ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
着替え終えてから、阿慈谷ヒフミさん、浦和ハナコさんが支度している朝食の手伝いにイヴちゃんも加わった。しばらくして、白洲アズサさんと下江コハルさんが戻ってきた。最後に、先生が「手伝えなくてごめんね」と言いながら入ってきた。
恨めしげな目でイヴちゃんを見る下江コハルさんと、真意がわからず普通に首を傾げるイヴちゃん。
朝ご飯はサラダ、トースト、目玉焼きというシンプルなもの。出来たてで凄く美味しい。バターとマーガリン、蜂蜜、イチゴジャム、リンゴジャム、ブルーベリージャム、マーマイト*1からみんな適当に選んで塗っている。
先生はブルーベリー、阿慈谷ヒフミさんは自前らしいペロロ印のホイップクリーム、浦和ハナコさんはマーマイト、白洲アズサさんは迷いに迷ってからイチゴジャム、下江コハルさんもイチゴジャム。イヴちゃんは蜂蜜にした。
それなりに和気あいあいとした食事と休憩のあと、教室に移動。
教壇の前に阿慈谷ヒフミさんとイヴちゃんが立つ。先生は黒板横の椅子に座っている。印刷されたペーパー『苦手を洗い出すくんver3』を浦和ハナコさん、白洲アズサさん、それと教壇前の阿慈谷ヒフミさんが座る席に配るイヴちゃん。
使わないかなと思ってたけど、一応運び込んでおいてもらったプロジェクタを立ち上げてスマフォをリンクさせたのか『苦手を洗い出すくんver3』という文字と第2次試験の日程、それと右下に勉強してるペロロのイラストが描かれているスライドが出てきた。
どうでもいいけど、太い黒縁眼鏡かけて青筋立てたペロロが涎を垂らして鉛筆握りしめてる(難題に取り組んでるペロロみたいなイメージなんだろうけど)イラストが正直キm……いや止めとこう。なんか言葉にしただけでイヴちゃんの中にいる僕だけが抹殺されそうな気がしてきた。
昨日3人で作った物に、さっきまで先生が手を加えてくれていたらしく、配ってる時にちらっと見ただけだけど、細部がちょっと変わっている。
「まずは、ハナコちゃんとアズサちゃんは、この模擬テストと言いますか、ペーパーをやってほしいと思います!私もやりますけど」
私は?という顔をする下江コハルさんに、イヴちゃんが近づいて耳打ち。
「……この間の『苦手を洗い出すくん』と同じ内容だから、コハルさんはやらなくていい……」
ふーん、という顔をする下江コハルさんの隣に立っていたイヴちゃんが、阿慈谷ヒフミさんと目を合わせ、頷いてもらった後に隣の席に座った。
「このペーパーは、イヴちゃんが作ってくれた教材に手を加えさせてもらって、先生に全体を見てもらった力作です!」
「なるほど、先生とイヴちゃんと……」
「"大した事はしてないよ。元々イヴが準備をしてくれてたの、昨日頑張ってくれたヒフミとイヴのお陰"」
「3人の愛の結晶、共同作業というわけですね♥」
「い、言い方がやらしい!!」
「い、言い方はともかくですね。私達がやらないといけないのは、1週間後の第2次試験に合格すること!そのための時間は有限ですし、闇雲にやるより、効率的に勉強していこうと思います!そのために、このペーパーをまずやってもらって、できない部分を潰していこうというわけです」
「なるほど……?」
わかってるのかわかってないのか、曖昧に頷く下江コハルさん。完全にわかってない感じの白洲アズサさんはふうん、って顔。
「『苦手を洗い出すくん』は初等部の基礎の基礎まで遡り、わからなかったり気付かなかった苦手を見つけて潰すための広い範囲のものなので、今回だけとします。ですが、数日に1回、今回のテスト範囲に絞った模擬テストを行って、本番向けの対策を練っていきたいと思います」
「なるほど。次回以降は、今回頑張ってたくさん出してしまって、力尽きて小さくなってしまった『苦手を洗い出すくん』なんですね?♥」
言い方ァ!
先生も、ええ……って顔をしている。
「何でいちいちやらしい言い直しするの?!」
「わかりやすいのが大切かなと……」
おほん、と咳払いした阿慈谷ヒフミさんが続ける。
「基本的な流れは以上です。もちろん、問題や提案があれば適宜直していきます。加えて、模擬テストで一定の点数を取られた方にはご褒美としてこれを進呈します!」
『テストの報酬、すごいかわいい』という変なテロップと一緒に表示されたのはモモフレンズのグッズだ。
「あら、あれは……ヒフミちゃんのバッグの鳥と、イヴちゃんのスマフォについてるカンガルー?」
「……私のこれは、ミスター・ニコライ……クアッカワラビーだから、カンガルー科ではあります……」
どっか行かないようにワイヤでがっちり括り付けてから携行してるミスター・ニコライを皆に見せるイヴちゃん。
「え、私、いらない……特にあの豚?カバ?何これ?目が怖いし、名前もなんか卑猥で可愛くないし……」
思わずって感じで、上級生への反発だとか、虚勢だとかが全然無い、素で要らねえって顔をしてる下江コハルさん。本人素だからこそヤバ目な、今めっちゃ命知らずな事を口走ったけど大丈夫かな。
「え、ええっ?!凄く流行ってるんですよ?!」
良かった。気付いてなかったっぽい。上級生相手の
流行ってるかなあ??イヴちゃんも丹花イブキさんにもらって無かったら多分存在も知らんままっぽかったが。まあ、ファンシーグッズ扱ってる店なら最低1種は置いてはいるって感じだから、一定の地歩があるっぽいのは間違いないけど。公平に見て、流行ってるってのは強弁な気がする。
「どこかでちらっと見た、ような気もしますが……。私も遠慮しておきます」
「そ、そんなぁ……。あ、もちろん、イヴちゃんにもあげますよ?!」
「……ありがとうございます……」
一応、丹花イブキさんに勧められた絵本とかは買って読んでるからか、ちょっと嬉しそうなイヴちゃん。
「うう、でも、皆さんもっと喜んでくださると思ったんですが……」
思ってた反応と違ったんだろう、がっくり肩を落とす阿慈谷ヒフミさん。まあ、部長として自腹まで切ってこれじゃあな、っていう気持ちもわからんでもない。
「か……可愛い……!」
その中で一人、キラキラと目を輝かせて身を乗り出す白洲アズサさん。
「え、そう……?」
「あらあら」
「何だこのふわふわした丸っこい生き物……可愛すぎる……!何を考えてるか全然読めない……!」
(実在の鳥も、何考えてるかわからない目してるよね)
(……フラミンゴとか、ちょっと怖かった気がする……)
(わかるわかる。そういえば、鳥って、恐竜の直接の子孫らしいよ)
(……爬虫類の親戚なんだ……)
まあ、人間だって実際何考えてるかわからんから言いがかりって気はするけど、なんか怖い鳥いるよなあ。そういえば絵だけど、雪舟の鶴とかも目が怖……まあどうでもいいや。
「さすがはアズサちゃん!!ペロロ様の可愛さに気付いてくださったんですね!そういうところが可愛いんですよ!」
「どれも可愛いけど……まさか、この中から選んで良いのか……?!」
「はい!アズサちゃんの欲しいのを持ってってください!」
「やむを得ない、全力を出すとしよう。必ずや任務を果たして、不思議でふわふわした動物を手にしてみせる!」
ᓀ‸ᓂふんすと発起する白洲アズサさん。まあやる気出るなら良いことだよね。
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