ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
パテル、フィリウス、サンクトゥス3会派の大規模お茶会がある日は午前中で授業が終わる。イヴちゃんに聞いたら「中学生の時もあったような気がする」っていう程度だけど、まあ参加しない人からしたらそらそうか。父と子と精霊だっけ。とにかく、フィリウス分派から始まるらしいので、いつものグループでお昼ご飯を食べて――宇沢レイサさんは感心と同情半分、
13:00-15:00 フィリウス(会場A)
14:00-16:00 パテル(会場B)
15:00-17:00 サンクトゥス(会場C)
順番は会派の力関係を象徴しているなんて言われているがどうなんだろうね。ホテルのカフェラウンジで待っているイヴちゃんはもう割と憂鬱そうだ。僕も正直だるいけど、シフォンのパステルイエローの膝下までのアフタヌーンドレスを着たイヴちゃんがめっちゃ可愛いので結構テンションが上がってる。ヒールは不慣れなので低めで、足が痛くならないように準備はばっちり。今回のためにレンタルした一品。僕の不良しばきたおしマネー口座から買っても良かったけど、イヴちゃんが「着ることないから……」と遠慮したのと、聖園ミカさんからメッセージが来たうえで普通にパテルからレンタル代が出た。なんかかなり気を遣われてるっぽい。
信じて送り出した先生は朝方にモモトークのメッセージで「迎えにきてもらいました(笑顔の絵文字)」というメッセージと共に先生と
企業の献金額が掲示されてたり花束だとか電報だとか部活とかからの記念品やらが展示されてきらびやかな中、よそ行きに着飾った生徒や大人達が行き交う。
あっ、伊原木ヨシミさんがおる。
「あれ、イヴ?こんな集まりで顔見るなんて意外」
「……ヨシミさんも……」
「遠縁の親戚のご先祖がトリニティ創業に功績があった人なんだって。まあ私がシャーレに所属したから呼ばれただけっぽいけど。出るの久々だし、パテルのは初だし」
って言いつつ、めちゃくちゃどうでもいい、って感じで掌をひらひらする伊原木ヨシミさんも大人っぽいケープを羽織った上で薄い赤のワンピースを着ている。まあ背伸びしてる感は拭えないけど、高校生だしな。こういうの初めてなイヴちゃんと違って、何だかちょっとだけ板についてる感じはある。
「それより今年のパテル御用達のスイーツは限定品の今回限りのフレーバーらしいから、それだけ食べて帰らない?」
(魅力的なお誘いだけどなあ)
(……うんって言いたいけど……)
「……聖園さんから誘われて来てるから、ちょっと……」
「うわ。ご愁傷様。目つけられるようなことしたの?」
けらけら笑われてしまった。自由でいいな。
「あ、そろそろみたいね。うげ、一緒にいてあげようと思ってたけど、鬱陶しい親戚と目合っちゃった。またね、イヴ」
「うん……また……」
さっきまでの笑顔が一転してスンとした顔になって歩いてく伊原木ヨシミさん。先輩風吹かすなあって思ったけどそらこういう場は先輩なんやろうなあ。何だかんだ言ってトリニティの子なんだなあ。
(……大変そう……)
(ま~僕らもね……せめて限定スイーツは死守しよう)
(うん……)
パテル会派のはじめの挨拶はもちろん聖園ミカさん。ノリの軽さをちら見せして場の雰囲気を緩める地頭の良さが伝わる、短いけどいい挨拶だった。イヴちゃんがキョロキョロと辺りを見渡す。警備に正義実現委員会の子達がいるけど、顔見知りはいないな。壇上の警備に一瞬羽川ハスミさんがいたし目は合ったけどさすがに仕事中なので、ちらっと手を腰の辺りで振ってくれたのが限界っぽかった。あっ、シスターフッドの人達っていうか歌住サクラコさんがおる。シスターフッドも一応顔を出しはするんだな。彼女達は普通に修道女服だ。しかし歌住サクラコさん、めっちゃ何か企んでそうな顔だなあ。
会場のあちこちで生徒だけでなくて大人が入り交じって、大人も生徒も対等に商談や政治やら何かややこしそうな会話しているのがトリニティって感じ。*1あっカイザーのくそがおる。脛とか膝とか蹴りてぇ~。
実際に学園を動かしているのが生徒でありその派閥だから、派閥に献金他協力をして、その派閥が実際にトリニティを動かしたら色々とうま
あっ、あれがさっき伊原木ヨシミさんがいうてた限定菓子か。
(イヴちゃんあそこ!)
ビーコンとロックオンサイトを表示。うーん僕って出来る居候。
(……ジル、ありがと……)
無事確保。2個ゲットしたのはご愛敬。持って帰るのはさすがに無理だよな。持って帰れるならイヴちゃん用以外に3つは最低要るけど。あれ、あのしなしなよれよれな黒ドレスを着た黒髪の人。
「……ウイさん?」
「……ああ、イヴさん。何だか顔を合わせるのはお久し振りですね。お土産、ありがとうございました。まだ食べてませんけど」
まあ古書館のバリケードどんどん酷くなってるし、お土産とか持ってっても出てこないしなあ。それにしても酷い顔だ。お風呂はちゃんと入ってきたっぽいけど。
「……知り合いも全然いないのに、『図書館は中立でなければならない』から今日の3大派閥のお茶会全部出ないといけないので……知り合いを見かけてホッとしました」
「お疲れ様……です。コーヒー……取ってきましょうか……?」
「いえ……昼から飲み通しなので、お気持ちだけ……」
好物のはずなのにコーヒーの語を聞いただけでうえってなってる。とりあえず一緒に限定スイーツを食べることにした。
古関ウイさんもイヴちゃんもあんまり喋るのが得意な方では無いのだけれども、訥々と最近読んだ本で盛り上がり始めた。話の途中であっ、という顔をする古関ウイさん。
「以前聞かれたあれは、すみません……まだ何も見つかってないのですが。保管期限が切れて、公文書館に送られなかった子で面白いものがありましたので、準備しておきま」
「やっほ~!ウイちゃん、イヴちゃん、楽しんでる?」
「ひっ」
ひって。なんぼゴリラを素手であやせる女だからってその反応は無いでしょ。イヴちゃんもめっちゃびっくりして声が出なかっただけっぽいから声が出せたら悲鳴あげてたかもだけど。それにしても聖園ミカさん、普通に光沢抑えめの白ワンピのはずなのに、地がいいからか光り輝いてる気がする。火力的な意味で偉大な人物は光り輝いて見えるものだヨ?
「図書委員長って大変だね~。この後、サンクトゥスのも参加するんでしょ?」
「(ヒュ)……え、ええ……」
「最近面白い本とか入った?」
「あ、いえ、その……」
「大丈夫大丈夫~!慌てなくていいから!あ、コーヒー飲む?」
「いえ結構です」
本当に飲み過ぎなんだなあ。でもこれで持ち直したっぽくて、この間入荷した哲学書の話をし始めた。何かミルの自由論みたいな本がこないだから生徒の間で評判らしい。
「へー。普通選挙の話かー。よその学園だとあるみたいだね」
「トリニティはちょっと成り立ちが特殊ですからね……」
トリニティの生徒会、ティーパーティーは血統だの実績だのの既に加入してる人からの推薦が必要だし、派閥の長は派閥内での互選だしね。民主主義的な観点で言うと割とアレ。大して現状文句が出てないのは運営が上手く行っているからだろうけど。皮肉った言い方するとパンもサーカスも足りてるしね。
「あはは!ナギちゃんとか読んだら怒りそ~!」
「は、はは……」
「あ、ごめんねイヴちゃん!2人で話し込んじゃった!」
「いえ……。面白いなって……」
「イヴちゃんも本好きなんだね~。あっ、2人ともドレス似合ってるよ!」
古関ウイさんは明らか適当にあったのを着てきた感が溢れてるけど、なんかぼさぼさになりつつというか戻りつつある髪と相まって凄い統一感がある。一応って感じでお礼を言う古関ウイさんと嬉しそうなイヴちゃん。可愛い~♥
「あっ、イヴちゃん。ゲヘナの風紀委員会と一緒に演習したんだって?また聞かせてね!ごめんね、呼ばれてるから!」
主催にして主賓らしく優雅に去って行く最後の最後で何か急にぶっ込んで来たな。怖。
ブルアカ、選挙とかあるんすか?!って変なところで流れ弾を受けてしまいました。
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赤帯に戻りました。わー嬉しい。安定してくれたらもっと嬉しいですね。