ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
早朝、早起きした僕はゆっくりのペースでトリニティの校内を散策していた。まだ日が昇った直後で、雲量少なめの良いお天気。小鳥の鳴き声も心地よく、美少女大天使イヴちゃんのお散歩にはぴったり。まあ今は僕が身体動かしてるし、カーゴパンツにヘビメタTシャツ*1着てるけど。
イヴちゃん向けの感覚情報は全部遮断してるので、脳の休息としての睡眠自体に影響は無い。とはいえ、戦闘後で身体も休めておかないとだから、水分取って、30分くらいで戻る予定だけど。
自主練ジョギング中の陸上部員とすれ違って挨拶したりしながら、やってきたのは正義実現委員会本部。自警団にイヴちゃん宛の連絡が来てれば宇沢レイサさんか守月スズミさんが回してくれるだろうから、それを心配しに見に来た訳じゃ無いんだけど。
早朝の正義実現委員会本部前も、少数ながら生徒の出入りがあり、顔見知りの生徒と挨拶を交――何だあれ。
建物横、駐車場の一角にボロッボロで、多分防錆塗装の茶色塗料が塗られた戦車が駐車されている。
防犯用の処置はされてあるだろうから、うっかり触らないように気をつけつつ、近づいてよく見て見るとボロッボロというのはちょっと失礼な表現なのがわかった。あちこち装甲板が貫徹や割れたりしたのを丁寧に溶接とかで新しい装甲板を貼り付けたりして修理した跡がある。履帯の転輪*2とかも修理か整備のためか全部外されている。いや錆とか頑張って取った跡がわかるし、つぎはぎだらけだし、やっぱボロかも……。
砲塔周りの修理は終わってるのか、主砲*3は積まれてないものの、車両塗装用のマスキングテープが貼ってあって、輪郭から推測すると正義実現委員会のマークを描く予定になっているようだ。
車体にはゲヘナのマークの跡。足回りもだけど、パワーパック、もとい動力周りも交換予定らしく、車体後ろの装甲板も一旦外してそのまま載せてあるみたいだ。
なあにこれ?マルダーⅡかヴェスペ*4にでも改装するなら判らんでも無いけど、そのまま使うみたいだし、へーんなの。偵察用車両、トリニティならなんぼでもありそうだけどな。
他の顔見知りが通りかかったら何でこんなボロ車両(失礼)置いてあるのか聞こうと思ったけど、流石にこんなに時間が早いと最初にすれ違った子以外は誰も通らなかった。面白いなってスマフォで写真をパシャパシャ撮ってから、僕は旧校舎に戻ることにした。
寝直して起きたら10時少し前。僕もばっちり寝てたみたいだ。イヴちゃんが起きるのに連動して意識が覚醒した。
(イヴちゃんおはよう!疲れは残ってない?)
(……おはよう、ジル。うん、大丈夫……)
寝る前に入念にストレッチしておいた甲斐があったね。
イヴちゃんが上半身を起こして見渡すと、阿慈谷ヒフミさんと下江コハルさんはまだ寝ているみたい。イヴちゃんは起こさないように静かにベッドから降り、朝の支度を静かにし始めた。
洗面所で朝の支度を完全に済ませて、美少女度が更に高まったイヴちゃんが朝食の支度をしていると、ちゃんと着替えてスーツの先生とパジャマのままの浦和ハナコさんがやってきた。
「"イヴ、おはよう"」
「イヴちゃん、おはようございます」
「……先生、ハナコさん、おはようございます……」
トースターが温まったので人数分の食パンを放り込む。パンは薄切りなのが伝統的なトリニティの料理法なんだけど、別に厚めの食パンが忌避されている訳では無い。イヴちゃんはどっちかというともっちり目が好き。今日は昼食までの間隔も短めだし、余り腹に重くなりすぎないよう、薄切りのをカリッと焼くスタイルにしてるが。
手際よくレタスを洗ってざくざく切る辺りで、先生と浦和ハナコさんが交代してくれたので、イヴちゃんは食器とお茶の支度に移る。
パンの良い香りに釣られた訳では無いだろうけど、皆が降りてきた。皆、制服に着替えている。
「おはよう、皆。すまない。手伝うつもりが、勉強に夢中になっていた」
「おはようございます。わ、ありがとうございます」
「おはよう……」
キリッとした顔の白洲アズサさん、起きて慌てて来たのが何となく伝わる阿慈谷ヒフミさん、まだ眠そうでふにゃふにゃしている下江コハルさんが大あくびをした。
全員分のインスタントわかめスープと紅茶を淹れ、イヴちゃん自身はホットココアを準備してからいただきますで食べ始める一同。いただきますの習慣があるのも面白いよな、キヴォトス。
サラダはレタスとワカメ、トマトにドレッシングをかけたシンプルなもの。食後に模擬テストをして、お昼ご飯まであんまり時間が無いのを伝えてるので少なめ、といっても育ち盛りの子達なのでもりもり減っていくパンとサラダ。
言葉少なめだったのは、皆お腹が空いていたかららしい。食べ終えて食後のお茶を飲んで皆で片付けつつ、雑談の花が咲いている。
「……食べてからだけど、ワカメとワカメでワカメが被ってしまっていた……」
「"身体にもいいし、カロリーも控え目だから……"」
「髪にもいいらしいですね」
「伸びはしないらしいですけどね」
「黒くなったりもしないのか?」
「えっ、髪が黒くなるの?!黒とピンクになったりすると、困るかも……」
「……チョコレートみたいで、可愛い、かも……?」
そんな訳無いじゃんって事を口走る白洲アズサさんと、心配に動揺する下江コハルさん、可愛いな。まあ、ワカメ食べると髪の毛黒くなる、みたいな迷信あるけども。
黒と金だとプリン頭って俗に言うけど、黒とピンクはあんま見なかったもんな。色の組み合わせが逆アポ○チョコっぽい、かも。いや地毛ピンクは見たこと無いよな……無いよな……?
朝ご飯を食べ終えて、模試の支度をする一同。
「あの不思議なもふもふをもらうために、良い点を取らないといけない。ついでに試験も合格する」
「あはは……そこまで思ってもらえるのは嬉しいですけど。って、ついでなんですか?」
「うふふ、それくらいの勢いで頑張りましょう」
穏やかでリラックスした雰囲気の漂う一同から、一人外れて緊張感を漂わせる下江コハルさんと、それを心配しつつ声をかけられないイヴちゃん。
「合格、しなきゃ……正義実現委員会に戻るために……」
小さく身体を震わせてるのを見かねて、イヴちゃんが恐る恐る声をかけた。
「……こ、コハルさん……深呼吸、して……」
突然、といっても実際にはさっきから後ろにいたんだけど、なイヴちゃんに声をかけられて、小さく驚いてから、もにょもにょと唇を動かす下江コハルさん。
イヴちゃんは自分も腕を大きく縦に上げて深呼吸を繰り返す。すぅーっ、はぁーっ、と、チャドーでない普通の深呼吸。渋々という感じで一緒に繰り返す下江コハルさん。
「……勉強、頑張ってたから、きっと、大丈夫……」
深呼吸を繰り返しながら、イヴちゃんを半目で睨む下江コハルさん。
「こんなこと、本当に効果があるの?」
「……どんなときでも、まずは落ち着かないと、全力を出せないって、友達が言ってた……」
いつの間にか先生含めて他の皆も深呼吸している。
「"みんな、落ち着いたら模擬テスト、始めよう"」
先生の一言で席に着く一同。下江コハルさんも緊張がマシになったようだ。
「皆さん、落ち着いて頑張りましょう」
「"そうだね、それじゃ、始めて"」
阿慈谷ヒフミさんの激励と先生の
確定申告を片付けた……のは先月だし、何だか間が開いてしまいました。済みません。
先週土曜はu-full、今週火曜はDark Tranquillity、来週火曜はKarate、今月末はPunkspringと久々にぼちぼちライブの予定が入ってきて投稿ペース落ちてしまうかもしれませんが頑張ります。
来られる方はライブハウスで握手しましょう。
メイン活動ジャンルの同人イベントにサークル申込もしたので、執筆時間の捻出が困りものです。
労役が無ければ……。
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