ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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たき火、その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの は合法 つまりお仕事(意味深)の証拠を燃やしても合法

 晩ご飯を皆と一緒に食べるために声をかけるつもりだったイヴちゃんに詫びを入れて、自警団の夜のシフトを今日の夜の子と代わってもらった。補助団体になってちゃんと手当(お小遣い)は出るとはいえ、誰しも晩飯食った後にパトロールなんて嫌なもので、喜んで代わってもらえた。イヴちゃんは名目的に入っているからシフトは当たってないのだが、たまには顔を出さないとね。という体で、右手にはやや大きめの中が見えないビニール袋が2つと、左手には状況によっては差し入れにするつもりのジュース類。トリニティとD.U.の境、夜の狩りをやっていた頃にはよく通っていた地域に着く。

 イヴちゃんは今日の夜の予定が無くなっちゃったし、僕が別に遊んでていいよと言ったので脳内ライブラリの映画を見ている。無人島に遭難して漂着した男性が死体に乗って無人島脱出をしようとするやつ。イヴちゃん好きだな~。

 顔見知りの不良グループがいないかな~と思ったが、連邦生徒会長の失踪以来、不良業界(?)も相当勢力の激変があったらしい。とりあえず手頃なあそこでいいや。

 春になってそんなに寒くもないのにドラム缶で火を焚いて談笑しているスケバン3人組に近寄った。

「何だ?」

「こんばんは。トリニティ自警団です」

「ああ?!自警団の良い子ちゃんが……」

「おいやめとけよ、白髪頭だ、こいつ」

「自警団の白髪頭……?!初めて見た……」

 色めきだった1人を横の2人が宥める。そんなオバケか何かみたいな扱いされてるんかイヴちゃん。ウケる。

「火をお借りしたくて……。いいですか?差し入れも持ってきました」

「お、おう……気が利くじゃねえか……」

「温まりたいのか?」

「いえ、ちょっと処分したいゴミが……」

 言いながらドラム缶内に不透明な袋1を投げ込んだ。中身にはあらかじめガソリンをしみこませておいたのでド派手に燃え上がる。うーん、気に入ってたんだけどな、あのコートとブーツ。ブラックマーケットの噂が伝わってきて万が一寮の部屋に捜索でも入ったらたまらんから燃える……燃えてしまう……ってすることにした。また今度買おう。

 目を細めるスケバン達。リンゴジュースとオレンジジュースを手に取って飲んで不審げな目を向ける。

「何だこりゃ」

「バイクのメンテに使ったボロ布です。家に持って帰るのも面倒で」

 かなり景気よく燃えてるのでもう目をすがめたところで何だかわからんだろうけどとりあえず適当をかましておく。

「っていうか、自警団にバイクなんかあるのかよ……」

「正実のトラックにはこないだ追いかけられたけどな」

 正義実現委員会、色んなトラック持ってるよなあ、なんてぼんやり火を眺めながらスケバン達と言葉をかわす。この子達のグループは退学とかしてないけど、トリニティでもゲヘナでもない学校から来ているらしい。少しだけ興味はあるけど、たぶん答えてくれないだろうな。

 僕は完全に「ボロ布」が燃え尽きたことを確認してから立ち上がる。

「何だ、あたしらを連れて行かないのか」

「何もしてないでしょう?厳密に言えば、銃を近くに置いたままの焚火はよくないかもしれませんが」

 焚火の近くに軽率に銃を転がしておくのは練度の低さをこれ以上無いくらい表してるけど、この子達は兵隊でも何でも無いしな。

「ふーん……まあ、また会いたくはないけど、またな」

「やっぱあたしはやるぞ。自警団も正実も気に食わねえ」

「やめとけって」

 もう我慢できねえ!ってなっちゃったらしい子が銃を構えた音にあわせて振返り、ビニール袋その2を叩きつけて信管を抜き、右足前蹴りで蹴り飛ばす。

「うぎゃっ?!」

「離れておいた方がいいですよ」

 喧嘩を売ってこなかった残りの2人は今のでやる覚悟を固めてしまったらしく、転がっている銃に飛びつく。下ろした右足を軸に、反時計回りに後ろ蹴りを右の子こめかみにたたき込み意識を刈り、左の子に盾を投げつけた。盾が顔面にめり込んで意識を失った瞬間に袋その2の中の信管が作動し爆薬が炸裂。タップダンサー(AKSB74U)をパーツ単位にばらして銃弾の証拠と紐づく部品(銃弾や薬莢に銃固有の個体差が出て証拠が残ってしまう)の銃身部分と撃針と遊底部分をC4を内側に詰め詰めしておいたので無事に粉微塵になりました。何なら攻撃はついでまである。多めに詰めておいたからちゃんと卒倒させられて一石二鳥。消耗品だから早めに買換えたってことでヨシ!

 理想を言えばビナーの口の中にでも突っ込んでビームででろでろにしてもらいたかったけど時間的にようせんしな。噂が広がり始める前に片付けておかないといけない。

 

 焚火に景気よくペットボトル含む近くのゴミを突っ込んだ後に拘束した3人を適当に米俵担ぎして向かいの建物前に放り出し、戻ってきて消火してからドラム缶を担いで近くのきったないドブ川に灰を叩き込む。自然に厳しいが許してほしい。全部燃え尽きてたから多分大丈夫だろう。これで取り敢えず家捜しとかされても大丈夫かな。そもそも反社の連中が「女の子達に1億盗られたよ~助けてヴァルえもーん」とかするわけないとは思うけど、死神は身構えてない時にやってくるからな~。

 

 普段シフト免除してもらってるから適当に済ませるわけにいかないなと思ってしっかりパトロールをして、正義実現委員会に捕縛した子達を引き渡し、晩ご飯に新しいラーメン屋を開拓してと、お片付け(隠蔽工作)が順当に済んで帰ってきた。イヴちゃんは次の映画を見ている。両手に拳銃を括り付けられてデスマッチを強制させられるやつ。変な映画ばっか出てるなこの人……。で、変な映画ばっか見てるなイヴちゃん……っていうか、キヴォトス人的には全然火力しょぼないこれ?まあ僕のライブラリ偏ってるからしょうがないんだけど。

(イヴちゃん、面白い、これ?)

(……さっきの方が面白かったかな……。次はサメがデターのやつ見ようかな……)

 一応ハリー・オードもといハリー某シリーズも全部あるんだけどまだイヴちゃんは手をつけてない。

(ジル、さっきはありがとうね……)

(ん?何が?僕は野焼きしてきただけだよ)

(……ふふ、うん……)

 イヴちゃんの役に立つのが僕の喜びだからね。もちろん喜んでもらえたらもっと嬉しいけど。

 正直、連邦生徒会法とトリニティ法での銀行強盗の初犯って反省文何枚からしいから闇銀行ならそもそも反省文すら無さそうだし、ここまでする必要性あるかわからんけどね。

 

 あと、明日からはちょっとだけ防犯上お部屋にする仕掛けのために早く起きようかなって思った。実際用心してしすぎってことはないだろう。多分。一応判りづらい場所に部屋の監視カメラは仕掛けたけど、忍び込まれるときに電力供給止められたら終わりだしね。

 

 寝る支度を済ませてモモトークをイヴちゃんが見たらアビドスの1年組というか大半が黒見セリカさんからだが、めっちゃメッセージが来ていた。*1アカウント交換してからすげーメッセージが来ているけど、律儀に返信していくイヴちゃん。中身はもちろん全然大した話じゃないんだけど、3人とも楽しそうで何よりだ。「また行きたいし、いつか私の友達もアビドスに連れて行きたい」とイヴちゃんが書いている。いいね。アビドスなんもねえけど。柴関があるか。

 なんかもう相当おぼろげな僕の記憶でもあったような気が……トリニティっていうか阿慈谷ヒフミさんがティーパーティーの近衛師団砲兵を連れて行くイベントが……何だっけ……?アビドス大花火大会……?うーん思い出せない。まあ砲兵連れて行くことだけ覚えてたらいいか。多分。

 トリニティとゲヘナの防衛関係グループも正義実現委員会の人達が入ってぼちぼち動いているようで何より。当たり前だけど、剣先ツルギさんが普通に喋ってというか書いている。合同演習が将来的にできたらいいけど、まずは放課後だけでも交換留学をするかもという話になっている。ティーパーティーと万魔殿両方の了承を得ないといけないらしく、前途多難そうだが。自警団とイヴちゃんに関わりそうな話以外は飛ばして見てるから細かいことあんまわからんけど。天雨アコさんと羽川ハスミさんが話っていうかメッセージが長えんだよな。悪印象だとかは文面的にあんま感じないし事実上の事務方トップだからしょうがないんだろうけど。

 他のメッセージもあらかた返し終えたあたりでイヴちゃんのまぶたが重たくなってきた。

(もう今日は寝よ)

(そうだね……お休み、ジル……)

 お出かけして一仕事したし、今晩は鍛錬はお休み。明日、大聖堂行ってみるか。

*1
アビドス高校1年生+イヴちゃんのグループが作られてる




 映画の話してると映画が見たくなりませんか。久々に『恐竜神父』が見たい今日この頃です。

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