ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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『言ってない台詞一覧』面白いよね。俺とお前は親友(マブ)だった……

「"それは違うよ。誰かが特別、悪かったわけじゃない。誰かがもっと誰かを信じられていれば。ナギサがヒフミ、ハナコ、アズサ、イヴ、コハル、それかハスミ、あるいは私を信じられていれば。ミカがナギサを信じられていれば。きっと、こんなことにはならなかった。"」

 皆が感心した目で先生を見る。

「そうかもしれません。アズサちゃん。さっきは意地悪を言ってしまいました。アズサちゃんは、逃げようと思えばいつでも逃げられたし、あるいはアリウスの計画を早めに通報することもできましたよね。それをしなかったのは、なぜですか?」

 少し考え込んで、慎重に答える白州アズサさん。

「なぜだろう。新しい事を学ぶのが楽しかったから、かもしれない。先生やハナコ、ヒフミ、イヴに勉強を教わって、イヴと一緒に警備を考えて。ヒフミやコハルに新しい遊びを教わって。生活の仕方、洗濯、掃除、皆が教えてくれた」

「私、『楽しい』って考えられるのが羨ましかったんです。あるところに、たまたま色々な物事をそつなくこなせる女の子がいたんですが、その人は色んな組織から声をかけられました。能力だけを見られて、欲しがられても嬉しくは無かったんです。だから、テストを滅茶苦茶にして退学するつもりでした」

 息を呑む阿慈谷ヒフミさんと、ふっと微笑んで、イヴちゃんを見る浦和ハナコさん。

「そういう意味では、イヴちゃんにも謝らないといけません。他の学校の方とも親しく交流できるあなたが羨ましかったし、いざとなれば皆が退学になってもミレニアムかゲヘナに連れて行ってくれると思って、心のどこかで甘えていました」

 小さく頭を下げる浦和ハナコさんに、イヴちゃんも小さく首を横に振って答える。まあ、本当に危ない時はミレニアムに全員連れて転校はある程度覚悟してたけどね。

「えっ、えっと……それで、結局、どうするの……?」

 良い感じにまとまっているのはいいけど、それはそれでどうする、という本質的な問いをする下江コハルさん。せやったせやった。

「試験は受けて合格する。アリウスが先に何かする前に、トリニティを転覆させる。簡単な事です。ここにはナギサさんの寵愛を受ける奥様と、ゲリラ戦の達人、自警団の幹部、正義実現委員会、トリニティのたくさんの情報を握る人間、そしてマスターキーとも言える先生がいるんですよ。8時間あればトリニティは私達のものになります」

「お、奥様……?!」

「"まあ、あちこちにアクセスはできるけどね。シャーレの権限で、戒厳令は一旦無視できるし"」

 顔を赤らめる阿慈谷ヒフミさん、キマシタワーに異臭を放つ僕はイヴちゃんにメッされてしまいました。

 

 くたびれたコンバットブーツの音、整然としているがどことなく弱々しい足音が、強化してるイヴちゃんの耳に届く。アリウス分校の連中がもう侵入してきているんだな。イヴちゃんが先行する浦和ハナコさん、白州アズサさんにイヴちゃんがハンドサインで伝える。微笑んで頷く浦和ハナコさん。変更なし。

 

 ティーパーティーの近衛をほぼ無音のCQBで制圧する白州アズサさんとイヴちゃん。

「うふふ、ありがとうございます。助かります。子猫ちゃんは、ここの屋根裏部屋のはずです」

「とりあえず親指を拘束しておく」

 頷いて無言で拘束作業をするイヴちゃん。

 

 ドアをノックする浦和ハナコさん。

「紅茶はもう結構ですよ」

「可哀想に、眠れないのですね」

 がたり、と動揺を露わにし立ち上がる桐藤ナギサさん。

「そ、そんな……どうしてここが……?裏切り者は3人いた……?」

「うふふ、セーフハウス87ヶ所のローテーションと、特別な隠れ場所のここは把握してますよ。それに、私達は単なる兵隊で指揮官は別にいます」

「そ、それは一体誰なんですか?」

「その前に。補習授業部にはここまでする必要がありましたか?初めから怪しかった私、書類が怪しかったアズサちゃん、それとミレニアムの繋がりが深すぎたイヴちゃんにはわからなくもありません。ヒフミちゃん、コハルちゃんはどうなんですか?」

「ハナコさんは知りすぎているのと、最近のご自身の奇行を鑑みてください。余りに怪しいではないですか?」

 突然の正論やめーや。浦和ハナコさんは苦笑する。

 頬を赤らめて顔を逸らす桐藤ナギサさん。

「ヒフミさんは、本人が縁のあるアビドス高校か、条約成立後のゲヘナに受け入れてもらって、ほとぼりが冷めたら呼び戻すつもりでした」

 き、キマシタワー!阿慈谷ヒフミさんだけちゃんと安全策を?!と、異臭とイヴちゃんのお怒りセットの間に、話がちょっと進んでしまっていた。いやちょっと待って、アビドスかゲヘナに阿慈谷ヒフミさん(ファウスト様)を放てっするのは危なすぎやせんか?戻った日が「トリニティ最期の日」になるわ。トリニティ仕草より預かり先が危なすぎる。と、僕だけが内心冷や汗を垂らしていると、桐藤ナギサさんが続きを話していた。

「白洲アズサさんは、ミカさんが余りに強く推したから書類の不備を見て見ぬ振りをしたのです。イヴさんは……我々、ティーパーティー側に負い目がありすぎました。恨まれても仕方ないし、ミレニアムに抱き込まれててもやむを得ないと」

「……私は、恨んでいませんし、ミレニアムの皆は、お友達ではありますが、スパイや工作員ではないです……」

 虚を突かれたかのように、イヴちゃんを見る桐藤ナギサさん。

「恨んで、いない」

「……処遇をしたのは先代のティーパーティーですし、私を撥ねたのはカイザーです……」

「イヴさん……」

 ちょっと良い雰囲気になったところで、白洲アズサさんが「時間が無い」というジェスチャーをする。

「では、誤解も解けたようですし?我々の指揮官からの伝言をお伝えして、眠ってもらいましょう。『あはは……えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ』」

 で、出たー!!!!あの言葉……!!!!ファウスト様なら言う!*1

 

 5.56mm1弾倉分を叩き込まれて気絶した桐藤ナギサさんを担いで撤収する白洲アズサさん、浦和ハナコさんを警護しつつ遭遇したアリウス分校の生徒達を無言の格闘戦で制圧するイヴちゃん。僕の教えが役に立って地味に嬉しいな。キヴォトス人は銃に頼りすぎだから、イヴちゃんが盾を投げつけて格闘戦を挑むと、CQBの心得があるか、個人で武道をやってない子はそれでも銃に頼ろうとしてあっという間に崩れる。

 

 旧第18校舎でもドンパチ賑やかになってきた。ミレニアム謹製の警報装置も役に立ち、敵の誘導がスムーズに行えているようだ。

「……ハナコさん、後はお願いできますか……?」

 イヴちゃんの言葉だけでパッと察した浦和ハナコさん、流石に判断が早い。

「背中から挟み撃ちにします?」

「……はい、体育館で良いのですよね……?」

 にっこり微笑んで小さく手を振る浦和ハナコさんと分かれるイヴちゃん。アリウス分校の縦隊を一番後ろから藪や物陰に引きずり込んで裸締やこめかみへの一撃で無力化する。追撃とブービートラップで混乱しているアリウス分校の子達は気付かない。

 

 指揮官らしき先頭のアリウス分校生が叫ぶ。

「この先には体育館しかない。罠も無い事は判明している!行け!」

2割はイヴちゃんが削れたかな。タイラップで拘束しただけなのが少し不安だけど、まあ片付けるまでには十分だろう。

「ずいぶんと減りましたね。これくらいなら十分でしょう」

 不敵に笑う浦和ハナコさん。

「お前達は5人しかいないはず……いや、4人。1人減っているなら尚更好都合だ」

「いいえ。この場には5人いますよ。ね、先生?」

「"初めましてかな。シャーレの先生だよ"」

「先生、殲滅戦を始めましょう!」

「舐めるな、お前等なぞ……」

 先生が手を上げると同時に、背後から30mm機関砲(ウッドペッカー)を撃ち込む。アンブッシュにも耐えられないサンシタは退場してもらいましょうね。

 先生が手を振り下ろすと、白洲アズサさん、阿慈谷ヒフミさん、下江コハルさんがほぼ同時に突っ込む。浦和ハナコさんは支援に徹するようだ。

 

 背後から突然機関砲で撃たれた上に、ブービートラップとイヴちゃんのヤミ・ウチで削れた上にアンブッシュまで受けた無様なアリウス分校生はあっという間に蹴散らされた。

*1
言ってない台詞




地元(ブラックマーケット)じゃ負け知らず、か…。(言ってない台詞)
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