ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
トリニティ高等部校舎近く。杏山カズサさんは最初に来ていた。
「おはようございます……」
「おはよう。何、眠そう」
「……眠くない……よ?」
いやちょっとイヴちゃん眠そう。昨日寝た時間は普通だったし、朝方ならまあこんなもんかもだけど。
「悪いね、付き合わせて」
ふるふると首を横に振るイヴちゃん。あ、先生が来た。
「"おはよう、カズサ、イヴ"」
「「おはようございます」……」
「先生、イヴさん、杏山カズサおはようございます!!!」
「うっさ」
「"おはよう"」
「おはよう、レイサさん……」
「ストーカーの人は来てますか?!」
「何、その言い方。まだ……あ、来た」
向こうから走ってくる左茶髪、右金髪、銀髪のポニーテール(エクステか何か?)、黒いマスクを顎下につけ、トリニティ制服を全体黒っぽい感じに改造してミニスカにした制服の女の子が走ってきた。漫画みたいなギザ歯でニコニコ笑顔。体格はまあ普通にあるって感じ、身長160cmくらいかな?銃は杏山カズサさんと同じブレン軽機関銃だ。
「カズサ先輩、おはようございます!!!!って何すかこいつら。うわ背でっか!えっヘイローねえし」
「うっさ……」
この子が噂のストーカーらしい。いやマジで誰だよ。虚無からやべー女がPopしてきてんじゃんよ~。*1コワイヨー。
「"初めまして、シャーレの先生だよ"」
「自警団のアイドル、宇沢レイサです!」
「御蔵イヴ……」
「はー?あんたがこないだからニュースに出てる先生っすか。こんなでっかかったんすね。で、自警団の良い子チャンのチビと弱っちそうなチビは何?このカズサ先輩一番の舎弟のアタシに何か用っすか?」
じろじろと見下ろしてメンチを切る舎弟ちゃん(仮称)。そこまで宇沢レイサさんとは背違わないし先輩ってことは中等部でしょ~。ンモー。まあイヴちゃんの良さ、初見のぼんくらがわからなくてもしょうがないね☆折るよ☆
「舎弟にした覚えないんだよね。ってか、あんた意外とニュースとかちゃんと見てるよね」
「先輩が『不良でも世間の動きは知ってる方が賢い』って言ってたんで!!!」
「自分で言ったのに忘れてるわ、私……。こないだ、七囚人が脱走したニュースは見た?」
「見ましたっす!そこの先生が来る前っすよね!あのニュースで狐坂ワカモがFOX小隊とやりあう映像何回も流れてましたけどすげーかっちょよかったっすよね!何ていうんすか?アウトローの美学?不良ってのは口だけじゃ無くて強さも無いとなって!いやもちろんカズサ先輩の方がかっけーし強いに決まってるんすけど!」
急に早口なるやん。おたくか?あとどっかの社長とかと仲良くなれそうだね。
「うっさ。あの狐坂ワカモをその前に捕まえた3人のうち2人がそこの宇沢とイヴ」
「ナマいってすんませんでしたァ!!!!!
すげー掌超高速回転してる。さっきのナメ腐ったまなざしが一転、尊敬でキラキラしている。いやこれはこれでこえーよ。まあイヴちゃんも宇沢レイサさんも可愛いのは確かだけど。宇沢レイサさんもイヴちゃんもびっくりしてきょとんとしてしまった。
「"な、なるほどね……?"」
「通報とかって感じじゃ無いって言ったでしょ……」
「私とイヴさんと杏山カズサで撃ったら解決かなって思ってましたけど……」
「……撃つ……?」
やめたげてよぉ。明らか強い子って感じしないもんよ。
「アタシ先輩と姐さん方に撃たれたら死んじゃいますよ?!」
「
こりゃ確かに通報だとか今ぶちのめして解決って感じでも無さそうだなあ。このコロコロ変わる無邪気な顔を見ても悪気をもってつけ回してる感はないよね。
「"まあまあ、今は挨拶したかっただけだから。もうすぐ授業始まるでしょう?またね"」
「先輩と姐さん方と登校できないの残念っす!!!」
「うっさ。あとあんた、反動強い銃使いづらいって言ってたでしょ。変えたら?」
「先輩、やっぱアタシの事気にしてくれてるんすね!!ちょー嬉しいっす!!」
「うっさ」
「あ、姐さん???」
「……初めてそんな呼ばれ方したね……」
(かなり特殊すぎるシチュエーションではあるよね)
苦笑いする先生、こめかみに指を当てる杏山カズサさん、放心顔の宇沢レイサさん。最初の剣呑な雰囲気は霧散して大型犬が尻尾を振るみたいにぶんぶん手を振って去って行く舎弟ちゃん。うーん、凄い女だ……。
放課後スイーツ部は校内掲示板に設立の告知が貼られているのを、自警団の補助団体化の告知をイヴちゃんが張りに行くときに見たから出来てたのは知ってたけど、実際に活動を見るのは今日が初めてだった。先生に言われた集合時間までまだ間があったので最近できたばかりのスイーツ店を覗きに行ったら遭遇したのだ。宇沢レイサさんはちょっとだけ遅れて来る予定。
「あっ!あなたはあの時の……!」
貴様はあの列車の……好都合だ、決着をつけようか!なんてことはもちろんなく、僕も
「なーに、知り合い?」
もぐもぐしてるのは伊原木ヨシミさん。ちっこい……はずだけど、
「ずばり、元彼女とか?」
「明らかに台詞が合ってないわよ、それ」
変なことを言い出すのは柚鳥ナツさん。
「私とカズサちゃんが、その。危ない時に助けてもらったの。あの時はお礼が言えなくてごめんなさい。あっ、私は栗村アイリ。よろしく」
(冬に杏山カズサさんを助けたときにね)
(言ってたね、そういえば……)
「……大丈夫……」
「不良に絡まれやすいもんね、アイリ。私は伊原木ヨシミ」
「ヨシミもだろう。柚鳥ナツ、よろしく」
「うっさいわね!!」
「御蔵イヴ、です……。よろしく……」
賑やかで楽しそうだ。
(イヴちゃん、僕達も食べよう)
(うん)
「あの、イヴさん、お礼にご馳走させてください!それと、よかったら一緒にどうですか?みんな、いいかな」
「アイリの命の恩人ならもちろん」
「命のってことはないでしょ。ま、いいけど」
「えっと……私も後から、友達が来るけど、一緒になってもいいなら……」
「「「もちろん」」!」
パフェタワーがこの店の売りらしい。イヴちゃんもそれなりに大きいチョコパフェのタワーを頼んでいる。栗村アイリさんはもちろんチョコミント、伊原木ヨシミさんは限定メニューのイチゴカスタード、柚鳥ナツさんはミルク&ヨーグルトという牛づくしのだ。
「あっイヴさ……ん、と、はじめまして……?」
「あ、あなたは自警団の!助けてくださってありがとうございます!」
「……アイリ、あんた意外と鉄火場に縁があるの?」
「意外だね。実は壮絶な過去があったり?」
とりあえずの自己紹介をお互いに挟んで、栗村アイリさんが話し始めた。
「イヴさんと一緒に私達を助けてくれたの」
「……??」
「……冬の、あの時の……」
「あっ!!キャスパリーグとの!?」
「何、キャスパリーグって……」
「かつてトリニティを恐怖のどん底に陥れた恐怖の不良で、私のライバルでした!一度も勝てませんでしたけど……」
「へー……そんなに強いんだ」
「今は普通の女子高生ですから、怖がらなくても大丈夫です!今度紹介しますよ!」
「えっ、あっ、えっ、あの」
「「「……?」」」
首を傾げるイヴちゃん、伊原木ヨシミさん、柚鳥ナツさん。なんか可愛いね。あっ、杏山カズサさん=キャスパリーグって知っててかつ放課後スイーツ部にいるの知ってるのは僕と栗村アイリさんだけなのか。イヴちゃんも知らないよねこれ。止めても藪蛇かなあ。
何も知らないから当たり前なのだけど、悠然とキャスパリーグ伝説を語りながらメニューをめくって普段からお気に入りのソーダフレーバーにするか他の味にするか悩んでいる宇沢レイサさん。「ちょっとずつわけっこしよ?」とみんなに提案するイヴちゃん。イヴちゃんがチョコミントを歯磨き粉味と形容しないかも心配になってきた。
「"やあ、イヴ、レイサ。それと、放課後スイーツ部のみんなかな。はじめまして"」
「うげ、何であんたら一緒にいるわけ」
「あっ!杏山カズサこんにちは!!!!さっきちょうどキャスパリーグの話をしてました!!!!彼女がキャスパリーグこと杏山カズサです!!!」
あっ。宇沢レイサさんが悪意皆無の球を投げた。凄い勢いで。
「は?????……はぁ……」
青筋を立てつつ、地獄の底から流れて来たような溜息を吐く杏山カズサさんと、首を傾げる放課後スイーツ部(除く栗村アイリさん)
「「は?」」
「あっ」
理解が回ったのか、顔を真っ赤にする伊原木ヨシミさん、これは笑いを堪えているな。
口を押さえる栗村アイリさん。
「はっ、初めまして。キャスパリーグさん、やっば。やっば」
「なるほど……ただ者ならぬオーラがあると思っていた」
腹を抱えて痙攣してる伊原木ヨシミさんと普通に感心してる柚鳥ナツさん、周りの様子がおかしいのを見てあわあわし始めた宇沢レイサさんとメニューを繰りながら様子を見てる先生、全然気にせずパフェを食べてるイヴちゃん。何やこれ。あっ、宇沢レイサさんが頼んでたパイン&サイダーパフェが来た。タイミング悪いなあ。
書溜切れで多分週末までお休みです。明日の分は書けました。
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