ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
それに伴い、オリジナルのソードスキルをROのスキルに変更しました(効果はかなり違いますが)。ほとんどやったこと無いけど、結構好きなんですよ、クルセとテコン。
2024年10月。ここは、現在のアインクラッド最前線、74層。迷宮区近くの酒場だ。
「最近・・・思うんですよ、リーダー」
「オ、オウ。何だレイジ。いつになく真面目な顔で」
手元のグラスを一度テーブルに置いて、僕たちのギルド≪風林火山≫のリーダー、クラインが真剣な顔で聞き返してきた。僕は、それに対して、告げる。
「このギルドに女性がいないのは・・・リーダーの野武士ヅラのせいなんじゃないか、って」
『そのとーり!!!』
「うぅぅぅるせぇぇぇええええぇぇぇ!!!!」
真面目に言ったら、怒鳴られてしまった。なぜだろう? 結構真剣な悩みなんだけどな。
「でもね、リーダー。KoBには副団長にアスナ嬢。≪軍≫には美人秘書さん。≪聖竜連合≫には、そこまでではないものの多くの女性プレイヤー。これらに規模さえ及ばないものの、仮にも『攻略組』の一角のこのギルドに女性プレイヤーがいないのは、どう考えてもおかしいですよ」
『そーだ、そーだ!』
「オレ……泣いていいか。割と、マジで」
ギルド≪風林火山≫は、今日も平和である。
◇ ◇ ◇
「まあそれはともかく……そろそろ次のボス部屋が見つかるな」
「マップ開拓率は・・・七割強。そうだね、そろそろ見つかりそうですね」
今の階層は、74層。クオーターポイントには強力ボスが控えているが、その前後も十分危険域だ。
「オメエラにあらかじめ言っとくが……今回の攻略には≪軍≫のヤツラが絡んでくるかも知れねえ。いざこざが起こる可能性もあっからな」
「≪軍≫が?」
アインクラッド解放軍、通称≪軍≫。攻略の前半部分こそ積極的に攻略に乗り出してきた有力ギルドだが、その反面Mobの狩場を独占するわ、一度精鋭が壊滅してから最前線に出てこなくなるわ、『攻略組』には割と嫌われている存在だ。
それでも犯罪者、いわゆる『オレンジプレイヤー』を収容する監獄の管理をしてくれているので、完全に敵というわけではないのだが。
「まあ、用心のためだ。オメエラ、くれぐれもトラブルは起こすなよ?」
『ウーッス!』
そんな感じでその日のミーティング、という名の飲み会は終わった。
◇ ◇ ◇
翌日、迷宮区深層部。僕らはギルド内でもコンスタントな強さを誇る主力メンバーで、最後のマップ開拓を行っていた。
「いねえな、≪軍≫のやつら…」
「まだ来てないとか……もしかして、ボス戦のときだけ出てくるんじゃないかな」
「それならそれで、後で荒れそ、うっと!」
クラインのカタナスキルが、目の前の骸骨を叩き斬る。状況の確認や話し合いを戦闘中でも行えるのは、腐っても『攻略組』たる所以だろう。
「うーし、コッチは終わりだー。ソッチはどうだー?」
『全員無事でーす!』
「おし、まだポーションにも十分余裕があるな。次行くぞー!」
『ウーッス!』
現在の攻略状況は、8割。順調ならば、今日にもボス部屋が見つかるだろう。
「ん? ありゃぁ・・・」
そんな順調な行軍の中、クラインが少し先の道に、顔見知りを発見した。
「おお、キリト! しばらくだな」
目の前で座り込んで軽食を取っていたのは、『攻略組』プレイヤー≪黒の剣士≫キリト。ソロプレイヤーでありながら、実力の高さが噂になるほどの剣士だ。
「まだ生きてたか、クライン。―――っと」
そして、僕と会うたびに、妙な反応を浮かべてくる人物でもある。
「あー、ああ。ひ、久しぶりだな。レイジ?」
「何で疑問形?」
どうにも会うたび会うたび挙動不審なんだけど?
「き、気にするな。それより―――」
「うをいっ! キリトッ!!」
……思い切り話の途中で割り込んできたのは、我らがリーダー、クライン。
「てめえっ、コリャどういうことだっ!?」
そう言って指さすのはキリトの影にいた、多分パーティーメンバー……って、あれは?
「血盟騎士団(KoB)の≪閃光≫アスナ……?」
何でこのヒトが、ギルドメンバーほったらかしてこんな所に? しかもソロのキリトと一緒とは。
「むー、確かレイジ君だったわよね。その呼び名、キライなのよ」
「あ、ああ、スイマセン。アスナさん」
「……敬語も無しで」
「…ゴメン、アスナさん」
僕は、どうにも年下以外の女性には、敬語を使うのが習慣になってしまっている。この辺り、多分記憶をなくす前からの習慣なんじゃ無かろうか。
ちなみに、彼女は今後しばらくの間、キリトと組むと言っていたが、キリトが妬まれるんじゃなかろうか……? 実際、現在進行形で心労のためか、深いため息をついてるし。
その後、僕以外の≪風林火山≫メンバーが、アスナさんの前で一通り自己紹介していた。全員が全員、顔がにやけているのがなんとも情けなかった。まあ彼女はこのSAOで五指に入る美少女プレイヤーで、ファンクラブまであるという話だから無理は無いのか。自分はどうも記憶が無いせいか、そういう方面の感情が薄いが。それでも、ギルドに華が欲しいとは思う。
―――そんな中、僕の≪聞き耳≫は、少し遠くから近付いてくる規則正しい足音を捉えていた。
「・・・リーダー、何か近付いてくる」
「何だ? 新しいMobか?」
「いや、この足音は…」
「―――キリト君っ、≪軍≫よ!!」
アインクラッド解放軍、通称≪軍≫のお出ましだった。
◇ ◇ ◇
その後のやり取りは、≪軍≫の強引さと専横はここまで来たかと言いたくなるものだった。一般プレイヤー解放の為に活動しているんだから協力しろの一点張りで、キリトからボス部屋までのマップを奪取(半ば恐喝に見えた)、その後一瞥すらくれずにボス部屋の方へと消えていった。…何時にも増して酷かったな。
「しかし大丈夫かな……」
そんなワケで僕らは仕方なく、特攻しそうな勢いがあった≪軍≫の様子を見に行くことになった。
……何と言うか、『狂信』じみた雰囲気を感じたからね。
「もうアイテム使って、帰っちまったんじゃねえか?」
先へ進んでも、誰もいないことからリーダーがそんなことを言い出した……が、どうやら悪い予感が当たったみたいだ。
――――――アアァッ!――
≪聞き耳≫スキルで普通よりも良くなった耳に、遠くから声が聞こえてくる。―――これは。
――ワア――アアァッ!!―
……鬨の声。悲鳴。絶叫。―――『恐怖』と『絶望』の声!
「―――ッ!」
「!? お、おい、レイジ?!」
いきなり走り出した僕に、キリトやアスナ、それに≪風林火山≫のメンバーは呆気に取られたようだが、構ってられなかった。この『声』は明らかに―――誰かが、死に瀕している!
「退くな! 戦え、戦うのだ!!」
道の先、ボス部屋の中からそんな声が聞こえてきた。その声は、ボスに追い回され、恐怖と絶望に包まれようとしている≪軍≫の部下達を追い立てていた。
―――バカヤロウ。
彼らはその声に追われ、尚もボスに向かって突撃しようとしていた。
―――『生きる』ことより、優先することが、あってたまるか!!
「突撃ーーーッ!」
「やめろーーーーーーっ!!!」
だけど、その声は届かなかった。
ボスの再度の攻撃により、数人のプレイヤーがなぎ払われ、打ち上げられ……僕の頭上を飛び越え、キリト達の足元まで転がって行った。HPを完全に空にしていたそのプレイヤーは、……先ほど僕らからマップデータを奪っていった≪軍≫の指揮官、コーバッツだった。
後ろで、ポリゴンが砕け散る音が響く。そして、山羊の頭持つ悪魔のようなボスは、他のプレイヤーを狙いに定め、その手に持つ大剣を振り上げ―――
―――死なせない。
もう、誰も。
殺させない!!
「ハアアアアアッ!!」
咆哮と共に、前へと跳ぶ。筋力補正と敏捷補正の両方を活かし、まるで弾丸のように加速する体中に、青いライトエフェクトを纏う。このスキルは、基本的にギルドメンバー以外の前では
どごおんっ!!!
どこか間抜けな音を立てて、山羊頭のボス、クオーターポイントのボスに迫るはずの強大なボス≪The Gleameyes≫は、わき腹に突き刺さった規格外の衝撃に耐え切れず、反対側の壁にめり込んだ。
≪鉄拳術≫中段ダッシュソードスキル、≪シュラシンダン≫。体中に青いライトエフェクトを纏い、肩口で相手を吹き飛ばすソードスキル。それなりの距離のダッシュが必要なことと、突撃による体当たりであるため、威力はデカイがスキもデカイ。オマケに硬直時間もかなり長い、と普段なら絶対に使わないスキルではあるのだが、上手くいった。
「……お前の相手は、僕だ。山羊頭」
このボスは、ここで倒す!
と言うわけで、本編第一話でした。
前回出したスキルに関してですが、自分の設定として、鉄拳術の一種は全てモンク系。それ以外のスキルとの派生(例えば体術+盾など)は、これから先ROのその他の職のスキルで埋めていこうと思います。
正直、モンク以外まともにプレイした経験が無いので、深く書けないとも言う…