ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男   作:路地裏の作者

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 連続投稿、第二話です。

 そして、現時点でお気に入り数が、『阿修羅』は118、『闇の剣と星の剣』は120! ご覧頂き、ありがとうございます!

 ……しかし、『闇の剣と星の剣』の方の強さは、『ネギま』人気のせいだろうか?
本当にプロローグの中のプロローグしか掲載していないのに…



008 教会と黒髪の少女

 ギルド≪風林火山≫本部。本日、僕は休日のため、皆の大体の予定を聞いて、フォローの必要がないか確認してから、休日の予定をこなしに行こうと考えていました。―――が。

 

「……はあ、どうにかならないかな。この―――やる気の無さ」

 

 ギルド内のメンバー全員が、テーブルに突っ伏したり、壁を拳で叩いたりしています。原因は、『攻略組』のアイドルだったアスナさんが、この間キリトと結婚したからだそうで。

 

「チクショウ、チクショウ……俺なんか、この年まで彼女の一人もいないってのによう…………」

 

 ……リーダー。何で、アナタまで沈みますか。おかげでこの数日攻略のノルマこなしてたのは、ほぼ僕一人でしたよ?

 

「アスナ様が、アスナ様が……」

 

「神は死んだ……」

 

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(神よ、何故私を見捨てたのですか)……」

 

 ……うん、ダメだな。もうほっとくしかないか。

 

「あー、それじゃ僕は休みに入ります。次に出てくるのは明々後日になりますから。第一層にいますので、何かあったらメールを下さい」

 

「オウ……また、あそこ行くんだろ……? よろしく伝えてくれ……」

 

 ……リーダー、そんな臨終に立ち会った人みたいに言われても。他の皆も、手だけやる気なさげに振らないで。

 

「ハア……そっとしておこう……」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 そんなこんなでやって来たのは、第一層≪はじまりの街≫。僕は最低限の装備と、両手に保存できる食料品を持てるだけ持って、東に向かって歩いていた。そんな中、向かっていた道の先におかしなものを見つけた。

 

「ん? アレは……キリト?」

 

 結婚して、一時前線を離れていると聞いたが、何でこんな最下層にいるんだ?

 

「キリト! こんなところで何を…………おおう」

 

 近付いてみるとそこにいたのは、相変わらずの黒ずくめのキリトと、私服姿のアスナさんと………………ピンク系統のセーターとスカートを身に纏った、黒い髪の幼い少女。

 

「そうか…………もう既にそんな大きな娘さんが。二人は随分前からそんな関係だったのか。すまない、気が付かなかった」

 

「「違う!!!」」

 

 ◇ ◇ ◇

 

「迷子?」

 

「そうなんだ。二十二層の森の中で迷子になってて……」

 

 事情を聞いてみると、何のことはない。親御さんから離れたと思しき、≪ユイ≫という名の少女の、保護者を探しに来たとの事。そのために第一層の『子供が集まる教会』を目指していたとか。……けど。

 

「んー、多分この子、≪はじまりの街≫にいた子じゃないね」

 

「何でそんなこと分かるのよ?」

 

「いや、見たこと無いし」

 

「……?」

 

 僕の発言にアスナさんが首を傾げているけど、実際そうとしか言えない。僕が見たこと無いなら(・・・・・・・・・・)あの教会の子じゃない(・・・・・・・・・・)

 

「オイ、レイジ。それより何時まで、コレ(・・)持ってなきゃいけないんだよ」

 

 そう話すキリトの手には、僕が持っていた食料品を入れた巨大な箱。流石は高レベルバランス型。あの大きさの箱も軽々だ。

 

「目的地に着くまでだよ。道案内の報酬でしょ?」

 

「ぐっ……」

 

 文句言わない。どうせ目的地は同じ(・・・・・・)なんだし。

 

 そうしてしばらく進むと、東七区を縦横に走る川に段々と近付き、その川べりに一つの廃教会が見えてきた。

 

「あそこが街の人が話してた教会ね……」

 

「道案内サンキューな、レイジ」

 

 まあいいんだけど……

 

「……キリト。入る前に、心の準備はしておいてね」

 

「ん……?」

 

 あまり詳しく言うと、ここで引き返しかねないし。言えるのは此処までだ。

 

 やがて教会の玄関へとたどり着き、僕は荷物を下において、扉に設えられたドア・ノッカーを使った。

 

『はい……?』

 

「レイジです。開けてください」

 

『レイジ? 今開けるね』

 

 そんな声が中から聞こえ、やがてドアから飛び出してきたのは……

 

「……サ、サチ………………?」

 

「キリト……?」

 

 元≪月夜の黒猫団≫メンバー、サチという名の少女だった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「サチが、子供達の世話を……」

 

「はい。この廃教会に移ってきた頃から、手伝ってくれてます」

 

 とりあえず中に入り、一段落ついたキリトとアスナさんに事情を説明するのは、ここで子供達の世話をしているサーシャさん。SAO開始後に中に取り残された子供達を、≪はじまりの街≫のあちこちから見つけてきて共同生活を送っている。

 

「私、あれからフィールドに出るのが怖くなって……それでレイジが、ここを紹介してくれたんだ」

 

「僕はただ、ここに何度か来てみて、大人の人手が足りないと思ったから、ここを紹介しただけだよ」

 

 自分で手伝えないから、手伝えそうな人を紹介しただけだし。

 

「レイジさんにも、≪風林火山≫の皆さんにも、本当にお世話になってしまって……。この教会も、レイジさんが購入したものを、好意で使わせていただいてるんです」

 

「「え……」」

 

 まあ、名義上のオーナーは確かに僕だけど。

 

「別に、僕個人で購入したわけじゃないよ。≪風林火山≫の皆にもカンパを募ったし。それに僕は武器を買わないから、使わないお金がそれなりにあったんで、どうせなら有意義に使ったほうがいいと思っただけだし」

 

 実際素手のビルドは、異常にお金が溜まっていきます。防具もお金が一番かかったのは円形盾(バックラー)だけだしね。

 

「それより、レイ兄! 今回のお土産は?」

 

「そうそう、みやげ! みーやーげー!」

 

「あー、分かった、分かった。今回は……これ!」

 

 そう言って取り出すのは、一枚のカンバス。その表面には……

 

「すげー! 雪山の中に、ドラゴンが!」

 

「かっけー! 飾ろー、飾ろー!」

 

 雪山の中、空中に悠然と佇む、氷のような真っ白なドラゴンが描かれていた。

 

「あれは……?」

 

「ああ、レイジさんは、≪絵画≫スキルを上げているので、時折上層部の冒険で見た景色を、ああして絵に描いて持ってきてくださるんです」

 

「へえ……え、てことは、この壁に飾られた絵は、全部……?」

 

「うん、レイジが描いたものだよ」

 

「「へ~……」」

 

 さっきから二人とも、何を感心した顔をしてるんですか。別にそんな特別なことはしてません。

 

「僕は時折、休みが取れたら此処に羽を伸ばしに来るからね。誰も使わないと家がもったいないし、どうせ休みを過ごすなら、家に飾りの一つも欲しいと思って描いてるだけだよ」

 

 全くもって他意はありません。だから、そのニヤニヤ笑いはやめなさい。

 

「でも、私もここに来れて随分立ち直れたし……少しでも皆の助けになりたくて、≪料理≫と≪音楽≫を上げてるんだ」

 

「サチ姉、料理上手いんだよ!」

 

「この間のハンバーグ美味しかった~♪」

 

「あ、ありがとう……」

 

 サチも一時期に比べて、随分明るくなった。ここに来た当初は、本当に沈んでたからな。

 

「年長の子供達には、近隣のフィールドで食費を賄おうとする子たちもいるんですけど、サチはその子達に付き添って、戦闘方法や安全圏への退き方をレクチャーしてくれて……本当に助けられてばっかりです」

 

「サーシャ先生……そんなこと無いです。ここの子供達のおかげで私も立ち直れて、安全マージンを十分に取れたところなら、フィールドにも出られるようになったんです。助けられたのは、私のほうです」

 

 まあ、これなら連れて来て正解だったかな。

 

「でも、ある意味、その影響なんでしょうね……」

 

「最近、また目をつけられてるもんね……」

 

「……誰にです?」

 

 アスナさんが、サーシャさんとサチに聞き返していたけど、僕は大体事情を察した。アイツラ(・・・・)まだ懲りてなかったか……。

 

 そんな時―――

 

「先生! サーシャ先生! 大変だ!!」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 教会に駆け込んできた子供達の話によれば、東五区の空き地で他の子達が≪軍≫のヤツラに捕まり、道をブロックして強硬に『徴税』しようとしているとのことだった。

 

 ……アイツラ、半壊(・・)じゃ懲りなかったみたいだなあ……!

 

 とにかく急がなければと、僕、サチ、サーシャさんと、キリト、アスナさん、ユイちゃんに、知らせに来た子供達は全力でその場に向かった。

 

 するとそこには≪軍≫のヤツラの集団がおり、子供達の姿は見えない。恐らくはその集団の内側か。

 

「お? 保母さんのとうじょ―――」

 

がごっ!

 

 何か言いかけてるような気はしたけど、一切聞く気はないので、全力ダッシュから≪鉄拳術≫空中打ち上げソードスキル≪ダイテンホウスイ≫で顎を打ち上げ、無理矢理口を閉じさせた。

 

「て! てめえ、≪軍≫にこんなことして―――」

 

ごすっ!

 

 次の奴も何か言ってたみたいだけど、硬直が解け次第、緑色の光を纏った≪鉄拳術≫中段重攻撃ソードスキル≪ハッケイ≫で吹き飛ばした。もちろん此処は街の中、ダメージの入らない≪圏内≫なので、二人ともダメージは無い。

 

 ……そう。ダメージ()

 

「オ、オイ。まさかコイツ……」

 

「雪のように、真っ白な髪。優男のくせに、話も聞かずに殴り飛ばす……」

 

「ま、まさか……あ、≪阿修羅≫……?!」

 

 ……ゴチャゴチャと。うるさい。

 

 

「さあ、お仕置きの時間だ」

 

 




 連続投稿、第二話終了です!


 ――ここで一つ読者の皆さんに発表があります。実は本作品はもともと『にじファン』に掲載予定だったものであり、ハーメルンに載せるにあたり、様々な調整を施してきたわけですが……つい先ほど、アインクラッド全編の調整が終了しました!

 そこで次回以降、更新ペースを少し上げようと思っています!

 何か最近自分が見ているSAOの二次創作で、設定がビミョーに似ている作品の予告が発表されまして、先出しで設定が固定化されるALOまで行ってしまおうと考えています。あそこまで行ければ、おおよそあり得ない本作品の方向性も読者諸氏に理解されると思いますので…

追記:私事で恐縮ですが、作者がArcadiaにて一読者として楽しみにしていた凪葉先生の『ソードアート・オンライン If ~黒と白の足跡~』が、さっき見たら削除されていました……。最近理想郷の感想が荒れていたので、心配していたのですが…

 凪葉先生、もし見ていたら、もしまだ筆を折る気がないのであれば、ここ(ハーメルン)か暁という小説投稿サイトで、出来れば再起を……この二つならそこまで感想も荒れないと思いますので…

 一読者としての、一ファンとしての、願いです。
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