ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
休日出勤とかもうイヤヤ……
その事件は、唐突に始まった。
ある日、現在本拠としている街から東へ十数km移動した先で、奇妙なものを見つけたのだ。
「ヒャッハーーーッ!」
「イヤッハーー!」
「アア、モウ! 少しは静かに移動できないのカ!? アンタラは!」
……なんかやたら世紀末の格好で、フードマントのプレイヤーを追っかけてるやつらに出会ったのだ。しかも追われてるのは知り合いだった。
「何やってるのかな、アルゴさん……」
そう、追われているのは、情報屋≪鼠≫のアルゴ。もっとも彼女はその職業上相当量の恨みも買っているので、追われること自体は珍しくもない。僕の目を引いたのは、彼女を追っているヤツラの『状態』だった。
「何でこんなに≪騎乗アイテム≫が……?」
珍しかったのは、追跡者全員が、『車』に乗っていたからだ。しかも種類も豊富で、ジープ、バギー、数は少ないがバイクもある。今では珍しくなってしまったガソリンエンジン特有の排気音が周囲に響き渡っているのだ。
通常この世界で≪騎乗アイテム≫、いわゆる乗り物として利用できるのは、レンタルショップに置いてあるロボット
(……ま、とりあえず)
そこまでで思考を中断し、背中から少々大型の銃を引っ張り出す。その銃の名は、光学式ガトリングガン≪ブッチャー≫。今日はこれからダンジョンにソロで潜るつもりだったので、エネルギーパックは満タンだ。
「いきますか!」
身を隠していた岩山から、一気に駆け下りる。とはいえ重量ギリギリまで装備で固めているため、その速度は斜面の滑走で稼ぐ。
「アア? なんだあ――――あぶろば?!」
余所見をしていたモヒカンを後ろから蜂の巣にする。ブッチャーは一発の威力が低いが、面の制圧能力が非常に高く、対多数で使える銃だ。
「敵襲、敵襲だーーーっ!」
「ヤロウども、やっちまえーーーっ!」
…………今時、あんな古風な号令をかけるヤツラがいるとは。少し面白かったが、まず優先するべき行動として、囲まれていたアルゴさんを背中にかばう。
「――――ッ、レイ坊……」
「僕の友人を襲わないでほしいね?」
そう言って、ガトリングを放つ。しかし、元々命中率が高くないこともあり、さらに自動車相手となると、追い掛け回すだけとなって、敵の数が減らない。
「チッ!」
舌打ちとともに、エネルギー切れとなったブッチャーをインベントリに仕舞い、新たな銃を呼び出す。今度の銃の名は、光学式ショットガン≪ブラックローズ≫。散弾式のエネルギー弾が、相手に襲い掛かる。
「ぐあッ?! 銃の換装だと!?」
「コイツまさか……」
「『
此方の正体に気づいたようだが、もう遅い。面の制圧力で相手を撃つ、撃つ、撃つ!
「ヒャッハーッ! ここはオレにまかせな!」
手詰まりになった相手から、奇妙なゴーグルをつけた男が出てきた。その背中にはドラム缶のような奇妙なものが…………それを見た瞬間、『ソレ』の正体に気づく。
「アルゴさん、つかまって!」
「ひゃあ?!」
「汚物は、消毒だあーーーーッ!!」
アルゴさんを小脇に抱え、後ろに跳び退った途端、さっきまで立っていた場所が火の海になった。先ほどの男の背中に背負われていた『銃』は、現在では使用を禁止されている兵器、『火炎放射器』だ。あまりにも人間らしからぬ殺し方が出来てしまうため、使用してはならない兵器。
「ハッハーーーッ! ようし、ここはこの俺様が追い打ちをかけてやろう!!」
「頼むぜ、
……さっきから何かが、僕の記憶を刺激する。そう、かつてただの人間だった時の、『アルバム』の記憶が。
「喰らえ、伝説の暗殺拳、108派の一つ!」
……ああ、そうだ。コレ、確か世紀末を描いたマンガの……
「南○爆殺拳!!!」
目の前の人たちは、相手に、隠すつもりが、一切なかった。
そして奇妙な拳法の構えから繰り出されるのは、懐から取り出した、円筒状の火薬のカタマリ………………『ダイナマイト』じゃん!!!
「うおおおおおおおっ!!?」
「うひゃあああああっ!!!」
「ヒャッハー! 汚え花火だー!」
「それは違うネタだぞ、同士よ!」
雨あられと降り注いだダイナマイトは、地面に残っていた火炎放射の炎に引火し、連鎖的な爆発を起こした。こっちはヤバすぎなのに、ネタを挟むな!
「我らはあの
「オウ、すまねえ、同士よ。勝利に酔っちまって、つい」
「へへ…ですが、これで情報屋アルゴも終わりでしょう。コレだけ完膚なきまでに潰されて、次も見つけ次第追われると分かれば、『あの情報』をバラすことはありませんよ」
……成程。こいつらの目的は、アルゴさんの持つ何らかの情報が、拡散することを防ぐことだったのか。しっかし、よくもこれだけ物好きが集まったな?よく見たら、GGO初日に襲ってきたやつも混ざってるし。
ちなみに、何故生きてるかというと。
「…………ふうっ、これやると片手ふさがるから、やりたくないんだけどね」
僕は、最初に駆け降りてきた岩山の崖にへばりついていた。どうやったかというと、非常用ポーチに入れてあったアンカー付ワイヤーガンで登っただけである。本来は≪
「さて、上まで登ったら反撃を……大丈夫、アルゴさん?」
「…………」
さっきから、腕の中の彼女が黙ったままだ。一体どうしたのか?
不審に思い、腕の中の彼女の顔を覗き込んでみる。すると、ほんのり赤かった顔が、真っ赤になった。
「ひゃああああっ!!」
……叫び声で、思い切り気づかれた。
「生きてやがった!」
「撃て撃て!」
「うおおおおおおおッ!」
持ち前の筋力値を使い、飛んでくる銃弾をかわしつつ、一気に崖を駆け上る。しかしそこまで高い岩山でもないので、ひっきりなしに銃弾は飛んできていた。
「とにかく反撃だ! アルゴさん、
「ス、スマン、レイ坊。迷惑かけてばっかりで……」
?なぜこんなにしおらしいことを?なんというか、≪鼠≫の彼女らしくない。
「報酬は、あいつらが隠したがってる『情報』で!」
その言葉に彼女は一瞬ぽかんとした表情を浮かべたあと、ニヤリと笑った。
「アア! とびっきりの情報を教えてヤルヨ!」
そして、準備が整い、見下ろす。眼下には、唯一乗用車やバイクが通れる『一本道』を登ってくる相手。
「次はこっちがとびっきりの花火を打ち上げよう!」
ブラックローズを背中に据えて、次に両手に装備したのは、プラズマグレネードランチャー≪インフェルノ≫。単発式のソレを、さらに足元に十数挺。
「いっけえええええ!」
上空から降り注ぐ爆弾の雨に、謎の世紀末集団は潰走した。
◇ ◇ ◇
「――――で、情報って一体なんです?」
「レイ坊、空気考えナヨ」
岩山にて敵軍を壊滅させた後、帰路にて彼女に尋ねてみた。しかし何故ずっと膨れ面をしているのか?
当初はニヒヒと笑いながら、腕に絡み付いてこようとしたというのに。詳細な情報を聞こうとしただけでこの顔である。
「ハア、まあいいか。これじゃサッちゃんも苦労してるだろうナ……」
「何故ここでサチが?」
ワケワカラン。
「ハアアアア……とりあえずアイツラは、私がつい先日ある情報を売りさばいたスコードロンで、≪北斗の軍≫って奴等だ」
「………………」
それ、隠す気ありませんよね?
「で、一体どんな情報を…?」
「せっかちなオトコは嫌われるゾ。マ、一言で言えば――――」
アルゴさんのその一言が、その事件の始まりだった。
「――――『
隠す気がないネタの宝庫、『北斗』キャラ登場!ザコなのに強烈なインパクトを持った人たちが多いですね!
作者は『消毒だー!』の人が大好きです!
信じられるか…?アレ、名前もないモブなんだぜ……?
途中で出てきてるのは、『拳法』の概念を破壊する暗殺拳、『南○爆殺拳』です。あれのどこが『拳法』なんだろう?
そして、零二のGGOでの戦闘方法。上手く切り替えが書けてるといいな……
このネタ回の敵キャラは、軍そのものがネタで出来ています。更なるネタを仕込まねば!