らす。うーん顔が良い。

これ当事者の片方がイヴちゃんじゃなかったら抱け~っ!!ってするんだけどアカンわよ。

「うん……また、遊びに行こう」

「はい!」

 なんだこの良い雰囲気。邪魔したいけどイヴちゃんの幸せに繋がるかもだから駄目だ~~。心がふたつある~~~~。

 

 花火を見終えてからお土産を幾つか買って帰りの電車に乗るまでに、合計で4回不良に絡まれたが余裕で瞬殺だった。

宇沢レイサさん、馬鹿でかい口上でヘイトを稼いで変なステップで躱すセットが狙ってやってるのか素なのかわからないけど前衛としてとても助かるし、その間に後ろからチェーンガン適当にぶち込んだらあっという間に倒せるのだよな。

宇沢レイサさんが悲しそうな顔をするので戦利品*2漁りはできなかったのが残念だけど、チェーンガンの反動で脳が揺れるのとチャランチャラン澄んだ音を立てながら薬莢が落ちるのがまじで最高。

でっかい銃って撃ってるだけで幸せ。撃ってると脳内麻薬ドバドバ出てるのを痛感する。必要以上に撃っちゃうもんね。

おまけにあほを正義棒振り回しながら殴り倒せるから倍お得。暴力最高。

アレよアレ。僕は戦うのが好きなんじゃねえんだ……勝つのが好きなんだよね。

(……ジル、楽しそう。よかったね……)

(あほの下らん言いがかりに耐えた甲斐があるってもんだよ)

(……耐えてた……?)

(頑張ったと思うけどなあ)

「イヴさん、大丈夫ですか?」

「うん、平気……レイサさんは?」

「私も大丈夫です!」

 いやマジで中等部でこのワザマエだものな。将来性にも期待が持てるところ。しかし駅のホームでカツアゲウーマン行為ってマジか?防犯カメラとか気にしてないのかな。

キヴォトスの治安終わってるから一々捜査もされないだろうし、気にしてないのだろうな。

ぶちのめしたチンピラ達を回収するハイランダー鉄道学園の双子の生徒を横目に見ながら、僕達は帰りの列車に乗ったのだった。

 帰りも僕が見張りを引き受けたら、遊び疲れたんだろう、2人ともすぐに眠りの世界に旅立った。

 肩を寄せ合って眠る美少女2人……尊いね……。

*1
午後の時間帯で日光がもろに入って、日よけとしてはそんなに機能してない。あくまで雨を避ける機能。

*2
向こうから喧嘩売ってきてるんだから、手榴弾や弾薬の消耗品はオッケーでしょ、って勝手にライン引いてる。




 椎名ツムギさん実装楽しみですね。未実装だから学年は触れませんでした。
HR/HMはまだガンには効かないがそのうち効くようになる。(発言者がNuclear Blastの社長って本当なのでしょうか?『ヘヴィメタル・イン・ザ・カントリー』まだ見てないので存じ上げませんが)

 現状ではレイサちゃんは初友達なので距離感バグってるだけです。

 バンド名はいいのかだめなのか判断つかなかったので伏せ字にしておきました。HR/HM系のバンドで鎧実際着てるの、メロスピ系の方が多い印象があります。
ブルアカイベの元ネタ多分DMCなんでしょうけど…。

 評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。

 紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.19
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