ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
冬休みがやってきました。長期休暇はいつでも楽しいもの。はしゃぐイヴちゃんが可愛いなあってニコニコしているジルです。
まー狐坂ワカモさんがお礼参りに来る可能性とかも考えるとアレアレなんですけど。アレ。
でも来るか来ないかわからんテロリストに怯えてイヴちゃんの行動制限するのもな~って思っている間にクリスマスもさらっと友達で集まって遊ぶ予定が年末直前に決まった。
いつもの宇沢レイサさんグループ(仮称)で年越しカウントダウンパーティでもしないか、とイヴちゃんに提案したところふんすと可愛く奮起したイヴちゃんによって連絡が送られたものの、宇沢レイサさん以外の友人2人は先約が入ってしまっているらしく落胆するイヴちゃん。
もうちょっと早めに思いついてたら良かったなあ。失敗失敗。ただ、重大発表もあるしニューイヤーイブイブに集まろうということになって、この面子が集まるお馴染みのファミレスに集まることになった。
トリニティ都市部の冬は寒いっちゃ寒いけど、暖流と季節風の関係で、大体5度前後の気温が普通。もちろん、氷点下になる日もあるけど、今日は普通に薄曇りで小雨が降って雪にならない程度。
普段は学生でごった返す*1この店も長期休暇中でしかも雨が降ってるせいかガラガラ。
重大発表があると言い出したのは茶髪おっとりの子、
「大体大した事ないんだよね、この子の『重大ななんちゃら』って」
「いや今回は本当だから。本当」
「何ですか?!楽しみです!!」
宇沢レイサさんはしっかり食いついてあげている。
うんうん、と頷きながらドリンクバーで合成したレモンブドウコーラ*2を飲むイヴちゃん。
勿体ぶりながらスマフォを取り出す報野モユルさん。画面には黒髪、美人というか王子様系の角がある和風のお姉さんが写っている。お、百鬼夜行の百花繚乱の制服だね。ちゃんとアンダーに藍色のシャツを着てるので、肌露出は低め。
「彼女ができました!」
「「ええーっ!!!!」」
「……おおー」
ソフノちゃんと宇沢レイサさんの余りの大声にビクッとして一瞬反応が遅れたイヴちゃん可愛いね。
一同の大声に、店員さん達と数少ないお客さんの周りの注目の目線が一瞬集まるも、女の子達がテンション上がりすぎて騒いでるだけだという正しい判断をしたのかあっという間に逸れていく。
何でもオンゲで知り合ってビデオ通話するようになり、冬休み初めに遊びに行ったときに告白されたらしい。ひえ~遠距離恋愛キマシタワー、最高!!
(……ジル、なんか……くさい……)
(ご、ごめん……)
僕もテンション上がりすぎたらしい。反省。
報野モユルさんは今日の夜から百鬼夜行に行き、冬休み明け近くまで泊まりで帰ってこない予定らしい。
こ、こいつら交尾するんだ……!いや今の考えは若干邪悪でしたね。スミマセン。グフフ。
(……ジル……?)
(ほんまごめんなさい)
全力で弄りに行く朝吹ソフノさんと初交際という事で幸せボケで表情がとろけてる報野モユルさん。
女性同士の交際に興味津々らしく、何だか可愛らしい質問を次々繰り出す宇沢レイサさん。
イヴちゃんは面白そうに頷きながら皆の話を聞いている。
別にえっちな話じゃないのに耳まで真っ赤な宇沢レイサさん可愛いね。
流れで、おめでとう兼爆発しろ回になり、夕ご飯を4人で食べて、ゲヘナで開催される年越しクラブイベントに前日入するらしい朝吹ソフノさんと、百鬼夜行に行く支度を入念にするらしい報野モユルさんと「よいお年を」と挨拶してお別れ。
そのまま、明日の準備のためにイヴちゃんと宇沢レイサさんでスーパーに買出しにいくことになった。
夜になったけどまだ小雨が続いている。凍結するほどではないけど、足下をちゃんと気をつけて踏みしめながら歩く2人。車道側にさりげなく回る宇沢レイサさん素敵。
「彼女か~……凄いですね!」
「……うん……そうだね……」
宇沢レイサさんがこの話題で感心してるのはこれで今日20回目くらいである。途中で数えるの忘れたけど。
キヴォトスは女子学生率高いし、イヴちゃんの記憶でもそこまで珍しくはないみたいだけど、そうか。初めての友達が交際し始めたからかな。
ショッキング。みたいな感じなのだろうか。
ちなみにそんなごった返しているわけでもないスーパーまでの道なりも、スーパーに入ってからもしっかり手を繋いでいる2人。
年末感あるスーパーってテンション上がるよね。テーマパークに来たみたいだぜ。トリニティの年越しなのに別に英国感あるもの以外もあって助かる。
英国飯もといトリニティ飯、ちゃんと出汁やら調味料やら水やらが配慮されているのかそんなに不味いものには当たらないので抵抗感は相当薄れたけど、たまにとんでもないのが来るからな……。
うなぎのゼリー寄せ、あれは酷かった……イタリア料理とかフランス料理の同じようなのは全然美味しかったはずなんだけど、何が悪いのか。慢心、環境の違い。
ともかく外れに怯える僕を余所に、2人は雑談をしながら楽しそうにご飯やおやつ、ジュースにアイス、野菜を入れて……。
(いや買いすぎじゃ無い?)
(……別に1日で食べきるわけじゃないし……)
(それもそうか)
そうだったね……これ1日は流石にヤバいよね。ちなみにカゴは宇沢レイサさんが持っています。気配りの出来る子!
単純に筋力だけで言えばイヴちゃんの方が力あるんだけど。
(あ、イヴちゃん、これとこれとこれも買っておいて)
頼んだものをひょいひょい放り込んでくれるイヴちゃん。個別の品物の善し悪しとか目利きは、まあ……ええか!次で!こういう時の食べ物に文句言っちゃいけないぜ。
トリニティ中等部寮は5階建の半端な高さのマンションが何棟も連なっているものだ。
明日のパーティはイヴちゃんの部屋でやることになっているので、別の棟の部屋の宇沢レイサさんが買い物袋をえっちらおっちら一緒に運んできてくれた。
気遣い力高い。惚れてまうわ。まあ僕はイヴちゃん一筋だけど。
「……レイサさん、ありがとう……」
「いえいえ!明日楽しみにしてます!」
「……うん、また……お休みなさい」
「はい!お休みなさい!!」
流石に夜なので声は抑え気味だけど、めっちゃ元気な宇沢レイサさんが手を振って帰って行った。
さて。ここから一仕事だね。といっても今日は夜の掃討はお休みだ。
(……ジル、教えてくれる……?)
(任せて!)
手作り料理を作って宇沢レイサさんを驚かせちゃおう作戦(イヴちゃん考案)。
作戦名はなんか捻れなかったのが残念。まあ名前はともかく、普段の感謝の気持ちを込めて美味しいものを作って振る舞いたいという気持ちに素直に協力したいんだよね。
直前に作らないのは料理初心者のイヴちゃんのための安全マージン。時間に押されてプレッシャーで事故ったら目も当てられない。
トリニティ、昼は学食があって安くて美味しいし夜は治安崩壊地域に行く前にどこかで食べることが多く、朝ご飯は買い置きのものを食べるというサイクルなので料理をするタイミングがほぼなかったのだよな。
大体の生徒も別に余り料理はしないらしく各個室に小さい流しと各階に共用キッチンがあるが、バレンタインとかクリスマスとか、後は誰かの誕生日とかのお菓子作りを除いてあまり使われてるのは見ない。
もっと設備が充実した学園の調理室も申請すれば個人で借りられるらしいが、今回はそこまで凝ったものを作るつもりもない。
初心者が変にイキると実際危険なので。危険だからね。大事なことだから2回言う。
何か日本食食べたいな~って発作が起こるかもと思って買ったものの実際には特にそんなこともなく。*3
棚の肥やしになっていた焦げ付きにくさが売りの鍋と、今日買ってきた野菜やら肉やら魚やらの材料、これまた一切使ってなかった馬鹿でかいナイフ、あと前日に作っておいた出汁入小鍋を持って、イヴちゃんキッチンに立つ。
エプロン姿がかわよ~~~~国宝!!
(……それで、今回は何を作りますか……。ジル先生……)
(ノリノリだねイヴちゃん。明日も寒いだろうしビーフシチューにしよう)
(……シチュー……!美味しそう……)
煮込み料理はミスが少ないし、シチューは実際美味い。ルゥは今回は市販のものだけど。
トリニティは金満学園だからか幸い寮の冷暖房もシャワーお風呂も何の問題も無いし、実際には快適なパーティになると思うけども、美味しい温かいもので身体の中から温まるのは心身にも良いからね。
イヴちゃんのシチューは宇沢レイサさんに大好評で、ふんすとドヤ顔をするイヴちゃんが大変可愛い。
もりもり食べる宇沢レイサさんにおかわりをよそうイヴちゃんが新妻感あってちょっと嫉妬しちゃうね。なんか宇沢レイサさん、やに下がってない?
美味しいご飯をたらふく食べてから、ガチガチに固まりながらイヴちゃんの肩を抱き寄せて2人の自撮りする宇沢レイサさん。「食べる前にやるつもりだったのが、部屋に入った途端に吹き飛んでしまった」らしい。可愛いね。
年末のカウントダウン、これまたゲヘナで開催されている*4カウントダウンライブの実況中継を見ながら年越しを迎えた。
今年もよろしくお願いしますと挨拶しあってにこにこする2人が本当に可愛くておかしくなってしまいそうになった。おかしくなった。いや元々おかしかったわ。
夜中まで楽しくパジャマパーティをして、昼過ぎに起きた宇沢レイサさんを見送っていたらニュース速報が付けっぱなしだったパソコンで映していたテレビに入った。
ティーパーティー、百合園セイアさん体調不良で入院、面会謝絶のニュース。
(……年明けすぐに……大変だね)
(そうだねえ)
イヴちゃんは単に自分の入院経験に重ねて同情しているのだろうけど、僕は愕然としてしまった。ああ、やっぱり始まるのか。
百合園セイアさんなー。護衛に回りたい気持ちはあったけど、高等部の生徒会であるティーパーティーに中等部の名家出身でも無く首席でもないイヴちゃんが加わるのは土台無理があったのだよな。
超絶可愛くて心優しいポイントで言えばキヴォトス満点なのだけれども、審査基準には残念ながら入ってなかったし……。
ともかく、始まるからにはおさおさ準備怠りないようしないと。
イヴちゃんの可愛くて小っちゃなお手々で掬えるだけのものは掬う。イヴちゃん、キヴォトス全体、その他。
この優先順位は変えようが無いけども。
モブ友人こと
レイサに初めての友達が出来た事によるバタフライエフェクトで、少し前倒しで友達になっています。
手料理食べてもらう描写が飛んでしまっていたのを補筆しました。
評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.20