ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
パトロールに行くという守月スズミさんと別れ、イヴちゃんと宇沢レイサさん(
(パルクール、少しずつ練習した甲斐があったね)
(……こういうことばっかり上手になってる気がする……)
(そうかも)(えっと……4人いるけど……)
(ハンバーガー食って回復してる子は無視。銀髪ロングの子を狙って)
「くっ!?この方、ずいぶん動きが早いですわね!?」
「この人なんか強うわあ!」
「上?!」
「あらあら」
黒舘ハルナさんもさすがに30mm機関砲弾を雨霰と浴びせられたらきついようで、慌ててハンバーガー子こと獅子堂イズミさんの後ろに後退する。
「ちょ!2人分は痛い!痛い痛い!」
痛がりながらも回復してるの怖い。美食研のうち黒舘ハルナさんはもう後退するつもりらしく、鰐渕アカリさんはうわもういない。イヴちゃんはおたおたしてる赤髪の子に砲口を向けて火線を絡めた。
「あっあっ痛い痛いちょっあっ!」
宇沢レイサさんは獅子堂イズミさんの攻撃を掻い潜って間合いを詰め、ショットガン0距離射撃でハンバーガーを吹き飛ばした。
「あっ!私のハンバーぎゃっ?!」
数秒で倒れた――まあキヴォトス人でないなら赤黒い染みになるレベルだし――赤司ジュンコさんから獅子堂イズミさんに火線を移動。回復リソースを奪われた上で後頭部を
正義実現委員会に2人を引き渡した。仲正イチカさんが今日のパトロール当番だったらしく、うんざりした顔をしている。
「著名人じゃないっすか」
「ゲヘナの美食研究会ですよね。2人は逃がしてしまいました」
「……逃げ足、すごく早かった……」
「金髪の人、1発か2発撃ったらもういませんでしたよ」
美食研究会個人主義の傾向が強いっていうけど本当なんだなあ。
「まーあんま意味ないと思うけどティーパーティーに報告しておくんで、自警団からの報告は大丈夫っすよ」
「……意味が無い、って……?」
「ティーパーティー、今、ゲヘナと関係荒立てたくないらしいんすよ。普通のゲヘナ生ならともかく、このクラスの有名人でも何もなくしょっ引いたら駄目って言われてますからね。今日は暴れたから捕まえはできましたし、普通にヴァルキューレに引渡しまではするっすけど」
まじか。自警団は言うこと聞かんって思われてるのかそんな通知来てなかったな。ウケる。
「ヴァルキューレですか……」
宇沢レイサさんは渋い顔。どうせ逃げられるんだろうなあって顔。まあそうだろうなあ。予算削減というか例の
「……うん、お願いします……。レイサちゃん、デザート食べ損ねたから、何か食べない……?」
「はいっ!!!!!!アイスにしませんか?!」
あっ秒で機嫌よくなった。良いことだなあ。甘味は正義だもんね。
「いいな。私達も終わったら食べたいかも……。とにかく、お疲れ様っす。また」
「「お疲れ様です」!!」
デザートはこれまた最近できたらしいクレープ店でアイス入のものにして、お互い食べかけを1口ずつあーんして食べさせあうという追加の激甘案件。流れるようにいちゃつくし、イヴちゃんは特に照れてないというか、素なのが凄い。宇沢レイサさん耳まで真っ赤だったけど、食いつくまでのためらいは減ってたな。寮の前でまた明日とお別れし、自室に戻ってきた。
(……トラブルはあったけど、楽しかったね……)
(そうだね。クレープも美味しかったし)
通知音を鳴らしたスマフォをイヴちゃんが見ると、先生からメッセージが入っている。用件は「この間のミレニアム製の事務集約処理システムの名前を募集しているらしいのでよかったら。いくつでもOK。エンジニア部は『内部で意見が割れて決められなかった』そうです」とのこと。あーよかった。事件とかじゃ無くて。
(……どうしよう……)
(『マタイ』とかどう?徴税人の守護聖人)
(……あっ、思いついた。ジルのと両方送っておくね……)
どれどれ。イヴちゃんのアイデアは……「お仕事
カイザーの大きなトラックに跳ねられた。身体が宙を舞う。誰も助けてくれないし、私も身体が動かない。アスファルトに左の顔から落ちて激痛と何かが潰れるような嫌な音、倒れた身体から生暖かい何かが流れ落ちていく気配。大きな車が真横を通り過ぎていき、もう一度激痛。
「おい、大丈夫か!」
「救急車!」
「左手と左目が……」
「馬鹿、本人に聞こえる!おい、しっかりしろ!」
痛い、痛いよ……ジル、レイサちゃん、ソフノちゃん、モユルちゃん……誰か……。
ジルが呼んでる?目が覚めたような気がしたけど、まだ眠っているような不思議な気持ち。
「イヴちゃん?聞こえてる?」
「……ジル?うん、聞こえてる……見えないけど……」
「うん、見えないのは別に病気とか怪我じゃないから大丈夫」
「……よかった。変な夢見たから、本当に怪我したのかなって……」
「やはり私が接触すると悪夢を引き出すのか?他の者ではそういう話は聞かなかったが……」
「誰?」
知らない人の声。
「ああ、済まない。私は怪しい者では無い。百合園セイアという。ティーパーティーの1員だ」
「高等部編入パンフレットで左上に集合写真欠席した人みたいな丸囲みで写真載ってたでしょ。金髪狐耳のあの人」
「どんな紹介の仕方だ。だが、その百合園セイアだ」
「ああ……じゃあ、これは夢じゃない……?」
「いや、君の夢の中にテレパスを送っていると思ってくれ」
「イヴちゃんにコトダマ空間識別能力発現しなかったか~。顔見られたら嬉しかったんだけどな」
「私としても初めての現象ではあるのだが、まあ聞いて欲しい、御蔵イヴ」
私は頷く。頷いたのが伝わってるかな?
「代理人であるジルにも伝えたが、先生が危険に遭う可能性がある。極力守ってあげてほしい」
「僕も手伝うし、イヴちゃんの予定とか私生活と相談しながらになるけど……って前言ったから覚えてるよね」
再び頷く。私にどれだけの事ができるかわからないけど。
「大丈夫。イヴちゃんは強くなったよ。僕を信用してくれて、任せてくれたからね」
「具体的な危険がわかったらまた連絡する」
「協力はします……けど、お願いを聞くなら、私もお願いしていいですか……?」
「イヴちゃん?」
いつも頭の中で聞くジルの声を耳から聞くのは新鮮で面白い。
「ふむ、金銭報酬が必要か?」
「いえ……私の、一番最初の大事な友達、ジルにお礼がしたいです……」
「イヴちゃん?!?!」
「ふむ。なるほど。君達は似ているのかもしれないな。何が希望かな?」
「……思いつかない……」
「ふふっ、わかった。これも私の権限内ではあるが可能な範囲で約束しよう。エデン条約の調印後に聞かせてほしい」
「ありがとうございます」
「それでは、眠りを妨げて申し訳なかったね。また、御蔵イヴ、ジル」
「はい。お休みなさい……」
「お休みなさい。イヴちゃんもね。ちゃんといい夢見られますよう」
「ありがとう……」
夢の中で寝るにはどうすればいいのかな?と思ったけれど、口(?)を閉じてから再び眠気がやってきた。贈り物は何がいいかな?ジルに内緒にできなかったことだけは残念だけど。悪い夢は見なかった、と思う。
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