ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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あめが ふりつづいている(雨状態なので、『かみなり』は必中)

 イヴちゃん視点でここは怪しいかな……というところに、警報装置を設置して戻ってきた辺りで、先生が立ち上がって皆に「"お昼休みにしようか"」と呼びかけた。

 罠と警報装置の位置を白洲アズサさんとイヴちゃんが共有がてら見て回っている間に、他の皆がお昼ご飯を準備してくれた。

 ロープの色まで配慮され、雑草の植え替えまでして設置された罠は、パッと見全然判らないように設置されていて、夜だと素人目にはまず判別つかないなと思う。イヴちゃんも感心しきりだった。

「……凄い、勉強になる……」

「テストの勉強もこれくらい出来ればいいのだが」

 溜息をつく白洲アズサさんに、思わずふふ、と笑いが漏れてしまうイヴちゃん。

「……勉強は、先生、ハナコさんと、後は私も教えられるので……今度、罠の作り方とか、教えてください……」

 一瞬、きょとんとした顔をしてから、顔を輝かせる白洲アズサさん。

「先輩として、後輩に教えられるのだな。楽しみだ。補習授業部が終わったら、しっかり教える」

 ふんすᓀ‸ᓂ、とやる気に満ちた顔。うんうん、これもまた青春だね。そうかなあ?

 

 お昼ご飯は冷凍のフィッシュアンドチップス(魚はタラだった)かブラッドソーセージを自分で選んで解凍するスタイル。それと卵と野菜と果物たっぷりの手作りサンドイッチ、トマトスープ。

 ブラッドソーセージはあんま人気がなくて、阿慈谷ヒフミさんだけがチョイスしていた。

 フィッシュアンドチップスには塩と酢をかけるのが基本なので、みんなもりもりかける。先生は恐る恐るかけてたけど、美味しそうな顔をしていたので何より。

 

 お昼休憩が済んでから、午後の勉強を始めた頃から、空模様が急激に怪しくなってきた。

 落雷の閃光、即座の轟音が校舎を揺るがせ、数秒の後、LED蛍光灯がふっと消え、先生のノートPCが給電切警告の軽やかな音を立てて停電。

 一番驚いていたのは「ぴゃ」と声をあげた下江コハルさん、ついでびくりと身体を震わせた先生だった。

「"び、びっくりした"」

 落雷に続いて雨が校舎と地面を叩く音がし始める。

「トリニティはてっきり正副予備の電源系統があると思っていたが」

 ネ○フじゃないんだから。ちらっと籠城を想定してるって聞いた、ティーパーティー本部とかシスターフッド本部とかはあるかもしれないけど。

「あらあら、困りましたね。これだけ暗いと、無理に勉強をしても目が……」

 午前中から模試問題を作っていた阿慈谷ヒフミさんは下唇を軽く噛んでいる。本音を言えば無理にでも勉強してもらいたいし作業を続けたいって感じなんだろうか。イヴちゃんが持ってきたグッズの中にはランタンもあるし、やってやれんこともないんだが……。

 どうしましょう、という目線が先生、阿慈谷ヒフミさん、浦和ハナコさん、イヴちゃんの間で行ったり来たりする。

「"『待つ人のところへはどんなものでもやってくる』のが、トリニティの諺だったよね。無理しないで――"」

 先生の言葉が、あっ、という浦和ハナコさんの小さな叫びで中断された。

「ごめんなさい、先生、皆さん。洗濯物が干しっぱなしでした」

「えっ!?」

 白洲アズサさん、イヴちゃんが上着を放り出して、飛び上がるように立ち上がり教室を飛び出し、廊下側の窓を開けてジャンプ。

 泥を小さく跳ね上げて格好良く着地。視界が白くけぶる程の、トリニティでは珍しい大雨で、数秒雨に濡れていただけの2人があっという間に濡れ鼠になる。

あっ、下着が透けて見えちゃってる。透けるのは……不味い……。

「……私が全部持つので……取り込みを……」

 小さく頷いた白洲アズサさんが投げるようにイヴちゃんの両手に洗濯物を積む。イヴちゃん自身も取り込み作業を行いつつ白洲アズサさんと適切な連携を試みる。

 

 普通に降りてきた他の面子が揃った頃には、2人は7割近くの取り込みを終えていた。

 イヴちゃんは身長の1.5倍くらいの洗濯物を抱えているけど全然安定した動き。

小走りで手伝いに加わった面々含めて洗濯物を取り込むと、全員水浸しみたいになってしまった。洗濯物も当然破滅的に雨水を吸っている。

「ごめんなさい、洗濯物まで気が回らなくて……」

 申し訳なさそうな浦和ハナコさんに、阿慈谷ヒフミさんが代表して声をかける。

「いえいえ、順番でやる予定だったのが、ハナコちゃんが率先してやってくださってたんですから」

 下江コハルさんは当番どうこうじゃなくて、上級生がそもそも気に食わない的な目で浦和ハナコさんを睨みつけている。

「"洗濯物は洗い直すしかないけど、皆、風邪引かないようにシャワーを浴びよう"」

「あっ……そういえば、今着てる服が最後です。着替えがありません……」

「私もだ」

「私も……」

 あうう、と困った声を上げる阿慈谷ヒフミさん、肩を小さくすくめた白洲アズサさん、顔を赤らめて目を伏せる下江コハルさん。

 あらあら、と声を上げながら、灰色のめっちゃデカいブラジャーと、すけすけで先端部が開いてて下着として機能してるのか怪しいこれまためちゃでかい黒のブラジャーを持ち上げてためつすがめつしているのを、先生が小さく手で制止している。灰色のが先生のっぽい。先生の衣服の洗濯、本来は先生が自分でやるつもりだったみたいだけど、「教材や教えるのに専念して欲しい」と浦和ハナコさんに押し切られて一緒に洗っているのが現状なんだよな。先生ガチ勢でもないだろうから、面白半分のセクハラ目的なんだろうかって勘ぐってしまう。

 

 ともかく、イヴちゃんは一応予備の服がまだある。イヴちゃんが力持ちだしアウトドア経験もしたから、多目に荷物持ち込むような癖があるんだよな。癖なんだ、予備を準備しておくの。

 浦和ハナコさんが良いことを思いついた、と妖艶な笑みを浮かべる。何だかちょっぴり嫌な予感がする。

 

 シャワーを浴びた順に、スクール水着に着替えて、1階併設の体育館に集合。

 明かりはイヴちゃんが持ってきたバッテリ駆動ランタン。皆の表情が薄ぼんやりと見えるくらいの光量に調整してある。

 阿慈谷ヒフミさん、白洲アズサさん、下江コハルさん、イヴちゃん、最後で良いと固辞してた浦和ハナコさん、先生の順でシャワーを済ませて集まってきた。

 当然全員スクール水着である。先生は急いで取り寄せたらしい体型が目立たないような、でもスク水に気持ち寄せたというか、無地の装飾が無い黒のタンキニを着ているけど。

 白洲アズサさんも上着だけは無事だし、浦和ハナコさんも実際には予備の衣服があるっぽいが、ノリノリで水着。イヴちゃんは別に気にしてない感じ。

 

 浦和ハナコさんとイヴちゃんが床に直座り出来るように大きなレジャーシートを複数枚敷いて、阿慈谷ヒフミさんと白洲アズサさんが紙コップとまだ温かいポット、地下キッチンにティーパーティーの子達が持ち込んでくれていたのと、シスターフッドからの差し入れの残りのお菓子を山ほど持ってきた。

 動き回るのが恥ずかしいのだろう、下江コハルさんはもじもじしているけど、まあしょうがないか。

「な、何で水着……?」

 体育座りしてあちこちを気にしてだろう、手を彷徨わせてる下江コハルさん。隠そうとしてるだけなんだろうけど、何だかえっちに見えるのは本人がむっつりだからなのかな。お子様体型がやらしく見える。

 胸元と下腹部辺りだけを気にしようと決めたらしい阿慈谷ヒフミさんは女の子座り。白洲アズサさんもぺたんと座って堂々とお菓子を物色している。2人ともほっそりして可愛いな。

 先生は後ろで見守りつつ隠れていたい感じだったみたいだけど、浦和ハナコさんに車座に引き込まれた。うおでっか。うおでっかが2人並んですげー迫力。傍目には堂々としてる浦和ハナコさんと縮こまってるみたいな先生が並ぶとあんま変わらんように見える。色気がすごい。

 イヴちゃんはぴくりと眉を上げた下江コハルさんのすぐ隣に体育座り。ほっそりとした太股が可愛い。




 前話で触れたレーザー攻撃衛星ですが『中国料理の持帰り箱とドーナツ、謎に超美味そう キヴォトスだとヴァルキューレ生のお供なのかな』回(結構前なので作者も探すのに検索が必要でした)で触れた通り、1回撃つと冷却に数日が必要なので、搦め手の1つになります。
キヴォトス人のかなり上澄みでも直撃さえすれば一撃で行動不能になる高火力ではあります。ミカでも止まります。

 評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
 最近、低評価を頂く事が増えて「何でェ……?」ってちょっとボリション大サーカスしています。
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