ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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繰り返す これは訓練である これは訓練である

 風紀委員会本部ももちろんちゃんと手入れされているし掃除が行き届いている。ゲヘナさっき見て回ったけど、大食堂も清潔ではあったものの結構あちこち荒れてたからな……。授業してない教室とかもうめっちゃくちゃでちょっと笑った。ゲヘナ基準の不良でもなんでもない生徒がたまり場にしてるだけなのか何だかわからんけど。あっ廊下で例の事務処理機械と横乳痴女こと天雨アコさんが格闘している。ともあれ通された応接室でふかふかのソファに座る2人。コーヒーを出してもらって待つことしばし。このコーヒーは普通に美味しい。多分。イヴちゃんが砂糖とミルクめっちゃ入れるからあんま味わからんけど。

「お待たせいたしました」

 と、さっき機械と格闘していたはずの天雨アコさんとゲヘナ名物シナシナモップさんもとい空崎ヒナさんが入ってきた。今日のシナシナ度はまあ普通に疲れてるってところか……?アイサツから流れるようにお土産のお菓子を渡す宇沢レイサさん。さっきイヴちゃんが渡してたから交互にね。やっぱ体幹がいいからか動きがスムーズだなあ。お互い自己紹介をしてからイヴちゃんが自警団が補助団体になったのでよろしくという旨をスムーズに言う。まあ2回目だしね。

「ご丁寧にありがとうございます。その、それで……今日は本当にご挨拶だけ、ですか?」

「はい!連絡先自体はお伝えしてましたし!」

 顔を見合わせる空崎ヒナさんと天雨アコさん。

「……近々、大きな行事がいくつもありますし、知らない同士というのもどうかなと……。私達自警団は、正義実現委員会の代わりに動くことも多いので……」

 ふむふむと頷いてから、隣の空崎ヒナさんに耳打ちする天雨アコさん。

「レイサ、イヴと呼んでも構わない?」

 頷く2人。こっちも名前で呼んで良いか確認するイヴちゃん、頷く先方。

「レイサさん、イヴさん。お2人はこの後、お時間がありますか?」

 これも頷く。にっこりと天雨アコさんの笑顔。

「今から万魔殿に急遽命令された全体訓練を行う予定なのですが、お2人とも参加してみませんか?昼過ぎに指示が出た後、中止命令も出ていたのですが、ちょうどいいですし」

 いいんじゃない、って言う前に頷く2人。判断が早い。

 

 ゲヘナ風紀委員会横の荒野とプレハブがある訓練場での訓練はまあ、普通の訓練だった。2人が仮想敵になると聞いたときにはどうなるかと思ったが、天雨アコさん指揮下で風紀委員ちゃん1個分隊と連携してということで、ワンマンプレイというかツーマンセルだけで突出しそうになる宇沢レイサさんとイヴちゃんを補佐する天雨アコさんが大変そうだったなっていう程度。集団戦自体もだけど、2人とも他の子の指揮とかしたことないものな。あ、途中参加の火宮チナツさんがこっちに気付いたのか小さく手を上げた。

『ぜぇ……はぁ……あの、お2人は自警団の代表というか、そういう感じでいらっしゃいますよね……?』

「はいっ!」

『あの、他の方というか、部下とかは……?』

「自警団は個々人の集まりなのでいません!!!集まってもみんな個々人戦です!」

「……我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在しません。あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけです……」

『アッハイ』

 何かを悟ったのか沈黙した天雨アコさん。ごめんね。イヴちゃんのはこないだ一緒に見たアレかあ。2人だけ指揮してたら何とかなりそうなレベルの実力差がこの組み分けだとあったけど、それだと訓練にならんやろうしな。あ、倒れてた子達が起き上がって再編成しているところに銀鏡イオリさんが合流した。不敵に微笑みつつこっちを見て何か言ってる。飛び入りに負けてどうする的な事言ってるのかな。

 

 突出を諦めた天雨アコさん――ごめんやで……宇沢レイサさんは猪だから――を囮に使いつつ、イヴちゃん+分隊の火力発揮の形を取ったアコさんチーム(仮称)は無難に訓練後半も勝った。いや僕がイヴちゃんに「あのスナイパー挑発して♥」って言ってイヴちゃんが掌上にして指クイしたら銀鏡イオリ(スナイパー)さんが猛ダッシュ突撃してくるとは思わんやん??ウッドペッカー(30mmMG)と分隊の射撃耐えるか躱しつつ近接戦で宇沢レイサさん速攻でノしてでないとなのにそれを1人では流石に無理過ぎる。空崎ヒナさんとかならあっさりやりかねないけど。

 

 運動したので新しい下着だけ買って(服はさすがに諦めた)シャワーを借りて浴びることにする。シャワー室、なんかトリニティのよりやっぱり安っぽい感じで間仕切りも低く隣の人の顔が普通に見えるくらいの高さ。公営プールとかのシャワー的なやつ?っていうか宇沢レイサさん大丈夫?まだシャワー浴びるどころか服脱ぐ前なのに何か顔赤いけど。いやイヴちゃんガン見してない?ほんとに大丈夫?法的な意味でも。同性だからセーフなのかなあ。おっと、今日はイヴちゃんも起きてるし、他の子もいるし僕は感覚遮断しないとって足音が聞こえる。

「さっきはよくもやってくれたな!トリニティ!」

「ちょっと、イオリ」

「ふふ、冗談冗談。しかし、ああもあっさりやられたのは悔しかったがな。」

「……スナイパーが突出するのは、危ない……」

「さすがにスナイパー相手に白兵戦は負けません!!」

「最近名を売っている連中だと知ってたらもう少し……」

 あっ駄目だ視覚情報切るだけで眠たくなってきた。今日朝から護送と万魔殿案件で忙しかったからな。

(ごめんイヴちゃん、空崎ヒナ風紀委員長に『働き過ぎないように』『先生を守ってあげて』って言っておいて……僕寝るわ)

(うん、お休み、ジル……)

 ガールズトーク楽しそうだから聞けなかったのが惜しまれるがしょうがない。

 

 ジルは寝ちゃった。のんびりシャワーを浴びていたら他の風紀委員会の子達も入ってきて賑やかで楽しかった。正義実現委員会より先にゲヘナで風紀委員会の訓練に参加することになるなんて不思議。あれ。

「……レイサちゃん、顔赤くない……?シャワー、熱い……?」

「い、いえ?!ソンナコトナイデスヨ!!!」

「上がったら冷たいもの、飲も……?」

「ハイッ!!!」

「しかし共同訓練というのは難しいものだな」

「そうですね。今回は突発的な開催というのもあるでしょうけど」

「……私、そもそもレイサちゃん以外とほとんど連携してないから……」

「私もです!私達、1人で大体片付いちゃうので!!!」

「「ああ~……」ヤバイ奴枠……」

 何かを納得したみたいな風紀委員会の人達。褒められてるのかな?ふふ。どや。

 

 終わった後の統括反省会もよかったらと誘われたので着替えてちょっと休憩してから出ることになった。長机とパイプ椅子が並んでいて普通の会議室って感じ。ポスターとか、見るもの全部が初めて見るものばかりで面白い。レイサちゃんは一緒にクラフトコーラを飲んだら落ち着いたみたい。よかった。

「せっかく個別の戦力が入ったのだからあれはあれで――」

「戦車的な前線突破の運用はもちろんありでしょうけど、それなら同様の運用を戦車を導入して――」

「そもそも狙撃兵の射程が低く、斬込みを行うのはどうなのでしょう?」

「チナツそれ私の名指し」

「スコープを使うとかせめて突撃発起は皆の後に――」

 ジルが読んでた本の中に出てた言葉がぽんぽん出てきて、ふうーん、わからないけど……ってなっている。レイサちゃんわかる?ってちらっと横を見た。

「わかりませんけど凄いですね!」

 ふふ。同じ。くすくす笑っていたら意見を求められた。

「え、ええ~。そうですね。あっ!盾とかは持たないんですか?」

「そんな馬鹿みたいな鉄塊を振り回せるのはあなたの連れ、いや待って何それ。本当に盾なの?」

 風紀委員会の人達が何人か集まってきて私に一声かけてから盾を持ち上げようとする。持ち上がらなくて真っ赤な顔をしている。そこそこ撃ったから、今は400kgくらいかなと言ったら凄い物を見た顔をされた。ジルと鍛えたから。

「イヴちゃ、イヴさんレベルでなくても、バリスティックシールドがあれば違うかなと」

「ちなみにレイサさんも前線を張っていますが、盾は持ってませんよね?」

「気合で大体何とかなりますから!」

 顔を見合わせる風紀委員会の人達。

「まあでも実際盾を持たせるのはありでは?」

「障害物が最後まであるわけではないし、予算を要求してみるのも――」

 来客があるのだからと誰かが手を叩いてとりまとめるまで会議は白熱していた。皆熱心で、凄くいいと思う。

 

 風紀委員会のヒナさん、アコさん、イオリさん、チナツさん(そういえば1回会っただけだった……)とモモトークのアカウントを交換してお別れ。その前にヒナさんに。確かに目の下に隈ができてる、ような。

「お仕事お忙しいのですか……?」

「……多少はね」

「私達の都合、ではありますけど……。あまり協同相手が疲れ果てていては困ります。お仕事はなるべく程々に……」

 小さく笑うヒナさん。部外者に言われても困るかもしれないけど。

「それと……先生には、会いましたか?」

「さっきね」

「先生を守ってあげてください……。あの方は、銃弾1つが、危険ですし……」

 無言で先を促される。

「きっと……危険を顧みずに前に出るタイプの人です」

 戦いの中での先生はシャーレ奪回の時にしか見てないけど、きっと気にせず前に出る人だと思う。

「覚えておくわ」

「ありがとう、ございます……。それでは……」

「失礼しますね!!!!」

 帰りには2人とも疲れちゃって、お土産をたくさん買った後、帰りの列車では手を繋いだまま寝ちゃった。新しく会った人と昔会ったはずの人、新しい場所、新しい事。楽しい事でも沢山あるとやっぱりちょっと疲れはするよね。降りそびれなくてよかった。




 風紀委員会と正義実現委員会がまだもめてない(羽川ハスミさんの体型に言及したのが万魔殿の人なんですかね?)ので連携を強化しておきたいというのと、ついでに自警団の有名人2人の戦闘データを取りたいという下心からです。
 自警団でも流石に指揮経験くらいはあるやろと思っていたけどそこは外れた感じ。
 ヒナちゃんが訓練に出なかったのは先生と会う約束があったからです。パワーバランスぶっ壊れるので訓練しにくくなるというのもありますが。

 評価、感想、ここすき、お気に入り、しおり有難う御座います。皆様の反応が書き続ける力になります。
 赤帯に戻りました。わー嬉しい。安定してくれたらもっと嬉しいですが頑張らないと
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