ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
やってるやってる~。連邦生徒会が飛ばした偵察用ドローンが送ってきた画像が車内で中継されてて、いつものキヴォトス感が凄いね。
シマがドンパチ賑やかになったから今日はキヴォトス記念日。いやそれで言ったら毎日がそうか。
連邦生徒会の備品らしき白色に塗装されたM113っぽい車両の2両編成で一緒に連れてこられちゃったイヴちゃんの更に安いおまけのジルです。
七神リンちゃんさんが運転手で、巻き込まれた協力者6人全員が2両目、先行する1両目は連邦生徒会防衛室の生徒が対応のために乗っているらしい。
狭いし暑いので天蓋の装甲を開け放ったうえで、イヴちゃんは天板に腰掛けているのでD.U.中心部から再開発地域に移動していく中で風景が寂しくなっていくのがよく見える。
暴動が写ってる車内のモニタはちょっと見辛いけど、どうせいつも通りドンパチしてるだけだろうから、見なくてもいいって感じなんだよな。
七神リンさんのいらつきが現れてるのか、元々運転が下手くそなのか、すげー運転が荒いし、各校の代表のとげとげしい空気がいたたまれないから車内にいたくないってのもあるけど。30kmも距離があるので20分ちょいは掛かるはず。
いや装軌車両で鋼製履帯履いてるのにもっと飛ばしてるか?道路荒れそうだなあ。
映像が切り替わった。新築でピカピカのシャーレのビル前が戦場になってるね。あっという間に弾痕まみれになっていくのが不憫だ。
再開発の真っ最中でほとんどの土地が整地したばかりみたいだから、ドンパチしてもある意味問題ないっていうのもまあそう……か?
あ、止めてあったブルドーザが流れ弾で吹っ飛んだ。
暴れてる連中は色合いと服装的にヘルメット団とスケバン集団の混合っぽい。車内で七神リンちゃんさんに説明を聞いたとおりだ。
先生のついでって感じで、『1年坊主に何で説明したらなあかんねん』みたいないやいやそうな態度丸出しで、ますます僕の七神リンちゃんさん、ひいては連邦生徒会への好感度が下がる音がしたのは余談としても、矯正局でまず七囚人が脱走してから、他の拘置所的な施設が襲撃されて、収容されていた生徒や元生徒の集団が脱走したらしい。
「そもそも、何で私達が不良と戦わないといけないの!?これでも私、ミレニアムでそれなりの立場なんだけど!?」
ゲームだと割と忘れがちだけど、別に早瀬ユウカさんはばりばりの武闘派だとか前線戦闘員じゃないものな。
車内に戻ったイヴちゃんが周りを見渡すと、学園外ではあるものの治安維持の仕事ではあるからか、宇沢レイサさん、羽川ハスミさん、火宮チナツさん*1は普通に協力するつもりっぽい。
装備をチェックしているのが手慣れていて戦場行きタクシーって感じ凄いね。みんな美少女美女なのでめっちゃ絵になる。
(……ジル……やる、んだよね……?)
(先生を放っておいて死なせるとマジで洒落にならないしね。イヴちゃん、頼める?実戦経験がてらやってみよう。駄目そうなら代わるから)
(……う、うん……)
イヴちゃんも散弾銃とリヴォルバーカノンの準備、リヴォルバーカノンは一発だけ空めがけ試射、轟音が号砲のように響き渡る。
僕達を乗せてきてくれた車両自体は2両とも機関銃も迫撃砲も積んでないから支援車両としては使えないな。装甲板もぺらっぺらぽいし。
先生がむくれている早瀬ユウカさんに声をかけた。
「"ユウカ、悪いけど手伝ってくれない?"」
狭い車内で身を乗り出して向かい合う先生を見てみるみる顔を赤くしていく早瀬ユウカさん。大人の色気に中ってる感じかな。
「し、しっ仕方ないですね!シャーレ発足の折には、ミレニアムにもちゃんと便宜を図ってくださいね!貸し1つですから!」
「"うん、ありがとう。ハスミ、スズミ、レイサ、イヴも手伝ってくれると考えていい?"」
他の全員は躊躇なく頷く。
「もちろんです。破壊行為を見逃せませんから」
「このトリニティの守護騎士、宇沢レイサ、承知しました!もちろん、走る閃光弾、守月スズミさんは自警団の精鋭ですし、イヴさんもとっても強いので、お任せください!」
「レイサさん。……ええ、まあ、その呼び名はともかく。協力はさせてください」
「……が、がんばり……なるべく、がんばります……」
多分一番実戦経験が少ないイヴちゃんの答えは気弱だ。まあ人間相手はほとんど経験してないし、しょうがないけども。
映像にしっかり戦車が写ってる。車種まではわからない。そんなに大型の車両ではなさそうだけど、対戦車装備が無いのが少し気になるところ。あっ、映像が切れた。ドローンが落とされたみたいだ。
皆の得物を見るとイヴちゃんのウッドペッカーちゃんが一番ごついし、建物よじ登るのはほぼ平地だから無理だけど、ブースタ使えば1回は上取れるから、戦車の種類によっては充分食えるだろう。原作だとどうやったんだっけ?廃ビル倒すか何かしたんだっけ?
徹甲弾をそんなに沢山持って来てないんのが気に掛かる。
イヴちゃんを含む全員が先生とモモトークのアカウント交換するのを見ながら考える。
(大物食いはイヴちゃんがやる感じになりそうだね)
(……ぴえ……)
困惑鳴きしちゃうイヴちゃん可愛い~~。
「"武器は……イヴの武器が一番大きいかな?"」
「……はい……やっぱり、私が――?」
「先行車両から伝達。敵集団先鋒と接触した模様です。敵はヘルメット団と不良生徒混合、数およそ100人程度、戦車2両を伴う。ドローンの偵察情報と概ね一致しています」
イヴちゃんの言葉を遮って七神リンちゃんさんの情報共有。しょうがないけど間悪いなあ。えっ戦車2両??
座ってても見えるけどもっとちゃんと見たくて、イヴちゃんに頼んで再度車両の上に上がってから、立ち上がってもらう。
鍛えてるから別に振り落とされたりはしないんだけど、あわあわ言いながらイヴちゃんのふくらはぎを握って支えてくれる宇沢レイサさん。表情ちょっと嬉しそうだし、今ふくらはぎ撫でてなかった?気のせいかな?
まあともかく、遠くを一生懸命見るとあそこで扇動してるのは狐坂ワカモさんだな。あれっ、隣に河駒風ラブさんらしき子がおる。
先行したM113はもう戦闘加入していて、防衛室生徒は降車して戦闘に入った。M113は下手くそな動きで下がっていく。
防衛室の生徒達は後ろから見ていてもへっぴり腰だし連携もまずそうだ。本業はデスクワークなのだろうし、ありゃあんまりアテにできないな。
まあ死にはしないんだから、弾除けとしてこっちの戦闘加入まで時間稼いでほしい。連邦生徒会委員が死に場所を選べる立場かよ。ウハハハ!*2
全員キビキビと降車した。先生はちょっともたもたしてるけど、まあしょうがない。
七神リンさんが荒い運転で車両を後退させる。防衛室の生徒達はもうほとんどやられたか射すくめられて亀になってしまったみたいだ。
連邦生徒会の第1波を撃退したと意気軒昂な不良達は破壊か略奪か、新手、つまり僕達と戦闘するかに別れている。
僕達は遮蔽物に分散して様子を伺う。
げ、狐坂ワカモさんがこっち見た。
「あの時の白髪頭に、自警団……!借りを返す好機でしょうか?しかし、トリニティの3人とも馬鹿面揃えているとなると、少し厄介ですね……」
「あっ!あんたあの時の白髪頭!あんたのせいで矯正局にぶち込まれそうになったんだから!借りは返す!」
「あら……ラブ、やる気があるなら、ここは任せますよ」
「あっ、ちょっと!ワカモ!どこに……」
「私達は単なる協力者でしょう?それとも、指図するつもりですか?」
「うっ……い、言ってないでしょ!」
涙目の河駒風ラブさん可愛いね。もう力関係丸わかりだなあ。かわいそかわいい。狐坂ワカモさんはすっと身を翻してくそでかタワー*3の方に走っていく。
っていうかやっぱり白髪頭ってあだ名ついちゃったんだ~。名付け的な意味でろくな事になんねえ。
周りの不良も杏山カズサさん護衛戦でついでにぶち込んだ連中が大半らしく、イヴちゃんを見て吹き上がっている。うっざ。
あっ、残ってた防衛室の最後の子がやられちゃった。弾除けもいなくなった。
呆れた顔で早瀬ユウカさんが銃をぶっ放しながらイヴちゃんに尋ねる。
「イヴ、注目の的ね。あんまり羨ましくない注目のされ方だけど。何したの?」
ドヤ顔の大声で宇沢レイサさんが答える。
「スズミさん、私、イヴさんの3人で災厄の狐を協同撃破しました!!!!」
「えっ、災厄の狐って七囚人……?あなたたち凄いのね……」
率直に賞賛顔の早瀬ユウカさんとドヤ顔の宇沢レイサさん、ちょっと頭を抱えてそうな守月スズミさん、全然嬉しくなさそうなイヴちゃん。ウケる。ウケてる場合じゃ無いが。
「お喋りはそれくらいにして、そろそろ本気で行きましょう」
「先生はヘイローがありません。一発の被弾が命取りになります。私は医療後方支援が得意なので、後方支援に回りたいと思うので、私の更に後ろで見ていてください」
「"わかった。みんな、イヤフォンはある?後ろから俯瞰して見られる分、情報共有は私がした方がいいと思う"」
モモトークのグループ通話機能を使って全員の連絡体制ができた。戦場でスマフォを触ってるの、現代っ子って感じあるね。そうか?
前衛に早瀬ユウカさんと宇沢レイサさん。中衛守月スズミさんとイヴちゃん、後ろ狙撃羽川ハスミさん。後方支援で火宮チナツさん。
早瀬ユウカさんはどれだけ荒事慣れしてるか未知数だけど、宇沢レイサさんの腕前は安心できるから、適当に銃弾垂れ流すだけで勝てそう。
勝ったな。ご飯行ってこよ……とも行かんのだよな。
七神リンちゃんさんはM113をもっと後ろに下げるし戦闘には加わらないそうだ。ふーん。
連邦生徒会の仕事ちゃうんかい、って不快感がアップするけど、イヴちゃんが何も言わないなら僕も何も言わない。
「"防衛室のドローンがさっき撃墜される直前にデータを送ってくれてたから、現状とあわせて指示を出すよ。戦車は後方、来るまでまだ時間がある。まずは接触した相手を全部倒して"」
「「「「「「了解」」」」しました!!!」……です」
人数は多いが、所詮烏合の衆。ヘルメット団は河駒風ラブさんの指揮下に入っているが、分派が違うらしく連携は不味いしお互いをカバーする意思がそもそも殆どない。
何なんだろうねヘルメット団の分派って。まあ楽で助かるけど。
「"ユウカ、遮蔽物を使って。体を守れるものとか、持ってる?"」
「ミレニアムの最近一般発売し始めた装備なので隠しませんけど、防護フィールド発生装置があります」
「"バリア?!かっこいい~!!あっユウカ、3秒後にバリア使って!"」
「?はい、ってきゃあ!!」
角から戦車のうち1両が突っ込んできた。クルセイダーⅠかな?バリアごと吹き飛ばされる早瀬ユウカさんは無傷だが戦車を見て舌打ち。戦車の搭乗員は自身の優越性を確信しているのか、悠然と40mm砲搭載砲塔を回して獲物を探している。
戦車に跨乗してる子も、視界の悪さを補うためにキューポラから外を視認しようとする乗員もいないから、戦車は何も見えてないけど楽しくて撃ちまくってるってところだろうな。見た目ほどの脅威じゃない。
先生の指揮が続く。
「"レイサ、戦車左側の子を掃射。スズミ、閃光弾投擲。イヴは弾幕で周りの子を倒しつつキャタピラを狙って。ハスミは後ろに回って、戦車後方の薄いところに徹甲弾をお願い"」
車長はちゃんと周りを見ないと、随伴歩兵もいない視界最悪の戦車なんかあっという間に喰われてしまうのだが、ちゃんと教育を受けてないのかな?
受けてないか……不良だし、3大校でもないと戦車の運用なんてあんましなさそうだしな……。
ビジョンブロック*4だか銃眼だか越しでも閃光弾はしっかり効いているみたいで反応が更に悪くなった。
ふと、前進中のイヴちゃんが無線越しに先生に尋ねる。
「……先生は、何か、軍隊とか、経験が……?」
「"FPSとか
見た目的には判らないと思うけど、凄くげっそりしたイヴちゃん。
(……聞くんじゃなかった……)
(まあまあ)
イヴちゃん以外もちょっと指示に疑問を持っちゃったかもだけど、ゲーム由来にしては悪くない指示だし、何も知らんよりはマシだろう。
相手ははっきり言って連携もクソもないが、随伴歩兵を剥がすのは戦車の目と耳を潰すのには悪くない。
降車が終わったのを見計らってイヴちゃんが掃射。
(一応、逃げ遅れがいないか車両の中見ておいて)
(……うん……)
「"イヴ、戦車内の確認お願い。みんなは前進。戦車もう1両いるはずだから気をつけて"」
先生が追認するような指示。
開け放たれたハッチの中を覗き込むと誰もいないので、飛び込んで操縦レバーのめぼしいものを蹴り折っておいてもらう。
転輪ぶっ壊れてるとはいえ砲や機銃は生きてるので、消火して再使用されたら厄介だからね。
討ち漏らしがいないか警戒してもらいながら急ぎ前進し、皆と再度合流、
おや、シャーレビル前に残党と戦車がいたのか。もう1両の戦車、これもクルセイダーⅠは随伴する河駒風ラブさんの指揮で、もう少しまともな戦闘がされていた。
といっても指揮官が歩兵と戦車の指揮をしながら自分も戦うなんて忙しすぎて現実的では無く、あっという間にばたばた倒れていく不良とヘルメット団員達。
形勢不利と見たのか赤ヘルメット団員が前に出る。
「あ、姐さん!ここは逃げてください!折角脱獄したのに、再収監なんてされたら組織の立て直しに時間が!」
いやそれ聞いたら益々逃がしたくねえが?と思った途端、轟音を立てて戦車まで前に出てくる。
「ふ、あんた達にだけいい格好はさせないぜ」
「ちっ、ガタガタヘルメット団が知った口を。だが……助かギャー!」
いや普通に撃つよね。何となく『待った方が良いのかな……?』って敵味方共になってたのをガン無視してイヴちゃんが発砲した。
(……今、撃ったらだめだった……?)
(いいよ別に。こいつら悪党だし)
「く、くそ……!すまない!きっと助けに行く!」
身を翻して逃げ出し始める河駒風ラブさん。
「……せ、先生……逃げられます……」
「"うん、でもまずは戦車と残りを優先して"」
イクサ慣れしてる他の皆は、この状況で河駒風ラブさん追撃は無理だと判断したらしく口を挟まない。
僕かイヴちゃんが狐坂ワカモさんとまたやり合うかもしれないから、アサルトブーストは切りたくないんだよな……。2回使ったら燃料詰め直すまで当然使えんし。
羽川ハスミさんがイヴちゃんの発言を汲んでくれたのか河駒風ラブさんの逃げる背中を一発狙撃してくれた。当たったけど痛がりながらも倒れず逃げていく。あっちは駄目か。
他の皆は戦車含むそれぞれの脅威があってそれ以上の深追いは無理め。
(イヴちゃん、切替えて戦車喰っちゃおう)
(……わ、わかった……)
残党歩兵を排除して後ろに回り込み、エンジングリルの上でウッドペッカーが囀ると、あっという間にエンジンが鉄屑になり火を噴いた。
やっぱCユニットもついてない上に歩戦協同できてない戦車はだめ。
20tクラスの戦車は威圧感もヤバかったし乗員分の神秘補正もあってそれ以上に堅い感じだけど、街道上の怪物にはなれなかったね。合掌ばい。
先生の指揮はまあ……悪くは無いけど、普通……?シッテムの箱があったら多分違うのかな。逆にな~~んも無い未経験者がここまで出来たら凄いのかもしれないが。
評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.21