ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男   作:路地裏の作者

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今回のタイトル……ネタに走りました。後悔はしていないッ(キリッ)!



011 なまえを呼んで

 

「――で、その『専用≪騎乗アイテム≫取得クエスト』をみんなで受けようと?」

 

 GGOの最大都市グロッケンのとあるカフェ。サイケデリックな色合いの、謎めいたジュースを飲みながら、シノンは呟いた。その横ではシュピーゲルが、ピンク色したこれまた謎のジュースを飲んでいる。微妙にチェレンコフ光を出しているのは、気のせいか?

 

「そういうこと。このゲーム、長距離移動手段が乏しいから、クエストやダンジョン探索で役立つでしょ?」

 

「確かにそうだね。時間短縮になるのは、ありがたいかな」

 

 何せこのゲームには、SAOの≪転移門≫みたいなテレポート手段がない。そのくせ解放されているエリアだけでも広いから、街から街への移動ですら一日がかりになったりするのだ。

 

「んー、でも結構難しいクエストダヨ? 第一、取得できるのは車やバイクが主だけど、運転できるノカ?」

 

 問題は、そこだけか。

 

「問題ない。リアルではガソリンバイクも運転可能な中型免許も取ったし、あっちでは馬に乗ってるから、ロボットホースにも乗れるよ」

 

「レイ坊も大概ダナ……オネーサンは、自動車関係全部運転不可だったってノニ」

 

 ふーん……あれ?でも……

 

「でも、だったらアルゴさんはどんなアイテムをとったんです? 詳しいイベント内容を知っている以上、自分でも試しているはずですけど……」

 

「ああ、ソレはな――コイツダ!」

 

 そう言って目の前に突き出されたのは……スケボーによく似たただの板?

 

「何です? これ」

 

「フッ……コレこそ、かの有名な≪スカイボード≫だよ! 空中に浮かぶスケボーってトコダナ」

 

「どこのバッ○トゥザフューチャーですか……」

 

 こんなものがあるなら、クエスト報酬の中には、≪デ○リアン≫まであるかもしれない。

 

「まあ、取得経験もあることダシ、クエストの案内はお任せダ! もしかしたら、≪北斗の軍≫のやつらまだ襲ってくるかもしれないシナ……」

 

「そういえば、あいつらってどの程度の規模なんです? 流石にあまり多いと、護りきれなくなりますけど……」

 

 いくら死ぬことはないといっても、SAOプレイヤーにとって、仲間が目の前でやられるのは寝覚めのよいものではない。

 

「そんなに多くは無いヨ……せいぜい十数人くらいダ。二十人はいないはずダヨ。スコードロンの入団条件が厳しくてナ」

 

「へえ……ちなみにどんな条件なんです?」

 

 僕はこのすぐ後に、聞いたことを後悔した。

 

 

「あの伝説の世紀末マンガのネタを愛すること……そしてそのロールプレイを行うことダソウダ」

 

 

「「「……………………」」」

 

 ……バカなんじゃないだろうか?ある意味このゲームをこの上なく楽しんでるともいえるが。

 

「つまり、あー、その、それに同意した人たちが十数人はいたと……」

 

「そんなにいるもんなんだ……パチスロのCMとゲームでしか知らないけど」

 

「確か八個目の星が輝くと、大当たりだったわよね? 幸運の星なのかしら?」

 

「オイラもあいつ等関係で調べたけど、それ、作中では死の予兆ダゾ」

 

 地味にアルゴさんも詳しいですね?

 

「まあ、ともかく……あいつらの幹部は、何でもタテもヨコもデカイ巨漢が一人。胸に『七つの傷』がある男が一人。ボスは鎧兜を纏った男だそうダゾ」

 

 ……幹部っていうか、一人明らかに主人公が混ざってるんだが?それに、鎧兜って、もしかして……

 

「そのボスの人……もしかして『馬』に乗ってません?」

 

「よくわかったナ。黒塗りの巨大なロボットホースに跨ってるヨ」

 

 ……ボスは、世紀末覇者ですか。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「今日は、この間手に入れた新しい武器のお披露目の積もりで来たけど……そんな機会は来ないかもしれないわね」

 

「へえ、どんなやつ? シノンが見せたがるなんて、そんなにすごい武器なのかな?」

 

「そうだね。銃に命中率と射程距離しか求めないシノンにしては、珍しい」

 

「三人とも余裕ダナ……」

 

 今僕たちはグロッケンを出て、南の砂漠地帯を目指している。何でも砂と風を乗り越えたオアシスに地下ダンジョンが存在し、その中でダンジョン内に収納されている様々な騎乗アイテムをプライベート化できる(キー)が手に入るのだとか。

 流石に四人乗りの車両はレンタルに存在しないため、四人で徒歩となってしまった。

 

「ずっと緊張しているわけにもいかないでしょ? ――――それに、緊張の時間はすぐに来るんだから」

 

「…………っ、気づいたカ。流石はレイ坊ダナ」

 

 既にアルゴさんは≪索敵≫スキルの警報(アラーム)で確認したようだが、目の前の砂丘の向こう。エンジン音がいくつか近付いてきている。

 

「シノンは、近くで狙撃ポイントを探して。僕とシュピーゲルはアルゴさんを護りつつ、前衛で攻撃する」

 

「了解。何かあったら無線で連絡をちょうだい」

 

「シノンも気をつけてね」

 

「ゴメンなー、レイ坊。オレっちに攻撃力がないばっかりに……」

 

「まあ、麻痺光学銃(スタン・ブラスター)下げてる時点で分かってますから」

 

 彼女が腰から下げている四角い奇妙な銃は、麻痺光学銃(スタン・ブラスター)。殺傷能力はほとんど無いが、足止め効果なら長距離ライフル用の電磁スタン弾を遥かに超える。こんなものを下げているということは、彼女は『情報屋』として『戦う』ことよりも『逃げ切る』ことに特化しているのだろう。

 

「大丈夫。アルゴさんは、必ず護りますから」

 

「…………ッ!」

 

「零二……君それワザトやってるの?」

 

『一度、死になさい。女の敵』

 

 何故か無線の向こうのシノンにまで突っ込まれた。なぜ?!

 

 

「「「「「「ヒャッハーーーーー!!!」」」」」」

 

 

 そうこうするうちに、砂丘の向こうからこの間の世紀末集団があらわれた!モヒカンAがあらわれた!モヒカンBがあらわれた!モヒカンCが――――

 

 

「「「「「「俺たちは、ザコでも、スライムでもねえ!!」」」」」」

 

 

 !?このモヒカンども……地の文に突っ込んだだと?!できる!

 

「いや、零二? 『モヒカンAが』の辺りから口に出してたよ?」

 

「まあ、あんな扱いされたら怒って当然ダロ……」

 

 え?何言ってるんです、アルゴさん?極めて妥当な待遇です。それより早く合体して、王冠つけたモヒカンにならないでしょうか?

 

「「「「「「ふざけんなーーーーーッ!!!」」」」」」

 

 ……おお、これが世に言う『キレる若者』。社会の病巣は、コレほどまで酷く……

 

 

「……我が配下を愚弄するのは、やめてもらおうか?」

 

 

 そんな場面に現れたのは、巨体。跨った馬も明らかに普通のロボットホースよりでかいが、これは……!

 

「アルゴさん?! アノ人、明らかに3~4mはあるんだけど!?」

 

「オイラも知らないよ! このゲームのアバターは、どんなに大きくても2mが精々のハズダゾ!?」

 

 しかも見るからに分かるムキムキ。まさに覇者ですね、本当にありがとうございました。

 

 

「我が名は、羅皇(ラオウ)! このGGOにおいて覇を唱える者!!」

 

 

 ロールプレイも、ココまで来ると凄かった。

 

「ぶふ~~。羅皇(ラオウ)様、オレ様にも、名乗らせてくださいよ」

 

 そう言って出てきたのは、タテにもヨコにも巨大な肥満体。というか、この姿だけで、どんな名前か分かった。

 

 

「オレ様は、葉亜斗(ハート)様だ~。ぶふふ~、そこの小さな小鼠は、オレ様が可愛がってやろう」

 

 

 スゴイな。ここまで名前と容姿が一致したロールプレイとは。そんな事を考えていると、左のバイク集団の後ろから、一際大きな爆音が響き渡った。

 

「フフフフフ……お前らぁ!」

 

 現れたのは、ハーレーに跨り、確かに胸に『七つの傷』を持つ男。しかし………………………………ああ、そうか。

 

 

「オレの名前を、言ってみろぉ~~~~!!」

 

 

 出てきたのは、『類まれなる悪役』だった。ちなみに名前は、邪偽(ジャギ)というらしかった……。

 




ラオウ、ハート、ジャギ……北斗のネタキャラ総登場!コイツラは戦闘方法も独特です。乞うご期待!

作中に出てきたスカイボード(こんな名前だっけ?)。一度乗ってみたい未来の乗り物です。後はタケコプターも捨てがたい!
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