ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
それと『阿修羅』とは直接関係ないお知らせです。作者のもう一つの作品、『闇の剣』ですが、まだ書きあがってないので、一日遅れます。書きあがれば、明日の18時くらいかと……
あの日から翌週、金曜日。朝田さんの機材もそろい、翌日は休みということもあって、いよいよ≪ガンゲイル・オンライン≫の世界へと旅立つこととなった。待ち合わせは20時だ。
「少し早いけど……入るか」
水分を少量摂り、ベッドに横になる。ベッドサイドに置いたアミュスフィアにはすでにGGOが入っている。
「行きますか……≪リンク・スタート≫!」
白い光と共に、景色が薄れ、GGOの大地へと降り立った。
◇ ◇ ◇
「ふーん、確かにALOとは味付けが違うな」
降り立った大地には、荒廃した世界の表現のためか、スモッグを思わせる煙が漂っていた。世界内の時間は、外の世界と完全同期しているため、空には星空が見え、完全に夜ではあったが、どうもそれ以外にも街に薄暗さを覚える。
「とりあえずは、しん……いや、≪シュピーゲル≫と合流……ん?」
周りを見回していると、初心者のスタート地点である自分の場所から程近い場所で、それなりにベテランと思しき格好のプレイヤー数人が、一人の初心者と思われる女性プレイヤーを囲んでいるのが目に入った。
(ガンシューティングのゲームに、珍しい女性初心者……そもそも待ち合わせの30分前とはいえ、似たような時間帯に入るプレイヤー……まさか)
僕は一つの予感と共に、その集団の方へと歩いていった。
「あ、あの、すいません。私、待ち合わせが……」
「まあまあ、そんなこと言わずにさ。俺達このゲーム長いから、色々レクチャーしてあげるよ?」
「そうそう、手取り足取りな!」
……このゲーム、4月に出た≪ザ・シード≫上でリリースされたから、どんなに長くてもせいぜい二ヶ月程度のキャリアのはずだが。そろそろ止めないと、≪ハラスメント・
「ごめん、遅れちゃって。待った?」
気軽に声をかけながら、周りのプレイヤーの間に割り込む。男性プレイヤーに囲まれていたのは、ペールブルーの髪で、
「アン? 何だテメエ」
途端に此方に向き直り、あからさまに恫喝してくる。うわあ……、モヒカンだし、肩にトゲついてるし、何かもうやたら世紀末な不良プレイヤーだなあ……。
「彼女はさあ、俺らにレクチャーして貰いたがってんだよ……
街の≪圏内≫だからって、あからさまに拳銃を突きつけてくるし……これは、もう『お仕置き』かな?
「先に問題行動起こしたのは、そっちですから」
「アア? てめえ、何言って……わひゃあ!」
目の前の屈強そうな男のセリフは、眼前に迫った僕の掌打でさえぎられた。当然≪圏内≫なので、ダメージは当たらなかったが、打撃はもっとも分かりやすい攻撃なので、迫ってくれば恐怖を感じる。
さて、どこまで耐えられるかな?
「ひいいいい?!」
「うおおおお!?」
「や、やめ……やめええええ!?」
周りの不良プレイヤー共の、悲鳴が響く。彼らの周りには、僕の掌、拳、肘、膝、蹴りが縦横無尽に通り抜ける。たとえステータスやシステムによる補正が無くても、SAOプレイヤーならば、自分の使い続けた武器の動きは、もはや本能の域で再現可能だ。
「まだ寄って来るなら……次は≪圏外≫で直接ぶち込みますから」
そう、ニッコリと笑って宣言すると、たちまち蜘蛛の子を散らすように逃げていった。やれやれ根性の無い……もう少し残るようなら、ありがたーいOSEKKYOUをくれてやったのに。
「あ、あの……」
不良プレイヤーが見えなくなったところで、青髪の女性プレイヤーが話しかけてきた。んー、多分間違いないとは思うが、一応……
「ああ、気にしないで。僕の待ち合わせ相手かも知れないと思って、助けただけだから」
「あ、あの、銅島さんだよね?」
……あー、MMO上では、出来る限り
「うん、合ってるよ……けどゲーム中は、出来る限りリアルの情報は出さないようにね。ネット上に情報を上げられて、社会的に抹殺される可能性もあるから」
……例えば、救世主扱いのせいで、ビン底眼鏡をかけて変装するのを強制されたりね。
「う、うん……。じゃ、じゃあ、そのキャラクターの名前は?」
まあ、前と同じだけど、漢字入力可能だったので。
「≪
「零二……あの、私は、≪
その後、近隣通知用のメッセージを新川恭二のキャラクターである≪シュピーゲル≫へと飛ばし、少しの間雑談することとなった。
「それにしても、よく僕だって分かったね?」
「う、うん……銃のゲームで格闘技を使う人なんて珍しいし……それに、私と同じ初心者みたいだったし……」
まあ、そうか。いきなり入った初心者が、あんな大立ち回りやらかしたらな。
「それに、見た目がほとんどそのまんまだし……」
「え? それは、どういう「お~い、二人とも~」……おおう」
話の途中で、
「えーと……確認するけど、シュピーゲル?」
「うん、そうだよ。それにしても、ランダム生成なのに、ほとんど変わらないなんて、こんなことあるんだね」
……ナニ?
「あさ……シノンも随分かわいいアバターが当たったみたいだし」
その言葉に隣のシノンも、一瞬硬直する。どうやら彼女も、自分の見た目を確認していなかったようだ。
「…シュピーゲル、この近くに鏡は……」
「私も……」
「あ、ああ。あっちの方に……」
その言葉に従い、スタート場所であるドームから一度外に出て、そのミラーグラスを鏡にしてみる。すると、絶句した。
「……は?」
今の自分より、若干若い容姿、少し閉じ気味のたれ目、何より目を引く『純白』の髪……何処からどう見ても、SAO時代の自分がそこにいた。
「え? 何? なんで!?」
今回自分は、SAOのデータを引き継いでいない。だからどう考えても、この容姿になるわけがないのだが……
(考えられる理由は……≪カーディナル≫と≪MHCP≫か!?)
このゲーム、ガンゲイル・オンラインも、≪ザ・シード≫上で動いている以上、リファインされたカーディナルの上で動いている。そして、そこにはかつて、付属プログラムとして、メンタルヘルスケアプログラム、通称MHCPも存在した。その容姿は、あらかじめ
(システム上で認識された容姿も、この姿で固定されている可能性が……ハア~)
システム上での個人の確認など、アミュスフィアが常時計測している、脳波なり心拍なりでどうとでもなるだろうし、これではもう他のゲームでアバターを作ったとしても、全部同じ容姿になりかねない。
「あきらめるしかないか…ハアアア」
そうして片方が再作成をあきらめているところ、
「……シュピーゲル」
「ん? なに?」
「このアカウントの放棄は、どうやるの」
「え?」
もう片方は、せっかく当たった可憐なアバターの放棄を希望した。
「え? そのアバター、放棄する気なの? もったいないよ!」
「でも……」
「そんなに整った容姿のアバターなんて、めったに出ないんだよ? 作り直しても、次も似たようなアバターになる可能性もあるし!」
それを言われると、弱い。実際アカウントの作り直しには、お金がかかる。やるたびに、一月分の月額料金を取られるのだ。それはあまりにもったいない。
「あー、ちょっといい?」
そこで、ひとつの譲歩案を出してみる。
「とりあえず今月の間だけでも、そのアカウントでやって、どうしても気に入らなければ、次回から違うアカウント取るっていうのは?」
問題の先送りにしかなっていないが、他に解決策も浮かばない。気に入るか、気に入らないかは、運任せだ。
「……わかった」
「そ、それじゃあ、まずはチュートリアルクエストから始めよう。終われば、初心者用の銃を一丁もらえるから」
その後、シュピーゲルのガイドに従い、チュートリアルクエストをクリア。零二は光学式ハンドガン、シノンは光学式ライフルをゲット。とりあえず入門編と言うことで、近くの低レベルダンジョンに潜ることとなった。
「それにしても、零二はゲームに慣れてる感じなのに、射撃があそこまで下手だとはね」
「意外な弱点ね」
「ぐっ……」
シュピーゲルが言っているのは、先ほどチュートリアルで行われた射撃訓練の様子である。シノンは三発ほどで、的の中心に当てることに成功したが、零二はチュートリアルを二回失敗した……
その上、たった今潜ってきたダンジョンでも、動いている敵にほとんど当たらなかった。
「くぅっ……ねえ、このゲーム、銃に取り付けるナックルガードとか無い?」
「……『銃』で、『殴る』気?」
「というか、そこまでしたら、もう違うゲームだよ…」
それ位しなければ、このゲーム内では戦えそうに無い。それ以外の方法としては―――ッ!
「…シュピーゲル」
「え? な、何?」
「この近くに、敵のプレイヤーっていない?」
今、
「これは…僕の≪索敵≫の通りなら、5人構成のグループが向かってきてるね。だけど、多分、向こうも初心者連れの低レベル……っ!!」
「え? ど、どうしたの?」
「包囲隊形を取ってる! こっちを襲う気だ!!」
このゲームで、最初の試練が幕を開けた。
はい、と言うわけで、レイジは今のままだと銃で『戦えません』。正直、入ってすぐ、火器管制(マスタリ)もなしに、バンバン当てられる奴のほうがおかしいと思うんですよ……まあ、それでも戦う方法はいろいろありますが♪
ここで読者の皆さんに、質問です。実は今、GGOでの敵キャラとして、SAOにもROにも無関係のネタキャラを出したくて仕方ありません。多重クロスタグもなしに出しても大丈夫でしょうか?
ちなみに、出てきても本当にただのネタキャラとして使う予定です。『死銃』には直接からませない予定です。
良ければ、感想に一言入れてください!