ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男 作:路地裏の作者
SIDE:アスナ
「どういうことッ?!」
エギルさんが
「……電話で話したとおりだ。アルゴから緊急の連絡が入り、その話によると、レイジやキリトの奴らが、≪
「≪
SAO最悪の
「でも、アルゴさんは……一体どうして……?」
「どうしてアルゴがその情報を知り得たのか、一体何が起こっているのか、詳しいことは知らん。説明はALO内、≪イグドラシル・シティ≫のアスナやキリトのホームで行おうとのことだ。……ALOにアカウントを持っていないからこれから作ると言っていたが、何故かお前らのホームは、詳しい住所まで知っていやがった。だから、道案内はいらんとさ」
「え……でも
「その心配はいらんそうだ。イグシティまでの抜け道を把握してるとかでな。――それに、アスナには、やって欲しいことがあるんだそうだ」
アカウントも持っていないゲームの、抜け道まで把握しているのは素直に驚いたが、それよりもアルゴさんが私に頼みたいことというのが気になった。
「やって欲しいこと……?」
「ああ――――かつてのSAO関係者で、信頼できる奴らをお前のホームに集めて欲しい。そして今回、キリトへバイトを依頼した人間、『菊岡』という名の役人も、呼び出して欲しいんだそうだ」
SIDE OUT
力を、込める。
「おおおおおっ!」
常にはない雄たけびをあげ、迫り来る弾丸のうち、動きの邪魔になる物と致命的な物だけをバックラーで防ぎきり、口の中に銃口を突っ込む。
「――悪いね」
引き金を絞り、相手を葬る。倒れた相手に≪DEAD≫タグが浮かび上がるのを待つこともなく、その場から駆け出した。
(もうすぐ二回目の≪サテライト・スキャン≫か……)
遭遇戦を想定したBoB決勝戦では、直径十キロの孤島の真上を十五分ごとに衛星が通過する。その際、各プレイヤーに支給された端末に敵プレイヤーの位置情報が表示され、互いの位置を知ることが出来る。それによって作戦を立てたりするわけだ。
この決勝戦の舞台に降り立った時、僕は孤島のほぼ中心に位置する都市廃墟に配置された。まずはシノンと合流すべく、一度目の≪サテライト・スキャン≫まで近場の建物に身を隠し、最初のスキャンでシノンの位置が山岳地区だと分かり次第こうしてダッシュし続けている、というわけだ。
その時、遠くで轟音が鳴り響いた。顔を上げると、森林内からも分かるほどの爆炎が上がっていた。その規模から、このゲームではポピュラーなサブ武器、≪プラズマ・グレネード≫によるものだと悟る。
「誰かが、強襲でも仕掛けたのか……――来た!」
二回目の≪サテライト・スキャン≫。走りながら端末へと視線を向けると、シノンは山岳地区から森林地区寄りに移動していた。両方の地区を行き来するには一箇所しかない鉄橋を渡るしかなく、狙撃手の彼女がそんな無用心なことをするとも思えない。
(と、なると……橋を見渡せる位置につけて狙撃を行うはず……)
恐らく、森林地区側から橋に近付いている≪ダイン≫と≪ペイルライダー≫が、彼女の狙いだろう。合流するまでは、お互い≪死銃≫に用心しつつ、普通にプレイすると約束したから。
南に向けて直進していたダッシュの方向をほとんど直角に曲げ、山岳地区のど真ん中を突っ切るように鉄橋へと向かう。一度鉄橋に出てからシノンに合流するために。そんな僕の足元に、不意に石がぶつかった。
「……ん?」
『真横』から足元へと飛んできた石に、そちらの方向を向く。すると少し離れた灌木の中に、見慣れた青い髪の毛が見えた。ソレを見て、慌てて≪隠蔽≫を発動させ、周囲を気にしながら彼女の元へと向かう。
「――シノン、髑髏マスクはいた?」
「いえ、まだよ。もっとも、シュピーゲルが教えてくれた四人の初出場選手とは、まだ接触していないわ」
「そう……分かった。それならまずはペイルライダーだね」
「ええ。……早く、この茂みに。そこじゃ向こうからも気づかれるわよ」
「えっ……」
シノンが指し示したのは、自分が隠れている灌木。確かにこんなところに突っ立っていれば、向こうに気づかれる可能性も高い。インファイターの僕は、もともと隠蔽の熟練度も高くはないのだし。とはいえ、人一人が何とか隠れられるレベルの灌木に、僕まで入り込めば必然的に身体が密着するわけで……
「レイジ、シノンの言うとおりだぞ。ここはすぐに身を隠すべきだ」
「どっから湧いたの、キリト……」
いきなり肩を叩かれて声をかけてきたのは、キリトだった。サテライト・スキャンで近くにはいなかったはずだけど?
「ペイルライダーを五百メートルくらいの距離から追ってきたんだ。俺も灌木に入れてくれ」
……ヒトの色々な葛藤とかなんとかを、一発で吹き飛ばしてくれる発言をしてくれました。結局三人では狭いということで、僕とキリトは灌木の斜め横にあった岩陰に隠れることとなった。
そして、視線を向けた先、鉄橋の上ではダインとペイルライダーの戦いが始まろうとしていた。
SIDE:サチ
アスナに集められた私達が、今は『アルフ』というプレイヤーでログインしているアルゴさんから聞かされたのは、信じられないような内容だった。SAOで恐怖の対象だったラフコフが、GGOというゲームの中で、今また殺人を犯している可能性がある、なんて……
「――被害者が既に出ているのは、本当なんダナ? 菊岡サン」
「……正直なところ、僕自身まだ半信半疑だけどね。確かに≪ゼクシード≫と≪薄塩たらこ≫と名乗るプレイヤーは、死体で発見されている」
その言葉に、その場の全員が息を呑む。終わったと思っていた悪夢が、忍び寄ってくる光景を幻視して。
「だけど、現在彼らの身元が判明しても、逮捕はできないのが事実だ。SAO内での殺人行為は、法律に問わないことが決定しているし、今回のGGOにしても、『方法』が分からないと、彼らを捕まえることはできない」
「くっ……」
その言葉に、アルフさんは歯噛みした。それじゃあ……レイジやキリトを助けることもできないの?
「それで――君をGGO内で襲った人物についてだけど」
「アア。面と向かってはっきり思い出したヨ……『
そう言って上げられた視線の先。GGOでのバトルロイヤル大会の様子を映し出していたその画面には、襤褸切れのようなマントに身を包んだ、まるで髑髏のような仮面をつけたプレイヤーが佇んでいた……。
SIDE OUT
「――――ちょっと、零二ッ!?」
ダインとペイルライダーの戦闘後、ぼろマントが見えた瞬間に、僕は走り出していた。あいつだ。間違いなく、あいつが≪死銃≫だ。そう確信して銃を乱射し、全力のダッシュで近付いていく。
だが、敵もかなりの腕だ。最小の動きで致命的なものをかわし、こちらへと視線を向けてくる。
不意に、目の前のぼろマントが後ろに大きく仰け反った。その瞬間稲妻のような音を立てて、シノンのヘカートの弾丸が通過する。
(ナイスアシスト、シノン!)
心の中で喝采をあげ、大きく体勢を崩したぼろマントへと照準を合わせた。
トスッ、と、何の前触れもなく、
「な!」
走り続けていた身体が不自然に硬直し、バランスを崩して横倒しとなる。
(この感覚……麻痺毒!?)
見ると、コートとインナーの間に、まるで滑り込むように、緑色の毒を滴らせた小さなナイフが突き立っていた。その光景に、ちりっ、と記憶が刺激される。
(毒ナイフ……そういえば)
頭だけは鮮明に、その人物を思い出そうとする。
(ラフコフに……毒ナイフと暗殺術を極めた幹部クラスのプレイヤーが――――)
「
その瞬間、全てを思い出した。そうだ、コイツは――――――!!
「ヒャハハハハ! いい格好だなあ? ≪金剛の阿修羅≫ぁ?」
(≪ジョニー・ブラック≫!!)
かつて、SAOにおいて、毒ナイフと暗殺術を好んで使った最悪の毒使いがそこにいた。
(どうやって――――)
「へへへ……俺の名前が決勝進出の中になかったのが不思議なんだろ? ソレはコイツさ」
そう言って手元に出したのは――――一枚のカード?
「最近実装されたばかりの、コンバートキャラクター用パッケージソフトの同梱アイテム、≪リネーム・カード≫だ。キャラクターの『再命名』が可能なアイテムでよ。コイツで名前を変えたってワケさ」
そう言って奴は、トレードマークの黒い頭陀袋の奥でニヤニヤ笑いを浮かべながら、目の前にネームタグを投げつける。そこに書かれていたのは一つの名前。
「お前等みてえに平和ボケした≪SAO
≪J.B.Pain≫――――――≪ジョニー・ブラック・ペイン≫がそう告げる中、後方ではもう一人の≪死銃≫たるぼろマントが、ペイルライダーをその『必殺』の銃で貫いた。頭に鳴り響く、死に行く彼の感情。それに歯を食いしばると、頭の方に近付いてくる二つの足音。まずい……まだ動けない…………!
「テメエは、『まだ』殺さねえ」
そう言ってあっさりと、ジョニー・ブラックは毒ナイフを懐へと仕舞って見せた。
「怖ええぞ~? 何時殺しに来るか、わからねえぞ~? ヒヒ、ヒャハハハハ!」
「……クク、精々、足掻いて見せろ。そして、最後、には、無力に打ちのめされろ……この舞台、で、何人もの、命が、無残に散るところを、見て、な」
最後に、そう告げて、二人揃って踵を返し、≪死体≫のダインの横を一瞥もせずに通り過ぎ、橋を支える鉄柱の向こう側へと回りこみ……川岸へでも降りたのか、姿を消していった。
ジョニー・ブラック、登・場!
彼が原作で使ったスキルと得意武器から、彼は純粋な暗殺者(アサシン)キャラになりました。格闘家にとって、天敵みたいなスキルの目白押しです。どうぞご期待下さい!
そして……彼がログインしている、イコール、外での実行役は……
-追記-
ジョニーのトレードマークの黒い頭陀袋を入れるのを忘れてました。その部分修正します。