ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

216 / 216
久田イズナさん(ニンジャ)のカラテの凄さに震える いや今回は実見して無いけど

 結局、朝吹ソフノさん、下江コハルさん、伊落マリーさん、円堂シミコさんの宇沢レイサさんグループBとは合流できないまま、和楽姫の舞台となる渦巻映画村の入口から歩いて5分ほど、手頃なお茶屋さんで時間を潰すことになった。

 和楽姫は先に入場できたチームが基本的に有利なので、渦巻映画村に参加者が入場する順番も抽選制になっているのだ。もちろんスマフォなどで抽選結果が見られるのだけれども、気の早い人達や、早く入れるのを謎に確信している人達は映画村入口前の大スクリーンが見える広場に集まっている。

 イヴちゃんも僕もこの手の抽選には弱い方だし、宇沢レイサさんもそんなにくじ運が良い方では無いということで、スマフォの抽選動画を開いたまま、イヴちゃんが優しく宇沢レイサさんの手を取って和菓子の食べ方と抹茶の飲み方を教えている。過去に僕が教えた知識だけど、覚えててくれて嬉しいな。当の宇沢レイサさんがカチコチに固まってしまっているのは抹茶に対する緊張じゃないんだろう。

「……どう、美味しい……?」

「はい!その、凄く、味がします!」

 とんちんかんな返事にも小さく優しく微笑むイヴちゃん。何だか気のせいかもしれないけど、イヴちゃんの他の人に対する面倒見が、エデン条約調印式の事件以来良くなってる気がするんだよな。イヴ・ニンジャって当然全ての人間の先祖*1って事になるので、イヴちゃんのママ味が引き出されちゃったのだろうか。まあイヴちゃんは元々親切な方ではあるけれども。

 

 なんて思っていると、抽選結果が発表された。宇沢レイサさんグループは――全員が一番最初の入場枠だ。

「……こんなこと、あるんだね……」

「急ぎましょう!」

「……大丈夫、近いから、普通に行けば間に合う……」

 急いで会計しようとする宇沢レイサさんにお手洗いを促して、自分で2人分をさらっと払っておくイヴちゃん。うーんスマート。

 

 しきりに恐縮しながらも、きっちりイヴちゃんの右手と自分の左手を繋ぐ宇沢レイサさん。もう完全に定位置って感じに収まっている。

 少しだけ急ぎ足の宇沢レイサさんに手を引かれて、それに逆らわず付いていくイヴちゃん。

 ん、誰かつけてくる気配と足音。イヴちゃんの視界の隅を借りて確認すると宇沢レイサさんグループBの4人だった。反対する素振りを見せつつも興味津々という感じの下江コハルさん、困り顔ながらも同じく興味を隠し切れてない伊落マリーさん、ちょっと罪悪感を浮かべつつも多分初めての尾行も含めて好奇心が前に出ている円堂シミコさん、一応バレないようにというつもりかサングラスをかけている朝吹ソフノさん。いやバレバレだし。

 こういう場合、僕はどうするべきだろうか。イヴちゃんの幸せを考えると、この企みに乗るべきなのかもしれない。宇沢レイサさんは良い子だ。それは間違いない。

(……ジル、皆、来てる……?)

(き、来ていないヨー。気のせいだったみたい)

 僕が選んだのは乗っかり寄りの保留だった。嗚呼、何も決められない寄生虫って悲しいね。

 

 とはいえ、最初の入場列ができる時点で宇沢レイサさんグループBの4人も並ぶのだから、尾行もへったくれもないのだけれども。

 なるべく間に人を入れて隠れようとしているのがちょっとウケる。

(……チーム同士の連携って、駄目なんだっけ……)

(確か駄目なはず)

 嘘は言ってない。結局時間が近い枠に割り振られて連携したらチーム人数の上限設定意味無くなるからね。うん、そう、それでいこう。僕は僕自身にそう言い訳することにした。

 

 最初のグループの入場が始まる前に、飛行船からのリアルタイム映像を含めての今回のサプライズ。和楽姫の姫役が急遽変更になり、ゲヘナ学園の丹花イブキさんになったらしい。誘拐犯は魑魅一座の姿をしているし、凝ってるなあ。今回は普段より更に特別な当たり回なのかも。

「……イブキちゃん……楽しそう……」

 映像ではドローンに気付いてずだ袋から身を乗り出して満面の笑みで両手を振る丹花イブキさんが映っている。小さく微笑むイヴちゃんにあわせて笑顔を浮かべながら、手をきゅっと握る宇沢レイサさん。他の女の子の話が出てちょっと複雑な心境なんだろうか。

 

 VIP扱いなのだろう、開場時間を待たずに先生と忍術研究部の3人、それとあのもふもふなのは棗イロハさんだろう、合計5人が最初に通されるのが見える。小さく不満の声が漏れるが、「VIPチーム1チーム分、追加のグッズと最前列座席を用意しております」というアナウンスで場が静かになる。

 

 宇沢レイサさんグループBの尾行になってない尾行を受けながら、イヴちゃんと宇沢レイサさんは10番目くらいの入場。

 最初のチェックポイントは、百夜堂の河和シズコさんと朝比奈フィーナさんとの軽い撃ち合い。先生達はとっくに通過したのだろう、新しい弾痕だけが残っていて姿は陰も形も見えない。

「クッ……あんなに世話になったイヴとレイサに銃を向けないといけないなんて。これも渡世の仁義デス!」

「そういうの良いから。はい、もう良いですよ~」

 数合の撃ち合いでイヴちゃんを含めた数グループは通過を許可された。

「あ、全力での撃ち合いはしないんですね」

「……毎回最後までやってると、2人がボロボロになっちゃう……」

 それもそう、と頷く宇沢レイサさん。

 

 ちらちら後ろを見ながら宇沢レイサさんグループBの様子を確認するイヴちゃんと、気にはしているけどそれ以上に隣のイヴちゃんが気になる様子の宇沢レイサさん。慎重に前進していくと前のグループがあっさり次のアトラクションに引っかかって失格になってしまった。

「失格になるとどうなるんですか?」

「……確か、座席を選ぶ順番が、最後の方になる……」

 イヴちゃんがその気になればコネを使ってグッズを入手できる立場だから、悠然かつ冷静に動いているので、まとめて失格にならずに済んだ。

 

 2つめのアトラクションは、眠り姫の春日ツバキさんの眠りが本当の睡眠か、狸寝入りかを見抜けるか。

「あ、イヴにレイサ……Zzz……」

「今か?今だ!あっ!?」

 慌てて走り抜けようとした後続チームが被弾して、係員にあっさり連行されていく。

「……倒されなくても、当てられたらアウトなんだね……」

「どうしましょう?」

 相談するイヴちゃんと宇沢レイサさん。

「さっきの忍者?凄かったね。聞き耳?の術だっけ?」

「あんなの真似できないよ~」

 そうか、聴力を強化してるんだから、狸寝入りかどうかは判断ができるはず。

(イヴちゃん、宇沢レイサさんに境界線手前をうろついてもらって、イヴちゃんは寝息の違いを聞き分けて)

(……良いけど、わかるかな……)

 後続グループがあっさり犠牲になっていく中で、10分近く時間をかけて、寝息の違いをイヴちゃんは掴めたようだった。イヴちゃんが小声で囁き、忍び足でラインを越える2人。

「……できた……」

「やりましたね!」

 もう問題無く通れて声を忍ばせる必要が無いのに、小声で囁きあってくすくす笑う2人。可愛い。

 イヴちゃん達に便乗して2グループほど通ったが、まあそれはそれでイヴちゃんに賭けたって事だから、連携扱いにはならないようだ。

 

 とっくに追いついていたけれども、こっそり様子を伺っていた宇沢レイサさんグループBは別の方法で解決することにしたらしい。円堂シミコさんの能力で、春日ツバキさんの周りがどこからともなく降ってきた本で埋まっていく。視界自体を塞いで通る策らしい。

(……ああいうのがありなら、レイサちゃんを抱えて飛べば良かった……?)

(あ、その手があったか)

 てへ、全然気付かなかったな。

 円堂シミコさんだけオッケー、他は銃撃戦で、となったらしい宇沢レイサさんグループBの様子をちらちらと見ながら、イヴちゃんと宇沢レイサさんはしっかり手を繋いで次に向かった。

*1:
ニンジャであれば遺伝子(ジーン)でなくて情報(ミーム)だけど。




 身体能力だけでニンジャやってるイズナ、リアルニンジャに一番近い生徒。
あれも神秘込みなのでしょうか。

 評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

夢叶って画家になれた転生主は、ともかくブルアカ本編に関わりたくない(作者:木暮鬼一)(原作:ブルーアーカイブ)

▼前世では度を越えた美術オタクだったオリ主が、まさかのブルアカ世界に転生して念願だった画家となり日々を楽しく美術三昧する日々……。▼とはいかず生まれがトリニティ自治区だったせいで強制的にブルアカ本編に巻き込まれそうになりともかく逃れようと懸命に生きる話▼(本人の努力が実るかは知らない)▼尚、主人公のブルアカ知識は事情により2024年中旬までで止まっている模様…


総合評価:12126/評価:8.45/連載:56話/更新日時:2026年08月12日(水) 00:00 小説情報

もう一人の勇者(作者:Katarina T)(原作:ブルーアーカイブ)

ある廃墟で一人の少女が目を覚ます。▼それは一つの物語が始まることを指していた。▼………これは少女が自身の意味を見つける物語である。▼ちょっと宣伝!番外編の RTA風味 実績『予定外のハッピーエンド』獲得まで を連載化して投稿しております。▼良ければ明道トウハちゃんとAL-2Bちゃんの活躍をみてあげてください!▼https://syosetu.org/nove…


総合評価:4786/評価:8.37/連載:134話/更新日時:2026年06月01日(月) 17:05 小説情報

デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます(作者:十文字マトン)(原作:ブルーアーカイブ)

神秘と恐怖と共存してる時ようやく崇高を観測できる▼つまりかっこいいロボの事!?▼本来無意味なお話が自ら「崇高」の境地へ▼つまりかっこいいロボの事よね!!!???▼なのでのんびり預言者を作るぞーーーと思ったら何故か連邦生徒会所属になった、どうして?▼原作に沿ったり沿わなかったり、百合百合してるロリデカグラマトンのお話。▼★メインストーリーネタバレあります▼メイ…


総合評価:8395/評価:8.25/完結:223話/更新日時:2026年08月19日(水) 07:00 小説情報

調月姉妹のやべー方(作者:アリマリア)(原作:ブルーアーカイブ)

調月姉妹のやべー方がキヴォトスライフをエンジョイする話


総合評価:4033/評価:7.75/完結:144話/更新日時:2025年06月30日(月) 18:00 小説情報

ブルアカにTS転生してメス堕ちする話(作者:アウロラの魔王)(原作:ブルーアーカイブ)

ブルアカにTS転生した元男が過酷な目に会う。ただそれだけ。▼これは、男の中の男を目指した元男が、なぜかメス堕ちする話。▼直接表現はしてないからセーフ!なはず。▼※エ駄死!な方は静かにブラウザバック。▼3/20▼※非ログインでも感想書けるようにした!▼5/8▼※R-18版投稿!↓▼https://syosetu.org/novel/315837/▼↓ぴょー様よ…


総合評価:10534/評価:8.64/連載:62話/更新日時:2026年08月01日(土) 11:37 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>