ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
少しもう片方の手直ししてて遅れました。
今回ついにキリトパーティー五人目が合流です!予想できるかもしれないけど……ちなみに6人目と7人目は、もう少し後になります。この残り二人は、レイジやキリトがかすむくらいにヤバイキャラですが……
SIDE:キリト
≪央都アルン≫の安宿の中、俺は目を開いた。時間は、午後三時のメンテナンス終了から三十分後。大連結(レイド)パーティーの集結まで一時間半もあるが、アスナが確実に世界樹の上にいると分かった以上、じっとしていられない。
「よし、行―――」
「どこ行くの? お兄ちゃん?」
そんな風に響き渡った声に思わず振り向くと、そこには我が妹、直葉のアバター、リーファがいた。…が、今の彼女は若干その両眼を半眼に閉じており、明らかにご機嫌ナナメを体現した顔だった。
「や、やあ、リーファ。早いじゃないか。まだ約束の時間まで一時間半もあるぞ?」
「……ログインする前に、今日のこと打ち合わせとこうと思って、お兄ちゃんの部屋ノックしたのよ。そしたら返事ないし。まさかと思って入ってみたら、案の定だったわ」
――ヤバイ。リーファの言葉が出るたびに、場の空気がどんどん冷えていく。コレは明らかに、爆発寸前の爆弾の前にいるような―――
「それで――――どこ行くつもりだったの? お兄ちゃん?」
イイ笑顔とともに放たれたその言葉に、俺は無条件降伏せざるを得なかった。
◇ ◇ ◇
「全く、もう。お兄ちゃんは、まーた抜け駆けして……」
「ハイ、ホント、スイマセン。マコトニ、モウシワケアリマセン」
……降伏後、俺はいても立ってもいられず、
「私だって、アスナさん助けたいんだよ!」
リーファのそんな言葉に、俺の考えは霧散した。
「で、でもこれはもともとSAOプレイヤーの問題で……」
「あのねえ、私はそんなお兄ちゃんを二年も待ち続けたんだよ? アスナさんや、他の人たちの家族のこと考えたら放っておける訳ないじゃない!」
…あ。言われて、初めて気がついた。直葉も、母さんもSAOに囚われた俺を、待ち続けてくれたのだ。ちょうど今アスナを待ち続けている俺と同じように。
「それに……本当にALOがそんなことに利用されてるんだったら、放っておけるわけないでしょ? 私だってもう、ALOプレイヤーなんだから」
「リーファ……」
ALOプレイヤー。その言葉に、二年の時と、ほんの少しの感慨を感じ。
「……ありがとう」
自然と、そんな言葉が出た。
それに対して、リーファはなぜかその顔を真っ赤に染めていた。……そんなに恥ずかしい台詞だったか?
「~~~~ッ。さ、さあ、いいから打ち合わせ始めましょ。ちょうどゲームの中に入ったことだし―――」
そんなところに、ルルルというメッセージの受信を知らせるサウンドエフェクトが響いた。
「「ん?」」
◇ ◇ ◇
メッセージは彼女のALO唯一のフレンド、レコンからだった。なんと彼はシルフの裏切り者、シグルドの手下の見張りから逃げ出し、ここまで追って来たというのだ。……ここにたどり着くために行っていたのが、あきらかなMPKだったのは気にしない方がいいことだ。
「ハア、ここまで来た手段は余り感心できないけど……お兄ちゃん、コレでもレコンは闇魔法とか、良くわからないスキルも結構上げてるわ。アスナさん助けるんなら協力してもらわない?」
「ぼ、僕はリーファちゃんのためなら、何でも協力するけど……って、『お兄ちゃん』?!」
「あー、うん。リーファこと直葉の兄の、和人です……ちなみに、キャラネームは『キリト』な」
このレコンという少年、リアルでは直葉のクラスメートだってことだったが、直葉に気があるのか? 何か若干敵意を感じたけど……
そんな事を思っていたところに、
『キリトー、聞こえるー?』
今回のイベント仕掛け人から連絡が入った。
SIDE OUT
SIDE:アスナ
~♪
「……ねえ、レイジ君?」
~~♪
「ねえってば、ちょっと!」
『ん?』
私の再三の呼びかけに、ようやく相手は顔を上げた。
「…昼からずっと何をやってるの?」
……今現在、レイジ君は私が捕まっている鳥籠に仕掛けられた特製の『茨』に触れ、一心不乱にウインドウ上から何らかの操作をしていた。…鼻歌を歌いながら。
『ん~、何を、と聞かれると、今日の≪討伐クエスト≫に向けて、皆と合流の準備かな?』
「あ、そうなんだ…」
≪討伐クエスト≫。そう名づけられたそれは、私や他のSAOプレイヤーが現実に戻るための、最重要の作戦。キリト君やALOプレイヤーと一緒に、大規模(レイド)パーティーを組んで挑むもの。レイジ君もそれに参加すると言っていたから、合流の準備を進めるのは別におかしいことじゃない。
しかし、それと私の鳥籠を囲む『茨』と、何の関係があるのだろうか?
「レイジ君、頑張ってね。キリト君にもよろしく伝えておいて―――」
『は? 何言ってるの、アスナさん?
…………え?
「で、でも、私ここから出られないわよ? それにどうやって、地上に降りれば……」
『ん? ん~、具体的には――』
そう言って、レイジ君は、自分の目の前に展開されたウインドウの中から、なぜかとてつもなく嫌な予感のする赤いボタンを……
『こうやって♪』
……押した。
SIDE OUT
SIDE:キリト
「ねー、お兄ちゃん。こんなところに何があるの?」
今俺たちは、世界樹を取り巻く雲の上に出てきている。それというのも、先ほどレイジの奴から「これから合流する」旨の連絡が入り、待ち合わせ場所として、ここを指定されたのだ。
「俺にも分からない。だけどここが、レイジの奴との合流場所なんだ」
「ふーん……あ、そうだ。そのレイジ君のこと、教えてよ! 病院じゃ聞きそびれちゃったでしょ?」
「あ、ああ。そうだな。アイツは『攻略組』の中でも人当たりが良くて、壁戦士(タンク)の鑑みたいに言われてて、そして――」
そう言ったとき…………視界の隅に、ありえない物がよぎった。
「? どうしたの、お兄ちゃん?」
ソレは、あり得ないほど大きく、また何でそういう状態なのか理解出来なかったが……
「……そして、時々、こっちの予想の範囲外の行動をするんだよなあ…………」
間違いなくアスナが捕まっていた鳥籠が、重力に従って自由落下している光景だった……。
SIDE OUT
「~~~~~い~~~~~や~~~~~~~~~!!」
『まあまあ、落ち着いてアスナさん♪』
「おおおお落ち着けるわけないでしょおおおおおおおおっ!?」
今僕たちは、鳥籠が乗っかっていた世界樹の枝部分を『爆破』し、地面に向かって『自由落下』している。あの世界樹の上で、鳥籠から下手にアスナさんを出すと、即座に須郷の奴に察知され捕縛される可能性があった。そこで考えたのが
「――――ぃ、――!」
『ん?』
風に紛れて聞こえてきた声に、地上近くに目を移す。
「――――おい、レイジ! お前、何やってんだ?!」
『あ、キリト。合流できたみたいだね?』
「みたいだね?じゃない! アスナは無事なのか!?」
ようやく「アスナさんの勇者様」が合流か。じゃあこれで――
『キリトー。――――――ちゃんと、受け止めなよ?』
「「……え?」」
――番犬役も、終了だ。
次の瞬間、鳥籠を包み込んでいた『茨』は、残らず『爆発』し、アスナさんと僕は空中へと投げ出された。
「!! キ、キリトくーーーーーん!!!」
「! アスナーーーッ!」
アスナさんの悲鳴に、すぐさまキリトが飛んで行く。――熱い熱い♪
僕はキリトがしっかりとアスナさんを抱き止めたのを尻目に、空中での移動手段を『呼ぶ』べく…指笛を吹いた。
甲高い音とともに、世界樹のウロの辺りから、黒いシルエットが飛び出した。
「り、リーファちゃん、アレ!」
「ペ、
それは、死者を運ぶと呼ばれる、青褪めた黒い天馬(ペガサス)。モンスター『ナイトメア』。闇妖精(インプ)領の奥地に存在するダンジョンにしか生息しないレアモンスターで、その生息域の少なさと、
もともとインプ領主に会いに行った際に出会い、なぜか干し肉を上げたら懐いたので、それ以来『メア』という名前をつけて移動手段として利用している。レアモンスターだけあって、その能力も中々だった。
空中でメアに跨り、そのまま上昇し、姿勢を整える。そこで全員に向き直ると――――キリトの腕の中で、般若のような形相になっている女性が、ひとり。
『――――これは、ちょっと覚悟した方がいいかな?』
◇ ◇ ◇
『――――いや、だからね、世界樹の周りには『飛行禁止』の障壁があってね、そこを突破するには自分のプレイヤー属性に細工するか、オブジェクトに包まって通過する必要があってね?』
「…そう、それで?」
『僕は何度か通過するときに細工を終えていたけど、アスナさんの属性に手を出すと、須郷に感づかれるかも知れないからね?』
「…そう、それで?」
『必然的にアスナさんが障壁を通過するなら、建築オブジェクト等の内部に入った状態で通過するしかなくてね?』
「…そう、それで?」
『だから今回の脱出作戦決行!になったわけなんだけど……』
「…そう、それで?」
『…………』
今、僕は先ほどの脱出作戦の詳細な説明を迫られている―――アスナさんに襟首を掴まれ、空中に吊り上げられたまま。
「それで? 私に何も説明せずに、こんな脱出作戦を決行した理由は何なの?」
『…えっと』
「正直……もしもフザけた理由だったら、私、自分を抑えていられる自信がないわ」
『…………』
……ちなみに、目の前のアスナさんは、白色の銅鎧に各所に赤いリボンのアクセント、同じく白のロングブーツにミニスカートと、かつての血盟騎士団副団長時代を髣髴とさせる姿に着替えている。もちろん腰には、店売りの中では最も正確性(アキュラシー)が高い細剣(レイピア)も一緒だ。
『え、えっとね、あの『茨』には、最初から緊急脱出用に、オブジェクトの破壊ツールが仕込まれていてね?』
「…で?」
『え、えっと、だから……』
「……」
『強いて言うなら……ノリ?』
その言葉とともに……アスナさんの渾身のアッパーで、僕の身体は宙を舞った。
と言うわけで、キリトパーティー五人目、≪閃光≫のアスナ合流です!
正直せっかく戦えるヒロインなのに、ピ○チ姫やらせるのが惜しかったため、こうなりました。まあ、合流方法のせいで、レイジが散々な目にあってますけど……
オリキャラ第一弾、ナイトメアのメア。ROではコイツラの集団がドッペルゲンガーの取り巻きだったので、ヒヅメの音で探してたなあ……