ハッピーエンドさんが好きです!でも家主さんがもーっと好きです! 作:三山畝傍
差押品保管所のある棟を中心としたミレニアム校内図を睨みつつ、もらった情報を元にイヴちゃんが考え込む。
「どう、ヒントになった?」
「……ありがとう、ハレさん……」
「一応、みんな戻ってきたらもっかいやる?」
「うん、情報は判断を分けかねないから」
先生とゲーム開発部2人がエンジニア部の白石ウタハさん、猫塚ヒビキさん、豊見コトリさんを連れて戻ってきた。交渉が上手く行ったんだなという安堵感から、みんなの笑顔がちょっと柔らかくなった。窓も打ち付けられてあんまり広くないヴェリタスの部室に12人もひしめき合ってるからやや狭苦しさはあるけど。
再度の情報共有を聞きながら、イヴちゃんと打ち合わせ。
(……私……もとい、ニニコは
(屋外から
(……多分だけど、差押品保管所を守るなら、狙撃手は俯瞰して、射角を広く取れるこの辺りの棟とかに場所を取りたいと思う……)
(うんうん、じゃあこっちの棟の陰から発砲炎を見て対狙撃する?)
(……そうしよう……)
情報共有が終わって、イヴちゃんがアイデアを伝え、才羽モモイさん、白石ウタハさん、小鈎ハレさんが中心に襲撃案が練り上げられる。先生はニコニコしながら聞いていて、内容さえ考えなかったら……いや、内容を考えても青春かな。銃や爆薬は山ほど投げつけあうけど、危険度で言ったらアメフトとかやきうみたいなもんだし。先生はあくまで生徒の主体性を重視して、困ったら手助けしようって感じらしい。
ざっと案が固まった。ゲーム開発部員は正面から突入、ヴェリタスはハッキング主体の攪乱と情報収集、エンジニア部とイヴちゃんが基本棟外からの火力支援と決まった。先生はヴェリタスの部室から必要なら指揮を取る感じ。
「よし、大筋はこれで!後は、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に!」
「なんかモモ、いますっごい駄目なこと言ってる気がする」
まあ実際、事前の偵察ができないから当たってみるしかないってのは確かにあるんだけど。
みんなが銃や手榴弾、爆薬の支度をし始めた。
(……外の役割になって、ちょっとほっとした……)
(まあ、トリニティ自警団がミレニアムで大暴れは不味いよね)
あれ、C&Cはそれやってなかったっけ……?って一瞬思ったけど。
友達のためとはいえ、段々背負うものが増えちゃうよなあ、イヴちゃんも。
(……それもだけど、ユウカさんとは戦いたくない……多分、撃てない……)
(ああ、なるほどなあ)
イヴちゃん、早瀬ユウカさん優しいお姉さん先輩的な意味で好きだもんね。
(あ、そうだ。銃借りないとね)
(……そうだった……)
アサルトライフルならともかく、リヴォルヴァーカノンのパーツ全交換はお金かかりすぎちゃうし、レッドウィンター製の銃自体はありふれてるとはいえ、30x210mmの弾種は珍しい部類だ。
「……そうだ、ウタハさん。口径30mm以上の機関砲と、銃弾を貸してくれませんか……?」
白石ウタハさんが苦虫を噛み倒した顔をする。そんなに困ったこと言ったかな。
「今のこの状況でないなら、エンジニア部の逸品を仕立てるところなのだけれども。既製品しか準備できないのが悔やまれるな」
「……それは、しょうがないです……」
苦い顔をしている白石ウタハさんは、イヴちゃんの方を見て何か言いたそうな猫塚ヒビキさんに目を留めて声を掛けた。
「そうだ、ヒビキ。悪いけどエンジニア部の倉庫にデータ取り用のMk.44*1があったよね。イヴを連れて行ってほしい」
「! わ、わかった……」
「……場所を聞ければ、自分で……」
「いや、すごくややこしい場所だから。ね、ヒビキ」
「う、うん。そう……」
作戦を練ったり棟の監視カメラをハッキングして情報を集めたりしているヴェリタスの喧噪から離れて、猫塚ヒビキさんとエンジニア部室へ。
今日の話はおそらく才羽モモイさん達が助けを求めに来たときにうっすら漏れているのだろう。エンジニア部員さん達の一部が2人に勇士を見る目を向けている。
猫塚ヒビキさんがエンジニア部員さん達の視線に小さく左手を挙げて答えて、倉庫へイヴちゃんを招き入れる。Mk.44はすぐ見つかった。全然難しい場所じゃないけどな。
イヴちゃんが指示された大型フライス盤にMk.44を載せると、ネジ穴を開けて
「この間、イヴの翼を見て思いついて、作ってみたんだ。モビーディックワイヤーやアサルトブースト含め、全部の装備がつけたまま使える翼カバー」
イヴちゃんの翼専用の翼カバー、羽毛で覆われていてつけると普通の天使族の羽っぽく見える仕立て。白と黒と灰の3種類が2セット。
「耐熱性、防弾防刃だから、簡単には破けたりしない」
猫塚ヒビキさんは、言い辛そうなのを何とか言葉を続ける。
「その、どうかな。事故とかを思い出して嫌だ、とか、ならごめん。使ってくれる?」
「……この翼も、とっても気に入ってる、けど。でも、すごく嬉しい……」
そこを心配してくれたんだな。猫塚ヒビキさん、優しい子だなあ。
イヴちゃんはにっこり微笑んで、猫塚ヒビキさんにぎゅっと抱きついた。
「い、イヴ?」
「……ありがとう。嫌なんかじゃない。大事に……は、難しいけど、大切に、使う……」
今回みたいな擬装用がメインだから、荒事とセットになっちゃうもんなあ。めっちゃ頑丈そうだから大丈夫だろうけど。
抱きつかれた猫塚ヒビキさんは真っ赤だ。
猫塚ヒビキさんが翼カバーの付け方を説明して、初回だからとつけるのを手伝ってくれた。背中に手を伸ばせば一人でもできる親切設計、お手入れも簡単。装備に応じてカバー開放部分を変えないといけないのが数少ない注意点ではあるけど。
今回チョイスしたのは黒い翼。持ってきたミレニアムの制服に着替えてから、ヴェリタスの部室に戻る途中、モモトークに計画案が送られてきた。概ねの案が固まったらしい。
ヴェリタス部室に入ると、才羽モモイさんが気炎を上げていた。
「よし、じゃあ、これで行こう!ヒビキとイヴも戻ってきたし、みんな、準備できてる?さ、ユズ!作戦開始前に、何か言って!」
「え、わ、私……?!」
「そう!えーと、作戦開始時間は……」
「うん?もう始まってるよ?」
全員の視線が小鈎ハレさんに集中した。
「
「な、ななな、なんで?!」
「さあ……ヒマリ部長の事だから、何か考えがあるとは思うけど」
「お姉ちゃん!みんな!」
「行動開始!奇襲できなくなっちゃう!」
奇襲のときは信号弾1発、強襲のときは信号弾2発。というのが才羽モモイさんの計画メモに書かれてたけど、どうなるかな。
ファッションの一環として、天使族が自分の翼全体を覆う悪魔の羽/鳥人系カバーをつけたり、悪魔族が天使等のカバーをつけたりすることもあります。翼ウィッグとも。
翼がない子が天使または悪魔の翼、あるいは鳥人系のをつけることもあり、
羽毛量を増やしたい時には別途エクステンションがあり、髪の毛同様、ファッションの一部として扱われるジャンルです。
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