ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
ちなみにこれ書くにあたり、アメリカの映画を結構参考にしたり……
銃弾『カーブ』させるのってどうやるんだろう……
さらにちなみに、作者のもう一つの作品、『闇の剣』は、今度から日曜に投稿することにします!何かそのほうが安定するし……
「とりあえず、皆あの建物の影に!」
シュピーゲルの指示に従い、銃撃か爆撃でボロボロになった、壁と柱しか残っていない建物の影に入る。すると、タタタタン、と一定のリズムを刻んで、実弾と思しき銃撃が建物へと突き刺さった。
「きゃあ!?」
「出来る限り身を縮めて! 大丈夫、建物の影なら大丈夫だから!」
そんな指示の間も銃撃は止むことは無い。完全にこちらを狩る気だな。
「
「にゅ、にゅーびー…?」
「ゲームに入ったばかりの新人を狩ること。このゲームでは、モンスターだけじゃなく、他のプレイヤーを倒しても経験値が得られるからね」
このゲーム、ガンゲイル・オンラインは、レベル・スキル制併用で、レベルアップで得た数値を、自由に自分の≪能力値(ステータス)≫に振り分けることが出来る。同時に、レベルアップと共に増える≪スキルスロット≫に、自分が目指す
(まあ、これもPvPゲームの醍醐味と言うわけか。胸糞悪いやり方だけど)
シノンと違って、自分は動くモンスターに弾を当てられなかったため、レベルは1しか上がっていない。
相手にとって、レベル2の自分など、問題にはならないだろう……
(だけど……相手が
相手と違い、こちらは命がけの戦いを二年も繰り広げてきたのだ。開始一・二ヶ月の新兵など、話にもならない。
「シュピーゲル、敵の接近してきている方角を教えて」
「え? 零二、まさか、戦う気!? 僕ならレベル的に向こうと大差ないから戦えるけど、まだレベル2の君じゃ無理だよ!」
問題ない。この程度、≪風林火山≫ギルドで、仲間の一人が≪実つき≫のリトルネペントを攻撃して、囲まれた時よりずっとましだ。
「教えて」
「……っ、建物の東側から二人、南側から三人来てる。だけどどうする気? 『対光学銃防護フィールド』を間違いなく備えているから、その光学式ハンドガンじゃ、ダメージはほとんど通らないよ」
そう言葉を続けながら、彼も実弾銃へと切り替える。彼も戦う覚悟は決まったか。
「確か、『防護フィールド』は、近付けば弱まるって、言ってたよね?」
「あ、ああ。そうだけど……」
「そして、
「……分かった。それなら、シノンはここから援護射撃を頼むよ。僕はアタッカー型だから、南の三人にダッシュしながら突っ込むから」
「…分かった」
これで作戦は決まった。シノンも、静止状態での射撃は相当上手かったから、南側は大丈夫だろう。…後は、僕がやる東側だけ。
「シュピーゲル、突入の合図、頼める?」
「分かった。次に銃撃が止んだら、だ……3、2、1、今!」
合図と共に、建物の影から躍り出る。さあ、大逆転を始めよう!
外へ出ると、前方100mほど先に、二人の人間が伏射姿勢で銃を構えていた。その服装は、先ほど街で出会った世紀末スタイル。いきなり出てきたこちらに驚いたようだったが、すぐに切り替え、こちらに銃口を向けてくる。
しかし、遅い。
目視できる相手の銃口から、このGGOのゲーム的要素である
『銃』とは、『槍』だ。
どんなに力量の高いガンナーでも、弾を自在に曲げることは出来ないし、一度撃ったら、後はまっすぐ飛ぶか、風などで少し曲がるかのどちらかだ。まさに変幻自在の変化を見せる、剣などの武器に比べれば、単純極まりない。
その上、この自分は、ソードスキルという、人間の限界を超える速度で繰り出される槍や
そして槍をかわすのならば、常に懐へ懐へと、走り続けなければならない。反復横とびのように左右に飛ぶのではなく、斜め前の空間に飛び込むように。
そうしてかわす内、互いの距離は20mほどにまで狭まっていた。
「くそっ! 何だコイツ!」
「慌てるな! 初心者用光線銃なんて、フィールドがあれば―――」
「なっ?!」
「石ッ!?」
地面から、すばやく石を拾って投げつける。SAOでは、飛び回る昆虫や鳥型の敵もいたため、
「フッ!」
短い呼気と共に、八割ほどだった速度を一気に全開にし、相手の懐へと踏み込む。速度は全然足りないが、動きそのものは、≪鉄拳術≫移動用ソードスキル≪ザンエイ≫だ。
「て、てめ――グエッ!?」
一瞬の隙を突いて、相手の右眼に貫手をぶつける。体術零距離技≪エンブレイサー≫。銃ほどではないが、相手にダメージが入り、一瞬相手の視界がダメージエフェクトに包まれる。
その瞬間を利用し、光線銃の銃口を相手の額に押し付け、三点バースト。それでもまだHPが残ったようなので、相手の胸倉をつかみ、そのまま銃口を口の中に突っ込み再び三点バースト。見事HPを削りきり、敵がポリゴン片となって爆散していく。
その様子を見て、もう一人のプレイヤーが立ち上がって離れようとする。手に持った銃をデタラメに撃ちながら。
―――だけど、逃がさない!
銃弾の中を前傾姿勢で突っ込み、腰の回転を使い、前蹴りを相手のベルト部分へと叩き込む。クリスタル状のパーツと、電子部品と思しきパーツから、火花が飛ぶ。間違いなく、シュピーゲルに見せてもらった、≪対光学銃防護フィールド発生装置≫。
こちらも、今のダッシュで銃弾が頭を掠め、一気にHPがイエローの危険域へと至ったが、これでこっちの攻撃も通じる。そう判断し、今度は光線銃を狙いもつけずに、体の中心辺りに滅茶苦茶にばら撒く。当たっているかどうかも全く考えない。
敵がポリゴン片となって消えるのと、光線銃のエネルギー残量が無くなるのは、全く同時だった。敵が砕けていくのを見ながら、僕は建物周辺の銃声が止んだのに気づいていた。
「シュピーゲル! シノン!」
エネルギーの切れた光学式ハンドガンをホルスターにしまいながら、先ほど倒した二人が、同じタイプの機関銃を地面に残しているのに気づく。
「ドロップ品か……使わせてもらう!」
落ちている機関銃を二つとも、拾い上げ、急いで建物の南側へと向かう。
果たして、そこには、多少薄汚れた印象ではあるものの、無事であったシュピーゲルと、建物の影からライフルを携えて走りよってくるシノンの姿があった。
「……良かった。二人とも、無事?」
「…ええ、何とか」
「そっちも無事……もしかして、二人とも倒したの?」
流石に、手に二丁も機関銃持ってたら気づくか。
「ああ。それで、これが地面に落ちてたんだけど……」
「このゲームでは、敵プレイヤーを倒したら、装備がランダムドロップすることがあるんだよ。こっちにも一丁、落ちてるしね」
言われて周りを見ると、近くの岩から少し離れたところに、機関銃が落ちていた。持ち手の色など多少変えているようだが、全部同じ種類に見える。
「えっと、この銃は…?」
「≪AK-47・カラシニコフ≫。アサルトライフルの入門編として用意されていて、そんなに珍しくも無い銃だよ。僕の銃よりは性能も低いしね」
言われてみると、シュピーゲルも手に機関銃を持っていた。具体的な名称は分からないが。
「じゃあ、この銃一丁は、ライフル使う予定のシノンにあげて、残りを売ったお金で装備整えようか」
「良いけど……零二は使わないの? プレイヤー相手なら、こっちの方が性能いいよ?」
いや、確かに威力は大きそうなんだけど、でもねえ。
「口に突っ込んで撃てば、どんな相手でも倒せると分かったので」
「そんな倒し方したの? それ、もうシューティングじゃない……」
どちらかと言えばギャング映画だ。
その後、街のショップでカラシニコフ二丁を売り、結構なお金になったので、対光学銃防護フィールドと、顔を隠せる変装用アイテムを買い求めることとなった。
「まあ、シノンはもったいない気もするけど、零二は確かに必要かもね」
「そうなんだよ。ここで
そうして買ったのは、偏光グラスのはまったゴーグルと、サンドブラウンのロングマフラー。外のフィールドは荒野のイメージなので、こうした≪隠蔽≫ボーナスが高めの品を選択する。
シノンの方は、中央に黒の線で装飾の入った、サンドカラーのマフラー。完全無地の、僕のマフラーとは大違いである。
さっきの戦闘で、僕のレベルも一気に2上がっていた。能力値は相当悩んだが、前のキャラクターと違いすぎるとどうにも違和感が出そうだったのと、このゲームでは接近できるかどうかが生命線だと判明したので、
こうして、この世界での最初の試練は幕を閉じた。だが、このときの様々な選択が、後に大きな意味を持つとは、まだ誰も知らなかった。
最初の戦闘、終・了!です!
銃の戦闘ってこれでいいのかなあ……?
PK重視なら当然ある『初心者狩り』でしたが、相手が悪すぎました♪
石投げで動きを止め、貫手で目潰しし、口の中に突っ込んで連射……もう、これガンマンじゃないよなあ。いくら口の中にフィールド無いからって……。
レイジは結局STR・VITの二極型になりました。本当はAGI特化にしようかとも思ったんですが、それだと『死銃』との関係が……
さて、GGOが盛り上がってきているのですが……来週、またも所用で休みます……。もう休日出勤とかイヤヤー!