ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
「今度はアンタが相手か……」
≪北斗の軍≫のリーダーである、
「ふ…………まあ、貴様に果たして、俺が相手をするほどの価値があるかどうかは分からんがな」
「……あ?」
ホンモノなら、言いそうな台詞ではある。あるが…………イラッと来た。
「まずはこの俺を、この黒王から下ろし、地面に立たせてみるがいい……話はそれからだ」
「――――ッ、そう、かよ!」
返事もそこそこに、ダッシュで相手に突っ込み、両手に持ったハンドガン≪クリムゾンボルト≫の引き金を引く。狙いはともかく、乱射に近い状態で、必ず数撃分のダメージは発生する……はずだった。
「ぬんっ!!」
「どうかしたか?」
「いやいやいや…………光学式の弾丸を、殴り落とすって、ありえないでしょ」
明らかに目の前のコイツに、ダメージエフェクトは出ていない。つまり、本当に『無傷で』殴り落としたことになる。
「そのようなこと、この拳王には、児戯に等しいことよ」
「いや、明らかにおかしいから。……何か特殊なアイテムか?」
光弾を殴り落とした奇抜な行動に目が行きそうになるが、むしろノーダメージだったことが奇妙だ。考えられるのは、あの『掌』に防御に特化したアイテムを使用している可能性だけだ。
僕の問いに対し、
「よく気づいたな……これこそが我が武器、『攻勢型』対光学銃防護フィールド≪ザ・キング≫だ」
「…………何?」
『対光学銃防護フィールド』。それは読んで字の如く、光学銃に対し防御力を上げる効果を持つアイテムだ。だがソレにしたところで、距離が近すぎれば威力を減衰しきれないし、ノーダメージということもあり得ない。そんな強力なアイテムは、ゲーム全体のバランスを崩すからだ。
「不思議そうだな……このアイテムは
「オイオイ……」
的がでかくなれば、それだけ当てやすくなる。大柄なアバターは威圧感こそ大きくなるものの、防御が弱くなるのだ。ましてや大きくなった身体へのダメージが倍化するのでは、今のところあんなアイテムをつける意味が無い。
「だが、それでもこのアイテムは、
そう言って、目の前の男は右腕を振り上げ……
「自身の打撃を、『エネルギー攻撃』に変えるアイテムはな!」
「な? うおおおおお!?」
まるで鉄槌のように振り下ろした。振り下ろされた掌が向いていた砂丘は、一瞬で、巨大なクレーターへと変化した。……マジ?
「いわば掌から、
「納得したよ……」
この男にとって、武器は自身の肉体なのだ。そしてその上げまくった打撃を、あの≪ザ・キング≫で飛ばしてくる。ある意味原作にとんでもなく忠実というわけだ。
「受けよ! 北○剛掌破ーーーーッ!!」
「おおおああああああッ!?」
砂丘は吹き飛び、最後のバトルはここに開幕した。
SIDE:アルゴ
視線の先の光景に、私は思わず唇をかみ締めた。
(あの
かつての≪金剛の阿修羅≫レイジを知るからこそ、余計にその想いは強い。この世界では、彼の最強の相棒だった≪鉄拳術≫が存在しないのだから、格闘戦に持ち込んでも、あのフィールドで近付くこともままならないだろう。
(……だけど、何でダロウナ?)
冷静に考えれば、勝ち負けは決まっている。切り札を封じられて、勝てるほど甘い相手ではない。そんなことは、頭では理解している。
(レイ坊なら、『必ず勝ってくれる』って、信じちゃってる自分がいるノハ?)
どうかしている。この胸のほんの少しの『高鳴り』も。
(同時に『負けるトコなんて見たくない』って、思っちゃってるんダヨナア……)
本当に、どうかしている。
視線の先では、この胸に高鳴りを覚えさせたヤツが、両手に持ったハンドガンを投げ捨てていた。
SIDE OUT
「武器を捨てるとは、血迷ったか!?」
「アンタ相手に、生半可な武器じゃ叶いそうにないからね……なら、最も慣れ親しんだ武器でいかせてもらう」
かつてのコペルは片手剣の使い手だったが、この『レイジ』がもっとも長く使ってきた武器は、『素手』。負けるためではなく、勝つためにこの武器を選んだ。
「ならば、来るが良い!」
「オオラアアアアアッ!」
突撃とともに、
「ハアッ!」
肩口から相手の胸板に衝突する。≪鉄拳術≫中段ダッシュソードスキル、≪シュラシンダン≫。エフェクトは出ず、威力も見る影も無いが、それでも二年の研鑽で磨かれた打撃が相手を吹き飛ばす。
「ぬうッ! だが、甘い! そんな打撃では、この
「『出来る、出来ない』じゃない! 『やる』んだよ!」
少なくとも、SAOの中ではそうだった。『やらなければ』、どんなに後悔したって、自分や他の誰かの生命は護れないから!
「オオオオオオオッ!」
拳を、蹴りを、手刀を、頭突きを、次々と
「貴様ッ……本来は格闘主体の戦士か! 何故それがこの銃の世界に来た!!」
「どうしても助けたかった人がいた、支えていたかった……だからこの世界に来た。それだけだ!」
「ワケがわからん!」
「だろうね!」
会話の間も、お互いに手を休めることなど無い。気がつけば
「だが、貴様に勝ち目は無い……アイテムもスキルも無しに、この
「アイテムを使わないとは言っていないさ。要はやりようなんだしな」
「ほう……?」
既に僕の中では、たった一つだけ
「ならば、見せてみるがいい!」
突撃してくる
「コレはッ?!」
驚愕の表情をしているが、遅い。あるいは彼もまたSAOプレイヤーなら、この動きが何を意味するか気づけただろう。
「コレが、切り札だ」
そう言って
「バカな!? こんな近くで爆発させれば貴様も死ぬぞ!」
「この『布』は、爆発への耐久性に特化させた代物だ! ちょっとやそっとじゃ破れもしない!」
そうして、胸板にくっつけた左手を右手で殴る。かつての世界のように全力で!
「≪アシュラハオウケン≫!!」
拳の衝撃によってグレネードは起爆。衝撃とともに、
「ハア、ハア……」
高めすぎた集中力に、息が上がる。こちらも相手に劣らず満身創痍で、左腕は半ばまで消滅。右手も拳が消し飛んでいた。
「…………フ、見事だ」
そう語る
「オイ、アンタ。アルゴさんのことは……」
「心配せずとも、今後狙うことはせん。負けて尚恥を晒そうとは思わん」
……なら、一安心か。こんなにこのGGOを楽しんでいる人たちは見たこと無いし、そんなヤツ等が友人と変なことになるのは嫌だからな。
「俺もまた、天へ……同胞達の下へ帰ろう」
そう言って、空を見上げる。空には鉛と硫黄を混ぜ合わせたような分厚い雲。
「この
そう叫び、両手を自分の胸板にぶつける。徐々に徐々にゼロへと近付いていたHPバーがものすごい勢いでゼロへと至る。
「我が生涯に、一片の悔いなしッ!!」
最後に放たれた一撃。その衝撃は分厚い雲を一瞬だけ吹き飛ばし、僕等はこの世界で始めて青空を見た。
北斗編、終了……と思ったら、後一週やることに。
ノリすぎた……
やはり最後は格闘戦!これが北斗とレイジのノリなので!後は、ドラゴンボールでも面白かったかもしれない。スーパー化とガチンコとか燃える!
アルゴがもう完全にヒロインに。一応彼女は、この後のGGO原作本編で、一つの役割を担ってもらいます。どんな展開かはお楽しみに♪