ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
通学途中、トリニティの新聞部が号外を配っている場面を初めて見て興味津々のイヴちゃんとそのおまけ、ジルです。
いやマジで初めて見たな。一応あるのは知ってたし、Webサイトは一応ブックマークくらいはしてるけど。内容そんなに濃くないんだよな。クロノスのトリニティ分校*1の方が本業だからか情報量が多いことがしばしば。トリニティ上層部とか内部分析だとかは流石にこっちの方が秀でてる事が多いけど。
赤髪で赤目ボブ、イヴちゃんよりちょい背たかいくらいのうおでっかな女の子から号外を受け取る。なんか一瞬めっちゃ睨まれた気がしたけど、イヴちゃんが可愛すぎてびっくりちゃったか?
まあ知らん子はいいとして、号外の内容は『ティーパーティーの至宝展開催!』なんだけど、でかでかと紙面を占めてるのは、しょうがないなあってふにゃっとした笑顔の先生を強引にヘリに引っ張っていく満面の笑顔の羽沼マコトさんと、むくれてるのを隠しもしない聖園ミカさん、無の表情の桐藤ナギサさんの写真だ。えっ、この写真で文章の結論は「トリニティとゲヘナの友好が一段と進んでいる」みたいな感じに持っていくわけ?
まあこんな事態になっても銃撃戦が起きなかったって意味では、充分信頼関係がマシにはなってるってことなのかもしれんが。ほんまか?
(……紙面を、占めんてる……)
(アッハイ、ソウデスネ)
得意満面なイヴちゃんの気配が伝わってきて、僕はまあいっか!って気持ちになった。
いつも通りの授業、今日からは普通の時間帯で、普通にお昼ご飯。今日は講堂横の木の下にシートを敷いて陣取る。下江コハルさんも伊落マリーさんも来てくれた。
今日は宇沢レイサさんチョイス、春野菜と豚肉のあんかけ丼。イヴちゃんのと伊落マリーさんのは豚肉じゃなくて黒鯛になっている。お吸い物はおすましでいわしつみれが入っていて出汁が効いている。
宇沢レイサさん、がっつりチョイス好きだなあ。って思ったけどこの中でローカロリー指向の子、そもそも朝吹ソフノさんしかおらんから大体がっつり指向だったわ。
「いやー、レイサちゃんもイヴちゃんもコハルちゃんもマリーちゃんもお疲れさま」
「襲撃があったって聞いたけど、大丈夫だった?」
「わ、私は建物の逆側だったから、着いたころには終わってて」
「私は小会議室にいて、何もありませんでした」
「RPGですかね?撃ち落としたくらいでしょうか」
「……上から撃ってた、だけ……」
うーん、改めて聞くと女子高生がっていうか、キヴォトスの会話って感じだなあ。
宇沢レイサさんがイヴちゃんの丼を見ているので、イヴちゃんは黒鯛とご飯を宇沢レイサさんにあーんし始めた。真っ赤になりながら口を開けてもぐもぐする宇沢レイサさん。
下江コハルさんは真っ赤な猫目で凝視、伊落マリーさんも一瞬驚いてか口元を手で押さえ、うつむきがちに目を逸らして誤魔化すようにお吸い物を飲んだ。うわあ、何かめっちゃ艶っぽい。朝吹ソフノさんと報野モユルさんは慣れてるから全然気にせず駄弁りつつご飯食べてる。
下江コハルさんもえっちの気配を感じたのか、宇沢レイサさんとイヴちゃん、伊落マリーさんの間に視線を行ったり来たりさせる。
「いや、ちょっと、前も見たけど!ご飯て!おかしくない?!」
「……先生が、こういうのは、親しい人達の間では普通って……」
「「先生が?!」」
下江コハルさんと伊落マリーさんが声を揃えて、顔を見合わせる。
下江コハルさんの方だけぴゃっ、って感じで目を逸らした。2人とも先生と面識あるんだね。
「へー、先生ってそんな感じなんだ?」
「今日の号外の写真も、親しみやすそうな顔ではあったけど」
「は、はいっ!!!私とイヴちゃんも頼まれて先生にあーんしました!」
「「先生に?!」」
宇沢レイサさんが投下した爆弾に、下江コハルさんと伊落マリーさんが声を揃えた。
「ええ……先生ってヤバい人なの?」
「こら、駄目でしょモユル」
「へへへ、わりーなかーちゃん」
と報野モユルさんが誤魔化すように頬をかく。「誰がかーちゃんですか」とツッコミを入れる朝吹ソフノさん。イヴちゃんが宇沢レイサさんにもう一口あーんして、今度は宇沢レイサさんの豚丼をあーん要求している。顔のいい女の子同士があーんし合うのいいよなあ。
そもそもあーんどころじゃ済まないんだよな。みんな食べ終えてお茶を飲んで一息ついて、宇沢レイサさんが食べ終えてからイヴちゃんの膝枕に寝転がる。宇沢レイサさんレポートによると、寝心地的には報野モユルさんがベスト(単純に鍛え方の違いだと思う)らしいけど、最近は意識してかしなくてかイヴちゃん率が高い。
「わ、私もしましょうか……?」
「やったー、マリーちゃんの膝枕もーらい」
「ちょっと、モユル……」
「わ、私はしないし!っていうか何?!」
「何か、いつだったか眠いなーって寝っ転がったらちょうど膝が開いててさー。あ、もちろんやりたくなかったらしなくていいから。あーマリーちゃんのお膝最高」
「しないし!!!」
しゃーって威嚇している下江コハルさんめっちゃ可愛いな。
報野モユルさんがぐいっと行った伊落マリーさんはほんの少し照れ顔だけど、別に嫌では無さそう。
宇沢レイサさんはイヴちゃんのお腹をおでこで堪能するのに忙しそうだ。耳真っ赤なんだよな。イヴちゃんは小さく微笑んで宇沢レイサさんの髪の毛を手櫛で梳いている。
昼休みが終わる前に、宇沢レイサさんがイヴちゃんのお腹に顔を埋めたままあっと声を出した。イヴちゃんのお腹に響く。
「イヴちゃん、今日はファン・レイン号*2の掃除を代わってくれって頼まれたんでした!手伝ってもらえません?」
イヴちゃんはこくりと頷く。
「ありがとうございます!あ、じゃ、じゃあ、水着を着てやりましょう!学校の水着です!」
言い出しっぺの宇沢レイサさんとイヴちゃん以外の全員がなんて?て顔をした途端、予鈴がなったのでなし崩しにオッケーって感じになってしまった。
まあ好意的に解釈すると、濡れてもいい服装だからって事だよね?だよね?まさかちょっと早めに見たいからとかじゃないよね?
ということで、いつもの校内のお掃除を済ませて*3、宇沢レイサさんが水着を取りに行ってくれるので、鍵を預けてイヴちゃんというか僕はお祈りに。
正義実現委員会本部に行く前に美術館で3分だけ金パスタ食品サンプルを眺めたいというイヴちゃんのお願いのため、お祈りも倍速で。祈りももちろん大事だけど、イヴちゃんのお願いが一番大事だからね。
うっとりと金パスタ食品サンプルを眺めるイヴちゃん。3分のタイムキープだけは厳守。宇沢レイサさん待たせたくないし。イヴちゃんも後ろ髪引かれてるけど、そこはわかってるのできっちり。めっちゃ後ろちらっちらっ見てるけど。うん。
正義実現委員会の更衣室で着替える宇沢レイサさんとイヴちゃん。バスタオルシールドでお互い完全ガード*4、宇沢レイサさんは残念そうに見ないの。
春先のよい気候の下、スク水の可愛い女の子2人が火砲を載せたトラックを洗車する図。なんかアメリカとかの雑誌にありそうだな。あるか?ビキニでぼんきゅっぼんのお姉ちゃんならありそうだけど、慎ましく愛くるしい体型のイヴちゃんと、出るところは徐々に出つつあるけど引っ込むところが別に引っ込んでない*5宇沢レイサさんなので、なんか特殊な癖がこう、アレって感じ。宇沢レイサさんはなんか色んな意味で嬉しそうなんだけど、うーん。
きらきら輝く水、弾ける2人の笑顔。*6
2人で楽しくお喋りしながら掃除していくと、どこの誰が気を変な方向に利かせたのか判らんファン・レイン号の真っ白な車体が、火砲やエンジン由来の煤煙やら泥やらで汚れてたのがどんどん綺麗になっていく。この汚れの目立ちっぷり、やっぱ純白は失敗なんじゃねーのかって思うけど、綺麗な状態の車体はいかにもトリニティの装備って感じではあるんだよな。
なんてことを考えていると、駐車場外から声をかけられた。
「まあ、まあまあ♥正義実現委員会の敷地内で水着だなんて♥」
うわあ。なんか、すげー聞き覚えがある声だわ。前世(だか何だか判らんが)でね。
赤毛赤目の子は『閑話2:長い手のこと』の保安部副部長です。新聞部にも籍を置いています。
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