ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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本編2章 背徳の技術、旧文明の超越 最高の浪漫兵器
バヴァリア啓明結社編だっけ そんな秘密結社みたいな名前だったっけ?


 翼のメンテナンスとバイクの受取りを兼ねて公休を取ってミレニアムへやってきた。授業範囲は全部予習してあるんで1日くらい穴空いてもまあ大丈夫。

 宇沢レイサさんと報野モユルさんも行きたがったのだが、ド平日の授業がある日なので断念。休日に来るとエンジニア部側に負担が掛かっちゃうから、こればっかりはしょうがない。放課後だと予定合わせがお互い大変だしね。

 イヴちゃんが差し入れを買ってからいつものロボット守衛さんに許可証を見せ、エンジニア部へ。

 

 午前の授業3時間目の途中の半端な時間にエンジニア部の工場もとい部室に行くと、意外なことに才羽モモイさんが立っていた。もちろん、行くこと自体はモモトークで伝えてはいるのだけれども。

「……モモイさん……?」

「あっ、イヴ!」

 てってってっと駆け寄ってきて勢い良く抱きついてくる才羽モモイさん。可愛い。

「大変なんだよ!やっぱりイヴにはゲーム開発部員になってもらうしか!!ほらこれ着て!!!」

 凄い勢いでぐいぐい何かが入ってる紙袋を押しつけてくるのに困惑するイヴちゃん。まあ膂力でイヴちゃんに勝てる子は割と少数派なのでぐいぐい押しつけられてもその気になったらなんぼでも押し返せるんだろうけど、イヴちゃんはもちろんそうしない。紙袋なんだけど勢いが凄すぎて開けられないんで何が入ってるのかわからないんだよな。着る何かなんだろうけど。

「ほら、早く開けて!って開けられないじゃん!」

 テンパってるなあ。イヴちゃんが紙袋を開けると。

「……ミレニアムの、制服……?」

「そうなんだよ!大変なの!!聞いてくれる?!」

 肩をゆっさゆっさしようとする才羽モモイさん、イヴちゃんの体幹が良いからほぼ動いてないけど、イヴちゃんはこくりと頷いた。

 

 ぽつぽつと、もとい、フルオートのアサルトライフルのように才羽モモイさんが話し始めた。

「最近ね、ユウカが部室にあんまり遊びに来なくて。どうしたのかな~って様子を見に行ってあげようと思ってさ。セミナーが主催する会議があるから、ついでにって顔を出したんだけど。ミレニアムの予算不足で、部員数が足りない部活は廃部になるって!ゲーム開発部、今は3人しかいないから、4人目のイヴがいれば大丈夫だなって!!!」

「……ユウカさん、私は駄目、って言ってなかった……?」

 イヴちゃんが駄目っていうか、よその学校の子は駄目でしょっていう当たり前の話だったな。どっかのおじさんじゃあるまいし、スクールバスごと拉致と規模は違うけど中身一緒やからね。

「秘策があるの!ヴェリタス、知ってる?」

「……この間、廃墟探索で、ハレさんに会った……」

「そう、じゃあ話は早いね。ヴェリタスに学生データをハッキングしてもらって、イヴの学籍を作る!!!」

「……ユウカさんが、目で見たら、バレない……?」

「……泣いて拝んだら、1回は見逃してくれると思う!ユウカ、イヴに弱いから!」

 いや無理でしょ。情の深い子ではあるけど、見逃す内容にも限度があると思うんだよなあ。

 えーって頬を膨らませる才羽モモイさんと、膨らんだ頬をつんつんするイヴちゃん。頬をもっと膨らませようとする才羽モモイさんと撫でたり突いたりするイヴちゃん。2人ともちょー可愛い。

 

 いつの間にか休み時間になっていたらしい。エンジニア部の部員の子がちらほらと挨拶してくれながら部室に入っていく。その流れに混じって、才羽ミドリさんがやってきた。

「あ、イヴちゃん。お姉ちゃんがごめんなさい。この間、久々にお姉ちゃんが部長会議に出たら、セミナーの予算配布方針が変わるって聞いて、それから慌てちゃって」

「でもせっかくエンジニア部にもオッケーもらって、イヴにゲーム開発部に入ってもらったのにさー!」

 そんな話してたっけ……?イヴちゃんもこてんと首を傾げた。

「それに、お姉ちゃん。部員は最悪、イヴちゃんに入ってもらうとしても、実績は必要だから」

 入ってもらうとしてもなんだ。

「えっ、実績ってなに?!」

「部長会議でちゃんと説明したでしょ。それに、トリニティから生徒を引き抜いたりしたら実績も部員数も関係無く廃部だからね」

 凜とした聞き覚えのある声。

「「ユウカ?!」」

「……ユウカさん、こんにちは……」

「イヴ、いらっしゃい。この間の楽器店の、ありがとうね。差替えしてもらったから、完璧」

 早瀬ユウカさんだった。やっぱり怒られが発生したんだ。ウケるな。

(今度また見に行きたいね)

(……親しい人の写真がお店に出てるの、不思議だし、楽しいしね……)

「ともかく、何らかの実績が必要よ。具体的には作品発表して、対外的にも予算が認められるようなね」

「新作……新作かあ……」

「お姉ちゃんのシナリオが上がらないと、まず話が進まないんだよね……」

「……話が進まない、シナリオ進行だけに……」

 ん?という目でイヴちゃんを見る才羽モモイさん。

 イヴちゃんの持っている制服を見てちょっとだけ眉をひそめる早瀬ユウカさん。

「その制服、着るのはいいけど、ミレニアムの校章の上にトリニティの校章をつけるとかした方がいいわね」

 制服の偽造、無断着用は連邦生徒会法でもかなり危ない案件だったはずだし、むしろ校章つけるくらいで良いんだ。早瀬ユウカさんがオッケーって言うなら間違いないんだろう。少なくともミレニアム内ではね。

(ミレニアムの中では着ても良さそうだね)

(……外だと、危ない……?)

(勘違いされてヴァルキューレとか呼ばれたくないしなあ)

(……たしかに……)

 

 時計を見て、あ、という顔をする早瀬ユウカさん。

「私は次の授業があるから。ミドリ、モモイ、困ったら相談に乗るからね!」

「ユウカ、ありがと。今度はいつ来るの?」

「……行きたいけど、しばらくは無理よ」

「なんで?」

「予算決める側の私が、実績が無い部に入り浸って、その後に予算つけたらどう思われると思う?」

 は?という顔をする才羽モモイさん。ふいんき(なぜか変換できない)デスモモイめいている。

「お姉ちゃん、実績があったらユウカが遊びに来るのも困らない、程度の話で」

「文句つけようない実績を出したらいいんでしょ?!手頃なところで……そう!ミレニアムプライス!」

 才羽ミドリさんの言葉を遮って啖呵を切る才羽モモイさん。いや、エンジニア部の入口に飾ってあったミレニアムプライスのトロフィー見たからでは。

「その実績があったら、誰も文句は言わないわよ。じゃあ、またね」

 今度こそ時間が無さそうで、名残惜しそうに3人をちらっと見てから走り去っていく早瀬ユウカさん。

 

 後に残されたのは呆然としている才羽モモイさん、呆れ顔の才羽ミドリさん、あんまりわかってないイヴちゃん。

「ちょっ……お姉ちゃん、本気で言ってる?」

「やっちゃった~!!相手がユウカだからってほんの気持ち、大口叩き過ぎちゃった!!」

「ほんの気持ちなの?!」

「いや、うん。反省はしてる……」

 

 自販機でアイスココアを3人分買って2人に渡すイヴちゃん。ありがと、とお礼の言葉が揃う才羽姉妹。割と珍しい双子らしい息ピッタリさ。

「あ、そうだ。お姉ちゃん。今日せっかくイヴちゃんが来てるんだから、手伝ってもらえそうなことはお願いしとかなきゃ」

「そうそう、凹むのは後でやるとして、イヴは格闘技とかやってるんだよね?モーションキャプチャ装置がエンジニア部にあるから、参考になりそうだからお願いできない?」

「……わかった……」

「それともう一つ。イヴちゃんはシャーレの部員ですよね?」

 こくりと頷くイヴちゃん。

「シャーレの先生に、廃部になりそうな現状を相談したら聞いてくれると思いますか?」

「……うん、きっと、力になってくれる……」

「よかった!相談のメール出した甲斐があったね、ミドリ!」

「えっ、もう出したの?!ユズちゃんとも相談しなきゃって思ってたのに」

「えっ、聞いてなかったの?!」

「……今から、聞いたら……?」

 うーん、ぐだぐだだ。大丈夫かな。




 新章に入りました。

 入って早々、今週末はサマーソニック大阪に2日間参加するため、多分来週まで更新できません。すみません。
 サマソニ大阪会場の待ち時間に百合漫画や小説を読んでいるおっさんがいたら私です。会場で握手しましょう。

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