ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
ということで、エンジニア部の技術の粋をこらした大型バイク、スケルチに真っ赤ででれでれに嬉しそうな宇沢レイサさんを後部座席に載せて2時間半*1、百鬼夜行にやってきた宇沢レイサさんとラブリー天使イヴちゃんとそのおまけジルです。
とんでもない轟音を響かせつつも、ヘルメット内に無線がついてるので会話を楽しみつつやってきたので、割とあっという間という感じではあった。道中の宇沢レイサさん、しっかりがっちり抱きついて時折頬ずりしたり深呼吸していたけど、ヘルメットもあるし、イヴちゃんは通販で買ったライダースーツ着てたからあんまわからんのでは。まあそういうもんでもないか。
先生はもう百鬼夜行に着いていて、
ともあれ先にお土産を渡しておこうということで、百花繚乱の屯所*2で報野モユルさんの彼女の名前を伝えて、渡す手間をしてくれる人へのお礼用のクッキー共々渡しておく。相好を崩す百花繚乱の子、可愛らしい。けど、1人しかいないのか。当番を表す札っぽいのも2人くらいしか名前書かれてないし、人手不足そうな雰囲気が漂ってるな。
屯所を辞してバイクに乗り直した2人。市街地走行モードに切替えると、最高速度制限はされてしまうけど*3普通のバイクくらいの静音性を発揮するスケルチ、やっぱり大した物ですねってなる。マフラーが排気をロケット推進するモードから変形したりと素敵機構も満載だ。変形を見て宇沢レイサさんも目を輝かせていた。もっと静音にしたければ電動モードもできるが、バッテリの都合で1時間くらいの稼働時間になる。まともな時のエンジニア部、本当に凄い。
百鬼夜行、歩行者専用エリアが思ったより多かったので、百夜堂まで結構遠回りになってしまった。
「やっぱり観光業に力を入れてるだけありますね!」
「……前は、歩きだったしね……」
前は着物っていうか浴衣だったけど今回は2人ともパンツルックだ。宇沢レイサさんは藍色のシャツの上に水色の上着、ジーンズは黒。ライダースーツを脱いだイヴちゃんは上はふわっとした白い半袖のシャツ*4、膝上までの白パンツ*5、可愛らしい膝から下を惜しげも無く(?)晒すスタイル。
ライダースーツを含む荷物をテールボックス*6に入れ、2人分のヘルメットをバイクの端子に挿した。*7
盾と2人分の銃、弾薬類を取り出して準備完了。自然にイヴちゃんの右手を取る宇沢レイサさん。きゅっと手を握り返す。
百夜堂はとにかく人気店だ。予約の有無を尋ねる店員さんにイヴちゃんがシャーレの先生の同行者である事を伝えると、2階の外の景色が見える席に案内された。仕事がめっちゃできる河和シズコさんの判断としては、仕事だから一番人気が無い席を使うか、先生に売込を兼ねて一番いい席を使うかだろうと思ったけど、後者だったな。
席に座っててもうおでっか……な事が伝わる*8黒髪の美女が振り返る。
「"レイサ、イヴ、ありがとうね"」
「いえ!きっと大事なお仕事でしょうし!!」
「……私達も、シャーレの所属だから……」
先生が百夜堂の2人に宇沢レイサさんとイヴちゃんを紹介しようとしたところで、河和シズコさんが先んじて口を開いた。
「こんにちは、トリニティ自警団のお2人ですね!私は、お祭り運営委員会委員長にして百夜堂オーナー、河和シズコです!シズコって呼んで下さい!ようこそ、にゃんにゃん!」
めっちゃ可愛い仕草で河和シズコさんが挨拶をしてくれるが、宇沢レイサさんもイヴちゃんも「にゃんにゃん……?」と首を傾げる。先生には刺さってんのかなって思ったけど、先生的にも不思議そうな感じっぽいな。
先に先生が伝えてくれておいたようなので、宇沢レイサさんもイヴちゃんも名前を名乗るだけで済ませてしまった。何だかんだいって2人とも緊張してるのかもしれない。
「トリニティからシャーレ組の方々がお越し下さったんデスネ!お控えなすって!ワタシは朝比奈フィーナ、生まれはトリニティ、育ちは百鬼夜行、フィーナと呼んでください!お見知りおきをデス!」
「……よ、よろしくお願いします、御蔵イヴです……。イヴ、と……」
「は、はい!よろしくお願いします!!れ、レイサて呼んで下さい!!!」
「もう一人、里浜ウミカという部員がいるのですが、研修出張中なのです」
一瞬困った目でニッコニコ自己紹介して仁義を切った朝比奈フィーナさんをちらっと見てから気を取り直して続ける河和シズコさん。
朝比奈フィーナさん、トリニティだけど年齢的には1こ先輩になるんだっけ?多分顔を見たことくらいはあるんだと思うんだけど。
「ともかく、先生とお2人に来ていただいたのは、百鬼夜行が誇るお祭り『桜花祭』を見ていただきたいのもそうなのですが、
「的をかけられるという奴デス!」
「あ、あの、少しいいですか?百鬼夜行には百花繚乱という、警察にあたる団体があるのでは」
眉を顰めていた河和シズコさんがうーんと唸る。
「なんと言ったらいいのか。百鬼夜行はそもそも成立がやや特殊でして。ある意味トリニティと似ているかもしれませんが、複数の学校や勢力が寄り集まってできた学園です。百花繚乱は治安維持組織ではあるのですけど、どちらかというと組織間の調停組織の性格の方が強くてですね……。お祭りの当日とかは頼りにできるのですけど。そもそも人員が少ないので、呼んで来てくれるのにも時間がかかりますし。それならヴァルキューレの人達の方がまだまし……。はっ、そう、なので、頼りにならないわけではないのですけど、頼りすぎられないというか!にゃんにゃん!!」
百花繚乱、確かにそんな人員多い組織って感じでもなさそうだもんな。頑張って笑顔を作ろうとしているけど、かなり難渋しているのがわかる。
百鬼夜行にはヴァルキューレの出張所があるんだな。*9
「"なるほど、でも、声をかけちゃだめってわけではない?"」
「百花繚乱としてもある程度の事情は把握してるでしょうし、別に自力解決を図って気を悪くはしないでしょうから、大丈夫ですよ」
「この場合は他力解決デスけどね!」
あはは、と朝比奈フィーナさんを除いた一同から乾いた笑いが漏れる。
店員さんが宇沢レイサさんとイヴちゃんに飲み物を持ってきてくれた。宇沢レイサさんにはサイダー、イヴちゃんにはアイスココア。先生が伝えてくれていたのか、河和シズコさんの情報収集能力なのか、内心「ほう、大したものですね」となる僕。誰目線やねん。
2人が1口つけた途端、表通りで爆音と銃声が響いた。2人とも一気に飲み干して窓側に駆け寄る。キヴォトスの人達はテロ慣れしてるからか、お客さん達は一瞬物珍しそうな目線を通りに向けた後、スイーツや飲み物に目線を戻した。うーんキヴォトス。
ひゃっはー、みたいなノリで銃やロケット推進擲弾をぶっ放し、破壊工作に勤しむテング・オメーンに黄色の着物で統一した面々。魑魅一座の分派。30人少々ってところか。
「あいつら、また……!」
「今朝、追い返したばっかりなんデスが」
「なるほど、わかりました!トリニティの守護者、宇沢レイサ行きますよ!!」
「……ココアが美味しい、イヴ……」
名乗りを大声で上げてから窓を開けて飛び出す宇沢レイサさん、名乗りなんだかよくわからない呟きを口にしつつ
百花繚乱、あっさり(?)解散してしまいましたし、陰陽部もあんまり制止しようとしてなかったっぽいので全体の人数少ないんじゃ無いかと思っています。
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