ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
熟睡しているイヴちゃんと一緒に寝てたら乗換え間違えそうになった魂的な何か、ジルです。
アビドスからミレニアム直通便があればなあ。それも寝過ごしそうな気もするが。とにかく本数が少ないので間違えなくてよかった。
乗換駅に着替えもできるパウダールーム(って呼び方でいいのか?)があったので普通に持ってきていたトリニティの制服に着替えておいて、モモトークでアビドス高校の2人に無事撤収できた連絡をしておいた。
ミレニアム学園受付で顔見知りになったっぽいロボット警備員さんにいつもの通行許可証を見せて冷凍学園を練り歩くことしばし。
うぁぁぁ い……イヴちゃんがミレニアムサイエンススクールを練り歩いてる。いや練り歩いてはないが。
などと下らないことを考えつつ、夕日が未来的な施設を美しく輝かせている廊下を歩いていると後ろから呼び止められた。
「ちょっとごめんなさい、そこのトリニティの人?」
すっと一本芯が通ったような、真面目そうな声。
誰何には素直にと振り返る。私の好きな振る舞いですって早瀬ユウカさんだー!!!!!!先生とくっついてほしい女第1位(ジル調べ)!
うおふっと……♥こんなん違法建築ですやん。ミレニアムじゃなくて痴女ニアムに改名したら?
ともあれ、動揺を押し隠して口を開いた。やましいことは何一つ無いのに疑われたらかなわない。考えてることがバレてもそれはそれで怒られそうだが。
早瀬ユウカさんの胸元に学生証がぶら下がっているのを一瞥しつつエンジニア部の通行許可証を提示した。
「はい。ええっと……早瀬さん……?」
「あなた……ああ、ごめんなさい。ミレニアムサイエンススクールの生徒会、セミナーの早瀬ユウカです。よその学校の制服を校内で目にするのは珍しくて」
疑って呼び止めたのが申し訳ない、と顔に書いてある早瀬ユウカさんに、何も気にしてないと伝わって、にこりと見えるように微笑んだ。
顔をあわせる機会が増えるだろうから、また爆睡しているイヴちゃんを起こす。
(イヴちゃん、この子とは顔をあわせる機会が多くなるから覚えておいてね)
(……わかった……zzz……)
秒で寝直しちゃった。後で写真見せるか。
「はじめまして。御蔵イヴです」
「あっ、あなたがあの実験体の……?あっ、ごめんなさい!」
思わず口が滑った、という感じで口を塞ぐ早瀬ユウカさんの仕草が可愛らしい。
これが今度の実験体かね?ナニカサレタヨウダ……。いやまじで僕そんな呼ばれ方してるの?ちょっと笑っちゃった。
「いえ、早瀬さんは先輩ですし、お気になさらず」
先輩と言われてちょっと嬉しそうにふんすしている早瀬ユウカさん可愛い。お姉さん風吹かしてくれていいからね。にこにこしちゃうね。
「ユウカでいいわよ。イヴって呼んでもいい?」
「もちろんです、ユウカさん」
個人的な好みももちろんだが、ミレニアムに出入りすることは多いだろうし、これはイヴちゃん次第だけど、シャーレに出入りするならよく顔をあわせるだろうしね。仲良くしておきたい。
あっ、折角だから聞いてみるか。あの人の"居場所"をよォ……。いや普通に聞きたいだけだけど。
「今日はエンジニア部に来たついでに明星ヒマリさんという方を探しているのですが、ご存知ですか?」
「ヒマリ先輩か。神出鬼没な人だからすぐには無理だけど、何か用?」
ビナーに関しては別に隠す必要もないし、そのうちエンジニア部か明星ヒマリさん経由で情報は行くだろう。
「アビドスの大蛇をご存知ですか?さっき交戦して、装甲板を拾ってきたのでお土産にお渡ししようと思いまして。都市伝説とか怪談とかがお好きだと小耳に挟みましたし、私も大好きなので」
宇宙猫顔になる早瀬ユウカさん可愛いね♥
お化けや都市伝説、UMAの類を僕が大好きなのも本当。イヴちゃんはいや~~!!!ってなったので、僕のホラー映画や小説、漫画コレクションは火を噴かないまま終わってしまったが。悲しい。
せめて『タッ○ーとデ○ル』とかは一緒に見たかったけど、いやあれもグロいな……と、思考が逸れてしまった。いけないいけない。
モモトークの連絡先を交換して、もし明星ヒマリさんに会ったら連絡先を渡してもらって構わない旨を伝え、エンジニア部に用があるらしくご一緒する傍らお気に入りの怪談を話す僕。
丸っこい顔の子と細長い顔の子に襲撃される某書房から出てる白背表紙の本からチョイスしてこれで2話目だ。
「『非常に特徴の似ている人物が、院内のとある扉の前に立ちつくしているのを見かけたらしい』*1……おや、もう着いてしまいました。時間切れですね」
「怪談なんて、ひっ、非科学的だし非合理的じゃない?」
「うふふ、再現性も客観性も実証性もないですからね。でも、それだからこそ面白いといいますか」
浦和ハナコさんみたいな言い方してしまった。まあでも、魂らしきものは実在するのだよな。僕がその生きた(?)証拠なのだ。
ちょっと青くなってるし声震えてる早瀬ユウカさん可愛いな~。好きすぎてちょっかい掛けたくなってしまう。生塩ノアさんの気持ちがちょっとわかる。
建屋前で、エンジニア部部長さんと白石ウタハさんが出迎えてくれた。
部長さんは工学系のナンカスゴイナニカ*2の大学に進学するらしい。別に今生の別れという訳では無いが、会う頻度が下がるか場合によっては最後かもしれないと思うと寂しい。
「ウタハ新部長が君の翼の面倒も見てくれるし、希望するなら神経系の置換とかもできるから」
「お世話になりました。いえそれは絶対にノゥですけど」
僕だけの身体なら、あるいはプラス*3になるのも結構面白そうだなと思うけど。イヴちゃんの身体だからね。
神経はもちろん、内臓や骨格の置換なんかも今試してるクイックブーストの神秘による再現にも有用そうではあるのだけれども。
ともあれ、ジト目で『この狂人共が』みたいな目で見ている早瀬ユウカさんの視線も痛いし、今日の用件を済ませてしまうことにしよう。これお土産です。
「アビドスの大蛇?」
「アビドスの大蛇だと?!」
「何者だ?!」
「都市伝説ではないのか?!」
わらわらと集まってくるエンジニア部員の皆さん。素晴らしいノリだね。嬉しくなっちゃう。
動画と溶けた盾の表面を見て、でかつよの話題で大盛り上がり。盾表面装甲交換になりました。
ついでに梱包資材に普通の段ボールとプチプチ、ゴミ袋をもらい、連邦生徒会宛の荷物もミレニアム内のエンジェル24で発送。
ともあれ装甲の解析と場合によってはアビドス高校と連携しての調査も検討されることになった。実際に話が動くかはわからないし、アビドス高校――というか小鳥遊ホシノさん――が嫌がる可能性もあるが。
「そうそう、新装備なのだけれども、モビーディックワイヤーと連携もできる、ショックバトンなどどうだろう?」
「電気ショックですか?」
電気ビリビリで敵を倒せた奴は歴史上存在しないというが、非殺傷や牽制、機械系兵器への特効用としてあれば便利なのも確かだ。
出力どれくらい稼げるかによるがサンダーに弱くナントカ倒したもできるかもだし。個人的にはこの間積んだばかりの秘密兵器をもう1セット積みたいのだが。
「同じ装備を2つ積むだけでも勿体ないと思っているのに。イヴの翼の余っている部分は後6つしかないんだよ?」
イヴちゃんの翼、完全に面白アイテムを積むスペースだとしか思われてない。僕も戦力向上になる分にはウキウキだし遊ばせておくより全然いいからあんまりとやかく言えないのだけれども。
「個人的にはスタンドアロンでも使えるバリア発生装置と、体力を回復する装置なんかがあれば助かるのですけど。後はレーザーでロケットや銃弾を迎撃する装置とか」
「体力回復装置は単に薬剤を噴射するとかになって面白くないから却下させてもらうよ。」
いやまあ確かに敢えて翼に入れる必要無いっちゃないですけどもやあ。傷薬空中に投げるとかしたらいいのか、キヴォトス人。
「しかしバリアか。バリアね……」
白石ウタハさんが早瀬ユウカさんの方を見る。EXスキルが謎バリアだから、多分ミレニアムの開発アイテムなのだろう。
「セミナーの生徒のために護身用に開発したのがある。しかし、それでは面白くないね?とにかく、電撃とバリア、あとは迎撃装置は興味深いかもしれない」
面白くなくてもイイヨ~。何だか変なことを思いついたのか楽しそうだ。
「だが、予算と人員の都合で次の装備はすぐに準備できないかもしれない。ビナーだったか、あれの解析もしないといけないしね」
僕は頷く。変な装置や謎の思いつきを阻止したり泣き落としたりして諦めてもらう手間を考えても散々お世話になっているのに急かせるつもりはもとよりない。
予算の話で早瀬ユウカさんに話があるらしい白石ウタハさんと別れ、僕はイヴちゃんを起こして美味しいつけ麺屋でご飯を食べて帰ることにした。
「イヴ、またね」
と声をかけてくれる早瀬ユウカさんに小さく頭を下げた。
シャーレはもうすぐ発足するのかな。どうするかそろそろイヴちゃんに聞かないとかな。
ブルアカ世界、大人の搾取がなければハッピーエンドが基本の世界だと思っているので高等部卒業後は就職か進学でふわっと遠くに行き、たまにしか会えないみたいな感じになるイメージです。
評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.19