ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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駄洒落はいい 人類(リリン)が生み出した文化の極みだよ 本当か?

 万魔殿出たところで先生と遭遇してちょっと嬉しそうなイヴちゃんと宇沢レイサさんのおまけ、ジルです。意外とシャーレ行けてないからもっと行く頻度増やしたいけどやっぱ忙しいんだよな。シャーレの当番制、複数人になったのと仕事自動片付けマシーン(お仕事Hellちゃん)(仮称)のお陰で、大体昼くらいには手が空いてキヴォトス史の勉強とか授業準備、授業研究的なことができる――学校ごとにやることが全然違っているからこれはこれで大変らしいが――と言っていたし、実際顔色はすごく良い感じだ。

「イヴ、この間はありがとうね。あの事務処理機械、名前はこれから決まるみたいだけど。『お仕事Hell』、個人的には気に入ったんだけど、先生のも多分負けてないよ」

「……先生は、何て……?」

紙噛(かみかみ)くん」

 ドヤ顔の先生とイヴちゃんの謎のハイタッチ。楽しそうで何より。まーた変な駄洒落じゃん。っていうか紙送り失敗しそうな名前やな。

「私は思いつかなかったのですけど、今からでも間に合いますかね?」

「今日中なら大丈夫だよ。思いついたらぜひ送ってね。あ、万魔殿の皆と約束の時間が近いから、またね、レイサ、イヴ」

 先生を見送って手を振るイヴちゃんと宇沢レイサさん。可愛いなあ。当然のように手を繋がれて特に行き先も決めずに歩き始める2人。

「その……イヴちゃん。記憶、のことなのですけど」

「……うん」

「大丈夫なんですか?」

 何がと細かいところまでは言わないけど、心配と思いやりの籠もった言葉。良い友達を持ったなあ。僕も嬉しい。

「……友達もいなかったし、何を忘れたかがそもそも思い出せないから……」

 言葉を探すイヴちゃん。

「今はとっても幸せだし、レイサちゃんも、ソフノ(黒髪ポニテ)ちゃんも、モユル(茶髪おっとり)ちゃんもいる。私は、それで満足だし、大丈夫……」

「……は、はいっ!!」

 ちょっと泣きそう。宇沢レイサさんもちょっと泣きそうになりながらあっ抱きついた。温かい。イヴちゃんも嬉しそうに背中をぽんぽん軽く叩いてる。どっちが慰めてる方かわからないけど、これもまた青春だね。

 

 宇沢レイサさんが落ち着いてから、普通に好奇の目で見られながら――大体はトリニティの制服よりしっかり繋いでる手を見られてた気がするが――歩いていたら行列のできてる部屋の前を通りがかった。大食堂のようだ。

「せっかくですし何か軽く食べませんか?」

「……そうだね……。量、少なめだったし」

 くすくすと笑い合う2人。でも大食堂に踏み入ると2人とも真顔になってしまった。

 鉄火場なのだ。やば。行列ができてるのは単純に処理できてないせいらしい。数百人単位の待ちができていて、奥の調理場で働いているのは見るところ1人だけ。角に黒髪を引っ掛けた(눈_눈)さん……愛清フウカさんだけだ。もう1人生命を錬成できる料理の錬金術師(牛牧ジュリさん)がいないが、休みか用事かな。顔を見合わせる2人。

(手伝う感じ?)

(……大変そうだし……何か、できるかなって……)

(うんうん、さすがイヴちゃん)

「手伝いましょう!」

「……うん、そうしよ……」

 だらだらしていたり野次ったりスマフォを眺めてたり諦めて出ようとするゲヘナ生達をかき分けて調理場に近付いて声を掛ける宇沢レイサさん。イヴちゃんの手を力強く引いていてやだ……キュンってしちゃう。いや僕にキュンされても困るやろうけど。

「あの、よかったらお手伝いしましょうか?!」

「お願い!」

 ノータイムで誰何もなく招き入れられた。滅茶苦茶ヤバ状況だったんだな。イヴちゃんも宇沢レイサさんもがんばえ~。

 

 料理は脱初心者かどうかのイヴちゃんと、調理実習くらいしか心得が無い宇沢レイサさんでも猫の手も借りたい現状だったようで目が回る有様だった。3人とももう目をあわせる暇も無いまま、愛清フウカさんの指揮に従う。

「これ運んでください!」

「はい!!」

「できた順に盛り付けを!量の見本はタブレットにあります!」

「……わかりました……」

 運搬、盛り付け、終わってない分の下処理、火の確認に攪拌。応援が素人だと見た給食部部長の指揮は的確で、滞留していた待ち列が徐々に捌けていく。

「今日、すごい人だね。どうしたんだろ」

「あれ、今日ジュリちゃんいないんだ?大変そー。手伝お……」

 あんまりに忙しいからイヴちゃんも横目でちらっと見るだけだったけどゲヘナ帰宅部陽のギャル、旗見エリカさんと夜桜キララさんだ。今から援軍が来る訳も無い。逃げ回りながら、1個ずつ(タスクを)潰す。現実そのくらいよ。って感じだったからめっちゃ助かる。死にたく(カロウシ)なければこちらの指示に従えしてほしい。

「おい、何でトリニティの奴が飯作ってんだよ!」

「トリニティ野郎の飯なんか食いたくないぞ!」

 直後の野次に奇妙な破裂音的なナニカが鍋を振るっている愛清フウカさんのこめかみ辺りから発せられた気がする。超人的な調理カラテで宙を舞った完成した料理が配膳を待つ大皿に入り、次の材料を鍋に放り込みながらビニール手袋を交換し、給食部の護身用銃typeA(MP7)を左手で持って大食堂の天井めがけてぶっ放す。この間1秒未満。

「無償で手伝ってくれている人に言うことですか!?食べたくないなら出て行って!」

 静まりかえる大食堂。何故かイヴちゃんや宇沢レイサさん、手伝いを申し出てた陽ギャル2人も気まずそう。ぶっ放す前に投げ込まれた材料がしゅうしゅうといい音を立て始めたのを見計らって陽ギャル2人が口を開いた。

「フウカちゃん撃つの珍し~。あっ、手伝うね?」

「お邪魔します」

 この後たくさん料理した。

 

 お昼休みはとうに終わり、残念ながら時間切れでなぜか自己紹介以外何もしてなかったのにもちゃんとトリニティ組に送りつつ全員のモモトークのアカウントだけ(愛清フウカさん分含む)はきっちり交換していった陽ギャル2人も撤退(真面目に授業を受ける派)し10分少々。最後の子にご飯を出せた。

「「ふ~~」」

「ありがとうございました。宇沢レイサさん、御蔵イヴさん。今日はもう1人の部員が風邪を引いてしまって……」

「いえ!!!!困っている人を見たら放っておけないので!!!!!って2人で普段されてるんですか?!」

 こくこくと頷くイヴちゃん。

「お2人はご飯はまだですか?私の分とあわせて作りましたから、いかがでしょう」

「いただきます!」

「……お腹空いた……」

(お疲れ様、ほんとに)

 ご飯はとっても美味しかった。良いことした後のご飯はとっても美味しいね。僕は何もしとらんが。ふふっ、ウケる。究極の役立たず、それが僕。大人数用の料理は流石に知らんて。でも勉強にはなったね。

 

 残念だがはじめから目的などない。みたいな感じのぶらぶらなんだけど、一応ミッションだけは忘れないようにしておかないと。いや必須でも何でも無いけど。

(イヴちゃん、風紀委員会に挨拶だけはしておいてほしいんだ)

(……わかった……)

 興味の赴くままあっちふらふらこっちふらふらする2人はとても可愛いし、何だか生暖かい目でサボってる生徒と、授業が終わったのか普通に教室から出てくる生徒から見られてる2人。たまに揶揄するような声がかかるが、無視が一番。まあ2回ほど殴り倒したけど。2人とも強いので……喧嘩売る相手は選ぼうね。

 

 風紀委員会本部前、胡乱なまなざしでこっちを見てくる風紀委員ちゃんに身分証と見学許可証を提示する宇沢レイサさんとイヴちゃん。

「トリニティ自警団の宇沢レイサと!」

「御蔵イヴ……です」

「失礼ですが、アポはありますか?」

「一応メールではお送りしています。具体的にどなたがとはお返事をいただいてないのですが」

 宇沢レイサさんもちょっとずつこういう場に慣れてきたっぽくて嬉しい。後方保護者面腕組しちゃうね。スマフォで中の誰か、行政官とかに連絡している風紀委員ちゃんを眺めて待つ。今日決まった話だからメール一方的に送っただけだし多分追い返されることはないと思うんだけどなあ。まあ誰が相手してくれるかはわからんけども。皆忙しそうだし。

「お待たせいたしました。空崎委員長がお会いになります」

 まじで?ヒナヒナモップちゃんじゃない、空崎シナシナちゃんいるし会ってくれるんだ。




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 赤帯に戻りました。わー嬉しい。安定してくれたらもっと嬉しいですが頑張らないと。
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