ブラック・ブレット8 Träume 破滅の病巣 作:鏡之翡翠
XDを跳ね上げて銃撃。反動が腕を駆け巡る。
狙い撃たれたリトヴィンツェフは相変わらず余裕の表情を崩さぬまま、大きく
――リトヴィンツェフを
蓮太郎は歯を食い縛りながら、切れ目なく引き金を
延珠が戦線に本格参戦し、ユーリャを押さえ込んでいる現状は、戦略上では願ってもいない状況だ。
感情の爆発に伴う冷静さの
約半年前――かつてリトヴィンツェフを確保した時の事を思い出す。
あの時のリトヴィンツェフの武装は拳銃だけで、半ば不意打ち同然に突入した延珠によって、瞬く間に取り押さえられた。だから、今こうして命のやり取りをするまで、彼の本来の実力など知る
元高序列の
――
――タイマンにさえ持ち込めば、義肢と武術で制圧できるッ!
戦闘員として発せられる、ある種の
あくまで彼の本領は、
奴の言葉に惑わされるな――。
脳裏に自身を律する命令を刻み込みながら、蓮太郎は一気に仕掛ける。
弾倉が空になった直後、その隙を塗り潰すように義足の
カートリッジ撃発に伴う推進力が、蓮太郎の体躯を強引に前へと突っ込ませる。ブレる視界の中でも、リトヴィンツェフの
瞬間加速によってリトヴィンツェフに対応する暇は与えない。
「『
神速の上段蹴りがリトヴィンツェフの側頭部めがけて放たれる。一撃で
――このままッ……!
だが、蓮太郎の思惑は思わぬ方向から崩される事となる。
リトヴィンツェフは自身に迫り来る殺傷力の塊に対して、手にしたスレッジハンマーの打撃部を、下から垂直に
針の穴を通すかのごとき、
しかし蓮太郎もこの程度では止まらない。
右拳を引き、腰を捻る。XD拳銃をホルスターに収めて左手も握り込む。最小限の予備動作から再度攻勢に移行。
天童式戦闘術一の型六番『
超至近距離から目にも留まらぬ速さで撃ち込まれる拳打の嵐が、否応なしにリトヴィンツェフを襲う。岩のごとく握り込まれた両の拳が、的確に胸部と腹部を叩きつける。連撃を主体とする技のため、炸薬の恩恵は皆無だが、超バラニウムの右腕から繰り出される質量の暴力は、筋肉の鎧に亀裂を入れるには十分過ぎる威力だ。
後方に吹っ飛ばされながらリトヴィンツェフが
行ける――。蓮太郎は確信と共に踏み込んだ。もう一度『
右義足に仕込んだ薬莢に火を
――……ッ!? 何だ、この感覚は……!?
言葉では説明のつかない野生の勘とも言うべき何か。それが、ぞわぞわと神経の隅々を舐め上げている。義眼に映る景色は――蓮太郎が理性を伴って見ている光景は、やはり何の警告も発していない。圧縮された時間の中、先手を取れるのは間違いなく蓮太郎のはずだった。
そのはずなのに――。
リトヴィンツェフの顔が持ち上がり、
死神――。
ありきたりな二文字が脳裏に浮かび、直後に注意を逸らされた事を後悔した。
リトヴィンツェフは、肉食獣のごとき
ドレスのスカートのごとく膨らんだコートが体ごとぶん回される。仕込まれていた
鋭利な切先が次々と食らいつき、制服の生地を突き破って皮膚を引き裂いた。全弾命中。とっさに首と心臓は守ったが、左脇腹と左
取り戻せぬ後悔が去来する。なぜ予見できなかった? なぜ義眼で戦況を
肉の裏側でジワリと生温かい体液が広がっていく。確実に太い血管をやられた。すぐにナイフを引き抜いて止血しなければ、まず大量出血は免れないだろう。
よろめく蓮太郎を尻目に、リトヴィンツェフは
「……づうああああああああああああああああああ――――ッッ!!」と蓮太郎は反射的にリトヴィンツェフへと掴み掛かる。コートの襟を鷲掴みした直後、腹部に衝撃が刺さる。このタイミングを待っていたとばかりに、強烈な膝蹴りが叩き込まれていた。
芯に響くような鈍痛と共に、胃液が逆流してくる。自らの膝を折った瞬間、さらに痛みが重なった。見れば、脇腹に刺さったナイフがさらに奥深くへと
「痛いか?」余裕を見せつけるように、リトヴィンツェフが問う。引き裂かれるように吊り上げられた口の端が、かつて対峙した仮面の怪人と重なった。「余計な気は起こさない方が良い。私がこれを
「……クソ野郎が」
対するリトヴィンツェフは、「ははっ」と短い笑いを洩らす。その声色には明らかな
「何がおかしい……?」
蓮太郎が刺すような視線を向けると、ハリウッド俳優のような男は、「これが笑わずにいられるか?」と問い返してくる。「
「……ッ!」
頭の中に、
「覆い隠すものの素材は何でも良い。怒りでなくともな。だが、そうだな……」そこまで言ってから、リトヴィンツェフは
「――――――――――」
ぷつん、と。
頭の裏側で何かが弾ける音がした。
全身に高圧電流を流されたような苦痛を、絶え間なく溢れる
「次は怒りか。まるで駄々を
蓮太郎は義手の五指に、さらに力を込めていく。人間の筋力を遥かに
「私が憎いか? 里見蓮太郎。スコーピオンを討伐して
「……ああ、憎い。憎いに決まってるッ」と蓮太郎は声を張り上げる。「俺には理解できないッ。なぜ
その問いはリトヴィンツェフだけに投げかけられたものではなかった。
蓮太郎には何もかも理解できない。なぜ彼らは
答えは期待していなかった。
しかし薄く笑ったリトヴィンツェフは、含み笑いと共に告げる。「守るべきものの優先順位が変わったからじゃないか?」と――。
「守るべきものだと……!? それは人の命よりも重いのかッ」
「場合によっては」リトヴィンツェフは否定しなかった。「他人はどこまでもいっても他人だろう。逆に問うが、見知らぬ誰かの命はそんなに尊いものなのか? 自らの自尊心と
「リトヴィンツェフ……! 貴様にとっては東京と仙台の人間全員の命より、自分のくだらないテロリズムの方が優先されるのかッ!?」
「だからそうだと言っている。私は私が守り抜きたいもののために、
もはや言葉を交わす意義などないと、言外に突きつけられているようだった。
蓮太郎は左手でXD拳銃を抜き放つと、ノータイムでリトヴィンツェフへ照準。引き金に掛けた人差し指に力を込めた直後、左目と義眼が映す景色が大きく乱れる。「……っ!?」すぐに顔面へ頭突きをかまされたのだと気づく。
――まただ……!
――また義眼で演算し切れなかったッ……!
蓮太郎の右
圧倒的戦闘能力で強引に
だが。「――そろそろスクラップになりたいだろう?」直上から振り下ろされた
「……くッ!」蓮太郎も後方へ跳ぶ。直後に目の前を打突部位が
巻き上がった
リトヴィンツェフは、すかさず柄を握り直すと、駄目押しとばかりの横薙ぎを繰り出す。とっさに義手を
鉄塊が発揮する運動エネルギーに押し負けて、横合いに押し込まれる。義手の痛覚を切っていなければ、意識を焼き切られるほどの激痛に
制服の袖で口許を拭うと、改めてリトヴィンツェフを見据える。凹凸の深い顔立ちには、僅かな疲労感こそ見え隠れしているが、主導権を握っている者特有の余裕も滲んでいる。
前言撤回。これがベラルーシ最強のイニシエーターと肩を並べて戦うプロモーターの実力。圧倒的スペック差さえもものともしない驚異的な対応力。フル装備であれば、蓮太郎と延珠の二人相手でも逃げ切れたという先の
――……くそッ。
蓮太郎は内心で毒づく。このままではジリ貧になるのは明白だ。おそらく蓮太郎単騎では、リトヴィンツェフを仕留められない。
焦燥感と共に、脳裏に一つの文言が浮かび上がる。
――『
かつての『ブラックスワン・プロジェクト事件』の際、五翔会のエージェントである
視界がホワイトアウトし、音と光を含む、あらゆる重圧の消え失せた世界。一秒を二〇〇〇枚のフレームにまで刻み分け、文字通り自身以外の全てを置き去りにする。この神の領域に達した演算能力を
だが、あの最終決戦以降、義眼が蓮太郎の望みに応えた事は一度としてない。かつて目の当たりにした光景の
もう一度、あの
この
そこまで考えたところで、我に返ってかぶりを振る。不確定な手札に
考えろ。どうすればリトヴィンツェフを崩せる? ユーリャが延珠に抑え込まれている間に何がなんでも――。
「――ろう! 蓮太郎ッ!」
「――!」突如として聴覚を叩いた、知った声にハッとする。
「避けるのだッ、蓮太郎!!」
ほとんど脊髄反射で後ろに飛び
風に踊る前髪の隙間から、氷のような冷たさを放つ瞳が覗く。
胸を
――それよりも延珠はッ……!?
とっさに周囲を見回して、相棒の声の出所を探る。――発見。『首』の保管された円筒形容器のすぐ側で、片膝を突いて苦悶の表情を浮かべる延珠と目が合う。
彼女は右手で自身の脇腹を押さえていた。見れば、皮膚に押しつけられた手のひらが赤く濡れそぼっている。その光景こそ、延珠がユーリャに競り負けた何よりもの証左だった。
「――ユーリャ! テメエッ!!」瞬間的に血が沸き立つ。XD拳銃をホルスターからドロウし、ユーリャへと照準する。
だが銃の筒先が向いた先に、すでに銀髪の少女の姿はなかった。代わりに現れたのはスレッジハンマーを振りかぶったリトヴィンツェフ。
すぐさま二人の意図を看破する。互いを陽動にしての挟撃。どちらかを対応しても、どちらかの必殺の一撃は喰らう。
――ユーリャはッ……!
――後ろ!!
高速演算を続けるプロセッサが、ユーリャ・コチェンコヴァの挙動の軌跡をギリギリで補足する。義眼の弾き出したユーリャの現在の座標を脳に叩き込み、右義足に力を入れ、炸薬に点火。カートリッジを撃発。スラスターの角度を地面と垂直になるよう調整し、渾身の力で跳躍した。
上から殴りつけられるような衝撃に耐えながら
義足の発揮する推進力で慣性と重力を捻じ曲げながら、右脚を振り上げて天へと掲げる。再び炸裂音が木霊する。
蓮太郎は砕けんばかりに前歯を噛み締めた。――
脚部から空薬莢が回転しながら吐き出される。
音を置き去りにするほどの速度で打ち落とされた
「――ッ!」とリトヴィンツェフの
構わず追撃に移る。
くず折れるユーリャと入れ替わるようにリトヴィンツェフが踏み込んでくる。質量の塊がフルスイングされ、その軌道の延長線上にいる蓮太郎を追う。
義眼の超演算が
一気に体勢を崩すリトヴィンツェフの
「ごッ、は……!」
「ようやく崩れたな、リトヴィンツェフ!」攻め入るなら、ここしかない。駄目押しの『
腹筋が不自然に収縮。呼吸難に
そのまま地面に押し倒され、後頭部を強打する。皮膚がぱっくりと割れる感覚に、言葉にできぬ恐怖が湧く。
「大尉にはッ……指一本触れさせません!」耳許でユーリャの怒号が轟く。
「そいつから離れろ! ユーリャ!」続けてリトヴィンツェフの
蓮太郎は、「くそッ」と口の中だけで毒づいた。先手を打って、ユーリャの腕からもがき抜けると同時に、無我夢中で地面を転がる。逃げる蓮太郎を追従するかのごとく、リトヴィンツェフの放った
戦闘序盤の使用で弾倉の中身が減っていたためか、弾幕はすぐに
――傷の再生はまだされてない!
バラニウムの再生阻害効果によって、銀髪の少女の両腕は
好機。蓮太郎は覚悟を決める。「延珠ッ!」と相棒の名を呼ぶ。「リトヴィンツェフを狙え!」
一瞬で良い。自分がユーリャを釘づけにすれば、イニシエーターの援護なしのリトヴィンツェフは、延珠にとって格好の的だ。
それを延珠も理解したのだろう。止まぬ痛みに目許を歪めながらも、すかさず動く。モデル・ラビットの因子をフル解放した超加速をもってして、リトヴィンツェフの方へと突っ込んでいく。
「――ッ、大尉ッ!」とユーリャが後悔の表情と共に主人の方へ振り向くが、もう遅い。彼女が今いるのは、蓮太郎の必殺の間合い。
防御を捨てた『
――天童式戦闘術一の型八番ッ!
腰の
「『
だが、双方のダメージの差は火を見るより明らかだ。十分過ぎるほどにお釣りが来る。蓮太郎は
ほぼ同じタイミングで、リトヴィンツェフとの一瞬の攻防を制した延珠の蹴りが炸裂。岩をも砕く破壊力の嵐が、真正面から叩きつけられた。スレッジハンマーの受け
同じ方向に投げ出された二人が、背中から地面へ叩き伏せられ、
「蓮太郎……ユーリャ達は……」いつの間にか
蓮太郎は延珠の方を見やる事なく、「まだだ」と言った。油断なくXDの弾倉を交換しつつ、「連中がこれで終わる訳がない」と断言する。「次に備えろ、延珠」
リロードを済ませた拳銃の先端を、
蓮太郎から僅かに遅れて延珠も身構える。
「強がんなよ、立ってるのもやっとだろ」蓮太郎は目を細めてリトヴィンツェフを
「冗談だろう?」リトヴィンツェフは鼻で
コート姿の白人の口の端からは、絶えず血液が
先ほどの挑発はハッタリでも何でもなく、
当のリトヴィンツェフは、自身の容体などどこ吹く風といった様子で、「もうすぐなんだ」と呟く。「長かった戦いの日々が、ようやく報われる。この高揚感を前にして、立ち止まってなどいられる訳がない」
「何が報われるだ!? リトヴィンツェフ! 貴様らのやろうとしてる事はただの虐殺だッ! 罪のない人達を
「理解してもらいたいなどとは思わんさ」血を流しながら、眼前の男は薄く笑う。「――お前達もそうだろう?」
「……何の話をしている」
「
「――ッ」
「お前が
突き刺すような指摘だった。今しがたの自分の問いかけが、全て跳ね返されたような気分に陥る。
唇を引き結ぶ蓮太郎を見て、リトヴィンツェフは満足そうに微笑んだ。「殺したんだろう? 第三次関東会戦のあと、黒幕とも言える天童の人間を一人――」
「あれは……ッ」
「よもや『直接手に掛けたのは自分じゃないから関係ない』と言い張る訳ではあるまい。天童
「…………」
いったいリトヴィンツェフはどこまで把握しているのか。洋上刑務所で面会した時から、蓮太郎の事を調査している素振りはあったが、まさかここまでとは思わなかった。
リトヴィンツェフに突きつけている銃口が、内心の
構わずにリトヴィンツェフは続ける。「曲がりなりにも東京エリアには――いや旧日本国には、かつての
「貴様がそれを平然と口にするのか……!? 身勝手な理由で東京と仙台を滅ぼそうとしている貴様が……ッ!」
「例え話が理解できなかったか?」
言葉は何も出てこなかった。
胸の中で言葉にならぬ言葉が、リトヴィンツェフの言い分に反論しようとする。だが、それが言語という
揺らぐ。
引き金に掛けた指から、徐々に力が抜けていく。今優勢なのは自分達のはずなのに。
「――……そんなの……関係ない」
耳に飛び込んできた言葉に、思わずハッとする。発したのは自分じゃない。蓮太郎はすぐさま自分の隣を見やった。
目許を怒りに歪ませた延珠が、燃え上がる瞳でリトヴィンツェフを射抜いたまま、ずんずんと前へ歩き出す。
「お主の言い分など! 知った事ではないのだッ!」と真正面から先ほどの理論を否定する。「お主は
リトヴィンツェフが思わずといった様子で吹き出した。「ははっ! 聞いたか里見蓮太郎。やはり子供には敵わないな」と短機関銃をリロードし、延珠の接近に備えていく。「ユーリャ、まだやれるな」
「……はい」と銀髪の少女は神妙な面持ちで応じた。関節を鳴らしながら、ぎこちなく右肩を回す。「戦闘継続に支障はありません」
すでに彼女の右肩は再生が済んでいる。バラニウム磁場の影響は多少なりどもあるだろうが、完全にへし折れた左腕ほどではない。
「延珠ッ」蓮太郎は先行するウサ耳パーカーの相棒へと呼びかける。「リトヴィンツェフの
このままでは不味い。負傷しているとはいえ、
なけなしの力を振り絞り、
蓮太郎とリトヴィンツェフ、双方の飛び道具の筒先が、延珠を隔てて跳ね上げられた瞬間だった。
突如として頭上から爆音が轟き、内側から爆砕したかのごとく、内壁に使われていた建材が
「――よお、ずいぶんとお楽しみみてえだな」
現れたのは黒光りする軌跡。
「
「どいてろ!! クソガキ共ッ!」将監は着地するよりも先に、手にした肉厚の剣を薙ぎ払う。およそ人間の膂力で振り回されたとは思えないほどの風切り音が木霊し、コンクリートの地面を砂糖菓子のごとく叩き割った。
乱入者の男は着地と同時に足許を蹴り抜き、一直線にリトヴィンツェフとユーリャの元へ突撃していく。
肉食獣を思わせる咆哮がドーム内を反響し、振りかぶった大剣が、些細な躊躇さえもなく人体めがけて振るわれる。「大尉ッ!」とユーリャが主人を庇うように前へと飛び出し、丸太のような腕から繰り出される一撃を受け止めた。黒色の金属同士が打ち鳴らされ、瞬間的な摩擦がオレンジ色の火の粉を撒き散らす。
一際大きな音と共に、互いにノックバック。ユーリャの陰から短機関銃を覗かせたリトヴィンツェフが、間髪を容れず引き金を絞る。
「ちいッ!」将監はすかさず剣を盾代わりに、自身の体を
将監の空けた大穴から、二人の武装したSAT隊員が現れる。一人が拳銃、もう一人が短機関銃を構えて同時に発砲。火薬の炸裂する音が重なって響き渡った。
高所からの制圧射撃を受け、すぐさまユーリャが迎撃に回る。右手の
だが突如として矮躯が弾かれたように跳ねる。何が起きたか分からないといった様子で目を見開くユーリャ。
義眼によって知覚時間の圧縮された視界で、一連の状況を捉えていた蓮太郎だけが、その正体を看破する。
――拳銃の方から撃たれた弾がユーリャの防御を上から叩き潰した……!?
ユーリャの体勢は未だ崩れたまま。即座にリトヴィンツェフがフォローに回り、自身のサブマシンガンを乱射するが、すでに隊員達は
そして。
隊員達と入れ替わるように、
リトヴィンツェフが
リトヴィンツェフが
「里見はこの世界の希望だ! おたくらごときに奪わせてたまるかよ――ッ!」
「
着地したリカルドはダガーナイフを抜き放つと、迷いなくリトヴィンツェフに接近戦を仕掛けていく。さらに後方から、回復した将監も戦線復帰。バラニウム大剣の質量の暴力がリトヴィンツェフを翻弄し、その隙間を突くようにリカルドのナイフが不意打ちを差し込んでいく。
SATの二人も降り立ち、その内一人がリカルド達に加勢する。もう一人は蓮太郎に駆け寄ってくるなり、止血剤と包帯を差し出してきた。「隊長達が時間を稼ぐ。里見君、君はすぐに応急処置を」
蓮太郎は、「すまない」とキットを受け取り、「……アンタ達」と隊員を
「心配しないで良い」と隊員は答える。「倒したさ。俺達でな」
「まさか……本当に……」
「負傷者は全員、ここに通じる抜け道のあった事務所に集めてる。三ヶ島さんと、ペアのイニシエーターの子も命に別状はない」
その事実に蓮太郎は無意識に胸を撫で下ろす。
そして同時に確信した。三ヶ島が賭けに勝った事を。
今、リカルドと共にリトヴィンツェフと戦っている
「……すぐに俺も戻らないと……」衣服を破り、腹部の大きな傷口に止血パッドを押しつける。圧迫感によって一時的に痛みが増幅されるが、気力で踏ん張り、包帯で固定する。
静止する隊員を横目に、
「蓮太郎……」少しだけ落ち着いた様子の延珠が、こちらを見上げてきた。
「馬鹿野郎。一人で突っ走ってんじゃねえ」と蓮太郎はツインテールの頭を軽く小突く。そしてリトヴィンツェフ達と対峙する仲間達を見やり、「言っただろ」と笑う。「頼れる仲間ができたって。今の俺達には背中を預けられる大人達がいる。もう良いんだよ。……俺達だけで苦しまなくたってな」
限界は近い。だが手足はまだ動く。
信じて託してくれた仲間達のためにも、ここで諦める訳にはいかない。
「行くぞ、延珠。皆と一緒に全てを終わらせるんだ」