ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
いや~宇沢レイサさんのイヴちゃんへの呼びかけ、さん付からちゃん付になる瞬間、見たかったなあ。前々からちょっと切り出したさそうな
ともあれ授業が終わったので、今日は自警団事務所に顔を出す日。何かしらんけどイヴちゃんと宇沢レイサさんは週に1回は顔を出さないといけなくなっちゃったんだよな。ついでに自警団や正義実現委員会の人とお話とかお茶とかするし、別に嫌ってわけじゃないんだけど。週3は顔を出す羽目になってる守月スズミさんの目線が怖いからってわけでは決して無いです。ごめんて。
守月スズミさん、ティーパーティーというか桐藤ナギサさんとバチバチにやりあって自警団の独立を堅持しようとしてくれてるらしく、この間も「自警団員が正義実現委員会の訓練参加義務化と申請窓口は正義実現委員会側にする」案を無事葬り去ったらしい。守月スズミさん滅茶苦茶つえーな。本人曰く「学校内の地位や権益を持ってないから失う物が無いので強く出られるだけ」と言ってたけどそれだけじゃないだろう。人望があるのも流石というところ。桐藤ナギサさん、折角自警団に枷をつけられそうだからって欲張ってる感あるな。当分は無理そうだけど。正義実現委員会的には「別に窓口がどっちでも全然いいっすよ~」って感じらしいが。
ともあれ、強制的に顔を出す羽目になったのでよかったのが「何となくおまわりさんの前を通るときには悪い事してないのに緊張しちゃう現象」を克服できたことだ。まあ正義実現委員会限定なんだけど。羽川ハスミさんとは結構喋るのに結局これのせいで訓練参加とかできなかったし。これから参加していきたいと思います。なるべく。
今日本当は宇沢レイサさんは顔を出す日ではなかったけど、一緒についてきてくれることになった。当然のように手を繋いでいる。最近一緒にいるときはほぼ手を繋いでる気がする。気のせいかな??何もわからん。正義実現委員会本部の建物入口から入ってすぐ左の何かの小部屋が自警団本部……なんだけど、その前の駐車場に
(あっ?!何これ?!)
(……どうしたの?)
(ファン・レイン号が白塗りになっとる~~~~)
砲もトラックも
「……ファン・レイン号、色が……」
「白色になってますね!」
荷台横にでかでかと黒でトリニティ学園、自警団、正義実現委員会のマークが描かれて、右ハンドルのドア横に
(え~。白は不味いよなあ)
(……なんで?)
(掃除が面倒臭い!!!)
別に白自体は構わんねん全然。トリニティの色ったら白だろうし、何なら破壊天使のエンブレムとかもつけてもいいよ。黒塗りにしちゃうと正義実現委員会色になっちゃうだろうって思ったんだろうなあ。でも煤とか泥はねとかが目立ちそう。僕、家電とか買うなら絶対白買わんもんな。汚れが目立つから。いうて黒も一緒だけどね。
(……ああ……)
(屋根はあるけど壁ないしさ~。ここの車庫)
「……掃除が大変、かも?」
「……正義実現委員会の方も使いますし!週1回くらいでローテーションを組みましょう!」
それは名案かも。もう月1くらいでいいんじゃない。どうせ無人で運用するのがメインだし。
普通に本部内に入ってから一応ノックをして入室。本部もこの部屋もどっちも鍵がかかってない。自警団本部、そのうち鍵とか考えた方がいいのかな。一応パスワード式の金庫はあって、ノートPCはそこに保管してあるのだけれども。
「こんにち……は?」
「こんにちは!!スズミさん!」
「こんにちは……」
あれ、今日は出てくる日じゃないはずだけど、守月スズミさんがいる。2人が手を繋いでるのを見て目を丸くしてる。うん、ガン見しても全然気にしない2人を見て、そんなものなのかな、みたいな顔になった。これで付き合ってないんだからなあ。
「今日、スズミさんは当番でしたか?!」
「いえ、昨日学園事務所に出し忘れた書類がありまして、まだ締切はあるのですが、次の当番の日だと忘れそうだなと」
「なるほど!お茶でも淹れましょうか?!」
「いえ、もう終わったので……ああ、でもせっかくだから、一緒にお茶しますか?」
「じゃあ、淹れてきます……」
「私も行きます!」
「今日、パソコン使いませんよね?片付けをしているので、お願いしますね」
パソコン1台と長机が2つ、パイプ椅子が6個、ノートPCと金庫、ホワイトボード。これが自警団本部の持ち物の全てだ。WiFiは正義実現委員会のを使えるからいらない。給湯室も正義実現委員会のを借りる。
「あ、レイサさん、イヴさん。どうもっす」
「イチカさん!お疲れ様です!」
「こんにちは……えっと……御蔵イヴです」
「もちろん知ってるっす。自警団の期待の新人っすからね。あ、仲正イチカっす。イチカでいいんで。よろしくっすよ」
他の子の分も含めてだろう、10人分くらいの紅茶を淹れている仲正イチカさん。イヴちゃん達も自警団用に置いてあるお茶を淹れる。大体皆紅茶なので、たまには違うのが良いかなと思って僕チョイスの緑茶なんかも淹れてあるけど、今日は普通に紅茶にするらしい。コップを洗うのが面倒なので、紙コップ。
「紙コップも面倒臭くなさそうでいいっすね」
「風味はやっぱり……普通の陶器の方が……」
「今度買ってきます?」
「……週に1回で洗うのがちょっと……」
「寮に持って帰ったらどうっすか?」
「もめ事に巻き込まれたら割れそうな気もしますね」
「あー」
下らない話をしている間にお互いお茶ができた。お茶菓子はイヴちゃん鞄の中にあるやつでいいか。確かミニ羊羹を取り寄せたのがまだあったはず。
「それじゃ、お疲れ様っす」
「はい、お疲れ様です……」
「イチカさん、また!」
手伝いに来た正義実現委員会の後輩ちゃんと一緒に去って行く仲正イチカさん。
百鬼夜行の
(そうだ、正義実現委員会の訓練参加を申し込まなきゃ)
(……パソコン、要ったっけ……?)
「あの、スズミさん。正義実現委員会の訓練参加申込には、パソコンが要りました……?」
「ああ、最近ようやく電子化されたので……片付けなかったらよかったですね」
「イヴさん、訓練参加するんですか?!」
「いえ、忘れてたので……。うん、レイサちゃんも、する……?」
片付けてたパソコンを出し直して立ち上げる。正義実現委員会の余り物らしいけど、ハイスペック機らしくさくさくと立ち上がる。このパソコンは偶々ミレニアム製じゃ無いけど、お金が掛かってるのは間違いない。
「シャーレに入った事務システムがすごく評判がよくて、この間正義実現委員会と、ゲヘナにも導入されたのだとか。ティーパーティーは様子見らしいですけど」
「ミレニアム製の……?」
「そうです。最初の2、3日は不慣れだからか逆に時間かかってましたけど、今はすごく便利ですね」
「へー。正義実現委員会の訓練、参加したことないのですよね。興味あります」
あれかあ。守月スズミさんもニコニコだし、連邦生徒会だとかシャーレだとかに負けず劣らずだったトリニティも紙文化が減って便利になっていくといいねえ。正義実現委員会の訓練スケジュール表で外部参加者可の日をぽちぽち見ていくイヴちゃん。実際はトリニティ生なら誰でも参加できるんだよね。自警団員は参加者殺到したときの枠の優先とかはあるらしいけど。
「じゃあ……この日?」
「……空いてます!この日にしましょう!スズミさんはどうですか?」
「私ももう別の日に誘われてまして。それと、自警団のとりまとめを任されている我々全員が同じ日にくたくたになるのはちょっと不味いかなと」
「確かに……」
「さすがスズミさん!」
今度こそ用事が終わった……はず。一応イヴちゃんに自警団宛メールチェックもしてもらって、ティーパーティー宛定例報告も週1だし大丈夫そう。今度こそ電源を落として金庫を閉めてお茶を各自飲み干した。別に何時間いないといけないと決まっている訳では無いので、ぼちぼちお開きかなという雰囲気になった時に、ノックの音がした。
「失礼しますっす」
「……イチカさん?」
仲正イチカさんだった。
「あ、スズミさんもお疲れ様っす」
「はい、お疲れ様です」
「さっき参加申請してもらった今度の訓練なんすけど、レイサさんとイヴさんの参加日分けてもらえないっすか?」
首を傾げるレイサさんとイヴちゃん。可愛い。
「何かまずいですか?」
「いや別に大した話じゃないんすけど。レイサさんもイヴさんも……あっ、呼び捨てで呼んでもいっすか?」
頷く2人。
「いやほんと大した話じゃないんすよ。レイサもイヴも自警団の新鋭じゃないすか。ツルギ先輩に面倒見てもらった方がいいなって思ったんすけど、ツルギ先輩は1人しかいないんで。15分くらい待ってもらうならツルギ先輩すぐ元気になると思うんで1人ずつでもいいっすけどね」
「「ああ」」
そういう評価になるのか~。でも羽川ハスミさんとか仲正イチカさんとかも別に強いのでは。
「正義実現委員会は他にも強い方たくさんいますよね?」
「うーん。正直、今の編成ってツルギ先輩ありきなんすよね。2人とも前線でばんばん殴り合うタイプっすよね?さすがに実になる訓練水準の白兵戦やれって言われたらちょっとキツいっす。多分っすけど」
イヴちゃんはともかく、僕は格闘戦もできるからなあ。宇沢レイサさんも前線がんがん張るタイプのタンクだし。
「残念ですけど、それなら別の日にしますか……」
「うん……しょうがない……」
仲良しさんだなあ。良いことではあるけど。まあしょうがない。ツルギ先輩なら2人まとめて面倒見れるのではみたいな気も……いやタンク+火力支援相手は訓練的に大変か。しょうがないね。
正義実現委員会本部って部室会館の一角なのかな?とも思ったのですが、拙作では個別の建物を想定しています。
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