ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです!   作:三山畝傍

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あばよ廃墟っつぁん いや誰だよ

 復路も先生の指揮下で問題なく押し寄せてくるロボットを撃退して撤収に成功した。

 宇沢レイサさんとイヴちゃんほど息があったコンビネーションはまだ当然無理だけど、天童アリスさんがチャージ中にヘイトを稼ぎつつイヴちゃんが掃射、逆にレールガンのチャージ中にイヴちゃんが前に出るのは悪くなかったね。

 こっちと交戦中のロボット群の後ろから別のロボット群が攻撃してきていて、ロボット相撃みたいな状態になってたけど何だったんだろう。廃墟の中のロボットもそれこそ複数派閥というかグループ的なものがあるのか?Divi:sionって今でいうとUnixめいたOSで、たまたま天童アリスさんを擁してるグループのOSが持って帰ってきてるmicroSDの中の人(?)だったりするのか?

 

 まだまだ元気一杯の天童アリスさんとイヴちゃんを除いてくたびれ果てた一同だけど、何とかピラーニャI4x4っぽい車両にイヴちゃん以外の全員が乗り、イヴちゃんのスケルチが先導する中、無事撤退できた。くたくたで運転してる花岡ユズさん、装甲車だからちらっとしか見えないけど休日家族サービス帰りみたいな顔をしている。

 廃墟のエリア外に出てこないのもすげー不思議。ロボット忌避剤(?)的な何かが出てるのかなあ。

 

 2人除いてくたびれてる一同を、大荷物を担いだ2人が先導して、迷子になった。あんまり人通りが無い廊下の一角で途方に暮れる一同。

「そういえば、ヴェリタスの部室を知りません!」

「……私も……」

 天童アリスさんもイヴちゃんもお互いが知ってるもんだと思ってたらしい。

「どこ行くのかなって思ってたよ?!どこここ?!」

「近道とかあるのかなって思ってた……」

「わ、私もそういえば行ったこと無い……」

「"ええ~……"」

 わたわたしていると、横を赤髪の女の子が通りかかった。火器にもイカしたペイントをした、小塗マキさんだ。

「おっ、モモ、ミド、イヴ、やっほ、何してんの?あ、ユズは久々じゃない?あれ?この子と大人の人誰?」

「あっ、マキ!助かった~。今、ヴェリタスに行こうとして迷ってた!」

「そんな胸張って言うことでもないけどね」

「ひ、久しぶり……」

「初めまして!アリスはアリスです!ゲーム開発部員です!」

「……マキさん、こんにちは……」

「"初めまして、マキ。私はシャーレの先生をやってる。よろしくね"」

「おー!噂の新入部員とシャーレの先生?トリニティの実験体もいるし噂の有名人揃いだね!あたし、部室に戻るから着いてきて」

 小塗マキさんの先導で歩き始める一同。

「……マキさんは、エンジニア部じゃなかった……?」

「えっ?あれ、前に廃墟の成果引渡しで会ったときに自己紹介してなかった?ごめんごめん。バタバタしてたからな。あたし、ヴェリタスの部員だよ」

「……そうとは……」

(ごめん、イヴちゃん。勘違いに気付いてなかった)

(……大丈夫……)

「今度、イヴの翼にも絵を描かせてね」

「……この色気に入ってるし、気分でつけ外しできるピックガード的な、板をつけてなら……」

 イヴちゃんがつや消し鈍色の翼をぴこぴこさせる。可愛い。

「あ!取り外したり組み替えたりできる絵。それもいいね」

 なんて喋っているうちに数分で無事に部室に着いた。小塗マキさんがナンバーキーを解除してドアを開くと、エナジードリンクの匂いが押し寄せてきた。

 中には暗い金髪、長髪に眼鏡の音瀬コタマさんと、灰色ポニテの小鈎ハレさんがいた。2人ともエルゴノミクスチェアに腰掛けているが、椅子を回して振り返った。

「先生、ゲーム開発部の皆さん、ようこそ。そして実験……御蔵イヴさん、イヴさんとお呼びしていいですか。初めましてですね」

「マキ、お帰り。ん、ゲーム開発部のみんなとイヴ、どうしたの?」

「G.Bibleをついに見つけたんだ!このmicroSDにデータが入ってるから、見てほしいんだけど!」

「……初めまして、コタマさん……」

「廃墟から持ってきたもののデータも復活できないか見てください!」

 天童アリスさんとイヴちゃんが担いでたゴミ袋(パソコン入れるまでは新品だった分厚いやつ)を下ろしてパソコンを取り出す。

「普通のPC/AT機っぽいけど、これがそうなの?」

「廃墟で変な受け答えをしてたんだよね」

「ふーん。まあ、先にmicroSDカードの方を見てみよう」

 ウイルススキャンその他安全性チェックをしてから、『G.Bible.exe』というファイル名をダブルクリックする小鈎ハレさん。

 イヴちゃんは画面を見ながら廃墟から洗いざらい持ってきたパソコンと周辺機器を接続し始めた。

「『パスワードを入力してください』……パスワードはわかる?」

「わかんない!」

「じゃあ、調べてみるね」

 小鈎ハレさんは素人目には何をやってるかわからんことをやっているので、画面から注意が逸れた先生、花岡ユズさん、才羽ミドリさん、ついで天童アリスさんがパソコン接続を手伝ってくれた。才羽モモイさんは画面に釘付けだ。わかるんかな。

 廃墟から引き上げてきたこれは本当に何の変哲もないパソコンなのであっさり元通りになる。

「LANケーブルは接続しないでください」

 まあそらそうやろうな。訳わからんPCそのままネットワークに繋げんだろう。音瀬コタマさんが電源を入れるが、画面は真っ暗なままだ。

「故障しているのですか?」

「データが消去されてるらしいから、OSは残ってないかもしれません。なるべく、データを復元したいのですが」

「ふむ。やってみましょう」

「あ、お客さんが来てるのに何にも出してなかったね。ごめんごめん、みんな、エナドリ飲む?」

 小塗マキさんが人数分のエナジードリンクを隅の冷蔵庫から出してくれる。

(……ジル、飲んでも、大丈夫……?)

(いいけど、カフェインレスか砂糖入ってないのがいいかな)

(……キツそうなのばっかり……)

(まあちょっと酔っ払った感じになるくらいだから大丈夫!)

(……そう?喉渇いてるから、もらうね……?)

 イヴちゃん含めてみんな礼を言いながら缶を開けてぐいっと飲む。喉渇いてたもんね。トリニティでは売ってないカフェインもりもり入ってるエナジードリンクで、カフェインと砂糖めっちゃキく。

(アーイイ。遙かにいいです)

(……大丈夫……?)

(へーきへーき。どうせ普段から酔っ払いみたいなもんだし)

 くすりとイヴちゃんが笑う。よかった、「あばよ、酔っ払い」って言われたら自分で振っておいて泣いちゃうところだった。脳内にダル絡みしてくる酔っ払いがおるの嫌すぎるだろうから自重しないとな。 




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