ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
先生の指揮を受けるのは2度目――意外にもシャーレの当番の日にもめ事が起きてなかった――だが、前回に比べて格段に戦いやすくなっていた。
ありもしない砲撃への恐怖と、わかりやすい
「"みんな、お疲れ様"」
「せ、先輩!姐さん方も助けに来てくださったんですね!?ちょー格好良かったっす!!!」
「鼻水汚ったな!!ちょっと!せめて鼻かんでからにしてよ!っていうかあんたら!!!!」
解放されて杏山カズサさんに抱きつく舎弟ちゃん、流石にぷりぷり怒っているけど舎弟ちゃんをぶっ飛ばしてまでは詰め寄ってこない。
「何ですかキャスパリーグ様!」
「そう、我らこそが悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い放課後スイーツ団」
柚鳥ナツさんはさっき「我々もカズサと同じ視点で見てみる必要があるのでは」とちょっと言っていたのだけど、触れる気はなさそうだな。これが彼女なりの気遣い方なのだろうと思うといい話……いや結構擦るねキャスパリーグネタ???ほんとに気使ってるんだよね??面白いからやってるんじゃないよね??
「改めて、本当にありがとうございました!先輩、姐さん方、先生ももちろんっすけど!やっぱり強くないと自分のカッケーを貫くこともできないんすね!アタシ、反省しました!」
キヴォトス、まじで暴力に対する倫理がおかしいからな。いかれてるのは全部だ、キヴォトスの治安。
「だからアタシ、頑張って鍛えて正義実現委員会に入るっす!!!」
「「「なんで??」」……?」
イヴちゃん、宇沢レイサさん、杏山カズサさんの声がハモった。いやまじでなんで?今日自警団の子の方が早く来てたやん?別に正義実現委員会が役に立たんとかじゃなくて、自警団のパトロールに引っかかって、そっちの連絡網が早かっただけなんだけども。
「いやだって、今朝調べたんすけど、今『自警団の三角』ってスズミ姐さんって人と、イヴ姐さんとレイサ姐さんっすよね?」
いやその呼び名も知らんわ。何それ、こわ……。
「"3人とも凄く強いし頼りになるけど……?"」
「うす。でも3人ともなんか素で強いんすよね?」
「……トレーニングは、してる、よ……?」
「うす。何ていうんすかね……どっかの組織で鍛えられたってわけじゃないっていう意味っす」
あーなるほど。守月スズミさんは聞いたこと無いけど、宇沢レイサさんは自警団一本槍だし、元から強かったって意味か。
「アタシは強くないんで、ちゃんと組織入って勉強したいっす!」
「あんたほんとに極端から極端だね……。まあいいや。飽きたり疲れたりしない程度に頑張れ」
「あざす!」
応援に来てくれた正義実現委員会の子達が倒れてる不良達をトラックに積み始めた。現場はもう大丈夫そうかな。
あの後結構しっかり目のお説教を杏山カズサさんにされてしまった。
(楽しかった……)
(うん、まあ確かに。明日も楽しい一日になるといいね)
イヴちゃんは疲れているらしくベッドに入るとすぐ眠りについた。僕は平日はなるべく昼間に寝るようにしている。テロリストが学校に侵入してくるみたいな中学生の妄想めいた出来事はいくらキヴォトスでもトリニティクラスの学校では流石に無いだろうし、正義実現委員会の反撃を潰せるレベルだったら僕が起きててもまあ頑張ったで賞ってところにしかならんだろう。ということで、今日は身体を使ったから筋トレはお休みで、いつもの神秘を捉えて動かす練習。相変わらず上手く行っているか全くわからないまま1時間強が経過したところ。唐突に、世界の歯車がガッシリと僕の神秘と噛み合ったのを実感した。は?え?何??
格段に何かが圧倒的に強くなっただとか、時間を止めるレベルで素早く動けるだとか、そんなすげーイケてるもんじゃあ断じてねえ……ってレベルではあるけど、今までと全然違う、ような、そうでないような……あまりに感覚的なものだから段々不安になってきたけど、多分世界の神秘というかエテルの力的なものの吸収効率と動かし方が良くなった……気がするんだけどなあ。ほんまに???まあ、悪い変化じゃ無いだろ。多分。
僕は瞑想と並ぶもう一つの毎日の試みも済ませておくことにした。ビナーを見たときにふっと思いついて毎日ちょっとずつ試してたのだけれども、恐竜には
イヴちゃんが起き出す時間に僕が身支度を調えてご飯を作る。ここまでは変わらないけど、ご飯を食べている辺りから僕の眠気がやってくる。
(イヴちゃん、ご飯もうちょっと早く食べないと遅刻するよ)
(ん……美味しいから……)
(ありがとうね。でも急いでね。僕もうすぐ寝ちゃうから)
(うん……がんばる)
イヴちゃんのドア前鏡でのお出掛け前のくるっと一周を見て、おかしいところが無いのを確認してから眠りにつくのが僕の最近の生活サイクル。
(お休み、イヴちゃん。勉強頑張ってね……)
(お休み、ジル……)
お昼ご飯は宇沢レイサさん、
「そういえば、このグループができてもう1年経つじゃないですか」
「そうだねってあっ、ちょっと!同じ弁当なのに何であたしのおかず取るの?!」
「運動部のくせに反射神経鈍いぞ~」
報野モユルさんは人のおかずを取るのが好きだ。でも、皆が一番好きなおかずを取らないのは知っている。たまに間違えて取って怒られてるけど。
「それでですね!私も皆さんをちゃん付けで呼びたいなって!」
「いいんじゃない?私もモユルもちゃん付で呼んでるし」
「何なら呼び捨てでもいいんだぜ……」
「誰の真似それ」
「ソフノ」
「似てないし言ってね~~~」
言ってないと思う。言ってないよね……?黒髪ポニテちゃんは面倒見が良くて、クラス委員長もしているし、クラスの誰とも(ジルが気にしてた下江コハルさんとはあんまり話してないみたい……)よく喋るから、ひょっとしたら言ってる……?
「……いいと思う……」
私も賛成。そういえば、レイサさんだけ、さん付だった。別に深い意味は何も無いけど、レイサさんが私をさん付けでずっと呼んでいるから。
「ソフノちゃん、モユルちゃん……イヴちゃん」
「「は~い」」
「……はい、レイサちゃん」
レイサさん、もとい、レイサちゃん、すっごく嬉しそう。こんなに嬉しそうなら、もっと前からちゃん付けで呼べば良かった。私も何だか、胸の奥がじんわりして嬉しい。今日のお昼ご飯はいつもより美味しかった気がする。
今日のレイサちゃんは積極的で、3人全員分の膝枕をされたい!と要求していてふふっとなってしまった。結局皆が皆膝枕を交互にすることになったからわちゃわちゃしてたし、似てないモユルちゃんの物真似で笑っちゃってあんまり寝てはなかったけど。私の物真似も似てない。でもロボット講師さんの真似は結構似てた。
頭の中で寝ていたジルが起き出す気配。授業はもう6限が始まったところ。今日は古典文学。中学生の頃は「昔の人の知らない、今と全然違う話読んでどうするのかな」と思っていたけど、ジルの
(ジル、おはよう……)
(イヴちゃんおはよ~。何か変わったことあった?)
(レイサさんを、レイサちゃんって呼ぶことになったよ……あと、今立ってる講師さんの物真似が似てた)
(えっまじで?!何で寝てたんだ僕~~~~)
(……物真似、そんなに見たかったら後でやってもらう?)
(そっちはいいや)
(私は楽しいと思ったんだけどなぁ……)
(そこは否定しないけどね)
お話しながらもちゃんと授業は見て聞く。今日はプララトゥーンという色塗りしながらジャンプする人の話だった。塗装は心の領域を広げる行為であって、イカスミが至上であり……っていう話。
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労役と病院の合間に何とか書ける時間を確保出来たので一週間連載が続きました。これは頑張れたのでは……?土曜は習い事と遠方から友人が来るので多分お休みです。