ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
狐坂ワカモさん、河駒風ラブさんと他ヘルメット団員、スケバンを捕縛して押っ取り刀で来てくれた正義実現委員会に引き渡した。
たいほったー*1ポイントうまうま。
狐坂ワカモさんは既に百鬼夜行を通じて連邦生徒会に指定被疑者特別指名手配*2されていて、河駒風ラブさんもトリニティで指名手配されているらしく、1人でも滅茶苦茶懸賞金的なポイントがうまあじなのが2人分に60人近く捕縛できて激熱らしい。
あなたは味の読みはあじ派?み派?僕はウェイ派!のジルです。イヴちゃんがうまテイスト派なら秒で掌高速回転させるけどね。
ともあれ引渡しの雑事に関わる諸々を守月スズミさんがまとめてやってくれるらしく、僕はちゃんと狐坂ワカモさんの捕縛が3人協同で、最終的な配分はそちらにお任せするけど2人ともちゃんと最低1/3は受け取ってもらうよう念押ししておいてから自販機に向かった。
甘くて温かい缶ココアを4つ買い、守月スズミさんと正義実現委員会の担当者、あ、羽川ハスミさんやんけ。ゲームで一方的に知ってる人を見て一瞬固まってしまった。
うお身長も胸部装甲もでっか。いや嘘でしょ。僕っていうかイヴちゃんの頭よりでかないか???いやまじかよ……。別に全然怒ってないのに素の圧が強い。
知ってる顔の登場に一瞬硬直してしまったけど気を取り直し、2人と宇沢レイサさんにココアを手渡す。
自警団は非公認部活で部費ないらしいから、ちゃんと補填できるチャンスは使って欲しいのだよな。っていうか1/3って言ったけど等分の協同撃破でいいよな???
銃剣折ったし結構銃弾当てたし面の部位破壊(?)もしたし……。僕、実は滅茶苦茶厚かましくて「いやお前何もしてへんやん」って自警団の2人に思われたらどうしよう。
さっきから宇沢レイサさんが重苦しい表情をしてるのは「こいつ厚かましい奴やなあ。お前貢献しとへんやんけ」っていつ切り出そうか迷ってたりする?それならポイントは普通に諦めるけど……。
でも話を横から聞いてると、守月スズミさんの認識的には問題無さそうな感じではある。宇沢レイサさんは自警団活動にストイックそうだからあたい許せへん!!!って感じなのかなあ。
それともあれか?あたいに黙ってシマ荒らしとはええ度胸どす~!みたいな?困ったなあ。
「「あの……」」
僕と宇沢レイサさんの発言が被って苦笑いする。あっちの公園のベンチで話そうと指さして、まだ後始末の打ち合わせ中な2人に声をかけて移動した。
軽く振ってかしゅ、とココアのプルタブを引き開ける。缶の良い音。ビールとか飲みたくなるね。
そもそもキヴォトスで未成年飲酒は重罪でアルコールが手軽に手に入らないし、脳と肝臓に良くないし、あらゆる意味でイヴちゃんのためにならないから飲まないけど。
正義実現委員会の慌ただしい動きを背景にした、夜中の静かな公園。嘘みたいに平和な風景に、2人の息遣いが静かに広がる。
本当に言い辛そうに、宇沢レイサさんがおずおずと口を開いた。
「あの……イヴさん、こういうことはいつも?」
「う、うん……。キヴォトスって、危ないから」
僕は実戦経験を踏みたいのと火器を含む得物のために時間を作っていることをイヴちゃんの喋りっぽく訥々と伝えた。
安堵の溜息をついてうつむく宇沢レイサさん。
「はぁ~。よ、よかった……。私が、嫌われてたのかと……」
「ナンデ?」
思わず素で言っちゃった。いや黙って夜の狩りに勤しんでたのに腹立てるならわかるんだけども。
「以前、自警団にお誘いしたことがあったのを覚えてますか?」
「うん」
缶ココアを口に含む。美味し。自警団、非公式部活だから逆に時間拘束もないし入っても良いかなって思ったのだが、イヴちゃんの睡眠時間確保と、イヴちゃん次第だけどシャーレに入って積極的に先生の補佐をしようと思うと、トリニティに放課後いない可能性が高いから断ったのだよな。
「あの時にはそういう活動は興味がないのかと思ってたので」
彼女の目の端に光るものが見える。僕はかぶりを振って、イヴちゃんを起こした。
(イヴちゃん、イヴちゃん、起きて)
(……んん、あさ……?)
(いや、まだ寝てて良いけど、宇沢レイサさんが泣いてるから抱っこしてあげて)
(……ん、ん?……わかった……)
身体の主導権を一旦イヴちゃんに戻す。僕がそういうのをするのは違うかなって。
ぽふっと暖かくて柔らかい感触。
あ、イヴちゃんすぐ寝ちゃった……夜中の良い時間だからなあ。僕が再度身体を預かる。
「い、いいイヴさん?!」
「嫌いになったりしてません。夜遅くまで毎日頑張るのは私には無理だし、それに私は他の自治区に行ってることも多いというだけです」
真っ赤になって湯気を出している宇沢レイサさんを抱きしめることしばらく。納得と安心をしてくれたみたいで笑顔を取り戻した彼女とココアを楽しんだ。
パトロールを続けるという自警団の2人と別れ、戻ってくる途中、羽川ハスミさんと美味しいスイーツのお店の話題で盛り上がってモモトーク連絡先を交換した。
帰ってシャワー浴びて盾の中の30mm機関砲弾を寮地下の射撃場、機関砲弾詰め直し機で詰め直してぐっすり。自律神経とか交感神経周りを良い感じに出来るようになったっぽいお陰でショートスリーパーの真似事もできるようになったとはいえ、今夜は早めに切り上げて寝た方が良いかなという感じの疲労度で、しっかり寝てすっきりの朝です。
イヴちゃんに昨日の出来事ダイジェストを共有しながらモモトークを開けたら早速羽川ハスミさんからメッセージ。美味しい夜パフェでも見付けたかな?と思ってニコニコで開けたら『正義実現委員会からヴァルキューレに引渡しまではつつがなく終わり、矯正局に入れる前に狐坂ワカモさんには逃げられました。申し訳ありません』らしいです。
コラーーーーーー!!!!!!開けろ!!!ヴァルキューレだ!!!!(大声)
いや羽川ハスミさんのせいじゃないけども。ヴァルキューレ曰く『他の全員は無事矯正局に移送しましたから』じゃねんじゃ。全員移送してつかあさい。これは普通にキレてええとこやんな????
まあこれからSRTのFOX小隊に捕まえられるらしいから、歴史のだか世界のだかの修正力なのか……?
もしそうなら、僕やイヴちゃんの活動が『結局何も変わらねえのかよ』になるので、苦笑いしてる場合ではないのかもしれない。
朝、僕が身体を動かしているのは「もっと寝ていたい」というイヴちゃんの要望からです。家を出るときにはちゃんと代わるようにしているけれども。
あまあまになりすぎるとイヴちゃんに良くないからね。
(……やだ~~……ジル、学校までつれてって……)
(だめ~!昨日は早く寝たでしょ!)
(……しぶしぶ……)
(渋々擬音可愛いけどだめだからね)
(……ちぇ~……)
獰猛なまでの可愛らしさ。僕の提案でドアの前に吊した姿鏡の前でくるっと1回転。で身支度に問題が無いか、と、もう1回文字通り天使な可愛らしさを確認。
(……いってきます……)
(行ってきます)
今日も良い日になるといいね。ジル太郎。いや僕がセルフで言うんか。
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紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.19