ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男   作:路地裏の作者

30 / 106
恒例の週一投稿です!

少しもう片方の手直ししてて遅れました。

今回ついにキリトパーティー五人目が合流です!予想できるかもしれないけど……ちなみに6人目と7人目は、もう少し後になります。この残り二人は、レイジやキリトがかすむくらいにヤバイキャラですが……



009 戦闘準備

 

SIDE:キリト

 

 ≪央都アルン≫の安宿の中、俺は目を開いた。時間は、午後三時のメンテナンス終了から三十分後。大連結(レイド)パーティーの集結まで一時間半もあるが、アスナが確実に世界樹の上にいると分かった以上、じっとしていられない。

 

「よし、行―――」

 

 

「どこ行くの? お兄ちゃん?」

 

 

 そんな風に響き渡った声に思わず振り向くと、そこには我が妹、直葉のアバター、リーファがいた。…が、今の彼女は若干その両眼を半眼に閉じており、明らかにご機嫌ナナメを体現した顔だった。

 

「や、やあ、リーファ。早いじゃないか。まだ約束の時間まで一時間半もあるぞ?」

 

「……ログインする前に、今日のこと打ち合わせとこうと思って、お兄ちゃんの部屋ノックしたのよ。そしたら返事ないし。まさかと思って入ってみたら、案の定だったわ」

 

 ――ヤバイ。リーファの言葉が出るたびに、場の空気がどんどん冷えていく。コレは明らかに、爆発寸前の爆弾の前にいるような―――

 

 

「それで――――どこ行くつもりだったの? お兄ちゃん?」

 

 

 イイ笑顔とともに放たれたその言葉に、俺は無条件降伏せざるを得なかった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「全く、もう。お兄ちゃんは、まーた抜け駆けして……」

 

「ハイ、ホント、スイマセン。マコトニ、モウシワケアリマセン」

 

 ……降伏後、俺はいても立ってもいられず、一人(・・)でグランドクエストに挑もうとしていたことを白状した。いくらそのほうが確実とはいえ、SAOプレイヤーの問題を、ALOプレイヤーに背負わせるのは何か違う気がしたのだ。だから俺が行くのが正解のはず――

 

 

「私だって、アスナさん助けたいんだよ!」

 

 

 リーファのそんな言葉に、俺の考えは霧散した。

 

「で、でもこれはもともとSAOプレイヤーの問題で……」

 

「あのねえ、私はそんなお兄ちゃんを二年も待ち続けたんだよ? アスナさんや、他の人たちの家族のこと考えたら放っておける訳ないじゃない!」

 

 …あ。言われて、初めて気がついた。直葉も、母さんもSAOに囚われた俺を、待ち続けてくれたのだ。ちょうど今アスナを待ち続けている俺と同じように。

 

「それに……本当にALOがそんなことに利用されてるんだったら、放っておけるわけないでしょ? 私だってもう、ALOプレイヤーなんだから」

 

「リーファ……」

 

 ALOプレイヤー。その言葉に、二年の時と、ほんの少しの感慨を感じ。

 

「……ありがとう」

 

 自然と、そんな言葉が出た。

 

 それに対して、リーファはなぜかその顔を真っ赤に染めていた。……そんなに恥ずかしい台詞だったか?

 

「~~~~ッ。さ、さあ、いいから打ち合わせ始めましょ。ちょうどゲームの中に入ったことだし―――」

 

 そんなところに、ルルルというメッセージの受信を知らせるサウンドエフェクトが響いた。

 

「「ん?」」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 メッセージは彼女のALO唯一のフレンド、レコンからだった。なんと彼はシルフの裏切り者、シグルドの手下の見張りから逃げ出し、ここまで追って来たというのだ。……ここにたどり着くために行っていたのが、あきらかなMPKだったのは気にしない方がいいことだ。

 

「ハア、ここまで来た手段は余り感心できないけど……お兄ちゃん、コレでもレコンは闇魔法とか、良くわからないスキルも結構上げてるわ。アスナさん助けるんなら協力してもらわない?」

 

「ぼ、僕はリーファちゃんのためなら、何でも協力するけど……って、『お兄ちゃん』?!」

 

「あー、うん。リーファこと直葉の兄の、和人です……ちなみに、キャラネームは『キリト』な」

 

 このレコンという少年、リアルでは直葉のクラスメートだってことだったが、直葉に気があるのか? 何か若干敵意を感じたけど……

 

 そんな事を思っていたところに、

 

 

『キリトー、聞こえるー?』

 

 

 今回のイベント仕掛け人から連絡が入った。

 

SIDE OUT

 

SIDE:アスナ

 

~♪

 

「……ねえ、レイジ君?」

 

~~♪

 

「ねえってば、ちょっと!」

 

『ん?』

 

 私の再三の呼びかけに、ようやく相手は顔を上げた。

 

「…昼からずっと何をやってるの?」

 

 ……今現在、レイジ君は私が捕まっている鳥籠に仕掛けられた特製の『茨』に触れ、一心不乱にウインドウ上から何らかの操作をしていた。…鼻歌を歌いながら。

 

『ん~、何を、と聞かれると、今日の≪討伐クエスト≫に向けて、皆と合流の準備かな?』

 

「あ、そうなんだ…」

 

 ≪討伐クエスト≫。そう名づけられたそれは、私や他のSAOプレイヤーが現実に戻るための、最重要の作戦。キリト君やALOプレイヤーと一緒に、大規模(レイド)パーティーを組んで挑むもの。レイジ君もそれに参加すると言っていたから、合流の準備を進めるのは別におかしいことじゃない。

 

 しかし、それと私の鳥籠を囲む『茨』と、何の関係があるのだろうか?

 

「レイジ君、頑張ってね。キリト君にもよろしく伝えておいて―――」

 

『は? 何言ってるの、アスナさん? 貴女(・・)も行くんですよ?』

 

 

 …………え?

 

 

「で、でも、私ここから出られないわよ? それにどうやって、地上に降りれば……」

 

『ん? ん~、具体的には――』

 

 そう言って、レイジ君は、自分の目の前に展開されたウインドウの中から、なぜかとてつもなく嫌な予感のする赤いボタンを……

 

 

『こうやって♪』

 

 

 ……押した。

 

SIDE OUT

 

SIDE:キリト

 

「ねー、お兄ちゃん。こんなところに何があるの?」

 

 今俺たちは、世界樹を取り巻く雲の上に出てきている。それというのも、先ほどレイジの奴から「これから合流する」旨の連絡が入り、待ち合わせ場所として、ここを指定されたのだ。

 

「俺にも分からない。だけどここが、レイジの奴との合流場所なんだ」

 

「ふーん……あ、そうだ。そのレイジ君のこと、教えてよ! 病院じゃ聞きそびれちゃったでしょ?」

 

「あ、ああ。そうだな。アイツは『攻略組』の中でも人当たりが良くて、壁戦士(タンク)の鑑みたいに言われてて、そして――」

 

 そう言ったとき…………視界の隅に、ありえない物がよぎった。

 

「? どうしたの、お兄ちゃん?」

 

 ソレは、あり得ないほど大きく、また何でそういう状態なのか理解出来なかったが……

 

「……そして、時々、こっちの予想の範囲外の行動をするんだよなあ…………」

 

 間違いなくアスナが捕まっていた鳥籠が、重力に従って自由落下している光景だった……。

 

SIDE OUT

 

「~~~~~い~~~~~や~~~~~~~~~!!」

 

『まあまあ、落ち着いてアスナさん♪』

 

「おおおお落ち着けるわけないでしょおおおおおおおおっ!?」

 

 今僕たちは、鳥籠が乗っかっていた世界樹の枝部分を『爆破』し、地面に向かって『自由落下』している。あの世界樹の上で、鳥籠から下手にアスナさんを出すと、即座に須郷の奴に察知され捕縛される可能性があった。そこで考えたのが鳥籠そのもの(・・・・・・)を世界樹から切り離して、外に出るという方法だった。もちろんこんな派手な方法を取ればどの道察知されるだろうが、向こうはアスナさんを捕縛するのに正確な位置を補足する必要が出来、その時間でこちら側の準備も整うだろうという目論みがあった。

 

「――――ぃ、――!」

 

『ん?』

 

 風に紛れて聞こえてきた声に、地上近くに目を移す。

 

「――――おい、レイジ! お前、何やってんだ?!」

 

『あ、キリト。合流できたみたいだね?』

 

「みたいだね?じゃない! アスナは無事なのか!?」

 

 ようやく「アスナさんの勇者様」が合流か。じゃあこれで――

 

『キリトー。――――――ちゃんと、受け止めなよ?』

 

「「……え?」」

 

 ――番犬役も、終了だ。

 

 次の瞬間、鳥籠を包み込んでいた『茨』は、残らず『爆発』し、アスナさんと僕は空中へと投げ出された。

 

「!! キ、キリトくーーーーーん!!!」

 

「! アスナーーーッ!」

 

 アスナさんの悲鳴に、すぐさまキリトが飛んで行く。――熱い熱い♪

 

 僕はキリトがしっかりとアスナさんを抱き止めたのを尻目に、空中での移動手段を『呼ぶ』べく…指笛を吹いた。

 

 甲高い音とともに、世界樹のウロの辺りから、黒いシルエットが飛び出した。

 

「り、リーファちゃん、アレ!」

 

「ペ、天馬(ペガサス)!?」

 

 それは、死者を運ぶと呼ばれる、青褪めた黒い天馬(ペガサス)。モンスター『ナイトメア』。闇妖精(インプ)領の奥地に存在するダンジョンにしか生息しないレアモンスターで、その生息域の少なさと、調教(テイム)の困難さから、未だに誰一人テイムに成功した者はいないとされる黒馬だった。

 

 もともとインプ領主に会いに行った際に出会い、なぜか干し肉を上げたら懐いたので、それ以来『メア』という名前をつけて移動手段として利用している。レアモンスターだけあって、その能力も中々だった。

 

 空中でメアに跨り、そのまま上昇し、姿勢を整える。そこで全員に向き直ると――――キリトの腕の中で、般若のような形相になっている女性が、ひとり。

 

『――――これは、ちょっと覚悟した方がいいかな?』

 

 ◇ ◇ ◇

 

『――――いや、だからね、世界樹の周りには『飛行禁止』の障壁があってね、そこを突破するには自分のプレイヤー属性に細工するか、オブジェクトに包まって通過する必要があってね?』

 

「…そう、それで?」

 

『僕は何度か通過するときに細工を終えていたけど、アスナさんの属性に手を出すと、須郷に感づかれるかも知れないからね?』

 

「…そう、それで?」

 

『必然的にアスナさんが障壁を通過するなら、建築オブジェクト等の内部に入った状態で通過するしかなくてね?』

 

「…そう、それで?」

 

『だから今回の脱出作戦決行!になったわけなんだけど……』

 

「…そう、それで?」

 

『…………』

 

 今、僕は先ほどの脱出作戦の詳細な説明を迫られている―――アスナさんに襟首を掴まれ、空中に吊り上げられたまま。

 

「それで? 私に何も説明せずに、こんな脱出作戦を決行した理由は何なの?」

 

『…えっと』

 

「正直……もしもフザけた理由だったら、私、自分を抑えていられる自信がないわ」

 

『…………』

 

 ……ちなみに、目の前のアスナさんは、白色の銅鎧に各所に赤いリボンのアクセント、同じく白のロングブーツにミニスカートと、かつての血盟騎士団副団長時代を髣髴とさせる姿に着替えている。もちろん腰には、店売りの中では最も正確性(アキュラシー)が高い細剣(レイピア)も一緒だ。

 

『え、えっとね、あの『茨』には、最初から緊急脱出用に、オブジェクトの破壊ツールが仕込まれていてね?』

 

「…で?」

 

『え、えっと、だから……』

 

「……」

 

『強いて言うなら……ノリ?』

 

 その言葉とともに……アスナさんの渾身のアッパーで、僕の身体は宙を舞った。

 




と言うわけで、キリトパーティー五人目、≪閃光≫のアスナ合流です!

正直せっかく戦えるヒロインなのに、ピ○チ姫やらせるのが惜しかったため、こうなりました。まあ、合流方法のせいで、レイジが散々な目にあってますけど……

オリキャラ第一弾、ナイトメアのメア。ROではコイツラの集団がドッペルゲンガーの取り巻きだったので、ヒヅメの音で探してたなあ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。