ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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メイドは銃を撃たねば無作法というもの

 クソデカシールドとチェーンガンの重量に左腕左肩も慣れてきました。超絶最かわ天使イヴちゃんのニューロンの申し子こと寄生虫、ジルです。

1週間くらいは結構肩こりあったけど、今は全然大丈夫だね。

 

 期末テストも無事に終わり、そろそろ夏休み。成績は予習復習の習慣が定着したのと僕の睡眠学習――は効いてるかわからんけど――成績がぐんぐん伸びて中の下から中の上まで無事ほっぷすてっぷじゃんぷ!かーるいすはしないように気をつけないとね。

(ずいぶんと調子良さそうだねェ……盾を持たされたとも知らずに……)

(……まだ重いのは重いなって思うよ……?)

 うんそうだね。まだトレーニングもっと必要だね。身体が軽い……こんな気持ちで銃を撃つのは初めて……には遠いかな。

(まあでもこれ持って走ったりくらいはできるようになったし、継続は大事だよ)

(……まだ撃つの怖いけど、ね……)

(音でかいからねえ。振動も凄いし)

 宇沢さんに見せたら大喜びだった。やっぱ女の子もでっかい銃好きだよね。っていうか、僕が男かもわからんし、イヴちゃんはそうでもなさそうだから単に人によるかもしれんけど。

 

 夏休みは貯めたお金で塾の高等部の短期講習に行くことにした。12日間で8時間、3年分まとめて予習できる優れもの。

「ええ……中等部ですらないし……」

 ってイヴちゃんは普通に嫌そうだったけど、これは僕が予習しておく用だからイヴちゃんはできる範囲で聞いて、駄目なら寝てていいよって説得したら許してくれたのでよかった。

 

 イヴちゃんも宇沢レイサさんと少しずつ仲を深めているみたいで夏休み1日使って百鬼夜行のお祭りに行くらしい。善哉善哉。

 

 さて塾ですが。ミレニアムとの自治区境に近い方の評判がいいところを選んでみた。

ロボット講師の人が映像だけでなくてちゃんと教えてくれる。ほう、いいじゃないか。こういうのでいいんだよこういうので。

いや学園の映像式の、理解力がちゃんとあるとむしろ知ってるところはガンガン飛ばせて楽だし効率的なんだけど理解遅れてるとヤバいんだよね。

後、手書きのものの方が人間は認識して覚えやすいらしいから、ホワイトボードに書いてくれるのも嬉しいし、何だか懐かしい。

つまらなくない!決してつまらなくないぞ!そうだ、これは子供のころ嫌いだった勉強だ。

僕はしょせん居候でやらされはなかの趣味でやってるから楽しいのもね。

 

 授業の合間に、半分意識が落ちてたイヴちゃんが話しかけてくる。脳内会話だからさっきの復習とかをしてる周りの子達の邪魔にもならないしお得だね。

(……ジル、勉強、楽しい……?)

(そうだね。知らないことを勉強するのは面白いよ)

 あ、大事なことを言い忘れてた。もう何ヶ月も経つのにね。イヴちゃんはねむねむだから帰ってからにしよう。

 

 塾終わった後にいつものテロリストスタイルに着替えてから治安の悪い方に歩いて行くだけでチンピラ狩りも捗るから、塾代余裕で回収してお釣りが来るのも嬉しい。

 カネを巻き上げる時はね、誰にも邪魔されず、自由で何というか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……おっとこいつ起きそうだな。こめかみに前蹴り入れてっと。

 まー、実際には直接カネを巻き上げる訳じゃ無いんだけど。消えもの*1は僕に撃ったつもりでもらっておいても許されるかな。

 

 今日もほくほく顔で戦利品をずだ袋に突っ込み終えたところで、足音が聞こえた。不味いな。思い切りジャンプして手近なアパートの出っ張りに指を引っ掛けパルクールの要領で屋根に登る。

メイド……うわ、C&Cか。多分、美甘ネルさんと室笠アカネさんだな。滅茶苦茶チンピラみたいなロリとめっちゃつよいでって言わないしアカネちゃんのミルク売らない方のアカネちゃんだ。

まあロリなのはイヴちゃんもそうなんだけど、イヴちゃんは柄悪くないからな。

 ぶっ倒れた不良生徒達の顔をしげしげと覗き込む美甘ネルさん(推定)。

「あぁ?こいつらがターゲットだろ?」

「はい、彼女たちですね」

「もうやられてんじゃねえか」

「それも銃を使ってないみたいですね?」

「最近ちらほら噂に聞く白髪なんとかか?」

「白髪鬼、ですか」

 何その巡査部長になりそうな二つ名。狩りが終わってからシュマグの後ろが破れてたことあったし、その時かな。不味いな。気が緩んでるのかも。

「てことはだ」

 何かわからんけどヤバい。ケツの穴にツララを突っ込まれた気分だ。まあお下品、なんて考える暇も無く、咄嗟にワームムーブメントで右に転がる。

 違う方向から飛んで来た銃弾の擦過音。狙撃手が他にいる。

「上か!」

「お掃除しましょう」

 これからはともかく、今は絶対に勝てない。2人とも本編よりはまだ未熟なんだろうが、それでもソウルの格の違いみたいなものを感じる。今は逃走の一手。

 

 いや危なかった。結局追いつかれて何合か交えたけど、全然勝てる気がしなかった。戦う理由がないから逃げに徹したけども。

「トリニティ自治区内でミレニアムの人間がトリニティ生徒襲ってたら不味いんじゃない?あとC&Cが治安維持組織なのはネットでもモロバレルですぞwww偽装に役割が持ててませんなwww」

 って煽り倒したら顔真っ赤にして引き上げていったのでGet Kotonakiです。マジで危なかった。

当たり前だけど前衛中衛に狙撃手の援護付にこっちが1人ではそもそも分が悪すぎるのだよ。僕がトリニティさいつよだったとしてもキツい。

誰でも一生のうち1回は地上最強ってのを夢見るでしょ?見ない?そっかァ……。

まあ地上最強はともかく、この人の命も引き金も尊厳も鴻毛より軽いキヴォトスで、簡単に踏みつけられない子にはなりたいね。僕と何よりイヴちゃんのために。

 

 帰宅後、ねむねむなイヴちゃんが起きるタイミングを待って……いたら朝になってしまった。僕も寝てたし、早めの起床になったからまあよしとしよう。

(イヴちゃん、今ちょっといい?)

(……うん……。……昨日のお話……?)

 予定があるからあんまりのんびりしてられないので、イヴちゃんの着替え身支度を邪魔しない範囲でね。

(まあ大した話じゃない。勉強自体は正直社会に出てからそんなに役に立たないけど、勉強の仕方自体は生涯役に立つし、勉強の時間は働き始めたら中々取れないから、今勉強しておくとお得なんだよね。ってだけ)

(……うん。勉強、最近はジルがわかりやすく教えてくれるから……。そんなに嫌じゃないよ。頑張る……)

 天使。撫でたい。腕がないのが悔やまれるね。まあ僕がいつまでも一緒に居られるかわからないのだけれども。

例えば自然に人格が統合されちゃうとか、除霊(?)されちゃうとかさ。でも、居られる限りは一緒に居たいな。

 

 休日なのに朝っぱらからバタバタしてたのはお出掛けの約束があるから。

 宇沢レイサさんに誘われていた百鬼夜行のお祭りに行く日、トリニティの大きな駅前の呉服店で待ち合わせ。今日も雨降らなさそうでよかった。

昨日のイヴちゃんが何度も気にして見ていた天気予報も晴れの太鼓判。

 さて、イヴちゃんにも宇沢レイサさんにも内緒でレンタルしていた浴衣、なんと2人分です。宇沢レイサさんにもサプライズバレが怖くて事前に連絡できなかったので、自分で準備してたらキャンセル料払うつもりだったけど、普段着でやってきたので、大丈夫みたいでよかった。

 僕もイヴちゃんも宇沢レイサさんも、着付けはもちろんできないからレンタル店スタッフの猫人間(女性)におまかせ。女性いるんだね。そらそうか。ていうかこの猫人間さん可愛いな。猫ちゃん的な意味でね。

 宇沢レイサさんは吃驚した顔。うんうん、その顔が見たかった。

「い、いいんですか?!私の分まで……」

「……大丈夫……友達が奢ってくれたから」

(こつこつバイトしといて良かった!イヴちゃんも楽しんでね!)

(……ありがとう……ジル……。凄く楽しみ……)

 カツアゲウーマンちゃん達とキヴォトスの終わってる治安にこのときばかりは圧倒的感謝しかないね。

 こつこつ巻き上げたお金で浴衣姿の天使イヴちゃんがほげ~可愛い!!!

朝の夏富士で山は赤、雲の白で瞳と髪を表現、字は青で爽やか涼しげ。表現イチジクかダメなら蠅がないかな~って思ったんだけど、イチジクはあるけど晩秋の季語だし蜂はあるけど蠅は無理と店員さんにやんわりお断られちゃったので断念。

プロの意見を曲げるとろくな事ないからね。

 宇沢レイサさんは好みがあんまりわからなかったけど、多分星は好きだろうと思って夜空の藍色に星が散らされた柄。2人の銃のスリングにも和風のカバーを添えて、2人とも下駄は履き慣れてないだろうから、足袋も用意してもらったよ。靴擦れで痛くて楽しめないなんてあり得んからね。

イヴちゃんの足袋は白、宇沢レイサさん用のはソーダっぽい水色。

あと盾にもカバーの布をかけた。青いシロップがかかったかき氷とイチジクの葉っぱに載った大福の絵で和風テイストに。これはもちろん宇沢レイサさんとイヴちゃんのイメージだ。

 うんうん。2人とも可愛いよ。イヴちゃんが何を着ようと宇宙一可愛いのは普遍の真理だけどね。

 鏡に映った自分と、相手の姿を見て無邪気に喜ぶ2人。うんうん、本当に良かった。後方保護者腕組み面しちゃうね。

「素敵です……!イヴさん、ありがとうございます!!!」

「……ううん、友達のお陰……」

 大変お似合いですよ、という店員さんの素直な賞賛の声にお礼を言ってからいざ百鬼夜行へ。トリニティからだとワイルドハント、ゲヘナ、他色んな学園自治区を通るから遠いし結構長いんだよな……。

一番いい高速列車を取ったけど、乗換え含めて3時間はかかる。早朝からお店開いてて助かるよ。

 まあこの時間でももうトリニティ生徒らしき子達が結構来ているから、同じ祭りに行く人向けに早めに開けてるんだろうな。

*1
銃弾とか手榴弾とか爆薬とか。




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 紙での小説の書き方に基づいて書き続けていたロートルとしての改行等を改めつつ、同時に加筆修正を行いました。話の本筋には変更ありません。2025.01.19
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