コミュ障クソ陰キャなので転生してもラノベの主人公みたいにはいかない 作:虚$
あの後、普通に食事をしてそのまま風呂に入り寝た翌日。大の大人の俺は、人前とか関係無く泣き喚きたかった。まぁ、そんな事をしても解決はしないし俺の立場が終わるだけなのでやらないが、それほど嫌な事が起きている。
『よろしくね!おじさん』
全くよろしく無い。そのキラッキラな目でコチラを見つめるのは辞めて欲しい。その純粋な期待に溢れた様な目を見ると吐き気がする。転生したばっかりの時に水たまりに映った何処かの誰かさんとそっくりで、死にたくなる。
世界が新しくなれば、自分も新しくなって何もかも上手く行くとでも思ってるのだろうか。世界はそんなに甘くは無い。そんなに生クリームの様に甘かったら、どれほど良かっただろうか。現実は泥を塗りたくった様な物で食いたくても食えない。何も楽しくても毎日を潰さなきゃ行けない。
『おじさん!おじさーん、おじさん?おーい』
元気過ぎだろ。いくら子供ぐらいの外見とは言え、いや、まさか本当に子供なのか?気にしなくて良いか、今日だけの付き合いだ。深く詮索しなくても、上っ面の関係で十分だ。
『おじさーん無視しないでよー』
そう騒ぎながらべしべしと叩くので、ジロリと見つめる。武器は剣か。
成程なと頷いていると、反論の目を向けられた。
『おじさんは何使うの?』
そのままにして置くとまた煩くなりそうなので、仕方なく答える。まずはコレ。
『剣だ、おじさんも剣士なんだ!』
次。
『でっかい盾だ!タンク?』
まだまだ。
『杖?もしかして、魔法使い?』
よし。
『聖書?……おじさん、もしかして聖女?』
な訳無いだろ、こんなおっさんが聖女とかどんな世界だよ。
後はピッキング用のマスターキーや万能ジョウロとかは良いか。全部一人でこの世界を生きる為に必要な物だ。クエスト及びダンジョン攻略とかは、死と隣り合わせだ。油断しなくても死ぬのがダンジョンだから、死なない為の手段はあるに越した事は無い。俺の場合、困っても死にかけても誰も助けてくれないからな。助けてくれるって思っちゃいけない。
『おじさんって一体何者?実は……とある国の凄腕の傭兵とか?』
残念。此処が地元で、一回も外の世界に出たことが無いチキンな子供部屋おじさんだよ。ただ死にたく無くて、人とも関わりたくないから自分で何とかする。まぁ、それが難しいから居るかどうかも不明瞭な神サマを拝んで、色々学んでるんだけどな。
『いやぁ、最初はこんなおじさんと一緒かぁ。美人なお姉さんとかの方が良かったなぁって思ったけど、おじさんで良かったかも』
今日だけだ、仕方無く馴染みの受付嬢にどうしてもと頼まれて仕方無くっ!引き受けた。今日の目標は、いつも通り死なないで金を稼ぐ(×2)ノルマは二倍。さて、上手く行くのか。
話が終わり、帰る流れになってはいるがクエストはこれからだ。此処、神秘の森で採取するのは、巨大な木の根、それからダンシングミミズ。後は……。
『おじさん、あのデカいキノコは何⁉︎』
……マッシュルームタワー。目の前に聳え立つ二メートル越えのアレもクエスト対象だ。笠と柄の部分が必要だって言ってたな。
……今回受付嬢さんが選んでくれたんだが、コレどう考えてもシルバーとホワイトがやるクエストじゃねえよな。
何か嫌な予感がする。が、気のせいにしとくか。大人の悪巧みが絡んでそうな気がするが知らん。