ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
中間テストが終わっていつものファミレスで宇沢レイサさんグループ、伊落マリーさん、円堂シミコさんを*1交えて打上げして、2軒目にパンケーキが評判のお店にやってきていた。外のテラス席に通される。夜の繁華街、賑やかで楽しげだし夜景が綺麗だなあ。
同じようにテストから解放されて文字通り羽を伸ばしている天使族やそうでない子達が楽しげに行き交っていて、羽目を外しすぎて軽い銃撃戦なんかが起きている。うーんキヴォトス。
テスト明けは羽目を外す生徒が多いから、正義実現委員会や自警団もパトロールの密度を上げている。自警団に関しては「2、3年がシフトに入るので、1年の皆さんはゆっくりしてください」という守月スズミさんの気遣いで宇沢レイサさんもイヴちゃんも遊んでいられる。
いやみんなよく食べるな。
「やっと終わりましたから、明日からまた遊べますね!!」
「さすがにこんだけ勉強して赤点はないでしょ~」
「そうだといいんだけど……」
「ふふ、そうですね」
「やっと本の続きが読めます」
「……みんな、お疲れ様……」
パンケーキにソフトクリームとバターと果物をこれでもかと満載して蜂蜜も別にかけ放題のスペシャル7段パンケーキなるものを朝吹ソフノさん*2と伊落マリーさん*3以外が注文していて、テーブルの上が壮絶なことになっている。みんなさっき結構食べたよね???
(……甘い物は、別腹……)
(えっ、脳内に出てた?)
(……何となく、わかる……ふふ……)
まあ普段の運動量めっちゃあるし毎日こんなに食ってないからいいんだけど。報野モユルさんはわからんが……。
みんなで写真自撮りとかしてから食べ始めてきゃっきゃうふふすることしばし。イヴちゃんと宇沢レイサさんが自然にあーんさせあってる*4のを見て伊落マリーさんが半分冗談ながらみんなにあーんして食べさせたり、報野モユルさんが朝吹ソフノさんにあーんしてとか冗談を飛ばして脛を蹴られたりと楽しい時間を過ごしている。
「あっ!!!コハルさん?!!!」
宇沢レイサさんが立ち上がって大声で声をかける。
「ちょ、こ、声大きい!」
通りの警邏中らしい下江コハルさんが辺りを見渡して、通りの向こうに立ってる先輩らしき人から言っておいで的に手を振られたのに頷いてからこっちに駆け寄ってくる。
みんなのテストお疲れ様的な挨拶に複雑そうな顔をする下江コハルさん。あんま手応えよくなかったんかな。
「……見回り、お疲れ様。食べて……」
イヴちゃんがパンケーキを1口大に切り出してソフトクリームと果物を載せてフォークに突き刺して差し出す。
「は、はあ?!なんで食べないと……」
イヴちゃんがじっと見上げるのにうっ、と息を呑む下江コハルさん。善意の圧を感じてるのかもしれない。
面白がったのか、みんなも切り分けて下江コハルさんに差し出す。みんな寄ってたかって差し出すから目立って仕方が無い。報野モユルさんはそれも含めて面白がっている。
下江コハルさんはああもう、って感じに眉を顰めてから端から順にパクパク食べた。
「もう、馬鹿!!恥ずかしいんだから!あんた達もあんま羽目外さないように!特にレイサとイヴ!人前でえっちなことしたら許さないんだから!」
「私?!」
「……心外……」
まあこんだけいちゃついてたら言いたくもなるかも?
下江コハルさんは言うだけ言って、怒ってはいるけど、まんざらでも無さそうな歩みで通りに戻っていく。
下江コハルさんと入れ替わりに、放課後スイーツ部の一同と舎弟ちゃんこと飯郡ヨシヨさんがやってきた。
「あっ!!こんばんはっす!!イヴ姐さん!昨日?今日っすかね?ありがとうございました!!!」
「うっさ。イヴ、悪いね。冗談のつもりで言ったんだけどマジでそっち行くとは思ってなくて」
「私達、別にそんなに成績良くないからね。人に教えるなんておこがましくて」
「私とアイリは成績悪くないけど?!」
「ま、まあまあ……」
「……いい。私も、初めて、先輩って経験ができた……。次、困ったらもっと早めにね……」
胸を張って心なしかドヤ顔をするイヴちゃん。その胸は平坦であった。何も言うまい。でも先輩風楽しんでるイヴちゃん本当に可愛い。
「はいっす!!イヴ姐さん、可愛い上に喧嘩もちょー強いし賢いしですげーっす!カズサ先輩の次にリスペクトっす!!!」
「私なんかの何がいいんだか……」
杏山カズサさんの良いところを列挙し始める飯郡ヨシヨさんと大真面目に乗っかる宇沢レイサさん、からかい混じりの放課後スイーツ部一同*5と微笑ましそうに眺めるイヴちゃん含む宇沢レイサさんグループ。
あれ、宇沢レイサさんとイヴちゃんが公然いちゃつき過ぎだから感覚麻痺してるかもだけど、栗村アイリさんと杏山カズサさん、まだ付き合ってる感じじゃ無くない?まあかなり意識してるし、何なら服の袖とか手とか握りたさそうな感じはあるが。僕の百合センサーが言っている。杏山カズサさんの視線が宇沢レイサさんとイヴちゃんの繋いでる手をガン見してから栗村アイリさんさんの手を見ていると。
(……ジル……?)
(ごめんて)
百合センサーが作動してしまいました。グフフ、スミマセン。
パンケーキを堪能した一同は、放課後スイーツ部一同のために席を空けることにして、最後に屋台でワインっぽく作った飲料で乾杯してお開きにした。再現度上げれば上げるほどジュース的な美味しさが失われるので、香り付けくらいだけども。ブドウジュースとしては美味しい。
キヴォトスでアルコール製造・摂取*6は重罪なので、こういうなんちゃってお酒は結構需要がある。僕の前世?で言えばヘロインとかコカインとか覚醒剤レベルにヤバい犯罪に相当するらしい。ブラックマーケットでも扱ってないしな。めちゃくちゃ気合入ってるスケバンなんかでも嗜んでるのはほぼ皆無だ。まあ流通難度のせいで高いっていうのもあるだろうけど。
キヴォトスの判例とか見ると即退学で矯正局送りで数年は拘禁が普通らしく、そう思うと間宵シグレさん*7227号特別クラス送りはかなり温情的な措置らしいんだなってなった。他人に無断で酒を飲ませる行為、非同意違法薬物摂取相当なので、本当にヤバいんだよな。アルコールの依存性とかでいえば生理学的には違うかもだけど、法的にはかなりそんな感じ。
まあそれはともかく。あ、宇沢レイサさんが酔った体?*8で躓いてイヴちゃんの右腕に抱きついた。まあずーっと真っ赤だから見た目的には酔ってるっぽくもないが。イヴちゃんも嬉しそうに盾を地面に置いて宇沢レイサさんの後頭部に手を伸ばして撫でたり手櫛で髪を梳いたりしている。ぎゅ~~~~~って感じで抱きついていて柔らかい感触がめっちゃ右腕に伝わってきて、これがイヴちゃんでないならキマシの塔建て放題、建築費無料って感じ。
帰宅してデバッグ含むいつものルーチンをこなしてモモトークを見ると、先生からメッセージが来た。
『募集:百鬼夜行『桜花祭』に行くので、お手すきの方』
イヴちゃんが秒で参加する旨伝えた。最速の反応だったらしく、ぴょこぴょこメッセージが流れてくる。先生、凄い人気だなあ。でもメッセージの中身を見ると日程やら調整やらが合わないお詫びばっかりだった。
(……先生のこと、頼まれてたから……)
(たまたまだけど、今回は一緒に行ける子いなさそうだし良かったね)
原作でも確か護衛無しで彷徨いてたし、なるほど先生が1人ってそもそも生徒に声掛けてないパターンもあるけど、こういうのもあるんだな。
イヴちゃんは先生に許可を取ってから、宇沢レイサさんグループに『先生と百鬼夜行に行くけど誰か一緒に行きますか』と投げる。
宇沢レイサさんもシャーレに所属しているからメッセージを見ていたらしく『行きます!』と勢い良く返事が来た。
残念ながら他の皆は不参加。報野モユルさんが『彼女に駅で売ってる『いちごジャムスコーン』買って渡しておいて~。お土産代は払うから』と言付け。ああうん、駅で買った方が早いね。それはそう。
それにしても桜花祭か~。なんだっけ、ニンジャと遭遇するんだっけ。
なんてぼんやり考えている間に、イヴちゃんは手早く学園事務局にシャーレ公用公休2人分を出している。
どっちみちとんでもない数の生徒の中間テスト採点で講師もほとんど出払ってて午前中の自習だけだし、休んでも特に支障はないだろう。
先生とは現地、百鬼夜行で合流ということになった。
(……
(そうだね、運転慣れにもなるしね)
疲れたら帰りは自動運転でバイクだけ返して、列車乗っても良いしね。
イヴちゃんは宇沢レイサさんに長袖の上着とパンツ*9を準備しておくようにメッセージを送った。楽しみだね。ニンジャ。ニンジャ以外もだけど。
アルコールに関しては独自解釈です。かなり徹底的にぼかされてるので、実際割と凶悪犯罪枠なのでは…?という解釈。
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