ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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身長(タッパ)(ケツ)がデカいタイプの先生です いやデカすぎんだろ……

 まさかの本編開始に気付かんあほ、それが僕、大天使イヴちゃんのおまけジルです。

いやだってさあ、確かストーリー見直すところでも見られんかったやろ?つまり1回しか見る機会無いし気付かなくてもしょうがねーんだってばよ!

それに何を言おうがもう時間は進んでしまってる。ノーカウントだ、ノーカウント!!同じ知的生物じゃないか。な?分かるだろう?

 

 まーこの世界、ゲームの中とかではなくて、ゲームと類似してる現実にある世界だとは思うのだけれども。

ゲームにしては解像度がヤバいし、作中ではコストの都合でだろうけど、描画されてなかった名前の無いモブもちゃんと顔が皆違うし名前だって当然だがある。

 まあそう思ってるだけで、水槽の中の脳仮説的なアレだとか、世界そのものがコンピュータ内に構築されたシミュレータって可能性も無い訳では無いけども、観測のしようが無いしな。

 

 普通の生徒であるイヴちゃんは初めて来た連邦生徒会の執務フロアの一角。ミレニアムの未来的なものに近い、でもより白を強調した、一種病院にも近いようなデザインで統一されたフロアにお歴々が集まって、どう聞いても楽しく無さそうな騒ぎが起こっている様子だ。

 あれが七神リンさんうおでっか。眼鏡からギラつく視線が鋭い。他校のお偉方を目の前にしても一歩も引かないというか、不機嫌そうで疲弊しきってるのを隠しもしないのは大物感が凄い。

しかし、羽川ハスミさんもおるから乳密度えらいことになってるな。別に全然貧弱じゃ無い早瀬ユウカさんと初見の火宮チナツさんがなんか並ぶと普通にほっそり系みたいやんけ。

 先着してたらしい守月スズミさんがこっちを見てちらっと手を上げた。宇沢レイサさんがごくごく自然に握っていたイヴちゃんの手を離して、ちらっと目礼し駆けていく。

早瀬ユウカさんも頼れる綺麗で優しいお姉さん、という普段の顔では無く、仕事のできる怜悧な顔でつかつか騒乱の中心地に歩き出した。ミレニアムの外だからか尚更キリッとした感じだし、事実仕事はすげーできる人らしいので普段の姿との違いにちょっと圧を感じるな。別にイヴちゃんに圧をかけたい訳では無いだろうが。

 

 で、その横が先生――うおでっか。いや身長高くない?羽川ハスミさんより頭気持ち高いから180cmちょいってところか。ヘイローが無いから身長同じくらいなのにちょい小さく見えるけど。

そして女性の、純和風って感じのぱっつんボブ、黒髪の凄まじい美人。体つきも凄く豊満で、胸は流石に羽川ハスミさんと七神リンさん程では無いが、他初期組2人の平均値越えよりも大きい。

髪の毛パージしてめっちゃ糸目で笑顔になったら例のアロナちゃんの似顔絵に似て……いや無理だろ。和風美人だけど童顔気味で目鼻立ちはくっきりしてるで。

年齢はぱっと見20代前半ってところか。背筋を伸ばして上下黒のスーツと白のブラウス、膝下タイトスカートに黒タイツ、黒のローヒールといかにも立ち姿も先生って感じ。黒が好きなのか、着任初日だから気合入れただけなのかな。

 その先生は形の良い眉を寄せて困った顔をしている。まあキヴォトス来たばっかで大した説明もなく、いきなり先導してた子含む顔の良い子達が口喧嘩始めて自分の事ほったらかしならこうもなるだろうな。

「代行、連邦生徒会長に会わせてくれるの?!」

「首席行政官、お待ちしておりました」

「連邦生徒会長に会いに来ました、風紀委員長が現在の状況について納得のいく回答を要求されています」

「トリニティ自警団です、連邦生徒会長に直談判を」

「……横の大人の方は?」

「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね。こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん」

 いやあんまりにあんまりすぎるだろリンちゃんさんこと七神リンさんよお。まあマスメディアに個人崇拝じみて訳分からんくらい持ち上げられる*1凄く仕事ができる完璧超人だったらしい連邦生徒会長が突然いなくなって、自分のせいでもないのに仕事が大噴火している鬱憤も分からんでも無いけどさあ。

陳情者の正当性も多分理解してるうえで言ってるっぽいし、喧嘩していい相手でも状況でもないと思うのだよな。こら確かに外向けの仕事は向いてなさそう。

しかし美人が怒ってる顔って怖いなあ。

「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由はよく分かっています。今、学園都市に起きてる混乱の責任を問うために……でしょう?」

 早瀬ユウカさんがこめかみに青筋を立てて怒鳴る。イヴちゃんがちょっとビクッとしてしまった。

「そこまでわかっているなら早く何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!うちの風力発電所もシャットダウンしたんだから!」

 ふぅ、と溜息をついて火宮チナツさんが続ける。

「連邦矯正局で停学中の生徒達について、一部が脱出したという情報がありました」

 ああああああああやっぱり七囚人脱走してるんだ……。っていうか今日、狐坂ワカモさんと遭遇しかねないのか……。絶対顔覚えられてるよな~。最悪。

(イヴちゃん、ちょっと今日はやべー奴とカチあうかもだから……ごめんね?)

(……え、ええぇ……謝られても……)

「不良達が登校中のトリニティ生徒を襲う頻度も急激に高くなっており、治安の維持が難しくなっています」

 羽川ハスミさんに目配せする守月スズミさん。羽川ハスミさんが重々しく言う。

「戦車やヘリコプターなど出所のわからない武器の不法流通もトリニティで判明しているだけで2,000%以上増加しています。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 最近チンピラに絡まれる事増えたな~とは思ってたんだよな……。春休み中だからまだマシだけども……。やべー。

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 いやまじでみんな腹は立ててるけど、内容は正論過ぎでしょ……。

 これ袖にする七神リンちゃんさんすげーな。ゲームだとまーそんなこともあるよねって思ってたけど、実際にキヴォトスに住んでる当事者だと勘弁してくれとしかならんし、ましてや他の生徒の生活に責任を持つ立場だと、そらキレ散らかしちゃうよね……。

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

「え?!」

「やはりあの噂と報道は……」

 例の報道、やっぱ正しかったんか……。ざわつくみんな。

「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが、先程までそのような方法は見つかっていませんでした」

 そもそも論だし別に七神リンちゃんさんのせいじゃないと思うけど、一人おらんようになったら全部止まるシステムってヤバ無い……?

行方不明とか急病急死とかの時どうするつもりやったんやろ。いやこれが答えか……笑わせる……制御不能はこのシステムの方だったか……。

「つまり、今は方法があるってこと?」

「はい、この先生こそがフィクサーになってくれるはずです」

「この方が?」

「"私が?"」

 鈴の音を転がすような先生の声。永遠に聞いていられそうな美声だな。いや何やこの完璧超人は。ゲーム通りなら結構ズボラで駄目なところとか、一部の生徒にはアフターケアができてなかったりとか全知全能では勿論無いのだろうけども。

美人の涙が最優先出来そうだから、先生の補佐にもやる気が出るってもんだね。

「あのう……そもそも、この方はどなたなのですか……?」

 おずおずと尋ねる、先輩方の圧に押されて無言だった宇沢レイサさん。

「そうよね。どなた?どうしてここにいるの?」

「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」

「はい、こちらの先生はこれからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

「"ご紹介にあずかった先生です。みんな、よろしくね"」

「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」

 額を揉む仕草をする早瀬ユウカさん。宇沢レイサさんは勢い良く自己紹介をして、ぴょこんと頭を下げた。

「こんにちは!!!トリニティ自警団の超大型新人、宇沢レイサです!!!!!」

「あ、レイサ、それ自分で言うの……?えっと、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールのセミナー、早瀬ユウカです。いや挨拶は今はどうでもよくて……!」

 いやいや、アイサツは大事です。古事記にもそう記されている。

 一瞬和んだ場を、再度ズバリと両断して空気を極悪にしていく七神リンさん。乗っかっておけばマシそうな気も……いや性格的にも無理そうか。

「そちらの煩い方は今は気にしなくていいです」

「誰が……!」

 当然、激おこ早瀬ユウカさん含めた全員に、先生が軽く頭を下げて挨拶した。

「"よろしくね、みんな"」

「先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた特別な部活、連邦捜査部『シャーレ』の担当顧問としてこちらに来ることになりました。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のためキヴォトスに存在する全ての学園の生徒達を制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で制約無しに戦闘活動を行う事も可能です」

 七神リンさんの説明でざわめく一同。学校を問わず、目線が交されて動揺が共有される。

(……どういうこと……?)

(えーとね。前、国家の要件を説明したっけ?)

(……国民、領域、主権……だっけ?)

(それ。そのうち国民に当たる生徒を無制限に徴募できて、主権はまあ暴力、今の七神リンちゃんさんの言葉を借りると『戦闘活動』かな)

(……それを勝手にできるってこと……?凄く、凄くない……?)

(いや凄く凄いよ。まじ無法って感じ。早瀬ユウカさんがビビるレベルだよ、ほら見てみて)

(……ユウカさんのこんな顔、確かに初めて見た……)

 イヴちゃんに軽く解説してる間に七神リンちゃんさんの話は進んでいる。

「連邦生徒会長が何故これだけの権限を持つ組織を作ったかはわかりませんが……。ともあれ、シャーレの部室に先生をお連れしなければなりません。約30km離れた外郭地区にあり、今は殆ど何も無い建物ですが、そこの地下に『とある物』を運び込んでいます」

 今年以降山ほどやってくる厄ネタ対策だろうなあ。

 連邦生徒会長、アカシックレコードにアクセスできるとか、そういう予知能力系の神秘を持っていたんじゃないだろうか?まあ憶測に過ぎないけども。

 それとも、それとも何だ?やり直しループをしている、ルーパーだったのか?何て軽く考えたところで、眩暈がした。

 

 数秒の時間が過ぎていたらしい。

(あれ、眩暈とかしなかった?)

(……私は、何も……)

 イヴちゃんが大丈夫ならまあ、いいか。

 話が一段落したのか、七神リンちゃんさんは壁面に掛かっているでかいタッチパネルでどこかに連絡を取り始めた。

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」

 モニタに映ったピンク髪の角が可愛らしい少女が映る。由良木モモカさんだな。つまんでいる明太子チップス美味しそうだな。

(……あれ、美味しそう……)

(帰りに買って帰ろっか)

 D.U.の駅や列車内広告でもよく見かけるので、この辺りでは定番の商品らしい。トリニティやミレニアムでも売ってるのかもしれないけど、僕は見た覚えが無い。

 由良木モモカさんがほーんって感じで答える。

「シャーレの部室?ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」

「は?」

「連邦生徒会に恨みを抱いてる地域の不良を先頭に周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから持ち込んでる。シャーレの建物を占拠しようとしてるみたい。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?」

 ゲームだと何で何もない建物を占拠しようとしてるのかなと思ったけど、実際見たら連邦生徒会が大々的な広報も打たずにあんなクソデカタワー建ててたらそら何かここに大事なもんありますよ~!!!!って喧伝してるみたいなもんだよな。

青筋を立ててビキビキして"!?"みたいな感じの七神リンちゃんさんを見ても全然感情を動かした素振りを見せずに、ポリポリと明太子チップスを食べる由良木モモカさん。すげーな。大物だ。感動したわ。

「まあでも、もうとっくに滅茶苦茶な場所なんだから別に大したことないよね。あっ、先輩、お昼ご飯のデリバリーが来たから、また連絡するね!」

 あっ切られた。っていうかお昼ご飯まだなのにおやつ食べてるの?どうでもいいけど。

 ぷるぷると全身が震えている七神リンさんと、心配して声をかける先生。

「"大丈夫?深呼吸でもする?"」

「ええ、大丈夫。大丈夫ですとも。ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

 あっやべ、あんまりにやり取りが面白すぎて逃げるタイミングを失ってた。

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」

 七神リンちゃんさんの合図で控えていた連邦生徒会委員により、苦情を入れに来た4人と随伴の宇沢レイサさん、ついでにイヴちゃんまで引きずられて行くことになってしまった。

 まあシャーレの先生と連邦生徒会に恩を売っておくのも悪くは無いし、ええか。トリニティは1年でもちょーつよいって事を先生に意識してもらうのはいいこと。かもしれない。

(イヴちゃん、派手に暴れようね!)

(……え……ええ……?)

 オモシロイ……。(合成音声)

*1
割と真面目に何かのプロパガンダでもやってるのかと思っていた。




 宇沢レイサさん誕生日おめでとう!!!!!

 評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。

 紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.21
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