ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
本日は、反省会。そしてレイジが、≪防具作製≫をとった理由が明かされます。
まあアレは必要だよねえ……
ところで作者のもう一つの作品『闇の剣と星の剣』に、本日番外編を掲載しました。とある作品のネタバレになりますが……
10月。東京。都内の某喫茶店。
「さて、何か言い訳はある?」
それなりにオシャレな内装も相まって、恐らくはデートスポットとしても人気であろう店内で、僕は斜め向かいに座った、眼鏡の少女、朝田詩乃に怒られていた。議題は先日終了したGGOの最強者決定バトルロイヤル戦、≪
「あの、具体的に何についての…?」
「主に、予選通過時の使用武器と、決勝戦時の使用武器。後、開始早々、≪神風特攻≫した件についてね」
要するに、僕の戦い方全てについてではないだろうか。
「で、でも、すごいよね。シノンは総合二十二位、零二は総合十五位だもん。僕なんて予選の準決勝どまりだし……」
「……新川君」
「は、はい」
「少し、黙っててね♪」
「……はい」
笑顔が、怖い。こんなところまで、某副団長さんと一緒でなくて良いのにと、つくづく思う。多分彼女と引き合わせたら、無二の親友となるか、不倶戴天の敵となるかのどちらかなのでは無かろうか。
「えっと……そんなに怒ることかな? ≪ブッチャー≫と≪インフェルノ≫で予選通過したこと……」
光学式ガトリングガン≪ブッチャー≫。携行型単発式プラズマグレネードランチャー≪インフェルノ≫。予選が限られた空間内での1対1の遭遇戦と知った時から、僕はこの二つで挑むと決めていた。つまり、隠れているなら施設ごと焼き払い、近付いたら弾幕で消し飛ばすと言うわけだ。実際、≪スナイパー≫タイプのプレイヤーは、他の障害物の影から、グレネードで障害物ごと消し飛ばした。非常に理にかなった戦術である。
「狙いもつけずにデタラメに撃って、ハチの巣か、丸焦げって……相手がかわいそうだったわ」
「う……。でも、それも含めて『戦術』では?」
そういわれると、彼女も黙る。確かにそうした手段を考えるのも戦術なのだ。
「むー……じゃあ、決勝戦のときのは、何なのよ」
「何って?」
「! レーザーライフルとショットガン持ってたのに、わざわざ予選のときからAGI一極型の『最強』じゃないかって言われてた、≪
BoB決勝戦。僕は予選と同じなら、弾薬が確実に足りなくなると考えて、光学式レーザーライフル≪サイクロン≫と、光学式ショットガン≪ゲートキーパーDD≫を持って行った。確かにその装備なら遠くから撃つことは可能だ。……ただ。
「多分僕の腕じゃ、当たらないと思うけど……」
「………………」
実際僕は、Mob狩りのときにレーザーライフルを持ち歩くこともあるが、何せ当たらないので、たいてい弱点にくっつけて撃つ。ライフル使いでスナイパーの彼女からは、しょっちゅう怒られているのだ。
「だったら…いっそ、高威力のハンドガンのほうがいいじゃない。それなら得意のインファイトに持ち込めるでしょ……?」
確かに。当初は僕も、そうした予定だった、のだが。
「仕方ないよ。使う予定のハンドガンが、カスタマイズ中で、パーツが足らなかったんだから」
それが、一番の原因である。一番の得意武器であるハンドガンは、以前発掘できたレアな高威力の基幹部分と、≪北斗の軍≫から貰ったとある基幹部分との二つを中心に、組み直している最中であり、必要なパーツもいくつか足りない。そして他のハンドガンは、そちらを完成させるためにほとんど売ってしまった。
「じゃあ、≪闇風≫に≪神風特攻≫を仕掛けたのは……?」
「いや、強いって言われる人の実力を試したいなあ、と……」
「……」
ものすごい目で、睨まれた。だが、実際それが動機なのだ。そう思ったからこそ、最初にお互いの位置が分かる≪サテライト・スキャン≫が行われた際、最強候補の呼び声高い≪闇風≫へと特攻した。闘いは接敵重視のGGOでは考えられないほどの長期戦となり、僕の敗北で決着がついたとき、開始から三十分以上が経過していた。ほとんど彼としか戦っていないのにシノンより順位が上なのは、偏に長期戦になったせいで、その間にシノンがやられた為だ。
ちなみに≪闇風≫をそこまで追い詰めたのは僕くらいのもので、優勝者である≪ゼクシード≫対≪闇風≫の対決よりも一部では盛り上がっていたらしい。シュピーゲルを始め、GGO最初期のトレンドであった一部のAGI一極型は、あの対決を見てAGI型はまだまだいけると考え、再び頂点に返り咲こうと、各自キャラの強化に励んでいるとのことだ。もっとも最近のレア銃は、軒並み
「銅島さん、決勝戦が始まる前に、何て言ってたかな…?」
「え、え~と、あの」
「『決勝戦で当たっても、絶対手は抜かない。全力で挑むから』って言ってたのは、どこの誰……?」
「……スイマセン」
怖い。本気で、怖い。多分あんな思わせぶりなことを言っておきながら、いざ始まったら最強候補に挑みかかったことが原因だが、ここから失地回復する方法が思いつかない……!
「……(新川氏、新川氏)」
「(……何です、銅島さん)」
「(怖くてしょうがないです。いい加減、彼女をオトシて下さい)」
「(はあ?! そりゃ、協力はしてもらってますけど、今すぐには無理です!)」
ここで補足しておくと、どうにも新川恭二は朝田さんに気があるようで、何とか仲を取り持って欲しいと頼まれ、映画のチケットを二人分渡したりと色々してきた。ただ、新川恭二が若干ヘタレ気味なので、地味に厳しい。
「(学校の友人にも、こういうタイプはいるんですが、笑顔が怖い女性は、僕にとって天敵です。何とかして下さい)」
「(こうなったらムリ――)」
「二人で、何をコソコソ話してるの?」
「「何でもありません!」」
異様に息のあった返事を返した。正直キリトがアスナさんに怒られたり、拗ねられたりしてオロオロするのを眺めるのは好きだが、自分がその立場になるのはアレだ。ムリだ。
「……あー、それより、そろそろ次回の大会に向けて、互いの反省点と改善点をまとめないかい? 元々そっちが主題なんだし」
話を強引にでも切り替えるため、本日の主題を出す。そこでようやく矛を収める気になってくれたのか、朝田さんが話にのってきた。
「……そうね。とは言っても、私の場合は単純よ。≪ヘカートⅡ≫の扱いに慣れるって事」
「僕の場合は、そうだね……速射性能の高いレア銃を見つけることかな」
新川恭二のキャラであるシュピーゲルは、AGI一極の速射型ミドルアタッカーなので、速射性能の高い銃を手に入れられるかどうかにかかっていると言える。一応それなりにカスタムした銃は渡したが、まだ納得がいっていないらしい。
「僕は……しばらく作成中のハンドガンと、プロテクター用の素材集めかな。ずっと前から作製中だから」
あのハンドガンがないと、この世界ではどうにも決め手に欠ける。そしてずっと考えているプロテクターは、早く作製しないと実力半減だ。
「ハンドガンは分かるけど……プロテクター? もしかして、それ作るために≪防具作製≫を取ったの?」
朝田さんが尋ねるとおり、僕のスキル取得理由はそれだ。正直戦ってる最中に、何度『それ』がないせいで死に掛けたか。
「そうだよ。材料としては、≪クリスタル・タランチュラ≫を狩りに行こうと思ってる」
「それ……対実弾銃では、最硬の外皮って言われてるボス・モンスターだよね? でも、あれを使ったプロテクターは、装備制限が厳しいって聞くけど…」
まあ、VIT一極型でなければ、あれを使ったボディアーマーはつけられないとか聞くからね。
「問題ないよ。全身につけるんじゃなく、身体の一箇所なら、僕みたいな半端な二極型でも着用可能なのは調査済みだから」
必要なのは、胴体用の大きなプロテクターじゃないし。
「一体どこにつける気なのよ?」
……戦う時も、『守る』時も。やっぱりアレがないと、しっくり来ない。
「……左腕。『
と、言うわけでレイジはバックラーの作製中でした。まあ防御型のインファイターが銃相手に突っ込むには、やはり『相棒』が必要なので♪
そして、北斗から貰ったのはハンドガンと判明。もっとも、アレはハンドガンと呼べるのかどうか……
次回は久しぶりのALO。そして久しぶりに彼女が登場します!