コミュ障クソ陰キャなので転生してもラノベの主人公みたいにはいかない 作:虚$
『ここが、冒険者ギルド!』
キラキラと輝いた目で、少年がギルドの前で看板を見つめている。俺にもそんな時があったなと思いながらも、本心では少年に対して悪態をついている。
そんな純粋な目でそこに立たれると、今から入ろうとした無精髭でボサボサ頭のコミュ障陰キャの俺が可哀想である。お陰で少し時間をズラしてから行かなくてはならない。
そもそも、この時間は冒険者や通行人が殆どいない絶好の時間だから狙ったのに、何故来るんだ少年。さっさと帰って無駄死にする前に訓練でもした方が良い。そう心の中で呟いていると、漸く少年は行く気になった様で、ゆっくり一歩一歩と中へと進んで行った。
これは長くなりそうだなと思ったので、少し経った後にギルドの扉を潜った。入ると、いらっしゃいませーと受付嬢が笑顔を振り向き挨拶をするが声は出さず、ペコッと会釈をする。
前までは小さな声で「アス」とか「ウス」と言って返していたのだが、聞き返される様になってからは面倒で辞めた。それから、受付でいつも通りクエストの報酬を受け取る。
この報酬はランクによって違い、ブラック、ゴールド、シルバー、ブロンズ、ホワイトの五種類ある。
俺は長年、適度にサボりながらコツコツやって来たのでシルバーランク冒険者だ。隣でニコニコしながら受付嬢の話を聞いている、先程の少年は一番下のホワイトランクからだ。
「今日もいつも通り、ウチで食べて行くんですか?」
「ア、ハ、ハイ。ソ、ソノツモリデ!ハハハ……」
持ってきた物の鑑定中に、手を動かしながら急に話しかけないで欲しい。そう言う空いてる時間に急に振られる会話が一番苦手だから勘弁してくれ。いつも話しかけられないのに、何で今日に限って。
「メニューもいつも通りで大丈夫ですかね?」
「ハイそれで大丈夫デス」
……ギルドの横には飲食スペースと言うか、飲み屋兼食堂のスペースがあり俺はいつも此処で報酬を受け取った後、飯を食べている。この時間ならほとんどそこも人がいないのでかなり快適で安くて美味いし、家に帰っても一人なのでよく此処を利用している。
飲み屋も受付嬢達がやっているので空いてる時に行った方が彼女達も楽だろうと思いながら、俺は飯を食っている。だから常連の俺のメニューも知っているのだろう。
「ありがとうございました!」
漸く報酬を受け取り、そのまま席に座り料理を待つ。その間、何げなく周りを見渡せば緊張した様子でクエストボードを見つめる少年が目についた。
『うーん、やっぱり最初は薬草集めから頑張るしか無いのかぁ。モンスターなんて楽に倒せるのになぁ』
そんな戯言を言う少年を見て、まるでラノベの主人公だなと思いながら受付嬢が運んできた料理を見て頬を緩ました。