ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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 ほんのちょっぴり生々しい話が含まれます。


欧州圏のスパは大体混浴、水着もあるよ

 さっくり買い物を済ませたイヴちゃんが違う映画*1を再生しはじめたところで宇沢レイサさんが戻ってきて、部活終わった後の朝吹ソフノ(黒髪ポニテ)さんと報野モユル(茶髪おっとり)さんがやってきた。

 今日のイヴちゃんチョイスはミディエ・ドルマ*2をメインにサラダとピデ*3、フィッシュ&チップスとローストビーフ、その他諸々。デザート用にミンスパイ*4

 朝吹ソフノさんは軽く食べた後だそうで少なめ。みんなもりもり食べてて気持ちいいね。

「イヴちゃん、泥棒入ったんだって~?災難だったね」

「何か盗られちゃった?」

「……ううん、でも部屋の写真撮ってったみたい……」

「何それ気持ち悪」

「イヴちゃん、人気あるから、そういう子なのかな……」

 人気がある、ってところでぴくっと宇沢レイサさんが反応する。それはあれ?スター枠は自分的な意味なのか、独占欲的な意味なのかどっちなんだろう。

「人気っていってもさー、ハムスターとかそういう感じじゃん?」

「本人目の前にそういうこと言う?」

「……私、人気?」

 休み時間に勉強教えて、みたいな感じで来る子は段々増えてきたなって感じはあるけどね。

「こういう所作がすごくいいんだって」

「あんたね……」

 ふーん、って顔のイヴちゃんとそうだったとは……って顔の宇沢レイサさん、きゃいきゃいしてる報野モユルさんと小動物呼ばわりはやめろっていう顔の朝吹ソフノさん。楽しそうで何より。

 

 2人も泊ってくれることになったけど、シャワーどうする?って話になった直後に報野モユルさんがドヤ顔で言った。

「大浴場使ったらいいじゃん?」

 あー、イヴちゃん行くの面倒くさがってあんま行ってなかったんだよな。元々、トリニティ成立前くらいからあった、個室に仕切られた大風呂みたいなのがあったけど、流石に手入れなんぼしても老朽化に耐えられなくて大改装してスパ施設になっている。高等部寮からだと歩いて10分くらいなので、行くと楽しいけど行くのがダルい……みたいな感じの場所。

「モユルにしては良い案。でも先に言いなよ」

「どうせシャワー浴びに1回帰るつもりって言ってたじゃん。ついでに泊まりの荷物取ってきなよ」

「みみ、みんなでお風呂入るのですか?!?!」

「入るよ~」

「は、はわわわわわ……」

「……大丈夫……?」

 宇沢レイサさんはジュースを一気飲み。追加でついでもう2杯がぶ飲み。顔真っ赤だ。酒買ってないけど?っていうか売ってない。まあ密造酒はあるらしいが、キヴォトスだとブラックマーケットですら実在するかわからんくらいの路上の売人を捜して交渉して、みたいな滅茶苦茶ハードルが高いものだし、見つかったら本当に洒落にならんレベルらしいが。

「行きましょう!!!!!」

「「「う、うん……」」」

 

 って言っても、水着着用なんだよな。トリニティのこういう施設。多分ゲヘナもミレニアムもそうなんじゃないか?裸で入るのは百鬼夜行くらいだと思う。宇沢レイサさんもそれに気づいたらしく、更衣室であからさまにがっかりした顔をしている。思春期の高校生か?思春期の高校生だったわ……。着替えをちらちら見たさそうなふいんき漂ってたけど、イヴちゃんも当の宇沢レイサさんも含め全員タオル巻いたまま水着に着替える基本スキルあるからなあ。

「えっ、レイサちゃんもイヴちゃんもスク水じゃん」

「あっ。……今度買いに行きましょう」

「「???」」

 宇沢レイサさんとイヴちゃんはスク水、それぞれ名字が書かれてある。朝吹ソフノさんはワンピースタイプの水色の水着、報野モユルさんはタンキニ型の黒。3人は朝吹ソフノさんを見てちょっとだけ硬直した。主に胸を見てる。いや確かにめっちゃでかいけど。服着てても普通にでかかったけど水着だとまじで凄いけどさ。

(イヴちゃん……)

(……はっ?!……かたまってた……)

「モユルだけにしておいて、そういうの」

「……「ごめんなさい」……」

「まあ怒っては無いから大丈夫大丈夫」

「怒ってないけど、なんでモユルが言うの、それ」

「毎年圧倒的成長を見せつけられてるとはいえショックが隠せなくてさー」

「ったくもう……」

「っていうか胸元きつそうじゃない?それ去年のでしょ?」

「セクハラ!」

 きゃいきゃいするみんな、楽しそうで何より。あ、朝吹ソフノさんが報野モユルさんの背中をひっぱたいた。いい音したなあ。

 

 スパ、水着着てるけど落ち着くな……。イヴちゃんも気持ちよさそう。っていうか半分寝てる。僕が起きてるから最悪寝ても良いけどさあ。みんな身体を洗って最初の一番大きい湯船に浸かるときまでは一緒だったのだけど、色んなバリエーションの湯船があるのを見て思い思いに回っていた。イヴちゃんは全部1分ずつ入って最後の露天風呂まで回ってきた。あ、宇沢レイサさんが追いついてきた。

「露天風呂もあるんですね!!!」

「……うん、気持ちいいよ……」

 隣に浸かる宇沢レイサさん。結構顔が赤いけど大丈夫だろうか。

「今日も、大変なこともありましたけど、楽しかったですね!」

「……うん。でも……」

「でも?」

「……この後、帰って寝るまで、まだまだ楽しいよ……」

「はいっ!!!」

 朝吹ソフノさんと報野モユルさんもやってきた。みんな下の湯船は満喫したらしい。ぶんぶんと手を振る宇沢レイサさん。

 

 露天風呂で駄弁った後にサウナで我慢比べをしたり水風呂ではしゃぎすぎてちょっと睨まれたりと色々あったけど、魂の洗濯になったね。微妙に距離がダルいけどシャワーだけじゃなくてたまにはスパも使わないとだなー。

 みんなでエンジェル24の近くの支店に寄ってアイスを買ってきて、食べてパジャマに着替えた。宇沢レイサさんのパジャマはやっぱり星があしらわれたもので、木星と土星とその衛星が描かれている。朝吹ソフノさんのは一昨年前の晄輪大祭のオフィシャルグッズらしい、青色の『晄輪大祭』と描かれた白地のもの。報野モユルさんのは百鬼夜行の作務衣っぽい濃い紺のパジャマ。彼女からもらったものらしい。イヴちゃんも今日新しいパジャマを初着用しよう、とふんすふんす意気込んでいた。

「「「えっ」」」

 イヴちゃんのパジャマを見てイヴちゃん本人以外の全員がえって言う。僕もイヴちゃんが買った時にはえって思った。Immorta1の"Diabolical Fullmoon Mysticism"のジャケっぽいやつが前面にどーんってプリントしてあるやつ。中身は悪いアルバムじゃないんだけど、っていやこれは無いでしょ!ってかなり説得して、喧嘩しそうになった*5ので僕も折れたんだけど。何がイヴちゃんの琴線に触れたのか全然わからん。

「……個性的じゃん?」

「は、初めて見た」

 宇沢レイサさんは頑張って言葉をこらえたらしい。えらい。

 

 みんな歯磨きをしてから一つ問題が発生した。まあ問題ってほどじゃねーが。寝る場所だ。

「……じゃんけんで、決める?……」

「イヴちゃんはベッドでいいよ~。まあそのマットレスめっちゃ寝心地いいけど。買おうかな」

「確かにいいけど、他のも試してから買いなさいよ」

「じゃんけんしますか?!」

「「レイサちゃんがイヴちゃんと寝たら」」

 朝吹ソフノさんと報野モユルさんの声がハモった。ピタッと固まる宇沢レイサさん。

「えっ、でも、まだそういうのは早いっていうか」

「そういうのって?それに寝るのに早いも遅いもないよ~。あ、耳栓しとこっか?」

「モユル……あんたねえ……」

 真っ赤になってる宇沢レイサさん可愛いね。イヴちゃんはきょとんとしているけど、話はまとまったと判断して奥の壁側に寝転がる。

「……はい、どうぞ……」

 ベッドの掛け布団をめくって場所を空けてぽんぽんとマットレスを叩くイヴちゃん。さっきサウナで我慢比べしてた時より顔が赤い宇沢レイサさん。報野モユルさんがちょんちょんと背中をつつく。

「ほらほら~。そこに立ってたらみんな寝られないでしょ~?」

「……どうしたの?膝枕の方がいい……?」

 えっ、って顔をする2人とそれも良いかなって顔を一瞬した宇沢レイサさん。

「う、うう……お邪魔します!!」

 野次馬的楽しさを隠そうともせずにニヤニヤしてる報野モユルさんと、それをちょっと困った顔で見ている朝吹ソフノさん。

「さっきのエンジェルでデンタルダ」

「まじで怒るよ」

「ごめんて」

 あー、うん。デンタルダム*6とかか。女の子用同士でえっちする時のやつね。ラテックス製のショーツ*7とかもあるんだけど買っておいた方がいいのかなあ。どうもこういう話って生々しくなりすぎてイヴちゃんに切り出せないんだよな。性教育に悩む親ってこんな感じなのか?いや今日っていうか、これからもないよね?イヴちゃんは清らかだから。いやこういうのが良くないんだよなあ。まーそもそも宇沢レイサさんがそういうのしたいかはわからんけど。でもイヴちゃんに好意は明らかに持ってくれてるよね。それ自体は嬉しいんだけどほらイヴちゃんは僕のだから。いや厚かましすぎるな、寄生虫がよお。なんて心中(っていうのか?)密かにぐるぐる目している間にみんな思い思いに床に寝っ転がったりして電球を豆球にした。

 

 やれテストの範囲がどうだの、クラスのあの子に彼女ができたらしいだの、新しく買った漫画が外れでがっかりしただの、寝ようと言っても身がなくてでも楽しい話が飛び交う。そうこうしているうちに報野モユルさんが最初に力尽きて眠り、朝吹ソフノさんが続く。小声で囁く宇沢レイサさん。

「イヴちゃんは、起きてます?」

「……うん、まだ……」

「ふふ、すごく眠そうです。邪魔しないようにしますね」

 囁きながらイヴちゃんにそっと抱きつく宇沢レイサさん。

「……温かくて、気持ちいい……」

「私もです」

 宇沢レイサさんは顔は赤いけど、すごく安心した顔をしている。お互いの体温が安心に繋がるのだろうな。宇沢レイサさんも目を閉じて、イヴちゃんも目を閉じる。衣擦れの音、2人の寝息が3人の寝息になり、4人の寝息になった。お休み、みんな。

*1
猿の惑星のパロ?何か豚が猿の代わりに出てる奴

*2
ムール貝に米を詰めた料理

*3
ピザの元祖説がある料理

*4
ドライフルーツを詰めたパイ

*5
こんなしょうもないことで喧嘩したくない

*6
粘膜接触を直接しないようにするシート。感染症リスクとかのリスクが大きく下がる

*7
これも感染症とかのリスクが大きく下がる




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