ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
荷物を回収して、ケルちゃんことスケルチで昼の高速道路を昨日と逆方向、トリニティからミレニアムに走ること1時間少々。今日は廃墟の入口で待ち合わせだった。
お昼の陽光が気持ちいい。途中で眠くなったので僕が運転を代わってイヴちゃんは寝ていたので眠気もすっきり。
「あっ、イヴ!おーい!」
「ありがとう、イヴちゃん!」
「ご、ごめんね、イヴさん……ば、バイク、すごいね……?」
「鉄馬の戦士よ、よく来てくれた。パンパカパーン!イヴがパーティに合流しました!」
「"ありがとう、イヴ。すごく助かるよ"」
イヴちゃんが頭を軽く横に振った。
「……私も、ゲーム開発部員だから……いつも来られるとは限らない、けど……」
ゲーム開発部員達の目が輝く。
「うん!そうだよね!イヴはうちのヤャラドス枠だもんね!」
「いや、過労死枠じゃん!」
「……ヤャラドス、好き……」
ポケ○ン的なゲーム、もちろんキヴォトスにもあって、ギャラ○ス的なモンスター。こっちでもタイプ・特性・種族値・技範囲全てが恵まれていて開発に愛されている。パーティ構成によるけど入れ得。見た目的にはごついし、キュートで可愛いイヴちゃんっぽいかっていうと全然そんなことないが。
「……あっ、そういえば、アリスさん、光の剣、見せて……」
「ふふ、見るがよい。存分に見るがよい。私も、貴殿の装備を使いたい」
イヴちゃんが
うーん、素のレールガンに装甲と近接防御用クレイモア、ブースタ4つもついてシルエットがごつい。盾もレールガンの素敵変形にあわせて開く仕様らしく浪漫がある。残念ながら開いた下の部分は放熱用だから何かを仕込んだりはできないらしい。
バックパック含め借りてイヴちゃんも装備してみたが、動けはするけどちょっと機敏さが下がるかな……全長とかは変わらんけど。バックパック無しなら逆に総重量は軽いか?重心が変わるからかな。。
「反動込みだとイヴのその武器より重いってウタハ先輩が言ってた」
「イヴちゃんの盾も普通に振り回せるアリスちゃん、やっぱすごい力だね……」
「『光の剣:スーパーノヴァ』より重い装備ですが、連射性能ではこちらが上でしょうか」
「"みんな、話が弾んでるところ悪いけど、そろそろ行こう"」
イヴちゃんも天童アリスさんも、お互いの装備を両方持っても活動自体はできそうな感じだ。左に盾とウッドペッカー、右にレールガンでなくても何か、あと全身にボディーアーマー……フルアーマーイヴちゃんもアリかも。
それはともかくとして、ゲーム開発部と先生もご飯は済ませているらしく、今日も日没までの活動許可をもらっているそうだ。
昨日はたまたま見つかってしまったけれども、終盤までは問題なかったので、イヴちゃんは昨日と同じルートを選択。
ロボットと目が合った地点から直進すると遮蔽物がないので右に曲がり、大回りで目的の建物に接近。したところで、今度は奥側のビル屋上にいたロボットに一番わたわたしていた花岡ユズさんが見つかってしまったらしい。
「光よ!」
躊躇無く天童アリスさんが
(……こっち側のめぼしい高い建物、潰しちゃお……)
(やったれやったれ)
ウッドペッカーの獰猛な火線が数秒ビルの2階辺りを突くと、老朽化も相まってだろう、道路奥のビルが倒木のように倒れ、ロボットやドローンを巻き込んで地響きじみた轟音を立てる。他の建物から鳥が飛び立つようにドローンが湧き出てくる。先生の指揮受入れるまでに2軒ビルが倒れ、2軒が複数階分低くなった。
(……カイザーのトリニティ支店ビルの倒し方の練習にもなりそう……)
(そうだねえ。左右に倒すか手前に倒すか、みたいな。木こりっぽい)
トリニティ祭りが楽しみだな~。
目的の工場(?)手前150mのだだっ広い道路を斜めに戦いながら突破、昨日同様イヴちゃんが左右1掃射牽制した上で天童アリスさんがレールガンで追い撃ちし、無事に建物に入れた。
「き、今日こそはと思ったのに……ごめんなさい」
「気にしないで、ユズちゃん」
「無事、進入成功。ミッションクリア。通常モードに移行します」
「ねえねえ、私達ってもしかして実はすごく強いんじゃない?C&Cとか、他の学校の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!」
その発言に花岡ユズさん、才羽ミドリさん、先生の視線がイヴちゃんを向く。
「い、イヴさんはトリニティの、えっと、自警団だよね」
「いや、昨日今日と、確かに自分でもこんなに動けるってびっくりしたけどさ。例えばトリニティはイヴちゃんくらい強い子がたくさんいるんでしょ?あくまで先生のお陰でこれだけやれてるけど、先生が指揮してくれても、無理じゃない?」
イヴちゃんみたいなのはたくさんはおらんが。才羽ミドリさん脳内のトリニティの標準暴力指数が高すぎる。
でもイヴちゃんは戦力的に相当上ではあるけど、一番強いってわけじゃないんだよな。これよりヤバい暴の子がトリニティだと最低3人*1はおる。シスフの暗黒卿とか、走る閃光弾とか、キャスパリーグにトリニティの騎士……は、イヴちゃん相手だと突然くそざこになりそうな可能性があるけど。そう思うとトリニティやべーな。何なんだ。暴力の巷か?暴力の巷だったわ。
「……私、そんなに強くないよ……?」
「"そ、そうかな……?"」
「いややっぱイヴちゃんが普通レベルで大人数の組織相手にするのは無理でしょ」
「私達が一丸になって戦えばイヴにもきっと勝てます!」
「「「戦わないからね?!」」」
「……戦わないよ……?」
ニッコニコの天童アリスさんに、困った顔をする他のゲーム開発部員一同とイヴちゃん、先生。ほんとだよ。急に同士討ち始めたらヒくわ。
昨日の開口部の辺りに全員が集まった後、念のため全員にイヴちゃん近くに寄ってもらった直後に、今回は資格の認証を省略したのか『下部の扉が開きます』をされ、先生と才羽姉妹と花岡ユズさんが可愛い悲鳴を上げたものの、減速機構が作動し無事全員着地できた。
「"こ、怖かった……"」
「これ作った人、何考えてこんな作りにしたんだろう……」
「は、廃墟も昔は市街地だったみたいだから、土地の節約……?」
天童アリスさんはきょろきょろと辺りを見渡している。彼女が寝ていた椅子を通り越して、つかつかと迷いがない歩み。
「……アリスさん……?」
「見覚えのある場所、見覚えのある仲間。だけど……なぜ?」
一瞬ぞっとした。もう変な機械に接触されてるのか?真っ昼間だけど、夕方に見えてない?
と思ったけど、こっちを見た天童アリスさんの目はさっきまでと特に変わらない。昨日やったゲームに似たような台詞があるのかな。
「アリス?」
「何だか、見覚えがある気がします。やったことのあるゲームのセーブデータのような……」
「あ、ちょっと!」
「と、とりあえず……着いていこう……」
歩きながら、イヴちゃんが皆を見渡して呟く。
「……みんな、弾とか、大丈夫?私はあと7割くらい……」
徹甲榴弾*2ケチらず詰めてきたお陰でビル解体ショーも捗ったし逆に弾数余裕出来てよかった。廃墟、みんなで出入りしてるからリスク最小限だけど、激ヤバスポットなのは間違いないからな。こないだ通販で
「イヴちゃんとアリスちゃんが大体吹っ飛ばしてくれたから、まだ結構あるかな」
「私もまだ余裕!」
「バッテリは青ではなくなりましたが、まだ大丈夫そうです」
「せ、先生が指揮してくれると、安心感はあるけど……継戦能力、弾は自分で持たないとだものね」
「"ごめんね、身体は大きいのに……"」
「い、いえ、先生のせいでは」
曲がり角ごとに蓄光テープを貼っていくイヴちゃん。最小限の明かりはついているが、帰り道、万が一のためだ。
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