ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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非ゲーマーに魂の一作を勧める。ゲーマーとしての見解、覚悟、そういったもの

 スケルチから見るミレニアムからトリニティ行きの高速道路の夜景はもちろん初めて。運転するのはイヴちゃん。なぜならイヴちゃんは常に特別な存在だからです。

 現実的な話、高速道路は運転が比較的簡単っていうのもある。それこそこんな馬鹿でかいバイクで誰か轢いたりしたら洒落にならん。

 時速200kmで後ろにかっ飛んでいく*1夜景と光の中、イヴちゃんから僕に話しかけられた。

(……あの、工場、かな……。ジル、呼ばれたよね……?)

(うん、多分僕。先生は別枠で呼ばれてたから。黙っててくれてありがとうね)

(……結構、びっくりした……どういう原理なんだろう……)

(人間の魂の重さを量る実験っていうのがあってさ。まあ与太なのかもしれないけど。キヴォトスでは魂の実在が確実みたいだから、魂の重さを個別に量る機械なんてのがあるのかも)

(……それだと、「足りない」って言われるの……?)

(うーん、イヴちゃんと良い感じにくっついちゃって見かけ上の量が減ってるとかかも)

 イヴちゃんがくすりと笑った。

(……そんな、接着剤みたいな……)

 笑い事で全然良いんだけど、可能性としては割と高いかなって思う。多分、前世の僕は大人だったんだろう。魂がくっついた時にこぼれたか何かしたんじゃないか?そのまま転移っていうか転生っていうかしてたらもうちょっと違ったんだろうか?

 なんて思うけど、まあ別にイヴちゃんとの生活は最高だし全然いいや。唯一の問題は訳わからん世界滅亡のデスノボリがあふれかえってるだけだし。いや困るが。

 

 イヴちゃんの運転の邪魔にならない程度の雑談をしていたら、高速道路がトリニティの自治区に入った。

 夜景の美しさの質が変わった気がする。実際にはこの速度で夜だと高層ビル群が減ったかな~くらいなんだけど。

(……楽しいね、ジル……)

(本当にね)

(……こんな毎日が続いたら、いいな……)

(大丈夫、続けられるよ。終わらないマツリだ。素晴らしいよ)

 イヴちゃんが続けたいなら全力で手伝うよ。居候としてせめてそれくらいは役に立たないとね。

 

 列車を使うより待ち時間とか乗換え時間とかを省略出来た分早く着いた。運転の疲労だとか、大人数で行く時だとか、混雑時にはこんなでかいバイクだとすり抜けられないだろうだとか、いつもバイクがベストとは限らないけど、新しい選択肢ができたのはいいね。このバイクなら乗り捨てというか、自分は電車とかで帰って、バイクは最悪自走して帰らせてもいいし。

 帰宅して寝る支度を済ませ(イヴちゃんはもちろん先に寝た)忘れずに白石ウタハさんはじめエンジニア部のモモトークのアカウント交換している全員に「とても大事なお願いです。明日以降、ゲーム開発部員の新入部員がやってきますが、廃墟から回収した機械類を接触させないでほしいです。溶解処分や一時的な隔離など、方法はお任せします」と送っておいた。

 まーこれなー。天童(仮称)アリスさんには悪いんだけど、廃墟探索がイヴちゃんの協力もあってかなり活性化してるから駄目かもしれんが。

 今日まさしく役に立ったし、先生が死亡するとかのリスク軽減のために廃墟探索とマッピング協力しておいた方がいいって判断自体は間違ってなかったと思うんだが、反面、廃墟産のジャンクとかの調査と金属素材としての活用が進みはじめて接触リスク的にやべーんだよな。今まで見てた範囲ではDivi:sionだっけ?正体不明の機械*2らしきものは無かったと思うんだが……。

 イヴちゃんとエンジニア部、ヴェリタスの友情パワーという名の暴力で鉄屑に変換したスクラップの山の底だとか回収してきた金属屑だとかの中に眠ってたら絶対わかんねー。

 

 今日も気持ちいい朝。イヴちゃんはまだ寝てる。起きて身支度をしている最中にスマフォを見ると、才羽ミドリさんからモモトークに「イヴちゃんならアリスに何のゲームを勧める?」というメッセージが来ていた。

(イヴちゃん、朝だよ~)

(……あと3日……)

(休みかな??ご飯できたよ)

(……起きる……)

 ご飯を食べている間に、何を勧めるか打ち合わせ。ってそんな大仰なもんでもないけど、なんか……ゲーマーとしての見解を問われてる気がするんだよな。まー忙しかったからそんな沢山プレイできてる訳でも無いんだけど、ストレッチとかスクワットとか片腕逆立ち腕立てとかの最中にはゲームできたから、ちょっぴりは触れてる。

(僕なら『屋上物語』か、『ギャンパレードマーチ』かなあ)

(……『アーマード・ヘヤ』……)

 『屋上物語』はスローライフ屋上経営シミュレータ。アパートの大家として下の階の住民と交流したり、屋上で鶏を飼ったり屋上バレーをしたりする。屋上で生活が完結するっていう作りがすげーけど。

 『ギャンパレードマーチ』は怪獣との戦いに動員された学徒兵として巨大ロボの操縦士になったりするゲーム。NPCの独特の思考様式もちょー面白い。

 『アーマード・ヘヤ』はアパートやマンションの一室を中心に他の部屋や廊下を組み替える家屋格闘ハイスピードアクションゲー。いや何言ってんだこいつ、って思ったんだけどやると普通に面白いんだよな。格闘戦に重きを置いてるアーマー○コアじゃん……っていうのは禁句。

(……『屋上物語』、別に言われてないのにどんどん効率突き詰めちゃうから好きだけどあんまりやらない……)

(わかるー!じゃあこの2つにする?)

(……『オタルマックス2R』は……?)

(RPGだしそれもいいなあ。でもRPGなら『黒ノ鳥ガー』とか『スーパーマリコRPG』とかもいいかも)

 『オタルマックス2R』は、核戦争で廃墟になった世界の、小樽出身の主人公がモンスターハンターとして世界を旅する「犬と戦車と人間のRPG」がキャッチフレーズのシリーズ2作目、そのリメイク。システムのバランスの良さとストーリーの自由度の高さがよかった。いやメタ○マックスじゃん!!!って思ったんだけど……やると結構違うとこあるんだよな。ドラム缶押せたし満足。

 『黒ノ鳥ガー』は世界を焼き尽くす黒い鳥とタイムスリップして、世界を焼く時間とか場所を変えると登場人物や世界の焼かれ方が変わる。

 『スーパーマリコRPG』はアクションゲーで世界的に著名な配管工のマリコ嬢が主人公のRPG。敵だった亀とか普段は攫われてる姫とか多段ジャンプの捨て石にされがちな恐竜とかも当然登場する。

(……『夜食戦隊百合娘』も好きなんだけど……うーん、困った。1個ずつにする……?)

(イヴちゃんのお勧めだけ送ってもいいよ~。『ブラックマーケットの錬金術師』シリーズも百合で良いんだけどなあ……って言ってたらキリないけど)

 そこまで劇的に嗜好が違うわけでも……ってあー、『美食戦隊薔薇○郎』ね……あれは僕、あんまわからんかったな……ゲームとしては普通に面白かったけど。

 『ブラックマーケットの錬金術師』はアト○エシリーズと見せかけてザ・マネーゲームIIの進化形っていう変化球だった。

 外の世界の文化が影響を与えてるのは確かなんだろうけど、もちろん全部が全部丸パクりって事も無いだろうし不思議だよな。というか、時系列的にはそもそもどっちが先に発売してるんだろ。

 折衷案としてイヴちゃんは『オタルマックス2R』と『屋上物語』を勧めることにしたらしい。ぽちぽちとメッセージを送り、いつもの鏡の前でくるりと回る儀式をして寮の自室を出て、建物を出た。

 そこで、宇沢レイサさんにガバっと抱きつかれた。

「イヴちゃん!!」

「……レイサちゃん……?おはよう……」

「おはようございます!!!よかった!本当に転校しないか心配で……」

「……レイサちゃん達と一緒にいたいし、転校しないよ……?」

「わ、私も一緒にいたい、です!!!」

 き、キマシタワー!!?イヴちゃんは全然気付いてないっぽいけど!あと僕の思考から異臭が出てるっぽくて嫌がられてる!悲しい!

 顔を真っ赤にしてイヴちゃんの胸元に顔を埋めた宇沢レイサさんが耳まで真っ赤にして動かなくなってしまったので、イヴちゃんがお姫様抱っこして登校することになり、カップルとして認識されてる度が上がった気がする。

*1
自キヴォトスの高速道路はたいてい160km/hが上限。流れはもっと速いので、どの車両もこれくらい出てる

*2
キヴォトスには溢れかえってるから段々どれが正体不明かわからんくなるが




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