ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
午後の授業が始まる寸前、モモトークに
『さっきは参っちゃったね。ちょっと小学生の頃のソフノっぽかった。余裕無くて思い込んだら一直線みたいな(眼鏡の真面目そうな女の子のスタンプ)』
『えっ!!!!ソフノさんの話、興味あります!!!!!(宇沢レイサさん渾身の謎スタンプ、金平糖みたいなの)』
『私も今日(と書いてから、イヴちゃんも謎スタンプ。骨付きマンガ肉。なんで?)』*1
『モユル後でしばく』
ちらっとイヴちゃんが
放課後は朝吹ソフノさんからお叱りを受けている報野モユルさんがそのまま流れるように純文学部の先輩に引き渡されるのを眺めてから、宇沢レイサさんとイヴちゃんで部室棟裏を見回ってまた湧いてたいじめグループを軽くしばいて、ティーパーティー本部へ報告に。今日は時間が無いから代理の人が報告を聞いてくれるはずが、ティーパーティーテラスに通される。あ、扉の前に控えてる人が昨日の操縦士さんだ。昨日と今日で全然印象が違うから一瞬気づかなかった。さすがにえらい人の前に案内するところだから無言だけど、にっこり微笑んで小さく手を挙げてくれる。宇沢レイサさんとイヴちゃんもにっこり目礼した。
いつも通り盾と銃を預け、お土産ことアビドスの大蛇の装甲板と剥ぎ取りした何かよくわからんパーツの一部だけを持って扉をくぐるイヴちゃんと手ぶらの宇沢レイサさん。入れる袋がなかったので、百鬼夜行で買ったお高い羊羹のおまけについてきた布バッグに入れてきたので、何か見た目はお菓子を持ってきたみたいにしか見えない。すっかり忘れてたけど小鳥遊ホシノさんにメッセージを送って了承も得てるし、宇沢レイサさんも下江コハルさんも特に異論ないそうなので、扱いとしては一応イヴちゃん個人の戦利品、所有物として扱っていいって話にはなってる。
お、桐藤ナギサさんと聖園ミカさんが今日も優雅に紅茶をしばいている。
「ご苦労様でした、御蔵さん、宇沢さん」
「お疲れ~、レイサちゃん、イヴちゃん」
紙袋をお付きの人に渡すと、手袋をした上で銀のお盆2つ*2に恭しく1個ずつ載せてテーブルに持っていかれた。ちらりと一瞥だけした桐藤ナギサさんと、お盆を持ち上げてしげしげと装甲板とパーツを眺めている聖園ミカさん。
「こちらは2週間ほどお預かりして調査しても構いませんか?」
「……構いません。後日、ミレニアムに持っていくつもりですが……」
紅茶を飲んでから重々しく頷く桐藤ナギサさん。
「いいでしょう」
装甲板はまだミレニアムに返してもらうの忘れてたから追加で手に入って助かった。昨冬から仕様が変わってたりしたらミレニアムの参考になるかもしれないから、後で持っていくけど。
「なーにこれ、中はスポンジ?」
「……ミカさん、造兵廠が調査してから触ってくださいね」
「わかってるよ。でもこれイヴちゃんは素手で触ってたんでしょ?大丈夫じゃない?」
「ミカさん」
「ごめんって」
トリニティにも直営の技術部がある。小火器工廠、通称が造兵廠だ。確かトリニティの前身のどっかの学校公営の組織で、凄く昔からあるらしい。
内側に海綿状の部分があるんだよな。砂漠の環境から機体を守るための断熱材とかなのかもしれない。ぶち壊した体節まるごととか手に入ったら滅茶苦茶嬉しかったんだけどなー。自爆して剥ぎ取りも報酬も無しなのマジでクソモンスじゃんね。
まずは宇沢レイサさんから昨日の報告。まあアビドス高校からも動画データ送られてるらしいし意味あるんかって感じだけど、口頭で伝えるのも多分意味あるんだろうな。知らんけど。つっかえたりしたりしたところはイヴちゃんが補足したりしている。
「ありがとうございました。宇沢さん」
「イヴちゃんのは大丈夫だよ。同じ話を違う子に聞くだけだし。ね、ナギちゃん?」
「……形式的には、そうではないですが」
「それよりさ、2人ともゲヘナの風紀委員会と一緒に訓練したんでしょ?どうだった?」
「……どうだった、というと……?」
「うーん。ゲヘナの子達と仲良くできそうかなって」
「できます!」
即答する宇沢レイサさんと、こくこく頷くイヴちゃん。
「ふーん。そっか。2人はそうなんだね。良かったね、ナギちゃん」
楽しげにニコニコする聖園ミカさんと、ナギちゃん呼びに一瞬嫌な顔をしてから再び紅茶を飲んでから口を開く桐藤ナギサさん。
「お二人もお忙しいでしょう。ありがとうございました」
そろそろ報告の儀は終わりらしい。立ち上がる直前、爆弾が投下された。
「そうそう、御蔵さん。賊にお部屋を荒らされたと伺いました。お気を落とさず」
器用なことに椅子に座ったまま小さくぴょんと飛び上がる宇沢レイサさんと目を丸くする聖園ミカさん。
「……ありがとう、ございます……」
「わーお。大変じゃんね」
いや、正義実現委員会に通報したんだから情報を持ってて当たり前っちゃ当たり前なんだろうけど。今触れる?いやそんなこともあるか?ヤバいわ、何もわからん。あわあわしている宇沢レイサさんと一緒にテラスを退出した。
ティーパーティーの建物を出た直後に宇沢レイサさんが口を開く。イヴちゃんの胸ぐらを掴まんばかりに慌てていた。
「賊って、どうしたんですか?!」
対照的に首を傾げてスマフォにも入れてある防犯カメラの動画(16倍速)を見せるイヴちゃん。
「……昨日出かけてる間に侵入されたけど、何も盗られてない。大丈夫……」
「で、でも……心配します……」
「……うん、ありがとう……」
口ごもってしまってふるふる震えて泣きそうな宇沢レイサさんをぎゅっと抱きしめて――というか抱きついてって感じだが――よしよしと頭を撫でるイヴちゃん。キヴォトスがマッポー過ぎて僕もイヴちゃんも感覚麻痺してたけど、不審者が侵入するって割とヤバいんだなあ。
しばらくして宇沢レイサさんが落ち着いたっぽいけど、何だか離れがたいなっていう雰囲気を出している。まあ心配してくれてたしいい……のか?路上だからあんまりいちゃつくのも、いや今更か。今更かもしれない。まだ深呼吸とかイヴちゃん吸ったりし始めないだけマシなのかも。シャーレに行く時に先生の変な影響受けないように気をつけないとなあ。
なんて思っていると、イヴちゃんのスマフォが鳴った。びくりとする宇沢レイサさん。イヴちゃんが取り出すと、正義実現委員会本部から。出ると静山マシロさんだった。
「お疲れ様です、イヴさん。今いいですか?」
「……何ですか?」
「これから被害届を出されたイヴさんのお部屋の不法侵入の調査に行きたいので、立ち会ってもらいたいなと」
「……わかりました……15分くらいで帰れると思います……」
学園内のバスのタイミングが良ければもうちょい早いけど、まあそんなもんかな。十傑集走りも練習して最近完璧とは言えないまでもできるようになったし、走ったら実際はバス掴まらなくてももうちょっと時間短縮できるみたいなんだけど、イヴちゃん的には宇沢レイサさんと朝吹ソフノさんに評判が良くなかったので(報野モユルさんは爆笑していた)あんまりやりたくないらしい。まあそれはさておき。
「……正義実現委員会が、調べに来てくれるって……」
「行きましょう!!!」
イヴちゃんの右手を取って歩き始める宇沢レイサさん。ふふ、と微笑むイヴちゃん。
「……レイサちゃん、ありがとう……」
「大事な、その、友達ですから」
振り返らずに言う宇沢レイサさん。ちょっと耳が赤い。可愛いね。
木曜は労役と病院2軒ハシゴしたら疲れてしまっていつもの投稿時間に間に合いませんでした。
タイトルのレーベル名は一応ちょっと変えてます。元ネタは勿論貴族(正確には伯爵)のあの人も大好きなGenes1sの2ndアルバムから。邦題って当たり外れありますけどこのバンドの邦題は割と良いのが多いと思います。
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