ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
鍛え方が違うから、多分腕を振り払う事自体は出来ると思うけど、動悸と嫌な汗で結局何も出来ず、ブラックマーケット入口すぐのところで熱いペロロ様トークを聞かされているイヴちゃんとそのおまけジルです。いやまじですげー高速詠唱を聞かされてるんだが。昨日イヴちゃんが見付けたブログより全然詳しい。この汗は何?ファウスト様の力を感じてるのか?
「それで、私が探しているのはこのペロロ様なのです!ブラックマーケットには4回目なのですが、この子の存在が」
見せられたスマフォには口に無理矢理チョコミントアイスを突っ込まれて窒息してるっぽいペロロ。いやこれ様をつけておかないと殺されるんだっけ……?っていうか4回も来てるの?しかも制服のまま???メタ的にグラフィックの都合かと思ってたけどこの人まじかよ。
「あの……少し、目立っています。歩きながら、話しませんか……?」
「あっ、ごめんなさい!!あ、私は阿慈谷ヒフミです!」
「御蔵イヴ、です……」
声がでけ~~(標準よりやや)何だろう、ブラックマーケットで堂々と名乗るのやめてもらえますか。
ともあれ、阿慈谷ヒフミさんのペロロ様を探すのを手伝う代わりにイヴちゃんが探してるMr.ニコライを探す手伝いをしてもらうことになった。慌てるな、今回見つかるとも限らんだろう。
意外にも(?)イヴちゃんと阿慈谷ヒフミさんの会話が弾み、場所柄さえ考えなければ楽しく買い物ができた。どっちの探し物も見つかったのだ。ついでに無地のエコバッグまでもらった。いや、まあ今んとこ絡まれてないし、このまま良い感じに。
「おい、お前、トリニティの生徒だろ?」
「あたしらちょっと生活に困っててさ」
「は、はい?!」
いかにもって感じのチンピラ3人組に絡まれる。あーあかんかった。いや、まだ慌てるような時間じゃない。とにかく今僕がぶちのめしたら何とか軌道修正はできる、かも。
「に、逃げましょう!!」
腕を捕まれて後ろに引っ張られる。何となく従ってしまった。
「あ、おい待て!」
まあ逃げ切れるならそれはそれでいいか。今日は盾も
アビドス高校に先生である私が滞在するようになってしばらく。アビドス高校の敷地には犯罪の結果押収されたり、撃破された兵器が多数転がっている。ヘルメット団は分派によって装備の善し悪しが違うらしいが、アビドス高校を狙っているカタカタヘルメット団は相当装備がいいようだ。大半はアビドスに再利用されているが、M2軽戦車なる戦車まで投入していたらしい。今は黒焦げになった残骸を校門横に晒している。その前に鹵獲していたカーデン・ロイド豆戦車なる小型車両に爆薬を積んで体当たりさせて撃破したそうだ。そっちはスクラップとして売却したらしいが、「使い勝手がよかったのでもったいなかった」とはアヤネの言。ともあれ、あの見た目の可愛らしい車両はミレニアムで過去に運用されていたものだったが、今は生産されてないらしい。エンジン番号等々も削られているらしく、追跡の仕様が無いらしい。そこでヒントでも探すために、借金を返し終えた今日、留守番のアヤネを除くアビドス生徒会全員でブラックマーケットにやってきた。事前に聞いていた内容とかなり違う、物見遊山に来ているらしい女の子やロボット、犬猫の人達もいて拍子抜けしたが、シロコに「先生は銃弾が一発当たったら死ぬ、油断しないで」と釘を刺されてしまって反省。していたところで、曲がり角から誰かが飛び出してきた。もとい、飛び出そうとしたところで後ろからあきらかにスケバンって感じの子3人に捕まってしまった。トリニティの制服を着ているブロンドのツインテールに白いバックパックを背負った子と、口元に赤黒いスカーフ、黒コートに白シャツ、青黒白の迷彩ズボンを履いた白髪の子。ん……?こっちの子は凄く見覚えがあるような……?赤い瞳と目が合った。やっぱりこの子は。
「おいおい逃げんなよ。ん?」
「何だ、お前ら。見世物じゃねえぞ。まあ手伝うっていうなら利益を分けてやってもいいが」
「トリニティは金満学校だからな。拉致って交渉!中々の財テクだろ?」
助けようとしているのだろう、銃に手をかけたシロコとセリカに、意外なことにホシノとノノミが制止の合図をした。
「うーん、危なそうになるまで放っといていいと思うよ~」
「そうですね~☆」
「えっ、ちょっと!ホシノ先輩もノノミ先輩も何言ってんの?!」
「ん……?」
セリカは当たり前だが納得がいかないようだ。シロコは「あんた達ほどの実力者がそこまで言うなら……」という感じで銃を下ろす。
赤黒スカーフの子が両手を肩の上まで挙げる。
「そうそう、あんたも大人しくしてな。まあ、関わりたくないなぶげっ?!」
そのまま右端の子に踏み込んで右手の拳で一発。崩れ落ちるその子を無視して一歩左側に踏み込み、左手を横に振って真ん中の子の喉を打つ。しゃがみ込むように背を低くして崩れ落ちたその子にタックル、抱え上げておろおろしている左端の子の腰辺りに投げつけた。受け止めるか避けるかそれとも撃つか迷っているうちに衝突して痛みでしゃがみこみそうになった子に向け飛びかかり、後頭部に踵落とし。投げた子のこめかみに蹴りを入れて3人全員のヘイローが消えた。銃声無しの制圧は10秒もかからなかったのではないだろうか。
「ウシッ」
左腕を左半身に振り、右手を引く動き、息を鋭く吐いた。私にはあまりわからないけど、しっかり身についた動きみたいだ。
「うへ~。イヴちゃん、格闘技もやってるんだ?さっきの何?」
「わぁ、イヴちゃん、お見事です☆」
「空手と、最後のはテコンドーですね……。投げ技はあんまりなのですが……正直、皆さんがいたから安心して、ちょっと遊んでしまいました……」
「何、知り合い?」
「去年の冬にちょっとね~」
「おい、いたぞ!」
のんびり喋っていたら倒された子達の仲間が来たようだ。反射的にだろう、シロコとセリカが銃をぶっ放し、追いかけてきた3人が倒れた。
「うへ~。ごめんね、うちの若い子が撃っちゃった」
「静かにした方が良かったのですか?」
ヤクザ映画みたいな台詞だ。キヴォトスならではというべきか。
「そ、そうなんです!この辺りで騒ぎが起きると、マーケットガードが……!」
トリニティの制服を着た子が慌て出す。
「マーケットガード?警察みたいなの?」
「実態としては単なる悪徳企業が警察を名乗ってるみたいなものですが、戦力的にはかなりのものです!」
遠くからざわめきが伝わってくる。
「"じゃあ、逃げよう"」
「そうだね、さっさと退散退散~」
「はい~」
「ん」
「は、はい!」
「まったくもう!」
「……行きましょう」
いやー、アビドスの人達見てあ~これは本編関わっちゃったか~手伝うのは良いけど便宜上とはいえイヴちゃん自警団員なのに銀行強盗参加したくねえ~っていう気持ちに一杯になり、思わず練習中だったタックルからの投げをやってしまった。タックルの高さはあんま良くなかったけど、キヴォトス人は反射的に銃に頼っちゃうからやっぱアリナシでいえば全然ありだな。あの場面だと普通にサイドキック腹に入れて踵落としか膝で良かったけど。いやまじで銀行強盗この後するの?やだー。
ということで走り回って便宜上設置されているブラックマーケットの境界ぎりぎり。この辺りも普通の住宅街兼商店街という感じ。息を切らせてる先生以外は全員元気。先生の息が整うのを待ちつつ周りを見渡していると、鯛焼き屋の屋台が目に入った。ブラックマーケットならではのショバ代が乗ってるんだろうが、繁華街のど真ん中でもまあこんなもんだろうという常識的な値段だ。
「お腹空いちゃったね~」
「そうですね、鯛焼き、いいかもですね~☆」
ゴールドカード(対応はしてるらしい)を取り出そうとする十六夜ノノミさんを制止して先生が奢ってくれた。ちょうど切らしていたので焼き上がるのを待ちつつ駄弁る。ゲームでは知ってるけど、銀髪の砂狼シロコさん(マフラーとスカーフでちょっと親近感)、黒髪ポニテの黒見セリカさんは初めましてだな。
「助けてくださってありがとうございました!あ、私は阿慈谷ヒフミです!」
「……ええと、初めまして、御蔵イヴ、です……」
「アビドス高校の小鳥遊ホシノだよ。別に助け要らなかったかもだけどね~」
「十六夜ノノミです~。あ、でもイヴちゃんは盾と銃を落としてしまってるみたいですし~」
「……落としてはない、です……」
「ん、砂狼シロコ。よろしく」
ドローンからのホログラフで眼鏡の少女が映し出された。
「奥空アヤネです。私自身はアビドス高校にお留守番でいますが……」
「黒見セリカよ。あ。あなた達何年生?」
何か、なに……年齢でマウントとか取りたいの……?な訳ないか。アビドスは同い年の子少ないからいたら嬉しい的な?
「トリニティ高等部2年です」
「……1年生です……」
「あ、同い年!イヴちゃんって呼んでもいい?阿慈谷さんも、ヒフミさんって呼んでいいですか?」
「ん……ヒフミに、イヴって呼ぶ。大丈夫?」
頷く阿慈谷ヒフミさんとイヴちゃん。
「そういえば、イヴさんはどちらの学校の方なのですか?」
「あれ、同じトリニティだから一緒にブラックマーケット散策してたんじゃないの?」
「い、いえ。そういえば聞いてなかったなって。あはは……」
「……トリニティの校則では、ブラックマーケットに出入りするのは禁止なので……」
「えっ、そうなのですか?ヒフミさんは、トリニティの制服、ばっちり着こなしてますよね~☆」
「あ、あはは……ペロロ様のことになると、そこまで気が回らなくて……」
マジかよこのペロキチさんはよ~~。
「えっ、何って……?」
「化学兵器とか探しに来たんじゃ?」
「違法な火器では?」
「戦車とか……」
「違います!私とイヴさんは、モモフレンズのグッズを探しに来てたのです!」
「モモフレンズ……?BC兵器の隠語……?」
まじかよこいつら、みたいな顔で見られる阿慈谷ヒフミさんとイヴちゃん。いや間違ってないけどさ。
「……友達が、昔くれた限定品のこれを……事故で無くしちゃって……」
「わぁ☆ミスター・ニコライ、私も好きです」
「モモフレンズが繋ぐ友情、素晴らしいです……!」
どういうノリなんだ?ますますアビドスの皆が引いとるやんけ。
「それに……ナイフも買った……」
ナイフはキヴォトスではあんまり人気が無い。砂狼シロコさんはちょっと感心した顔で見てるけど、他の皆はふーんって感じ。
鯛焼きが焼き上がったらしく、先生が皆に渡してくれる。全員普通のあんこだ。先生は変わり種はあんまり好きじゃないタイプなのかな。イヴちゃんが自販機で全員分のアイスココアを買って渡す。甘味に甘味……まあ皆平気そうだしいいか。
土曜に病院、ライブと外出案件目白押しで疲れてしまっていて日曜に書き溜めが出来ず、今週は不定期更新になりそうです。
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