ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男   作:路地裏の作者

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ネタ回、真の終了!そして、全ては始まる……


014 結末と戦場の足音

 

「疲れた……」

 

「ほんとにね……」

 

「早く街でログアウトしたい……」

 

「にゃはは……」

 

 ≪北斗の軍≫との死闘の後、何とかオアシスに存在した隠しダンジョンへと辿り着き、その中にあった専用騎乗アイテムも手に入れた。ちなみに、あそこのアイテム解放のための『鍵』は、どうやらそれぞれ難易度が決まっているらしく、最高難易度のクエストをクリアしたら、どうやら砲塔つきの軍用装甲車が手に入っていたらしい……。内容が、ALO版アインクラッド・フロアボス並みの強さの、『ボスモンスター百体と同時に戦って無双せよ』というフザケた内容だったが。

 

「にしても……レイ坊とシーちゃんは、正気カ? そんなマシン、砂漠や岩場で乗ったら、吹っ飛ぶゾ?」

 

 アルゴさんがそういうのは、先ほど僕とシノンが選んできたバイクのことだ。現実と違って排ガス規制も最高時速規制もないため、思い切りかっ飛ばしてみたくて選んだ。僕のマシンは、≪カワサキ・ニンジャZX-12R≫。そしてシノンも同じ目的なのか、選んだのは≪スズキ・GSX1300Rハヤブサ≫。双方とも最高時速300km超というあり得ない数値をたたき出す、『メガスポーツバイク』というジャンルだ。オプションも選べたため、現実ではあり得ない専用オフロードタイヤやサスペンションで走破性を高めている。現実にオフロードで乗ったら、間違いなく死亡するが。

 

「いや、ゲームだからこそ、最速に挑戦したくなるよね?」

 

「私も、昔田舎で祖父のバイクの後ろに乗せて貰ってたから、どうせなら一番早いバイクに乗ってみたかったのよ」

 

「だからって、ソレはやり過ぎじゃナイカ?」

 

 まあ、ゲーム内だから、当然ノーヘルで乗ることになるしね。慣れない人は風圧だの、縦揺れだのでヒドイかもしれないが。

 

「二人とも、すごいよね……僕なんて、スタートも出来なかったのに……」

 

 実際ひどかったのは、シュピーゲル。僕とシノンがこのマシンを選んでしまったため、自分も乗ろうとして、ダンジョン内の試運転スペースで乗ったのだが、スタートで後ろに吹っ飛び、マシンだけがロケットのように直進することになってしまった。結論として筋力(STR)補正が相当高くないと乗るのは無理だろうということになり、結局全員とバイクを運搬できる軍用トラックを選んだ。本人単独なら走った方が速いし、小回りが利くのは、言わないほうがいいことだ。

 

「あ~、まあまあ、そんなに落ち込まないで! そ、それにホラ! ≪北斗の軍≫のやつらのドロップで、懐も結構温まったし!」

 

 あの後、倒した奴等のドロップ装備をかき集めたところ、結構なレアアイテムも存在した。この後早速街で売り払う予定である。ただ、買い手がつくか分からなかったのは……

 

「何で、≪ファットマン≫まで落ちてたのかなぁ……?」

 

 向こう側の幹部の一人、葉亜斗(ハート)の愛用アイテムが落ちていたのである。アイテム効果には、『貫通性能の低い実弾を跳ね返す。但し、肥満体(・・・)になる』とか書いてあるし。正直彼しか使わないんじゃないか?

 

「ん……? オヤ? 妙ダナ、コリャ?」

 

 そんな時に、不意にアルゴさんが声を上げた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「いや、街の入り口に集団で陣取ってる奴等がいるんダケド、ソイツラがなあ……」

 

 言われて視線を目の前に移す。なるほど、街に入る大通りのど真ん中に、何人かの集団が陣取っている。と、いうか……

 

「――≪北斗の軍≫の人たちか。早速お礼参り?」

 

 バイクや車で道幅一杯に広がってるし、他にないよね?そう思っていたところ、向こう側から邪偽(ジャギ)羅皇(ラオウ)と、見たことの無い(・・・・・・・)スキンヘッドの人が進み出てきて、こう言った。

 

 

「「「頼む! 葉亜斗(ハート)(俺)のアイテムを返してやってくれ!!」」」

 

 

「「「「……え?」」」」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 よくよく話を聞いてみると、邪偽(ジャギ)羅皇(ラオウ)の横にいる見たことの無い人は、何と葉亜斗(ハート)本人で、あのアイテムで巨体を保っていたとの事。本来のアバターはスキンヘッドではあっても、細身の長身だった。……容姿をあれだけ変える≪ファットマン≫、ますます要らない……。

 で、これからもロールプレイを楽しむために、どうしてもあのアイテムを売られたくなく、こうして待ち伏せたとのことだった。

 

「……まあ、どうせ売ろうと考えてたアイテムだし、そっちで引き取ってくれるっていうなら、それでもいいけど。対価は払えるの?」

 

「ぐ……そ、それがよ、俺らはアバターの装飾に結構な量つぎ込んじまっててよ……」

 

「そこで話し合った結果、我々の持つアイテムを複数そちらに譲ろうと思うのだ。リストを作ったので、そちらでいくつか選んでくれ」

 

 そう言って渡されたリストを皆で見る。……銃の類は稀少度(レアリティ)の低いものがいくつか、防具もドロップ品でそこまでレアなものじゃない。本当に、アバターの装飾につぎ込んでいると分かるラインナップだった。まあ、明らかに処分に困っていたと思える、防具用の素材アイテムが大量にあるから、その辺りと交換するか…………ん?

 

「…………なあ、この銃、本当に持ってる?」

 

 ラインナップの中に、以前アルゴさんに探してもらっていた、ずっと捜し求めた『銃』を見つけた。

 

「ん? その銃か……確かに持ってはいるが、まともなのは基幹部分だけで、他は修理しなければ使えない。外装から何から、作り直すことになるぞ?」

 

「十分だ。僕は≪銃器改造≫持ちだからね。……ほかのみんなはどう?」

 

 周りの皆に聞いてみるが、皆特に欲しいものも無かったらしく、結局僕が欲しかったその『銃』と、防具用の素材アイテムを大量につけてもらうことでトレードが成立した。

 

「いやあ、ありがとよ! しかし、いいのか? 防具用の素材アイテムなんて、これから転売する手間が掛かるだろう?」

 

 どうもこちらの転売の手間を考えたらしい発言だったのだが、それに対する僕の返答が、今後の彼等との関係を決定付けてしまったといえるだろう。

 

「大丈夫。僕が≪防具作製≫スキル持ちだし、自分の店で出す奴だから」

 

「「「「「………………何ィーーーーーッ!!!」」」」」

 

 微妙に、世紀末以外のマンガっぽい驚きの声が、周囲に響き渡った……。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「毎度、ありがとうございまーす」 

 

「おお! いいじゃねえか、このヘルメットの退廃的な装飾! この鉄の味!」

 

「ぶふふ~。このトゲ、それにこの皮のジャケットの風合い、いい仕事だね~」

 

「ふむ、このマントの装飾……零二よ、相変わらず良い仕事をするな」

 

 今、目の前には≪北斗の軍≫の幹部連中が部下も引き連れて、僕に頼んだ防具の出来を眺めている。何でもこの世界で中々防具を作製できるプレイヤーに出会わず、今まではオークションに出てくるソレっぽい装飾の防護服(ファティーグ)を購入して使っていたとか。しかしそれでは余りにも金がかかりすぎるということで、僕の店を利用することとなった。ちなみに僕は、どうしてもこの世界で作りたいアイテムがあったため、≪防具作製≫は上げられるだけ上げて、先日既に完全修得(マスター)した。よって、この世界で、僕に作れない防具は存在しない。

 

「それでは、また来る。次もよろしく頼むぞ」

 

「おお、そんじゃな!」

 

「小鼠ちゃんにもよろしく~」

 

「「「「お世話になりました、(あに)さん!!」」」」

 

「…………ども」

 

 アレ以来、アルゴさんを襲わなくなったのはいいが、≪北斗の軍≫の平メンバーが、僕等三人とアルゴさんを、『(あに)さん』『(あね)さん』と呼んでくるようになってしまった……。まあ、向こうもアバター作成に大金を注ぎ込む必要が無くなったし、アルゴさんも襲われなくなったわけだが、どうにかならないのだろうか……。

 

「――零二、今忙しいかな?」

 

「ん? シュピーゲル、珍しいね。一人でこの店に来るなんて」

 

 ≪北斗の軍≫が去った後、路地の入り口に、シュピーゲルが一人で立っていた。その様子はどこか思い詰めたようだった。

 

「実は、零二に頼みたいことがあって……」

 

「ん? 何?」

 

 後に思えば、この一言が全ての始まりだったかもしれない。

 

 

「僕とシノンの仲を、取り持ってくれないかな?」

 

 

 そう、『崩壊』はこの一言から始まった。心地よかった陽だまりの時間は終わり、徐々に徐々に、血生臭い『戦場』の匂いが近付いてきていた。

 




これにて北斗編、終!了!

シノンの覚醒、シュピーゲルの嫉妬と、結構内容的にはフラグを詰め込んでみました!それでも、アルゴのヒロイン振りが予想外……なんでこうなったっけ?

作中に出てきた、≪カワサキ・ニンジャZX-12R≫と≪スズキ・GSX1300Rハヤブサ≫。両方とも20世紀末~21世紀初頭に出た、最後の国産最速マシンです。後300km超えは、ブラックバードと呼ばれるのがありますが、排ガスと時速規制であえなく生産終了した、モンスターマシン……当たり前ですがオフロードで乗ることは出来ません。どっかのASEドライバーなら乗れるでしょうが……

北斗キャラは面白いので、これからも一瞬だけは登場するかもしれません♪まあ、ストーリーを喰わない程度に……
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