ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
起きたらトリニティ領の市街地中心部に入ったところだった。夜半の市街地がゆっくりと車窓を流れていく。あっ羽川ハスミ先輩だ。パフェ3個食べちゃいますしてる!!!一瞬で通り過ぎちゃったし当人はパフェに意識向いてたから気づいてなかったけど、ゆっくり羽を伸ばせているようで何より。いやこないだ「ダイエット再開した」って言ってなかった?ゆっくりするのはいいけど3個は駄目でしょ。まー……黙っとこ。本人の愚行権(成年ではないけど)は尊重されるべきだからね。
学園内、ティーパーティー弾薬庫前に車両が止まったのでイヴちゃん以外の全員を起こす。後は帰るだけだしイヴちゃんは別に寝てて大丈夫。うえー身体ばっきばき。
「うーん、よく寝ました!」
「夜遅いんだからもうちょっと声抑えなさいよ!」
「すみません……」
「まあまあ」
別の車両に乗っていたファウスト様こと阿慈谷ヒフミさんと操縦士さんはティーパーティーへの報告をしに行くと言うことでお礼を言ってお別れ。
「片付け、手伝って帰りましょうか」
「そうですね!」
「えっ、し、仕方ないわね!」
砲兵連隊の皆さんが火砲と残りの弾薬を収容するのを手伝う。普段何百kgの重量物を持ってる僕はもちろん、余裕ができた時間で鍛錬もできるようになってより強さに磨きがかかっている宇沢レイサさん、ちょっとふらついているけど根性はある下江コハルさんの人手は助かったようで、砲兵連隊の皆さんとも少しは打ち解けられたと思う。「重い物を持ち上げるのは人類最高の快楽」って誰かも言ってたし、良いことをしたな。
今日付き合ってくれた宇沢レイサさんと下江コハルさんに改めてお礼を言って、下江コハルさんとモモトークのアカウントを交換してから全損バイクをミレニアムに発送して(コンビニでこんな重量物を発送できるのキヴォトス凄いなって思う)帰宅した。
ドアを開ける前に蝶番のシャーペンの芯を見ると。あっ折れとる~~~~!!!!!ってなると、中のブレーカーとかは1回落とされてるかな。PCクラッシュとかしてないといいけど。と思いつつドアを開けたら普通にパソコンの電源はつきっぱなしだ。ん?パソコンにつけてた防犯用のカメラは生きてるな?動画をざっと見たら、放課後の時間帯に普通に鍵で侵入されてるっぽいな。顔も髪もちゃんと隠してるし服はトリニティ共通のジャージだから誰かはさすがに特定は難しそう。うーんめっちゃ派手に漁ってるけど余裕を持って元に戻してるし、滞在時間2時間くらいはおったっぽい。体格と動きでわかりゃいいけど知らん人のなんかわかんねーや。何か手ぶらで引き上げていったけど
正直、気持ち悪い虫さんがおうちの中におったのを見たような気持ちだけど、ともかく寝る支度はしないといけないので、シャワーを浴び、明日の支度をしてから奥空アヤネさんから送ってもらった動画をダウンロード。顔にモザイクをかける作業をする。まあアビドス高校とかアビドスの商店街とかのページみたら全員載ってたりするんだけど。まじでプライバシーの概念どうなってんだよキヴォトスはよ。まーキヴォトスの終わってるプライバシー観念はさておくとして、PCのローディング時間以外はわりとさくっと終わった。動画編集って本当にスペック要るよな。まじ買換えようかな。でもバイクぶっ壊れたばっかだし。USBメモリに作った動画と防犯カメラの動画とさらっと書いた文書入れてヨシっと。
バイクの保険は免責事項の「天災」と「武力紛争」の合わせ技っぽくて駄目っぽいし悲しい。
ああー、おまけにアビドス土産買うの忘れてた。そんな時間も場所もなかったからしょうがねーけど。
はあ、寝るか。追い睡眠は正義だし。
朝一でふつーに被害届と防犯カメラの動画データを正義実現委員会に提出してからいつも通りの授業(イヴちゃんは相当疲れていたみたいで授業直前に起こして、侵入者がいたのも伝えておいた。めちゃくちゃ気持ち悪がってて申し訳なかった)、いつも通りのお昼。シスターフッドのお昼ご飯はランチミーティングの一面もあるらしく、伊落マリーさんはしょっちゅうはお昼に来られないとのこと。ざんねん。
でも今日は新しい参加者がいます。お昼休みまでにイヴちゃんが全員の了承はもちろん得てる。
「……下江コハルさんです……」
「よ、よろしく」
「昨日はお疲れ様でした!」
「あー、昨日公休だったもんね3人とも。あ、コハルちゃんって呼んでいい?」
「う、え、えっと……と、特別に良いけど!ライバルの友達なわけだし?」
「下江さん、いや、コハルちゃん、ライバルってレイサちゃんとイヴちゃん?」
人間関係の距離を詰められた時にはキョどったのに、ライバルの下りでなぜかふんぞり返る下江コハルさん。
「そう!エリートである私の認めたライバルだから!今日は敵情視察って感じ?」
「敵なんですか?」
「……そうなの……?」
悲しげな目で下江コハルさんを凝視する宇沢レイサさんとイヴちゃん。うっ、と言葉に詰まる下江コハルさん。
「こ、言葉のあやっていうか、ライバルは敵じゃなくてライバルだし!」
ほっとした顔をする2人と可愛いねって顔で3人を眺めてる
今日のお昼は朝吹ソフノさんチョイスの中華弁当。朝吹ソフノさん自身と下江コハルさん、イヴちゃんのは白身魚がメイン、報野モユルさんのは鶏唐揚中心、宇沢レイサさんのは
「デザートにあんまんも買ってあるから欲しい人取ってね」
「あんまん?!いきなり何?!」
「「「「えっ?」」」」
「あっ、そのサラダ、カズノコ入ってんじゃん。ちょーだい」
「……いいよ、あげる……」
「カズノコ?!エッチなのは駄目!死刑!」
「「「「えっ?!」」」」
あっ出たエ駄死!!それにしてもすげーな、まじで頭の中までピンクなのかな。という一幕もありながら、楽しい時間を過ごせた。
食後、温かい烏龍茶を飲みながら落ち着いて駄弁ってる中、宇沢レイサさんが切り出した。
「でも、どうして私達がライバルなんですか?」
「その……」
あんなに堂々とというか、あんま接点無かった面子で虚勢張ってたっぽいお昼休み開始直後と違って、慣れてちょっと落ち着いたのが逆に素に近い状態になっちゃったのか、口ごもりながら言葉を続ける下江コハルさん。
「えっと、七囚人の1人を捕まえたんでしょ?」
「あれってやっぱ凄いんだ」
「レイサちゃんとイヴちゃんから見たらその、七囚人?の人?ってどうだった?」
「……強かった、気がする……」
まああんときやったの僕だしね。ふんわりしててもしょうがない。
「強かったですよ!でも、1人の力じゃないです」
宇沢レイサさんが真剣な表情で言う。
「スズミさんとイヴちゃんがいたからです」
「……私も、1人ではできないこと、たくさんある……」
「……1人でできないと駄目。強くなきゃ駄目」
下江コハルさんの重苦しい表情と言葉に、一瞬全員が沈黙する。もにょもにょと言葉を噛みしめて、勇敢にも宇沢レイサさんが再度口を開こうとしたとき。
予鈴が鳴って、同時に下江コハルさんが立ち上がった。
「だから私はこんなお昼の集まりだっても……た、たまにしか来ないんだから!」
捨てられそうな子犬顔の宇沢レイサさんとイヴちゃんの視線に急激にトーンダウンする下江コハルさん可愛いね。
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